5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

3年B組ベリーズ工房 其の五

1 :ねぇ、名乗って:2006/09/14(木) 21:11:48 ID:uutSDTaB0

●みなさん気軽に書きましょーう↑↑

前スレ
3年B組ベリーズ工房 其の四
http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1144940233/

2 :ねぇ、名乗って:2006/09/14(木) 21:14:45 ID:uutSDTaB0

・清水佐紀 :優等生。もう一人の黒幕。愛読書は我が闘争 母からの虐待 
       深夜独り踊る孤独さも持ち合わせる。

・夏焼 雅 :不良グループ。佐紀に操られていた【秘密の日記】 アメリカンカルチャーに憧れる。
       デ・ニーロとヘミングウェイを敬愛する。 茉麻に恋心を抱いている。

・菅谷梨沙子:転校生。アホを装っているが黒幕。知能犯。ヘビメタ 謎の病気を抱えている。

・嗣永桃子 :クラスのアイドル。極貧から抜け出すためにアイドルを目指す
       佐紀のダンスの件を唯一知っている。実家は【すなっくもも】

・熊井友理奈:転校生。過去を背負っている。影がある。義の人。クラシック ブルーハーツ
       親友、石村舞波との過去に苦しむ。 好きな映画:仁義なき戦い ウディアレン全般

・石村舞波 :友理奈とは以前の学校で大親友。友理奈の為に自殺を図る。
       千奈美と同じキーボードスクールに通う

・徳永千奈美:クラスのお調子者。天真爛漫。ヘッドフォン通学 音楽オタク
       雅と茉麻とは幼なじみ 新聞配達 軽い万引き癖。キーボードスクールに通う

・須藤茉麻 :癒し系。誰からも一目置かれる存在。ラーメン屋【須藤飯店】の娘
       陸上部エース矢島まいみと交際している

・矢島まいみ:C組の男子。陸上部のエース。茉麻と交際している。

3 :ねぇ、名乗って:2006/09/14(木) 21:16:30 ID:uutSDTaB0

・丹下のおっちゃん:雅と千奈美が夏休みにバイトをする屋形船のオーナー

・寺田さんw:千奈美が新聞配達後、毎日牛乳を盗まれるw
       千奈美と舞波が通うキーボードスクールの講師でもある。

・田中れいな:桜中学の卒業生。新聞配達と屋形船でアルバイトをしている。
      
・久住小春 :桃子の友達 オーディションのライバルでもある テレビ出演の経験あり

4 :ミヤビイワナ:2006/09/14(木) 21:28:31 ID:bWn8E7eo0
やったー
みんな頑張ってください。
自分も頑張ってみようかな、友理奈とCDショップで
すれ違う前の舞波短編いいですかね?




5 :ねぇ、名乗って:2006/09/14(木) 21:40:16 ID:uutSDTaB0
>>4
おー 書いていただけますか!是非お願いします
楽しみに待ってますよお

6 :ねぇ、名乗って:2006/09/14(木) 21:43:31 ID:JPaJ7VDqO
新スレサンクス!
感慨深いですとても・・・
>>4
どうぞどうぞ楽しみにまってるよ!

7 :ねぇ、名乗って:2006/09/14(木) 22:26:01 ID:aofIhafO0
パソコンやり始めてから一年2ヶ月目。つい昨日データがふっとびました。
せめて、夏焼雅さんのめがね写真だけでもいただけないでしょうか?

8 :ねぇ、名乗って:2006/09/14(木) 22:28:57 ID:fErRth8YO
皆さん、こちらでもよろしくですm(_ _)m

>>1
スレ立て乙です。

>>4
楽しみにしてますよ。頑張ってください。

9 :ねえ、名乗って:2006/09/14(木) 23:44:30 ID:49riN6wH0
>>7
狼の『語るスレ』なら貰えるかも

10 :ねぇ、名乗って:2006/09/15(金) 00:21:18 ID:DbRFJxGp0
>>9
前スレ1000GJ!

1000 :ねえ、名乗って :2006/09/14(木) 23:42:11 ID:49riN6wH0
1000なら3年B組ベリーズ工房実写化!そして文庫化!! 

11 :『かくしごと 〜それぞれの想い〜』 :2006/09/15(金) 00:26:00 ID:DbRFJxGp0

「本当だよ 嘘なんか言うわけ無いじゃん」

「わたしは聞いてない!なのに…何で二人が知ってるの!」

佐紀が言い放った酷く冷めた言葉に、雅は怒りを露にした。
「違うの…あの…偶然わたし聞いちゃって あの…」
青褪めた顔で立ち尽くしていた梨沙子が消え入るような声で言った。
「言い訳なんか聞きたくない!」
強く握られたこぶしの所為で、両手のギブスが鈍い音を立てた。

「まあの奴 そんな大事な事を隠してるなんて酷いよ!」

「その怒りをわたし達に向ける訳だ」

唇を噛み締めている雅に追い討ちをかける言葉を投げかけた佐紀は
『雅の秘密』を握り締めていたあの頃の様に蔑んだ瞳をしていた。

「わかったよ!もういいよ!」

「待ってみや!怒らないで」

立ち去ろうとする雅の腕を梨沙子は慌てて掴んだ。
雅はその手を強引に振りほどくと階段の方に歩き始めた。
その後姿に、佐紀はもう一度追い討ちをかけた。

「いつから盗み聞きしてたの」

その言葉に雅は小さく舌打をして振り振り向き、佐紀を睨みつけると
床に置いてあった佐紀のスクールバッグを力一杯蹴飛ばした。

「盗み聞きなんてしてない!忘れ物を取りに来ただけ!」

12 :『かくしごと 〜それぞれの想い〜』 :2006/09/15(金) 00:27:22 ID:DbRFJxGp0

静まり返った校舎の中に、雅が階段を昇る音だけが響いていた。

「やっぱりちゃんと話してくる」

雅を追いかけようとした梨沙子の腕を、佐紀は強く引いた。

「今はそっとしておこう…」

「でも このままじゃみやとまあが喧嘩しちゃうもん それに佐紀ちゃんも…」

「私は平気 それに…あのふたりは絶対大丈夫だよ」

佐紀は梨沙子の手を放すと、雅に蹴飛ばされ床に転がったスクールバッグに手を伸ばした。
そして付いてしまった床の埃を無造作に叩き落した。

「でも…」

「ほんと悔しいくらい… 絶対に大丈夫なんだ あのふたりは」

深いため息と共に呟くと、佐紀はスクールバッグを抱きかかえた。
その細い腕には、修学旅行のあの夜、雅にあげた物と同じ『リストバンド』が寂しく巻かれていた。

13 :ねえ、名乗って:2006/09/15(金) 00:44:48 ID:DbRFJxGp0
あともう少し…
続きはまた後日 今日は寝ますぅ ノシ

14 :ねぇ、名乗って:2006/09/15(金) 02:05:25 ID:SaWAdY2NO
>>14
続編乙でした。この先どうなってしまうのでしょう?
続きを楽しみにお待ちしていますが、まずはごゆっくりお休みくだされ。

15 :ミヤビイワナ:2006/09/15(金) 21:17:31 ID:mEweuQ6S0
カンタービレ(ごしきひわ)
〜SIDE Maiha〜

*「ごしきひわ」とは小鳥の鳴き声を模した音楽が三つの楽章を通して聴こえてくる曲
  Aヴィヴァルディ(イタリア)1678−1741作曲

「忘却」

 秋も深まる10月、舞波は様々事件に巻き込まれた街を離れ両親と引っ越した。
新しいマンションは引っ越したマンションと同じ間取りで引っ越した感覚がしなかった。
引っ越しも落ち着き1週間が過ぎたが、舞波の母は新しく通う中学校の登校には
まだ触れないでいた。舞波は引っ越しが終わってからは部屋で何もせずに
ただ黙って暮らしていた。それはすでにかつての娘ではなかった。
それでいて泣いて暮らすとか暴れて暮らすもない。
ただ黙って息をしているだけだ。
「死ぬほどと言うなら何処にも行かなくて良い・・・」
母はとうとう諦めた。「舞波が生きていればそれだけで良い。」
けたたましいサイレントと共に病院に運ばれる娘の姿が今でも忘れられない。
そして娘の最愛だった美しく強い少女に醜い言葉を放ったことを。
自分が娘を守れなかったくせに、あの美しい少女に感情をぶつけたことを。
しかし彼女はこうも思う、「神様・・・」無意味なのは承知で呟いてみた。
何処かにまだ何かすがる思いもある、「妹に話そう、あの妹に会いたい。」
彼女にも人を恋しいという感情が忙しい日常の中で思い起こさせた。

16 :ミヤビイワナ:2006/09/15(金) 21:22:04 ID:mEweuQ6S0
金曜日の夜だった、舞波の母親の妹「石井リカ」が現在派遣されている勤務地
「北海道」から舞波の家にたどり着いたのは夜の0800過ぎだった。
「いや〜東京はゴミゴミしてるね〜。」リカは着てきた紺色のジャンパーを
脱いで、伸ばし放しの髪を掻き上げて舞波の母の顔を見た。
「あんた、まだ派遣されて一ヶ月でしょ。」すっかり北海道人気取り
なのがこの子らしいと思った。
舞波の母はお茶の準備をした。リカは部屋の片隅にある中学入学の舞波の制服写真を
手に取って見つめた。
「まだ寝てないよね?」写真に小さく呟いた。
リカは舞波がリビングに現れない空気をただならぬ気配を
感じていた。お茶をテーブルに置いて姉は静かに座った。
「それで何があったの。」リカは入れて貰ったお茶を飲みながら姉にわざわざ
北海道から呼び出した理由を尋ねた。
「実は舞波の事なの。」と目を伏せて語り始めた。
「やっぱり。」リカは一番当たって欲しくない予想が当たって少し気が重くなった。
気丈な姉が電話であんなに細い声を出すのが信じられなかった、あえて舞波が現れないのも
聞かなかったのも姉にとってそれ以上の事がないように感じられたからだった。
舞波の母はこれまでの数ヶ月をリカに語り始めた。リカは静かに聞いていたが最後の方は
涙がこぼれていた。「自殺」と言う言葉に絶望を感じた、舞波がリビングに現れなかったのが
本当はありがたいと自分を罵ると同時に感情として心の底で黒い固まりとなっていた、
さっきまでは事情が知らなかった前とは。
「これは小説ではなく現実・・・」とまだ止まらない涙を流しながら感情を抑えた。

17 :ミヤビイワナ:2006/09/15(金) 21:24:32 ID:mEweuQ6S0
 舞波はぼんやりしていた。「なぜ あんな事言っちゃたんだろう。」
舞波は友理奈との別れの瞬間を思い出していた。

「ゆりなーーーー!!」舞波の声が聞こえた。
「だいすき!!!」舞波がいつもの笑窪を見せ、心から笑った・・・・

「そんな訳ないのに。」「ううん 分からない。」久しぶりに自問自答していた。
友理奈を思うだけで彼女を汚してしまうと舞波は思った。
「もう考えないの、すべて忘れるの」「人の輪にも入れず死ねもしない。」
舞波は不思議と涙が出なくなっていた、好きな「ブルーハーツ」も
友理奈に持っていたCDをあげたあと聴いたこともない。彼女は心に鍵をかけた、
すべて忘れるという鎖を巻き付けた。彼女はこれまで一番キライな人間に
なると決めた、受け止めず忘れて生きると。彼女が一番きらいな生き方。

「忘却・・」

口だけを動かして呟いた

18 :ミヤビイワナ:2006/09/15(金) 21:37:09 ID:mEweuQ6S0
>>12
>>「でも…」
>>「ほんと悔しいくらい… 絶対に大丈夫なんだ あのふたりは」

台詞の魅力って本当に大事だなと思う。
ゆっくり休んで「ど真ん中」お願いします。

19 :ねぇ、名乗って:2006/09/16(土) 01:06:54 ID:4yegbXCbO
作家デビューおめ!
レベル高いですわ゚Д゜;「友理奈ノキズ」からの引用ありがとね!
童謡のお姉さんがでてくるとは・・・うーん深いw
>>18
あの台詞はヲレも唸ったよ
雅達と敵対してたからこそでてきた言葉だよね
ヤバいね!このスレキテるよ!ベリメン読んでてくんない☆カナ

20 :ねぇ、名乗って:2006/09/16(土) 01:17:41 ID:4HtChdVCO
>>1
ちょww新スレおめ!!

21 : ◆SKiDrow0w2 :2006/09/16(土) 01:21:23 ID:Q6KzHa3q0
てす

22 :ねぇ、名乗って:2006/09/16(土) 01:30:17 ID:4yegbXCbO
>>20
あざーす!

23 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 05:34:23 ID:Hubzvn0f0
>>19
ありがとうございます。
文章は書いたことあるけど、小説は生まれて初めてなので
ちょっと書き込むの勇気がいるけど、こうなったら
ヤバい作家達と行ける所まで行くしかない☆カナ

24 :ねえ、名乗って:2006/09/16(土) 06:07:24 ID:AAYjq7xr0

ベリがメインではない話ってのもなんか好きです
スポットが当てられなかった人物を掘り下げていく新たな手法…面白いかも!
続編待ってます!

うーん…思うのです 梨作家さんもミヤビイワナさんも
どうしてこんな細かい描写を書けるのだろうって
おふたり=小説 おれ=児童書 そんな感じにみえるw 今後の課題です

25 :14で自分に誤爆……:2006/09/16(土) 07:25:57 ID:RZsZxjKbO
>>23
ついに作家デビューされましたね。懐かしの童謡のお姉さんが出てくるとは……今後の展開に期待大です。
新しい作家さんも参戦され、この神スレもますます盛り上がりそうで楽しみです。

しかし、 皆さんどうしてこんなに素晴らしい文章を書けるのやら……自分にもこのスレとは別に構想はあるけど、とてもこんな風には書けそうにないですね。

26 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 08:30:30 ID:Hubzvn0f0
カンタービレ(ごしきひわ)
〜SIDE Maiha〜
*「ごしきひわ」とは小鳥の鳴き声を模した音楽が三つの楽章を通して聴こえてくる曲
  Aヴィヴァルディ(イタリア)1678−1741作曲

石村舞波 14歳  友理奈と別れた後、生きる希望を亡くしていたが、叔母の救いにより北海道へ旅立つ。

石井リカ 25歳  舞波の叔母さん25歳、東京のコンピュータシステム開発会社でシステムエンジニアとして勤務。
         現在北海道千歳市で長期出張で勤務している。

「大地」
 次の日の1200舞波は空の上だった。昨日叔母の石井リカに強引に北海道行きを決められた。
強引と言うのは手法であって舞波は自分の意志で決めたと機上で認めた。
「あの時リカちゃんに聞こえたのかな。」もう一人の自分が心に鍵を閉めたくせに
心で小さく呟いた言葉。

「助けて・・・」

石井リカは隣の席で寝息を立てていた、昨晩疲れたのだろうか、飛行機が飛び立って
3分もしないうちに寝息を立てた。

昨晩、リカは姉の話を聞いた後しばらく力が抜けていた。聞いても答えられるはずのない
質問を姉にした。「これからどうするの?」姉は顔を伏せているだけだった。
「姉さん、私舞波を北海道に連れて行こうと思う。」舞波の母は顔をふいにあげた。
その目の奥には驚きと微かな想いが覗いた。
「北海道で何をするの?」姉はたまらず妹に問うた。
「大地を見せるの。」「人がどうにも出来ない想いを感じさせるの。」
舞波の母は思った、命も捨てて、美しい級友も失ったあの娘に出来ることはもう人では
足りないのであろう。こんな親は身勝手で責任感がないだろう。

「だけど、だけど。」

27 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 08:32:44 ID:Hubzvn0f0
舞波の母はすくっと立ち上がり電話を取った。まだ舞波が北海道に行くなど返事もしていないのに。
受話器の向こうから夫の声が聞こえた。電話の声だけを聞くとまだ青年の臭いを放つ夫が受話器に立っている。
舞波の母はリカの事情を話したと同時にリカに預け北海道に賭けてみるしかないと夫に話した。
舞波の父親はプロのサーファーで雑誌のリポータでもあったため現在沖縄に出張していた。
一通りの想いを夫に告げた後静かに夫の意見を待った。舞波の父親は
「リカちゃんに任せる他ないね。」「僕は家を空ける事が多いのでいつも君にばかり苦労をかけてゴメン。」
黙って聞いていた舞波の母の頬を涙が線を描いて落ちている。
「君が居て舞波が居る、舞波が居て君が居る、それが僕のすべてなんだよ。だから・・・」
舞波の父親は言葉が詰まった、どれを取っても自分の力では家族を守るという問題解決は計れないからだ。
「リカに換わるから。」受話器を妹に手渡した。
リカが夫と話している間、舞波の母は顔を拭きながら思った「何を泣いているの。」まだ一番大事な事が終わっていなかった
舞波本人に旅の了承を取っていないのだから。

28 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 08:34:24 ID:Hubzvn0f0
「それでは・・」妹が受話器を置いた。「姉さん、舞波の部屋に私一人で入るから。」リカは強い目で姉に了承をとる。
舞波の母は頷き舞波の部屋を指さす。リカは深呼吸してから舞波の部屋をノックした。

返事がないままリカは舞波の部屋に入った。この前会ったのは北海道に行く前の3ヶ月前だった。
その時はさっき姉から聞いた「最愛」の級友が居た頃だったのだろう、この子がとても明るく
元気だった頃だ。

「リカちゃん来てたの。」大きなエクボが薄く笑いらしい形を作って言葉を発したが瞳にはうれしいとか
ビックリだとか感情がなかった。
「オッス・・」その後リカは自分が舞波の母からこの数ヶ月の経緯を聞いた事を話した。

「舞波あんた これからどうする気?」リカは絶対返答されない問いを舞波に投げた。
「・・・・・・・・・・・・」
「わからない・・・。」

29 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 08:35:41 ID:Hubzvn0f0
 リカはさっき姉から聞いた「自殺」と言う単語が脳裏をよぎった。「負けない。絶対さがらない。」心で呟いた。
「私今北海道で仕事して居るんだけど来年の春までかかりそうなの。」
「北海道へ来なさい、いいわね。」
舞波の言葉を待たずに用件だけをリカは告げた。
リカは舞波の部屋を見回しながら「持っていく物は下着くらいでしょ。」
机の上の様子からすると何も読み書きしていないことが明らかだと思われた、電気を使う物も
何もない。携帯電話の充電器らしき物が本棚の一番上の奥にしっかり巻いて置いてあった。使われる事も無く。

「携帯だけは持っていくわよ。」舞波の意見が何もないまま舞波の旅支度が始まろうとしていた。

舞波はやっと口をあけた「北海道で私何をするの?」当然な質問だった。

「自然に触れるのよ。」

「公園とかに行くこと?」

「そんなやさしい事じゃない、自然に語りかけるのよ。」「山に気持ちを訴えるのよ、川の音を音楽に思うのよ。」
舞波はぼんやり考えた。「そんなこと出来るのかな?」一番嫌いな生き方をすると決めた舞波は今度は人間の感情ではなく自然に
感情を持つことに興味があるかもと少し心が揺れた。

「いつ行けば良いかな?」舞波は少し山を想像しながらも自分にそんな力が無いことは自分が一番知っていた、
そろそろ会話を終わらせよう言葉を発した。

「明日よ。」

30 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 08:39:02 ID:Hubzvn0f0
 夜があけて、3人は空港で北海道行きの飛行機を待っていた。「長い夜だった。」舞波の母はそう思った。
舞波が良くなるかどうかは分からない、だけど彼女の為に何かを出来たことは本当にうれしいと同時にこの
数週間何をしていたのだろうとも考えた。
「もしかしたら 僅かな希望を持ったまま永遠に夜があけなければ・・」等と
無意味なことを考えてもいた。
「姉さん それじゃ着いたら電話するから。」「よろしくね。」
いつから妹がこんなに強く頼りになったのか分からない。今この世で頼れるのは私の妹だなんて、
心から感謝していた。
「それから姉さん これからしばらく一人になるので お義兄さんの所に行ったら。」
「姉さん一人で生きている訳じゃないんだから。」
「誰かに頼って頼られてでしか人は生きていけないんだから。」
舞波の母は心底思った、その通りだと思った。思えばこの数ヶ月夫とまともに会話していなかった。
それにしても妹はこの力をどこで得たのか?舞波の母は北海道に期待せずには得られなかった。
「私も沖縄に行こうと思う。」舞波の母は少し顔を赤くして妹に気づかれないよう笑った。
舞波に近づき母は「頑張らなくて良いからすぐ帰ってきて。」言いながら舞波を強く抱きしめた。
母の体温を感じ「いつもゴメンね。」舞波は母に言った。、短いけど久しぶりの感情からの会話だった。

31 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 08:55:24 ID:Hubzvn0f0
機内放送が入った、着陸態勢である。
「ゴメン舞波、寝てたわ。」リカは目をこすりながら座席のシートを立てた。
飛行機から二人は降りて空港館内を歩き始めた。土曜日ということで人がたくさん歩いていた。
東京と変わらない人混みだった。「千歳空港」は北海道の玄関と言われるだけあって恐ろしく広かった。
「少し空港の中を見ていこう。」まるでデパートのような空港を散策する事になった。
「山はまだないよね・・」舞波は歩きながら高い天井を眺めた。
大きな広告看板が目に入った。
舞波は小さく読んでみた。

「試される大地」


32 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 09:07:49 ID:Hubzvn0f0
>>24
ありがとうございます。
文章には色々な個性があってそれぞれが折り合ってこの板が
存在していると思います。
熱くて苦い珈琲を飲みたい夜があるなら、冷えたレモネードを
飲みたい昼もあります。
「自分らしく」書けたら。
ヤバい作家は誰かじゃなく、自分らしくのあなたでしょう。
頑張りまっしょい!

33 :ミヤビイワナ:2006/09/16(土) 09:13:06 ID:Hubzvn0f0
>>25
ありがとうございます。
実は初心者で書きすぎて迷惑かけてます。
板の中で省略されたりしてこの板見にくくなってしまいました。
みなさん本当にごめんなさい。

>>……自分にもこのスレとは別に構想はあるけど、
やるっきゃないしょ!
イッパイ期待!!

34 :ねぇ、名乗って:2006/09/16(土) 10:55:03 ID:RZsZxjKbO
>>33
更新キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!ペース早いですね。乙です。無理せず頑張ってくださいね。
「試される大地」……自分も六年前に北海道行きましたけど、いいところでしたね。
北の大地は閉ざされた舞波の心をどう癒してくれるのでしょう。楽しみです。

自分の構想は、このスレとは全く関係ないんですが、自分が書く時の参考という意味もありここにお邪魔させてもらってます。
一応、大まかな構想はできあがってはいるものの、このスレを読むたび書く度胸がなくなります……。
実際書くとなると、書き手は文章を書く技量はもちろん、色々なことを知っていないといけないんですね。自分みたいに偏った知識しかないとダメなんですよね。それを知っただけでもよかったのかも。
とはいえ、眠らせるのも惜しいので、誰か書いてくれないかな、とか思ってしまいますが。

35 :ねえ、名乗って:2006/09/16(土) 16:31:35 ID:AAYjq7xr0
>>32
更新乙です 早速読ませていただきました
ミヤビイワナさんが書く物語の世界観?空気の感じといいましょうか
うーん…上手く例えられませんがとても好いなと思いましたよ
それと全く違和感のないキャストw 石井リカとはナイスチョイスでしたね
続編楽しみにしてまーす

>>34
知識…自分も常々大切だと感じています
インターネットという辞書を駆使してなんとか書いてはいますがw
サブストーリー的な話しでも構わないと思うので
何か思いついた物語があったら是非読ませてくださいね
みなさんが想い描いている『この街の様々な人』の話が読んでみたいですから

36 :ミヤビイワナ:2006/09/17(日) 08:59:54 ID:54F7n7mA0
カンタービレ(ごしきひわ)
〜SIDE Maiha〜

*「ごしきひわ」とは小鳥の鳴き声を模した音楽が三つの楽章を通して聴こえてくる曲
  Aヴィヴァルディ(イタリア)1678−1741作曲

石村舞波 14歳  友理奈と別れた後、生きる希望を亡くしていたが、叔母の救いにより北海道へ
          旅立つ。

石井リカ 25歳  舞波の叔母さん25歳、東京のコンピュータシステム開発会社で
          システムエンジニアとして勤務。
          現在北海道千歳市で長期出張で勤務している。

「青より蒼く」

************************************************


37 :ミヤビイワナ:2006/09/17(日) 09:00:22 ID:54F7n7mA0
 千歳空港からは市内へ向かうバスが出ていた。二人はバスに乗って空港からリカが勤務している会社が
借りているマンションまで帰ってきた。
空港からは車で30分くらいの場所だった。途中市街の中心部を流れる大きな川を見た、「千歳川」だ。
マンションは色んな用途でチームで仕事が出来るように3LDKと大きめのマンションを借りていた。
「私の仕事はまだなんとか一人で対応出来ているから一人でも大丈夫なの。」リカは少し仕事が出来る
ことを自慢したかったのだが、まだ仕事をしたことのない舞波にはいまいち伝わらなかった。
そんな自分の滑稽さを笑いながら、二人は玄関に入っていった。
部屋の中には生活するには困らない程度の家財が揃っていた。「全部レンタルよ。」
「私は雪が降るまでは自転車で現場に通おうと思ってるの。」
舞波は「遠いの?」
「ううん6キロくらい」歩いても40分だから。「運動不足にはちょうど良い距離よ。」
「ねえ舞波。ご飯炊いたことある?」リカは舞波の顔を覗くように質問した。
「ないわ。」舞波は少し笑って恥ずかしそうに目を伏せた。
「普通の料理ってやってみない?」リカは笑顔で舞波にうながした。
舞波は考えた、料理をするなんて考えた事もなかった。あの事件以来一日一回食事したらいい生活だった。
しかし自分が料理を作って人に食べさせられたらどんなにうれしいだろうか?その相手が
最愛の級友だったら。舞波は想像をやめた、まだ友理奈の事は思い出したくなかった。
その夜基本的な料理をリカから教った。電子ジャーでご飯を炊く方法と包丁の持ち方使い方。
野菜の切り方。舞波は何かを覚えるということを久しぶりに楽しんだ。

38 :ミヤビイワナ:2006/09/17(日) 09:03:31 ID:54F7n7mA0
 朝0700、舞波は目が覚めた。昨日はここ何ヶ月かぶりに良く眠れた。
リカに用意してもらった部屋から出てリビングに行くとまだリカは起きてこなかった。
舞波は顔を洗いメモに「散歩に行ってきます。」と書いて携帯電話をジャージのポケットに入れて玄関を
閉めた。とりあえず川を見に行こう。昨日バスから見た「千歳川」は街の中心を流れていた。
昨晩リカから千歳観光ガイドをもらった。文字を読むのも久しぶりだった。
千歳市は人口9万人で空港の街である。近隣が北海道道庁を置く札幌市、海運の盛んな苫小牧市と
ならんで中堅都市であることがうかがえた。また千歳市は観光においては「支笏湖」という
火山の爆発によってつくられたカルデラ湖が挙げられた。千歳川は支笏湖の水が源流で流れていると
書かれていた。
マンションから歩いて10分、大きな橋にたどり着いた。橋の上から川を覗くと、黒い影が
ゆらめいていた。

「まさか、魚」
「あんなに大きいの?」

舞波の眼下には「鮭」がいた。
10月が終わる北海道は朝はもう息が白い。白い息を吐きながら舞波は驚いていた。車がたくさん通る
橋の下を魚が泳いでいた。
ぼんやり眼下の水面を眺めていたとき舞波の携帯電話が鳴りだした。
ディスプレイに「リカちゃん」と映し出された。

「舞波、朝ご飯食べよう。」
「分かった今帰る。」

携帯電話を閉じたリカは、舞波の声が少しうわずっていたかなと思った。一昨日会ってから彼女の声の
細さがすごく気になっていたが今の声は少し力があったと彼女は思った。
しかし苦笑いをして、「あせらず、ゆっくり。」リカは独り言を言って自分をたしなめた。

39 :ミヤビイワナ:2006/09/17(日) 09:06:50 ID:54F7n7mA0
 遅い朝食を終えて二人は千歳駅にいた。駅まで歩いて15分程度だった。
今日は支笏湖に行こう。リカは千歳と言えば支笏湖と言って舞波を誘い出した。本当はあの橋に行って
鮭を探したかったが、昨日読んだ千歳の観光ガイドに千歳川の源流は支笏湖と書いてあったので行ってみる
ことにした。「私、魚に興味持ったの??」
なんとなく自然というフィールドの入り口に立った舞波であった。

1時間ちょっと支笏湖までバスに揺られた。
支笏湖までの道のりは山をひたすら登る。10月の末の現在は紅葉まっさかりでバスから見える景色は
山が赤く染められ北海道の夏期、秋期の締めくくりと同時に長い冬の準備のため大忙しと言った模様でもある。
舞波は山に語ると石井リカに言われたが、ただ静かに山に「語られる」受け身である心の態勢に心地よさを
感じていた。バスに刻むように入る木漏れ日は秋晴れの暖かさを人の体温のように感じさせ、まるで誰かに
抱きしめられて背中から体の中心まで暖められるような、母に抱きしめられているような気にさせる。
横を向けば当然、リカは眠っていた。


40 :ミヤビイワナ:2006/09/17(日) 09:10:06 ID:54F7n7mA0
 
バスが停車し、支笏湖湖畔に到着した。バスを降りた瞬間に目の前に広がる水の固まりを見た。
そして目の前に湖を見下ろす様にそびえる山が連なっていた。連なった山の後ろから煙がゆらめく。
秋晴れのためか大勢の人でにぎわっていた。大きなホテルがあり、ホテルを中心として何十件もの
飲食店やみやげ売り場がひしめいていた。山の中がこんな町みたいになっている。舞波は目の前の景色に
興味を感じた、湖の周辺に町があるなんて、しかし景色としては大昔から人がこんな景色をつくっていた
のかもしれないと中学生ではまだ浅い歴史の知識で空想してみた。

リカはまず観光街にある文部科学省が建設した「ネイチャーセンター」に舞波を連れって行くことにした。
「ネイチャーセンター」とは博物館に近い施設で様々な自然生態についてプレゼンテーションされている
場所であった。舞波の最初に目に付いたのは大きなディスプレイに火山が噴火しているコンピュータ
グラフィックであった。食い入るように見つめた。側から離れていたリカが舞波に「舞波、こっち。」
声をかけリカが立っている部屋の前を指さした。人が20人くらい座るスペースにスクリーンがあった。
小さな映写室だった。一番前にリカと二人で座った、これから始まるのは支笏湖のプレゼンテーション
ビデオだった。先ほどのコンピュータグラフィックの続きで噴火から湖が出来るプロセスを分かりやすく
ダイナミックな映像で表現された。

41 :ミヤビイワナ:2006/09/17(日) 09:24:18 ID:54F7n7mA0
 約10分位のプレゼンテーションが終了し、またセンターの中を散策した。
読書コーナーがあり様々は技術書等が置いてある場所に数台パソコンがあり、リカはそのパソコンで
生物データベースを操作していた。仕事柄気になるのだろう。舞波は色々な動物がディスプレイ
されているフロアで足を止めた、一番大きい剥製は熊であったが小動物もあり、今まで知らなかった
真っ白なイタチ等恐ろしくもあり可愛いらしい、今にも動き出しそうな動物たちを眺めた。
1時間ちょっとネイチャーセンターを散策した後、リカは「水中観光船に乗ろう。」と言いだした。
ネイチャーセンターを出て長い階段を湖に吸い込まれるように下り船着き場に着た。
船着き場はたくさんの船があった、白鳥の形をした自転車のペダルをおして推進するボートや客船や
高速モータボート等実に様々である。その中でも新型である水中観測船に乗ることになった。
水中観測船とは水深2mの位置に観測窓がある船で湖底を見ることが出来る船だった。
いよいよ船が動き出した。舞波は驚くだけだった、水中がとても明るい。

「なんで昼間みたいに明るいの?」

支笏湖は水の透明度のため日光が最大で40mも届くと言われている。そのため水は真っ青であり
コバルトブルーとも呼ばれている。

「こんな青色見た来ない。」

舞波は驚嘆の顔をリカに見せつけた、リカは微笑み頷いた。
舞波は水に向かって呟いた。

「青より蒼いよ・・・」

42 :ミヤビイワナ:2006/09/17(日) 09:38:50 ID:54F7n7mA0
>>35

ありがとうございます。

石井リカの配役は実はあまり悩まなかったですね。
ハロプロ研究所というホームページでデータベースを見させて貰って
石井リカを選びました。
自殺を乗り越える人間はちょっとやそっとでは乗り越えられません。
実際に自殺されるかたは信じられない人数です。
また未遂から本当に自殺と、一見普通に見えても次の日というのが
当たり前にあります。
想像だけでは足りないのでやさしい大人を連れてきました。
舞波の傷をなんとか乗り越えさせて作家達にお返ししたいです。
そして後につながるキーボードスクール、「最愛」の級友と再会して貰いたいです。
その日の為に9月中にはなんとか書き上げたいと思います。
今回の話は観光ミステリーみたいになってしまって段々この板の趣旨からスイングバイ
してるよな気がして申し訳ないと思いますが、今しばらくおつきあい下さい。












43 :ねぇ、名乗って:2006/09/17(日) 14:41:28 ID://GDl7eQO
最近落ちすぎorz

Berryz工房について語りまくる!Part63.1
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1158470952/

44 :ねぇ、名乗って:2006/09/17(日) 19:43:22 ID:V7bnvSRC0
学年が上がって新クラスの発表があり、熊井ちゃんと同じクラスになった。
熊井ちゃんはのどかな感じで、同じクラスになったねぇ、と話しかけてきて、
自分もそうだねぇ、と返答した
…という夢を見た。多分、このスレの影響だなあ。

45 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 01:04:39 ID:CPDTrm+UO
>>42
更新乙っす!かなりのハイペースなんで驚いています・・・
ここで作家からささやかなアドバイス
「煮詰まったら寝る!深追いはするな」ですw
>>43
いや驚いたよまた落ちるなんてorzたしかに話題がね・・・頑張って保全しなきゃ
>>44
さぞかし心地よい眠りだなぁw

46 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 02:43:04 ID:2V/3vz7ZO
>>35
レスどうもですm(_ _)m

自分が今まで考えてきたやつは完全にスレ違いなので、書くなら自分のブログにでも書こうかと思っています。

ただ、書き込みを読ませていただいてから、それとは別にこのスレに沿ったストーリーが浮かんじゃいました。
佐紀・桃子のオーディションの章で出てきた、小春の過去の短編なんですが。とりあえず大まかな流れは決まったので、細かく詰めてみます。もしかしたら書ける……カナ?
まあ、かなりベタな展開になりそうな悪寒……。

47 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 05:06:39 ID:CPDTrm+UO
>>46
スゲェ楽しみだなぁ・・・是非とも読んでみたいなぁ

48 :ねえ、名乗って:2006/09/18(月) 07:12:40 ID:V+U/oCz90
>>43
昨日は文化祭だったしね 現場系の人が何気に多いモンね『語るスレ』

>>46
おー ももさき&こはるの話し好きなので楽しみ!
小春の過去…読んでみたい

49 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 14:11:27 ID:2V/3vz7ZO
>>47
>>48
あまり過剰な期待されてもお応えできるかわかりませんが……とりあえずやってみようかと。
他の作家さんのように上手くはいかないと思いますが、思ったのは今の自分は鵜のマネをしようとしているカラスだな、と。カラスが鵜のマネをしようとしても仕方ないので、カラスらしくやろうかと思います。
とりあえず、今はヲタの聖地巡礼で巣鴨に来ていますので、帰ったら始める……かも。


あと、小説本体に合わせるためにお聞きしたいのですが、小春はベリメンと同い年で違う中学ということでよろしいでしょうか?

50 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 18:12:04 ID:CPDTrm+UO
コッハは一応中2の私立中学生で書いたつもりなんだが作家さんにお任せしますよw

51 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 22:56:37 ID:2V/3vz7ZO
聖地巡礼終了〜。タンメンうまかったけど、あれ運ぶのはかなり大変かも?かも?
店には大物芸能人など有名人のサインがたくさんありました。その中にれいな先輩のサインも写真付きで飾ってありましたよ。
今日はヲタカラやってキャバクラで飲みまくって眠いので、明日から頑張ってみます。

>>50
小春は中2ですか。了解しました。返答ありがとうございました。
今日は小説の中身に絡んで、関係する職業の友人から色々聞けたので、設定もわかったし頑張ってみます。

52 :ねぇ、名乗って:2006/09/20(水) 00:21:09 ID:etSWcIrOO
過去ログ読んで研究して、いざ書き始めたら早速詰まったお……覚悟はしてたけど、文章を書くのって大変ですね。

>>50
たびたびすみません。
今日、オーディションの章を読み返して思ったんですが、小春の受けたオーディションは桃や佐紀とは別の部門ということでしたよね。女優部門とありましたが。
そうなると、彼女の夢とか目標みたいなものも、桃と違いアイドルとかではないということになるんでしょうか?女優とか?
もし可能であれば、この時の状況設定など示していただければ幸いです。

53 :ねぇ、名乗って:2006/09/20(水) 02:27:47 ID:u1eQ3zMUO
うーん・・・
一応女優志望☆カナ
ただしあくまで設定にすぎないのでその辺は作家さんがいじってもらっても構いませんよぉ!

54 :ねぇ、名乗って:2006/09/20(水) 18:21:37 ID:etSWcIrOO
少しは進んだ……カナ。まだアップできるほどではないけど。
ホント、文章を書くのって大変で難しい……作家の皆さんのご苦労が少しは分かったような気がします。

>>53
たびたびすみませんでした。
可能な限り設定を尊重して生かす方向でいきたいと思いますが、変更あった場合はご容赦くださいm(_ _)m

55 :『かくしごと 〜それぞれの想い〜』 :2006/09/20(水) 23:24:43 ID:lwz1pI050

「おっ 夏焼どうした?」

突然教室に入ってきた雅に、金八は驚いて声をあげた。
その声に答えること無く、雅は自分の机に向かった。
「どうした怖い顔して 何かあったのか?」
雅は無言で机の中に忘れたノートを乱暴に取り出した。

…お前のせいでイライラしてるんだからな!…

思いがけなく知ってしまった『茉麻のかくしごと』の苛立ちを
力一杯握り締められて、すっかり歪んでしまった忘れ物のノートにぶつけた。

「何かあったみたいだな」

何処と無く人事に聞えたその言葉に、雅は金八に詰め寄った。
「先生は、まあが北海道に引越すって知ってるんですか!」
金八は一瞬目を見張ると、小さく頷きながら目の前の椅子を指差して、雅に座るよう促がした。

「やっぱり先生も知ってるんだ… あーもう!
わたしは知らないのに梨沙子も佐紀も知ってたんだよ!
ほんとショック… よりによって佐紀まで知ってるなんてさ」

雅は頭の中で思っていた不満を一息に捲し立てた。

「そうか…佐紀も知ってたか 徳永と菅谷以外は知らないはずなんだけどなあ」

「ちなみも知ってんの…」

何気なく明かされた新たな事実に
雅は首をうな垂れ、力なく椅子に腰を下ろした。

56 :『かくしごと 〜それぞれの想い〜』 :2006/09/20(水) 23:26:38 ID:lwz1pI050

「何で話してくれなかったんだろ まあ」

雅はうな垂れて両腕のギブスを見つめた。
左腕のギブスに茉麻が書いてくれた『みや ファイト!』の文字が酷く軽薄に感じた。

「須藤は悩んでるんだよ 北海道に行くか 一人で東京に残るか」

「そうなんだ まだ分からないんだ行くか行かないか」

そう言って考え込んでいる雅の顔をチラッと見た金八は、
ほんの少し残ったお茶を飲み干すと訊ねた。

「もし須藤がこのことを夏焼に相談したら、君はどうする?」

雅はうな垂れていた顔を上げて金八を見つめた。

57 :『かくしごと 〜それぞれの想い〜』 :2006/09/20(水) 23:29:02 ID:lwz1pI050
優しそうないつもの顔の中に、目だけが威圧的に自分を見つめていた。
雅は思わず顔を逸らす様に俯くと、金八の問いを真剣に考えた。

「やっぱり『東京に残れ!』って言うかな だってまあには矢島がいるし…  あっ!」

俯いていた顔を上げると、慌てて金八に訊ねた。

「矢島!あいつ知ってるの?まあが北海道に行っちゃうかもしれないこと」

「ん? うーん」

金八は雅から視線を逸らすと、肩を竦めて戯けてみせた。
「先生ふざけないでよ!矢島は知ってるの! ねえ答えてよ!」
金八は、ゆっくりと立ち上がると、雅に背を向けた。
そして腕を後ろ手に組むと窓の外を覗き込み、すっかり暗くなった校庭を見つめた。

「矢島は知っているよ」

「そっか… 知ってるんだあいつ」

「うん…でもな  須藤は矢島が知っている事を知らないんだ」

雅は少し混乱した頭の中で、金八の言葉を繰り返していた。

  須藤は矢島が知っている事を知らない

  まあは矢島が知っていることを知らない

  矢島が知っていることをまあは知らない

何度考えても、何度繰り返しても見えてこない言葉の意味に
雅は縋るように左腕のギブスの文字を見つめていた。

58 :ねぇ、名乗って:2006/09/20(水) 23:44:13 ID:lwz1pI050

久々に更新!Google Earthで世界中旅してましたw
梨作家さんとんでもなく長くなってゴメン…まだ終わらないみたい
続き出来てたら是非お願いします
ミヤビイワナさんも待ってますよお

>>54
アイディアは気紛れですよね
その内いい案が『ポッ』と沸いて出てくると思いますよ

59 :ねえ、名乗って:2006/09/21(木) 00:30:41 ID:RptPmnNs0
>>58
更新乙です!現在迷走中の梨作家れす!
取り敢えず煮詰まっちゃってるんで皆さんの作品が出揃ったとこで書きたいとゆいたい!
教室内のワンシュチュエイションのみで書くの難しいよね?
ヲレもすげぇわかるw でも「かくしごと」はストーリーのターニングポイントになりそう!
頑張ってください!
>>54
気楽に書いてると案外スラスラいくもんだよ!
がんがれ!すっごい期待してるからwww

イワナさんもお仕事など大変でしょうが無理せず気軽に行きましょ^ ^

60 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 18:41:58 ID:LFpFObOP0
カンタービレ(ごしきひわ)
〜SIDE Maiha〜

*「ごしきひわ」とは小鳥の鳴き声を模した音楽が三つの楽章を通して聴こえてくる曲
  Aヴィヴァルディ(イタリア)1678−1741作曲

石村舞波 14歳  友理奈と別れた後、生きる希望を亡くしていたが、叔母の救いにより北海道へ
          旅立つ。

石井リカ 25歳  舞波の叔母さん.東京のコンピュータシステム開発会社で
          システムエンジニアとして勤務。
          現在北海道千歳市で長期出張で勤務している。


「ふるさと」


舞波は支笏湖から街へ帰るバスの中で支笏湖で目に入った光の集まりをぼんやり
頭の中で思いかえしていた。それにしても北海道の地名は聞き慣れない異国を
思い起こす言葉が多い、例えば支笏湖に連なった山の名前に「風不死岳(ふっぷしだけ)」という
言葉があった。横にいるリカは窓の景色を眺めていた。

61 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 18:45:36 ID:LFpFObOP0
「リカちゃん」
リカは舞波に向き合った。
「なに?」
「北海道の地名って聞き慣れない言葉が多いのは何か理由があるの?」
リカは少し考えて舞波が何を聞きたいのかを考えた。
「それはアイヌ語の名残からね。」
「アイヌ語・・・」

舞波はかつてアイヌと言う言葉をどこかで聞いたことがあると思った、しかしそれほど
印象に残ることではないし、学校の授業でもテストにも出ていないと思った。
リカは舞波の横顔を見ながら少し考えた。
「昨日の今日で少し無理をさせたかな。」
リカは東京で久しぶりに舞波を見た時からなるべく深く考えないように
気にかけないようにしてきた事があった、それは舞波の「容姿」だった。
舞波は明らかに血色が悪い顔をしていた、睡眠障害があるのか目の回りは「くま」で
暗い瞳である、かつての彼女を知る者には心配しなではいられなかった。
顔はやせ細りかつて彼女の最大の特徴であった大きなエクボは顔をつなぐ部品でしか
なかった。
腕を見ればただ細いだけの「絶望」を抱えているようである。
そのためリカは舞波の容姿について考えるのをやめようとした。
今日はその細い体で一杯歩かせてしまった、少し後悔したと同時に外を歩けば
様々の情報にも触れる、良くも悪くも。

「今の舞波にアイヌの歴史を受け止められるのだろうか?」

バスは街に着いた、あたりはすっかり暗くなり北国での秋の夜長が始まった。

62 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 18:47:02 ID:LFpFObOP0
部屋に着いた二人は疲れたのか、二人でソファーに横になった。
少し休みリカは立ち上がり冷蔵庫から牛乳を出して舞波に飲ませた。

舞波は好き嫌いがなかった、牛乳をおいしそうに飲み、口元を手で拭っていた。
そのあどけない姿を見てリカは、とにかく今は舞波の体力を回復することだけを
考えようと思った。「夜は新ジャガでシチューを作ろう。」
まだまだこの一週間は油や消化の悪い物は避けようと考える。

「リカちゃん私にも作らせて。」舞波は自分の意志を伝えた。
リカは舞波に背中を見せながら立ち上がり、全身から力が沸き上がる思いを感じた。

昨日教えたことを舞波にやってもらうことにした。ジャガイモの皮を皮むき機で
ブラッシングするように皮を剥いた。その後一口大に切った。
舞波にとってはとても楽しい仕事である。「私にも料理ができるんだ」
自分自身が驚いていた。それと同時にわずかな自信が心に芽生えた。

舞波の細い指がジャガイモをつまむ姿を見てリカは思う、「この子は器用だ。」

「やはり私と同じ血が流れている。」

間接的に自分を真顔で誉めた。

約1時間後食卓にシチューと食パンが置かれた。舞波は小さい口に何度も
シチューを運んだ。リカはたくさん歩かせたのは少し後悔していたが思わぬ舞波の
食欲を見て満足していた。食事の間、舞波は朝見たサケの事をリカに話した、リカは

「それならサケのふるさと館に行ってみたら。」

63 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 18:48:22 ID:LFpFObOP0
リカからもらった観光ガイドに水族館が載っていたのを舞波は思い出した。
「それから私、明日から家で仕事するから、舞波は好きなようにして。」
リカは近くのビール工場のクオリティーコントロール(品質管理)システムの
エンジニアだった。派遣で仕事をするため現場ではシステムの導入とメンテナンスを
手がける、そのため現在は現場の調整が終わりクリティカルパス(作業工程)の
設計をしていた。現場に事務所はないので会社が借りるこのマンションで仕事を
するのだった。
舞波は明日サケのふるさと館に行こうと決めた。

二人とも疲れたのか食事の後かたづけをしてシャワーを浴び2200には深い
眠りについた。


0600頃、リビングで食器の触れる音で舞波は目を覚ました。舞波はすぐに起きあがった。
リビングに出るとリカが昨日のシチューを温めていた。

「ごめん起こした。」リカは舞波が早く起きてきたのに少しびっくりした。

「ううん、早く起きたかったの。」舞波は顔を洗いに行った。

「少し目のくまが薄くなった。」リカはうれしそうに舞波に飲ませる牛乳を用意した。

予定通り二人とも別々の行動を取った、リカは内心心配だった。

自殺をした娘を一人でふらふらさせていいのか?
首をふり「サケと川にまかせるしかない。」そう呟くと目の前の
パソコンに指を滑らせた。

64 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 18:50:02 ID:LFpFObOP0
舞波は歩いて目的の水族館に行くことにした。人通りの多い大きな道路をただひたすら
真っ直ぐ歩く冒険のような気分だったがあっけなくたどり着いた。30分くらいの
道のりだった。

敷地の入り口は大きな駐車場から始まり時計台を中心におみやげ売り場、遊具と砂場
がある大きな公園、千歳川に注ぐ小川に沿ってたくさんのウッドチェアーとテーブル。
林に覆われたスペースだった。小川を歩くと千歳川にかかる橋が見えた、観光ガイドに
載っていた「インディアン水車」が見えた。まだサケを捕獲していないが直径5mも
ありそうな鉄で出来た水車だ。水車の下がちょうどサケの遡上の通り道になり
サケをすくいあげて捕獲する仕組みだった。橋の下は少し段差のあるコンクリートの
障害をサケが登って行く様が良く見える。

「なんて数なの。」

舞波は驚嘆した、川の中には無数のサケが泳ぐ姿が見えた。

65 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 18:58:04 ID:LFpFObOP0
外で風景を楽しんでいる間に開館の時間になった。受付で入館料を払い自動扉を抜けると
大きな熊の剥製が見えた、その近くに2mくらい大きな魚の剥製がありの口には
獰猛そうな歯が露出していた。「千歳川にいるの?」すぐ下に「キングサーモン」と
書かれて「アラスカ産」とも書いてあった。
傾斜のついた廊下を歩くと大きな水槽がそびえていた、高さが10mもありそうな大きな
水槽だった。水槽の中には大きな様々な魚が泳いでいた。その他にも小さな水槽に色々な
種類の魚がいた。
日本では絶滅を危惧される「イトウ」という大きな魚が水槽の中を悠然と泳いでいる。
支笏湖に生息している魚で「チップ」と言われる魚もいた。この「チップ」はヒメマス
と呼ばれ、もともとは内地から連れて来られたらしい、20cmくらいの食用の小さな
魚である。北海道にしか生息しない天然記念物の「オショロコマ」という魚もいた。
その横の水槽には北海道でも然別湖という道東の湖に生息する「ミヤベイワナ」がいた。
一通り魚を見て舞波は「水中観測室」に行った。水中観測室とはその名の通り川の中に
大きな窓をつけてまさに川の中を見せる施設である。目の前に広がる川底ではサケが
そこいらにたむろしていた。

「ここは街の中だよね?」舞波はあまりにも見せつけられる生物の豊富さに呆れた。

66 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 19:00:32 ID:LFpFObOP0
水中観測室を出て先ほどの順路を逆に帰って行く、なぜなら先ほど通り過ぎた場所に
サケの映像を見せる映写室があって決まった時間に映像を見せるからだ、もうすぐ
放映時間だ。

大きなスクリーンにサケの一生が約10分くらいの映像で紹介される。
サケは川で卵からふ化して成魚になり海を旅して4年かけて成長して生まれた川に
戻るという生態を持っていることが説明された。生まれた川に戻ったサケは卵を
産卵すると長い旅の疲れでそのまま死んでいく事も説明された。
最後に疲れ果て息絶えるサケの姿を見て舞波は切なくなった。

67 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 19:01:51 ID:LFpFObOP0
舞波は「サケのふるさと館」を出てもう一度インディアン水車の橋に行き眼下の
サケを見下ろした。

サケを見下ろしながら呟いた。

「ふるさとに帰ってきてもお母さんに会えないんだね。」

眼下の野生は人間の感傷などおかまいなしに命を狂おしく燃やしていた。

68 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 20:48:16 ID:LFpFObOP0
かくしごと〜更新乙です。
いや〜教室で先生との会話、昔あったようなないような、懐かしさ。
ゆっくりいきまっしょい。
ところでGoogle Earthでメタセコイアのモデルデータをコントロール
させる世界で唯一なのカナ☆とにかくいじる人と仕事してます。
師匠でもあります。自分はよくGoogle Earthはいじれませんが、今
Google Earthは大更新されてるらしいですね。
>>54
GYAOだっけ?見てたとき松浦彩がごっつあんにハロプロで尊敬する
人は?で、尊敬じゃないけど「小春ちゃん」がすごいと言っていた。
藤本美貴が遠慮なしで小春ちゃんに指導しても小春ちゃんはいつも
笑っていたそうで、ミキティは末っ子だから?小さい娘にやさしく
接すことができないで普通の娘は言われたら泣いてしまうが言われ
ても泣くことなく笑って過ごしたらしい。そんな小春ちゃんを
あややが誉めていた。あの娘はそう言う個性カナ☆。
>>59
3日仕事場で監禁されていました。寝不足です。
ハイテンションな上司、変態な先輩、寿命を少しずつ減らして
くれる後輩、みんな大好き。
寝不足でも空いた時間で書きました。
それではもう一つ。



69 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 20:51:19 ID:LFpFObOP0
カンタービレ(ごしきひわ)
〜SIDE Maiha〜

*「ごしきひわ」とは小鳥の鳴き声を模した音楽が三つの楽章を通して聴こえてくる曲
  Aヴィヴァルディ(イタリア)1678−1741作曲

石村舞波 14歳  友理奈と別れた後、生きる希望を亡くしていたが、叔母の救いにより北海道へ
          旅立つ。

石井リカ 25歳  舞波の叔母さん。東京のコンピュータシステム開発会社で
          システムエンジニアとして勤務。
          現在北海道千歳市で長期出張で勤務している。

「美しすぎる女(ひと)」

舞波が北海道に来て2週間が過ぎた。その間舞波は毎日千歳川をリカが舞波のためにレンタルしたカゴが
ついたシルバーに黒いサドルとハンドルの頑丈そうな自転車で散策した。
支笏湖を源流とした千歳川は千歳の町を流れ遠く日本海の石狩湾にそそぐ。
千歳川に沿ってきれいなサイクリングロードがあった、山の裾を通る様に作られ散歩する
老人や釣り人、小さい子供を遊ばせる主婦等でにぎわっている。
11月の中盤に入り紅葉も最後の挨拶をするように色を薄して枯れ葉を風と「ダンス」
をさせていた。

70 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 20:52:47 ID:LFpFObOP0
舞波は急激に寒さを増した最近、リカと千歳空港の近くにある「アウトレットモール」なる
ショッピング街で防寒用のウィンドブレーカとトレッキングシューズという山歩き用の防寒靴を
買った。
まだ雪も氷もないがその靴底には折りたたみ式の「スパイク」がつけられている。
そのスパイクを早く使えないかと舞波は、まだ見ぬ雪景色を想った。
舞波はこのサイクリングコースで一番のお気に入りの場所にたどり着いた。
そこは水の落ち込みが小さな滝の様になっていて、落ち込んだ水は白い泡を
放ち散っていく。散った場所は深場なのか支笏湖で見た「蒼い水」に近かった。
その場所には小さな「水門」があった。川の反対側にある湿地帯に水を供給する
ためである。「蒼い水」がたむろする周辺景色は実に素晴らしかった、
川そのものが林に包まれていた、紅葉が凛としてたたずむ風景である。
カメラの三脚を立てた年配の男性が風景写真を熱心に撮っていた。
舞波は水門を形成するコンクリートの地面に座り込み景色を楽しんだ、
川のせせらぎの音に耳をすませるとなぜか眠気をさそう、「ホワイトノイズ」
効果を感じていた。
「これは音楽なのかな?」
ぼんやり舞波は考えていた。

71 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 20:53:52 ID:LFpFObOP0
目の前に「ドボン」と大きな石が落ちる音がした。
舞波は心臓が止まるかと思うほど驚いた。

きっと誰かがいたずらで石を投げ込んだと思い周りを見渡したが小さな子供を散歩
させる主婦と100m程離れたところで三脚を立て紅葉の写真を熱心に撮っている
年配の男性しか居なかった。

視線を川に戻した瞬間、水面を滑るように飛ぶ白と灰色が混ざった物体が見えた、
水面に落ちると先ほどの「ドボン」という音が鳴り響いた。

「サケだったんだ・・。」

舞波は改めてサケの躍動に敬意を感じた。

72 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 20:54:52 ID:LFpFObOP0
舞波はちょくちょく図書館に行くようになった。図書館は小高い山の上にあった。
かなり長くきつい坂を自転車を押して通った。市立図書館はかなり広く1階は本と
DVDを個人で鑑賞できるブースもある。2階はパソコン用の電源がついた
机が連なるブースが広がると共にちょっとしたレクレーションができる
ホールがあった。12月のイベントはピアノ講師による「ピアノコンサート」と
「遺族会」という団体で運営される「自殺を防ぐ」という講演会だった。

舞波は千歳市民ではないので本を借りる事は出来ないが机に座り自分の興味の
対象について大きめのウェストポーチに入れている小さなノートに書き込んだ。

73 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 20:58:01 ID:LFpFObOP0
現在調べている事は「アイヌ民族」であった。難しい言葉が一杯あり北海道の地理も
難儀であったが、同じ対象については関連する図書が多数本棚に収まっているので
調べるには困らなかった。
この図書館に初めて来たとき最初に読んだ本は千歳市の環境保全団体が作った
「千歳川」と言う本だった。その本には千歳川を中心とした千歳市の歴史、農産業に
至るまで網羅された「郷土史」だった。その本の端々には「アイヌ民族」が描かれて
いた。舞波が一番好きな話の中に現在の市街よりまだ千歳川の上流に幼少の
頃住んでいた現在は市内在住の年輩女性の話があった。
昔の人たちはアイヌの人々と共存していた暮らしがあったそうだ、
千歳に生きる人々は生活用水が不自由しない川の側に生活していたそうだ。
川の側にいれば水には困らず船を造れば遠くまで往来が可能だった。
その当時アイヌの人々は千歳川を「神の口」と呼びゴミを捨てたり川で直接衣服を
洗ったりする事を忌み嫌った。
川の上流に住む人間は下流で水を使う者に配慮して川に接せなければならないとの
教えだった。家から離れた川から水を汲み風呂に入れてまきを使って風呂を沸かす時
暗い風呂場でぴちゃぴちゃ水がはねる音が聞こえ風呂釜を見ると「山女(ヤマメ)」と
言う川魚がはねていた、水を汲むバケツに入ったのだろう。

74 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 20:59:25 ID:LFpFObOP0
舞波はこの昔話がとても好きだった。舞波は目をつぶって笑顔でその情景を想像
出来るのだった、不思議と「はねる音」すらも。
舞波はアイヌ民族の事を調べているうちに自分がなんと楽天家なのか思わざる得なかった。
別に舞波は楽天家でもないしアイヌ民族の持つ川を神の口と崇める「森羅万象」を
清憐な事だと憧れまで持っていた。
アイヌ民族は和人と呼ばれる本州に住む、つまり「日本人」に住処を
占領されていったのだ。江戸時代に和人と戦う誇り高き戦士達もいたが和人からの
和睦に応じ約束の場所に行けば騙されて毒殺された。
江戸時代が終わり明治維新にともない北海道は日本人により開拓されていった。
アイヌ民族は排他される、「無防備な麗人」だった。
舞波は考えていた、学校と言う小さな社会で様々な利害が募り人間関係ができて
小さな世界で「排他」と言う行為が行われる所以に「自己保存」の防衛が
働いていることが。難しくは分からないがアイヌ民族の悲しみは麗人であるが故の
「運命」だったのだろうか。
舞波は少し学校と言う小さな社会を思い返していた。
忘れるはずの学校を。

75 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 21:05:14 ID:LFpFObOP0
舞波は他にリカからもらったガイドブックに載っていたある写真が気になっていた。
それは白黒の写真で舞波が生まれる前の「昭和」という時代に生きた女性の写真。
千歳から40kmくらい離れた「長沼町」と言う町の出身で作家の「辻村もと子」で
あった。

辻村もと子の父、直四郎は明治時代、内地から長沼に開拓を志した人であった。
岩見沢・志文で開拓を成功させた。「志文」とは遠く内地から離れたこの地であるが
内地の英才に劣らぬ勉学者を出せるほどの土地を志し、「文学を志す」と言う意味で
つけられた。その娘が「辻村もと子」であった。
作家を志して上京したもと子は、父の開拓日誌をモチーフした「馬追(マオイ)原野」と言う
開拓者の物語を書き、昭和十九年、第一回樋口一葉賞を受賞した。戦後、志文に帰り、二十一年、
四十歳で病死によってこの世を去った。
写真の「辻村もと子」は髪を後ろで結びメガネをかけ美しく微笑んでいた。
和服を着たまさに「才女」であった。

「こんなに美しい女(ひと)でもいつかは死ぬのね。」

76 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 21:07:26 ID:LFpFObOP0
舞波は「馬追(マオイ)原野」をむさぼるように読んだ、未踏の原野に挑む
「開拓者(挑戦者)」達の物語は人の強さと弱さが交差して砂塵を巻き上げながら
大地を駆け抜けていく「土の臭い」を放っていた。物語の最後に挫折した少女の
「悲運」をさらけだし命をすてる描写でしめくくられた。
舞波はこの少女と自分を心の中で、「川底にて命を狂おしく燃やすサケ」に描写して
物語の少女を追悼した。
舞波は急に人恋しく心細くなった。
「自分がまたどうにかなったらどうしよう。」
机に並べた本を急いで本棚になおして図書室を出て行った、その間いつも目の
「端に」に入る本棚があった。「進学・資格・就職」関連の本棚だった。
いつも避けているが今は本当に見たくなかった。
「逃げている。」
舞波は現状を受け止めていた。受け止めないで生きると決めたのに。

77 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 21:14:56 ID:LFpFObOP0
まだ14時を過ぎたばかりだった自転車を走らせマンションに帰宅した。
リカは今週一杯夕方まで工場のシステム導入の調整をしに出勤していた。
帰宅していないはずだがそれでも人のぬくもりを感じたかった。
「おー舞波、もう帰ってきたのか。」
リカは機嫌良さそうにしてソファーでくつろいでいた。
舞波は安堵した。
「舞波サイクリング行こうか。」
思ったより早く仕事が終わったリカは最後の紅葉を楽しむため舞波を誘った。
リカは紺色のスーツを脱ぎ、色が所々抜けたジーンズと白いハイネックセータに
デニムのジャンパーを羽織った。頭には灰色のニット帽をかぶる。
リカは舞波の自転車の後ろを走り後ろ姿を見つめていた。毎日自転車に
乗って散策する舞波の脚は力強くなっていた、腕も健康な強い腕に見違えるように
変わっていた。そして何より目の回りの「くま」がなくなり存在するのを思い出した
様に彼女の「エクボ」が現れた。
「力強くなった。」

78 :ミヤビイワナ:2006/09/21(木) 21:17:12 ID:LFpFObOP0
東京から引き連れてくる夜を思い出した、もう思い出してもいい、彼女はもうここに
いるから。
リカは自転車を走らせながら川に向かって呟いた。
「水が違うのよ! みずがっ!」
二人は舞波のお気に入りの「水門」までやってきた。あたりに白い小さな虫が数匹飛んでいた。
北海道の雪が降る前に現れる雪のように見えるため「雪虫」と呼ばれる風物詩だ。
舞波はいつも通りコンクリートに座り込んだ。リカはジーンズの後ろポケットから
小さな銀色の固まりを抜き出した。
「ブルースハープ」、ハーモニカだ。
リカは真っ直ぐ立ち目を閉じて吹き出した。
「あかとんぼ」だった。
その懐かしい童謡は舞波の心細さを静かに和ませた。
吹き終わり、続いて・・・
「ふるさと」
リカの顔に秋の終わりらしい弱い夕日が照らされた、周りには音に誘われ
雪虫が舞っていた。散歩をしていた老人や子供に厚着をさせ散歩をしている主婦も
足を止めてリカの「童謡」を聴いていた。
夕日を浴び目を閉じハーモニカを吹く「叔母」の顔を見つめて舞波は、
「美しい女(ひと)だ。」と感じた。
帰りはリカが先頭で自転車を走らせた、後ろから舞波は伸ばし放しの髪に向かいこう言った。
「リカちゃんて美人だよね。」
リカは振り向き、
「当たり前でしょアンタの叔母さんなんだから。」
言いながら鼻をふくらませて笑っていた。

79 :梨作家:2006/09/22(金) 00:29:21 ID:izuQQKeWO
更新乙です!
ミヤビイワナさん気を悪くしたらスイマセン
最初にイワナさんの文章を拝見したときの率直な感想は『冷たい文章だな・・・』でした
だが違いました所々に散りばめられた舞波の心理描写
これは「熱」だなと・・・ヲレのように暑苦しい「熱」でなく大きくはないけどしっかり燃えている「熱」でした
いやぁ凄い作家さんがやって来たもんだなと・・・
それがいまの感想ですorz
ヲレも負けてらんねぇなぁ

80 :ねぇ、名乗って:2006/09/22(金) 01:05:17 ID:izuQQKeWO
かくしごと〜終わったら体育祭でも書こうかなぁ

81 :ミヤビイワナ:2006/09/22(金) 17:40:50 ID:hMWyS8AH0
>>79
ありがとうございます。
気を悪くなどしませんよ、思いっきり冷たく書きましたから。
自殺までした友理奈と別れた舞波の心を考えたら冷たくなるしか
なかったです。
実はもうメインテーマを書き終えて、エピローグを書くだけに
なってしまいました。
書き終えるのがすごく寂しいですが舞波を作家さんにお返して
友理奈との「クロスロード」に立たせたいと思います。
この作品が終わったら何をしようカナ☆
体育祭、どきどき☆ですね、楽しみ〜

82 :ねぇ、名乗って:2006/09/22(金) 18:26:32 ID:QkVZzABmO
>>80
更新乙です。「かくしごと」の結末も楽しみですが、体育祭も面白そうですね。やはり学校行事の代表格の一つみたいのものですからね、期待してます。

>>78
更新乙です。しばらく更新がなかったと思ったら、一気にきましたね。しかし、梨作家さんも書いてますが、すごい人が来たものです。自分の駄作などとても晒す気になれず・・・。


皆さんすごい人ばかりなのでハードルがひじょ〜〜〜に高いんですけど・・・昨日は全然書けませんでしたが、今日から職場で休憩時間にでも書こうと思います。
それから、揚げる前に・・・まず小春に重い過去を背負わせることになりますし、また展開上美貴様が非常に重要な役割を持ちますが、推しの方にはあるいは不快に感じるかもしれません。予めお断りしておきます。なお、謝罪ならいくらでも応じますが、賠償はご勘弁を・・・。

83 :ミヤビイワナ:2006/09/22(金) 19:50:49 ID:hMWyS8AH0
>>82
ありがとうございます。
文章が書けるのは一重に書ける「場所」がある事です。
梨作家さんをはじめ様々な作家さん達が築き上げ、それを支えた
読者たちの「青春浪漫」に無料(タダ)で乗かっているだけのイワナです。
「ハードル」は越えるためにあります、「飛び込む」だけです。
作家達と読者が必ず支えます。
イワナもそうだったたから。
今をぶつけてみましょう、自分も頑張るから。
あなたの作品を読めるのを本当に楽しみに待っています。
「自分をブチ破れ〜!!」

84 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:00:57 ID:2xslzlq90
カンタービレ(ごしきひわ)
〜SIDE Maiha〜

*「ごしきひわ」とは小鳥の鳴き声を模した音楽が三つの楽章を通して聴こえてくる曲
  Aヴィヴァルディ(イタリア)1678−1741作曲

石村舞波 14歳  友理奈と別れた後、生きる希望を亡くしていたが、叔母の救いにより北海道へ
          旅立つ。

石井リカ 25歳  舞波の叔母さん。東京のコンピュータシステム開発会社で
          システムエンジニアとして勤務。
          現在北海道千歳市で長期出張で勤務している。

「カンタービレ」

12月に入った。
すっかり枯れ葉を散らした木々は長い冬に身を構えている様だ。
舞波はバスで図書館に通っている、まだ雪は積もっていなかったが、もういつ降ってもおかしくない
様相だった。昼を過ぎて1500を迎える頃には図書館に学生がたくさん集まる。
談笑している者もいたし、一人で受験勉強する者もいた。受験生にとって12月は
気の抜けない大事な受験準備の時間である。こと最近は受験生達が本腰を入れて勉強しに図書館に
来ていた。机でペンを動かす学生達の息使いが舞波を悩ませた。

85 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:02:37 ID:2xslzlq90
明らかに同じ年頃の人間と違う生き方をしている自分がいたたまれない。
舞波は初めてこの図書館に訪れた時から気になっていた本棚に目をやった。
「進学・資格・就職」関連の本棚だった。舞波は諦めていた「未来」を少しづつ考えていた、このままで
暮らせるわけがないと本当は分かっている。

「いつまでも避けられない。」

舞波はとうとう決心した、目を真っ直ぐ向け本棚に歩いていった。
いろいろな種類の本があって迷っていたが「資格受験」の厚い本を取ってテーブルに戻る。
様々な資格。
聞いたことがある資格や全く知らない資格の名前を読むだけでも大変な作業だった。今回図書館に
通い様々の情報を知り、「物語」もたくさん読んだ。
改めて舞波は世の中には自分の「知らない事」がたくさんあると分かったと同時に分かっただけでは
役に立たないことも知った。
舞波の同級生達は高校への進学が主であり、資格を取って就職をするなどとは考えていないだろう。
リカがパソコンに向かって働く姿が頭に思い浮かんだ。
舞波は命懸けで将来と向き合う決心をすると同時に自分が触れた「自然」の素晴らしさをすべての
人に伝えたいと本気で願っていた。
「旅行」と言う単語が目に入った、
「旅行が仕事?」
舞波が釘付けになった資格
「ツアーコンダクター」だった。
旅行をプロデュースする仕事である。

86 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:04:09 ID:2xslzlq90
受験資格を読み舞波は目をふせた。「年齢18歳以上」と言うことにである。
彼女は14歳である、社会で働くと言うことがまだまだ早すぎるのだ。
舞波は遠い未来を待たなくてはならないと落胆したがやはり学校に行くしかないと改めて確認した。
「青より蒼い」水や「眼下の野生」をただの憧れに終わらせたくなかった。
舞波は今日一つの覚悟をしていた、それはこの図書館で行われる自殺者の遺族会で
行われる「自殺防止」の講演会だった。
舞波は二度と自殺などしない強い心を念じた、しかし時折襲う心細さを「恐怖」と
して感じていた。美しい物を見て知れば知るほど怖かった。いつ心の焦燥にかられ
心が爆発するのか分からなかった。「美しい級友」を知ってから。
少しでも過去の過ちを償いたかった、死を選ぶことで傷つけた人たちに。
講演会が始まる前に小さな音楽会が始まった。ピアノ講師の女性によるピアノ
演奏会だった。プログラムが100人ほどが入る小さなホールの入り口に置いてあった。
舞波は手に取ったが見ることもなくウェストポーチにしまって後ろの席についた。
舞波は講演会が始まるのを緊張していた。

87 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:05:25 ID:2xslzlq90
演奏者の女性が現れた、舞波より少し身長が高そうな小柄な50代前半のような
年齢に見えた。全体的にふっくらしたイメージで首が隠れるくらいのショーット
ヘアーに細い銀色のメガネをかけて黒いスーツを着ていた。
彼女は客席に向かい静かに礼をしてピアノに座った。
ピアノとは木で出来た「アコースティックピアノ」ではなかった、
横に1m2〜30cmくらいの大きさの電気スピーカーから音がでる鍵盤
「キーボード」だった。キーボードの正面には「YAMAHA」と「DX−7」
と書かれていた。
「G線のアリア」が演奏された。
舞波はこの曲を聴いた、ある場所を思い出した、「友理奈の部屋」を。
舞波は今だけは思い出してもいいと「友理奈のG線のアリア」に聞き入った。
演奏が終わり、譜面をめくりまた静かに曲が始まった。
「グリーン スリーブス」
夕焼けを思わすような静か曲だった。
曲が終わりまた彼女は譜面をめくり弾き始めた。
とても早い曲調で指の「タッチ」が強い曲。
「ハンガリー行進曲」
舞波はその速い曲調に勝手な妄想をふくらませた、開拓者が道を切り開くため
疾走している様を、腕にはみなぎる力を見せつけて1秒でも無駄にしたくない
思いで疾走する姿を。
曲が終わり強い拍手が鳴り響いた。
最後の曲はテンポのゆっくりとした
「カンタービレ」
暗闇に襲われたなら道しるべの小さな灯りになってくれそうな優しい曲だった。
曲が終わり彼女は席を立ち客席に礼をした。
拍手の波がわき起こった。

88 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:06:41 ID:2xslzlq90
演奏会が終わり観客は小さなホールをにこやかに去って行った。入れ替わり20人
程度の人が入ってきた。スーツを着た中年男性と女性、学生服を着た男女。
明らかに教育関係の人たちだった。ジャージ姿の中学生は舞波以外に
見あたらなかった。
講演会が始まった。
最初に講演するのは医療カウンセラーでスーツを着た20代のきれいな女性だった。
自殺に至るプロセスに「うつ病」があると話は始まった。
うつ病とは心の病で何に対しても興味が無くなり感情の起伏が激しくなる。
自分の変化には気づかず周囲の人間が自分に悪意を抱いている妄想がわきおこり、
暴力的になる経緯を説明していた。
うつ病になりやすい人の心の特徴を言うと「まじめで責任感」が強い人が挙げられた。
問題に直面した時に上手くストレスコントロールが出来ない人が自殺に至るとも
語った。それまで好きだったことや物事に関心が持てなくなることに対して嘆く
「負の連鎖」が生じてしまうと語った。
対処としては少々のストレスは人それぞれ持っているのでくよくよしないことだと
締めくくった。
拍手を受けながらカウンセラーは席に戻った。
舞波は自殺のプロセスは分かったが虚しかった。
「くよくよしないで居られるなら誰も自殺などしないよ。」
続いて紹介されたのは昨年、息子を自殺で失った母親の講演である。
黒いスーツの女性。
先ほどのピアノ講師の彼女だった。

89 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:19:52 ID:2xslzlq90
「私の息子は25歳の若さで自殺でこの世を去りました。」
息子は酪農関係の会社に勤めていて、昨今の「乳製品」の事故とあわせて牛乳の需要
不足で酪農家に取引停止と貸付金取り立ての一方的な契約反古の担当になった。
当初は割り切って仕事をしていたがある事件がきっかけで息子は変わった。
貸付金の取り立てをしていた若い酪農家が幼い赤ん坊と妻を連れ自分の牛舎を手放し
泣く泣く酪農をやめた日から。
若い酪農家は北海道に夢を見てがんばって来た、納品の契約担当だった息子と
未来を作ろう誓い合った。
仲間だと思った息子に騙された思いで恨み辛みをすべて息子にぶつけて消息を絶った。
息子は母親の前では平然としていたが3ヶ月程同じ仕事を続けている内に不眠症になり
仕事が全くおぼつかなくなった。6ヶ月後、主が居なくなった工場後で紐を
くくりつけた息子が居た。なにも言わずこの世を去った。
女性は息を大きく吸い、
「これが現実です。」
舞波は「現実」と言う言葉が良く理解出来た。友理奈の部屋を襲った石が
彼女の美しい顔を血に染めたことをわざと思い返していた。
舞波の心の傾斜が「負」に傾きかけそうだった。
女性の話が続けられた。

90 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:23:25 ID:2xslzlq90
誰も息子が死ぬなんて考えられなかった、会社の同僚も息子に元気がなかったのは
分かるがどうにもしてやれなかったと息子のため泣いくれた。
私も何もしてやれなかった。だから今息子の思いを誰かに伝えたい。
仲間を裏切る辛さを伝えたい。
伝える事によって未来を変えたい。
「人は未来によって過去を変えられる。」
舞波は思わず顔を上げた。
壇上の彼女は舞波に目をあわせていた。
「今をより良く生きることで過去の思いを変えられると信じています。」
正面に目線をなおして、最後に彼女は締めくくった、
「わたしはあきらめない。」
拍手の中、彼女は席に戻った。
講演の終了が伝えられた。参加者達が立ち去ったあと舞波も立ち上がり出口に
振り向いた。リカが仕事帰りで紺色のスーツを着て立っていた。
「オッス」
珍しくスカートだった。
今日この講演会に参加して帰宅が遅くなるとリカにはあらかじめ伝えていたのだった。
リカは舞波に任せようと思っていたが今回だけは心配でしょうがなかった。1800に
現地調整を終えタクシーでここまで来た。
リカは微笑みながら舞波に近づき舞波の肩を抱いて、
「一緒に帰ろう。」
と言った。
バスで帰宅の途についたのは2030を過ぎた。

91 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:25:02 ID:2xslzlq90
舞波は図書館に出かける前に食事の用意をしていた。みそ汁を作っておき、電子炊飯器
はタイマーで1900過ぎに炊ける様セットしていた。
舞波は好きな「新ジャガ」でポテトサラダを作っておきスーパーで「ザンギ(北海道は
唐揚げの事をザンギと呼ぶ)」を買っておいた。確実に料理の腕を上げていた。
食事の用意はすぐに終わったが舞波はテーブルを挟みリカに語り始めた。
学校で「排他」されていたこと、級友に優しくしてもらったこと。
優しくされることで級友に迷惑をかけたこと。
そして何もかも嫌になって「自殺」したこと。
リカは黙って聞いていたが目を優しく大きく見開き、口元には笑みを残していた。
「私本当は学校で意地悪する人達を最初から見下していたのかも知れない。」
「自分にも責任があるのかもと最近思うの。」
「本音を言えば意地悪されたりするのは怖くないの、好きでもない人に何を言われようと
構わないの。」
「・・・・だけど本当に一人ぼっちになるのが本当に怖いの。」
リカの優しく見開いた目から長い線を描いて涙がこぼれていた、もうぼんやりとしか
舞波の顔が見えない。
舞波は友理奈を思い出していた。
「どんなに強がっても一人はさみしいの、友理奈と笑ったら楽しいの。」
リカはたまらず舞波に近づき抱きしめた、舞波はもう涸れ果てたと思った涙が
あふれ出した。涙はリカの白いハイネックセータに吸い込まれて行った。

92 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:27:41 ID:2xslzlq90
抱きしめたままリカは舞波に言った。
「あんなに辛いお母さんだってあきらめないって言ったよ。」
「今から過去を変えるのよ。」
舞波は顔を上げた。
「人は未来によって過去を変えられるって言っていたよ。」
リカはやさしく舞波を抱きしめた。
静かな時間が過ぎた・・・・。
二人は落ち着きを取り戻し、リカは涙を拭きながら舞波に聞いた。
「私あのお母さんのキーボード演奏、最後の曲しか聴いてないの、最後の曲すごく
いい曲だった。」
「なんて曲なの?」
舞波は読むことなくウェストポーチにしまった演奏会のプログラムを取り出し
最後の曲名を読んだ。

「カンタービレ」

93 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:33:32 ID:2xslzlq90
カンタービレ(ごしきひわ)
〜SIDE Maiha〜

*「ごしきひわ」とは小鳥の鳴き声を模した音楽が三つの楽章を通して聴こえてくる曲
  Aヴィヴァルディ(イタリア)1678−1741作曲

石村舞波 14歳  友理奈と別れた後、生きる希望を亡くしていたが、叔母の救いにより北海道へ
          旅立つ。

石井リカ 25歳  舞波の叔母さん。東京のコンピュータシステム開発会社で
          システムエンジニアとして勤務。
          現在北海道千歳市で長期出張で勤務している。
〜エピローグ〜
「あのね・・・」

舞波は図書館に居た。講演会を聞いた次の日、本屋で高校受験の薄い5教科参考書を買った。
彼女は自分が参考書を読む事に違和感を感じていた。しかし彼女は現役の「中学生」だった。
彼女は図書館で参考書の問題を解いてみた、図書館ならば分からない事があっても辞書等で
何とか調べられると確信していた。彼女は2年生の半ばから学校に行っていない。
そのため1年生の問題から手をつけた。問題の最初に科目の説明が書いていた、その説明と
基本問題をしっかり理解すれば、各応用問題も微笑ましいくらい理解できた。

94 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:48:52 ID:2xslzlq90
舞波はこの数ヶ月様々な本を読み、小さなノートに物語りを書き写したり歴史の年号を書いたり、
地図の絵を描いたりしていた。その他には川を歩き回り木々を愛でていた。
彼女は「分析者」になっていた。事象による理(ことわり)を探求して表現の「形」を
作り上げる活動は「学者」の域である。彼女は知らず知らず小さなノートに自分の論文を
作り上げていた。
勉学とはある専門家について基本を導入された後は自分自身の「独学」でしか向上しない。
独学とは主に「読書」である、忍耐を要せられる「読書力」こそが積み重ねる独学を
向上させる。
「読めば解るってよく先生言ってたな。」
舞波は勉学に必要な「洞察力」を深い悲しみと同時に奇跡的に身につけていた。
舞波は決心していた、「東京に帰る事」をリカに何時伝えようか考えていた。
1500を過ぎた。
「そろそろ帰ろう。」
舞波は図書館のバス停ではなく坂を下った離れたバス停でバスに乗ることにしていた。
急な長い坂道は根雪が積もり昼間少し溶けて夜に凍るため所々に滑りやすい「氷の地面」が
できていた。
長靴を履いた子供が水たまりをわざと歩くように舞波は防寒タイプのトッレキングシューズに
ついたスパイクを引き起こし、わざと氷の上を歩いた。

95 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:50:07 ID:2xslzlq90
リカは舞波をいつ東京に返すか考えていた。 東京から連れてくる時は4月になって
北海道の勤務が終了したら一緒に東京に帰るつもりだった。
「今なら冬休みの終わりに間に合う。」
リカは3学期から舞波が登校する姿を想像した。周りに友達はいないかも知れないが力強く歩
を刻む姿を。リカは舞波の健康と心を癒す事だけを考えていたが、いつしかただ愛おしい
気持ちだけでいっぱいになっていた。これほど一人の人間を愛して良いのか?
罪悪感すら覚えるほど舞波を愛おしく想った。
この感情は後に彼女も知ることになる「人の親」の持つ感情だった。
夜の食事が終わった後、舞波はリカに東京に帰る事を告げた。
「私、もう逃げないの。」
「将来なりたいものも見つけたの。」
リカは正直びっくりしていた。まさかここまで心が回復したとは。
「何になりたいの?」
「ツアーコンダクターよ。」
リカは舞波が水中観測船で見せた驚嘆した顔や「水門」の紅葉を眺める顔を思い出し、
「いいかもね。」と言った。
「それじゃ明後日の金曜日あたし休みだからその日にしよう。」
今月は在宅勤務なので休みもないがあえて明後日にした、
「12月23日」だった。
舞波はリカに東京へ帰る前に最後の質問をした。

96 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:52:11 ID:2xslzlq90
「ねえリカちゃん、子供は何故学校に行って勉強するの?」
リカは少し考えて、こう答えた。
「幸せになるためよ。」
舞波は「お金持ちになること?」
リカは少し笑って、
「お金だけでは人は幸せになれないわ。」
「自分の気持ちを人に伝えるだけでは伝えた事にならないの、相手に理解してもらってこそ
人と人との関係よ。」
「理解してもらうには知らなければならない事がたくさんあるし
人の意見も理解出来なければいけないの。」
舞波は「知るだけなら学校はいらないと思う。」
「知るだけでは友達は出来ないの、心が痛くなるほど誰かを好きにならないと
人は幸せになれないの。」
舞波の質問に答えるのはこの生活では最後だろうと思うリカは、悲しい訳ではなく
まさに今心が痛かった。
舞波は友理奈の笑顔を思い出していた。
「私、学校に行っていっぱい知ろうと思う、上手く出来ないのはしょうがないと思うけど。」
「あきらめない。」
リカはもう何も言わなかった、静かに舞波との最後の生活を楽しもうと・・・・。

97 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 10:53:27 ID:2xslzlq90
12月23日
二人は千歳空港にいた。昼過ぎに東京に到着する便で舞波は北海道を後にする。
舞波は昨日、リカと最初にジャージを買いに行ったアウトレットショップなる店で少し
大きめの野外活動に適した黒いナップサックを買って貰った。
ナップサックを背負って黒い防寒用のウィンドブレーカを着ていた。
足は防寒用の黒いトレッキングシューズで頭は黒いニット帽。
黒い瞳に大きなエクボ、力強い「冒険家」になっていた。
紺色のロングコートにスノーシューズを履いたリカは歩きながら話し出した。
「アタシ昔失敗したことがあってすごく恥ずかしかった事があるの。」
舞波はリカの横顔を見つめながら歩いた。
彼女は会社に入社したばかりの頃、あるプロジェクトに参加していた時、北海道で行われる
企画に参加した。その会議中うかつにも
「北海道は内地みたいに文化的な長い歴史がない。」と発言してしまった。
50歳を越えているプロジェクトのリーダは強い口調で、
「北海道は開拓で作り上げた「国」です、命がけの開拓が北海道の歴史です。」
強い口調だが怒りをぶつけるのではなく、いつもは気軽に話す口調も30歳も年下のリカに
対等な態度をとって敬語を使って本気で語った。
その後リカは顔から火が噴きそうになって反省していた、その土地に住む人間達を侮辱した
事に心から後悔をした。
舞波は本当に後悔しただろうなとパソコンに向かうリカの後ろ姿を思い浮かべた。
「だけどね、あそこであんな毅然とした態度で怒られなかったらきっとアタシ違う仕事の
やり方をしていたし、物を知らない恥ずかしい人間のままだったわ。」
「今は恥ずかしかったけど本気で叱ってくれた上司に出会えて幸せだと思っているの。」
広告看板の前まで来た。
「試される大地」

98 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 11:04:44 ID:2xslzlq90
舞波は仰ぎ見つめた。
リカは「アタシあの広告嫌いなの。」
舞波はリカに顔を向けた。
「大地が試されるのではなく、試されるのは人間よ。」
いよいよ別れである。
「メール書いてね。」
リカは最後にもう一度、舞波を抱きしめた。
大きなナップサックに厚い防寒着が舞波の逞しくなった体をさらに強く覆っているのを胸で
感じた。
「リカちゃんは舞波の姉さんね。」
「姉さん大好き。」
体を離して、いよいよエレベータに舞波は吸い込まれた。
「アタシも新しい春を待つよ。」
目の端に残った涙を指でかきながらリカは歩き出した。
外は雪が降り始めた。

99 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 11:06:15 ID:2xslzlq90
羽田空港では舞波の両親が2時間前から到着ロビーで待ち続けていた。
舞波の母はこの2ヶ月リカとは連絡を取って舞波の様子を聞いていたが舞波とは会話していない。
「何をしゃべればいいんだろう。」
考えているうちにとうとう舞波が到着ロビーにやってきていた。
舞波は両親を見つけるとうれしそうに駆け寄ってきた。
「舞波が、本当(事件前)の舞波が帰ってきた。」
母は舞波をたまらず抱きしめていた、生きていてくれるだけでいい娘は光を携えて帰ってきた。
抱きしめた体は触れただけで分かる厚みが着いていた。そしてウィンドブレーカに残る草と
日向の臭いを心地よく母は吸い込んでいた。
見ただけでリカがどれほど舞波を愛していたかが分かった。
姉が妹を愛するように。
妹はこれに代えられない幸せを私にクリスマスにプレゼントしてくれた。
舞波は飛行機の中で色々北海道の出来事を思い返した。「青より蒼い水」、「眼下の野生」
「あきらめない母親」、「ツアーコンダクター」、「学校へ行く事・・」。
舞波はウェストポーチの上から小さなノートを触っていた。
母さんに何からしゃべろう。東京で大都市の中でたくさんの家族の中、小さな3人家族が
クリスマスのイルミネーションと雑踏を浴びながら歩いていた。
「母さん。」
「なに?」

「あのね・・・」

〜fin〜

100 :ミヤビイワナ:2006/09/23(土) 11:09:03 ID:2xslzlq90
カンタービレ(ごしきひわ)
〜あとがき〜

「リカと舞波の愛情物語」最後まで読んでいただいて有り難う御座います。
少しペースが速すぎました。
もうちょっとゆっくりでもよかったかなと振り返ります。
キャラクターは漫画でも演奏でも仕事の設計でも勝手に走り出すキャラクターと少し肩を
押してあげないと動かないキャラクターがいます。舞波は走り出すというか模索して歩いて
いた感じですね。「明日にしよう。」と言っても「もうちょっとだけ。」と言って川を
歩いているキャラクターでした。リカは大人の責任感で舞波を更生させるだけだったが
だんだん舞波を愛していきました。
作中で「あきらめない」のくだりはNHKの番組
「わたしはあきらめない」から使わせてもらいました。番組に「X」のYOSHIKIが
出演したとき「HIDE」の自殺に絶望した日々を「人は未来によって過去を変えられる。」
(このせりふ通りかおぼえていません、すみません。)と語っていました。
最後のリカが上司にしかられた話は自分自身のはずかしい過去を書きました。
一重に書く場所があり読んでいただけた事はこの板のおかげで、各作家さん達の努力と支えた
読者の力であると感じております。
みなさんにスッペシャルサンクス。
もう二度と会うことが出来ない後輩にもこの物語を捧げます。

101 :ねぇ、名乗って:2006/09/23(土) 19:55:49 ID:rBSO/WlVO
>>100
大作乙でした!凄まじい勢いで一気にきましたね。こちらも一気に読みましたよ。
北海道の歴史や風物を絡めつつ舞波の心の傷が癒され、人間としても成長していく過程を、こちらも勉強しながら追わせていただきました。
しかし、豊富な知識と高い文章の技量……作者はいったいどういう方なんでしょうか。そちらも興味深いですね。


それから、激励サンクスです。まあ、こんな大作を見せつけられてハードルがさらに高くなりましたが……。
超えられない壁を前にしてプレッシャーを一段と強く感じてますが、なんとか頑張ります。
今日も少し進みました。近いうちに序章だけでも挙げられる☆カナ。

102 :ミヤビイワナ:2006/09/24(日) 20:05:55 ID:S4SK39a60
>>101
読んでくれてありがとうございます、とてもうれしいです。
仕事とは別に自分のライフワークが出来ることはとても張りがあって
「充実」を感じることが出来ます。
苦しい時もあるけど、キャラクターを作ったら最後、愛さなければなりません。
自分が作り出したキャラクターを愛することは「自分」を愛することです。
「自分」を愛せなければとても人を愛せません。
「釣りバカ日誌」のハマちゃんは奥さんをもらうため彼女の両親に挨拶したとき、
「僕は彼女を幸せにする自信はないです、しかし彼女と結婚した自分は幸せに
なる自信はあります。」と言いました。正直こんな男に兄妹や娘を出したく
ないです、ぜったい!!。
だけど言われた娘はどうでしょう、もし自分が結婚する女性、男性にいわれたら。
仕事でもそうでしょう、手放しに信用されたらどんな気持ちか、
信用も愛だし、許すも愛です。
あなたの文章をあなたらしく奏でましょう、キャラクターを愛して。

103 :ねぇ、名乗って:2006/09/24(日) 21:19:11 ID:KlJ0rAmsO
今日も少し進みました。とりあえず、序章の部分を明日か明後日には揚げたいと思います。励ましてくださった方々に深く感謝します。
それと、だいぶ長くなりそうです。ご容赦ください。
それから、ちょっとお聞きしたいのですが、小春がハロプロ以外で好きな曲とか歌手とか、わかる方おられませんか?


>>102
暖かいお言葉感謝します。おかげさまです少しずつ進んでいます。今後ともよろしくですm(_ _)m

104 :ねえ、名乗って:2006/09/25(月) 02:46:26 ID:nEYpIZTe0
作品本当にお疲れ様でした!
なんかあれこれ語るのも失礼なんで、敢えて「素晴らしかった!!」
とだけ言わして下さい。
最後はしっかりと泣かせていただきましたw
自分にはこういうスタイルは無理だとおもうんで、自分に見合った「物語り」書いていきたいです。
イワナさん!また作品まってますので!ホントに乙!でした!!

105 :ミヤビイワナ:2006/09/25(月) 05:57:53 ID:9ogyp6vn0
>>104
最後まで読んでいただき有り難う御座います。
やはり書き終わるとなんかさみしいですね、次の作品書きたいなと思って
とぼとぼ歩いてます。

>>80
「体育祭」が終わるとやはり「文化祭」ですよね、「文化祭」誰か予定ありますかね?
もし許されるなら本編も書いてみたいなと思ってます。
作家さん達の承諾が欲しいですね。もちろん「体育祭」の後にですが。


106 :ねぇ、名乗って:2006/09/25(月) 14:57:09 ID:YA5D99GoO
文化祭是非おねがいしたいですね
こういうのは挙手したもんがちなんでw
ですが一つだけおねがいが・・・金八といえは゛やはり「ソーラン節」なんでイワナ氏の技と熱のあるヤツひとつ読んでみた〜いw
まぁうまくお渡ししますから!他の作家さん読者の皆さんどぉですかね?

107 :ねぇ、名乗って:2006/09/25(月) 18:00:51 ID:SCBdgd6xO
今日は煮詰まっちゃって、全く書けてないおorz
また夜頑張ってみるか……。


>>105
>>106
大賛成です。自分も、イワナさんにまた何か書いて欲しいなぁと思っておりました。かなり期待できそうですね。

108 :ねぇ、名乗って:2006/09/25(月) 18:51:23 ID:bdQ6hm+j0
バリバリ賛成!!


109 :ねぇ、名乗って:2006/09/25(月) 18:53:22 ID:bdQ6hm+j0
そーいえば、もうすぐ俺の文化祭だ

110 :ミヤビイワナ:2006/09/25(月) 20:40:25 ID:9ogyp6vn0
>>106
有り難う御座います。
与えられたチャンス、大事に生かしたいです。
ソーラン節・・・・
とっとっとにかく勉強します!
>>107
煮詰まるくらい物を考えるのは「ス・テ・キ」なことです。
いつか煮詰まる孤独な夜の思い出が「心の宝」になる日がきます。
そんな日を思いつつがんばって。
>>108
バリバリ有り難うございます。
とてもうれしいです。
>>109
「俺の文化祭」もし、よかったら何をしたか教えてください。
自分は最後の文化祭は20年前なので。
一回だけでしたが。
あまり学校行っていなかったもので。
かわいかった1年生の頃だけ文化祭やりました。
だからこの板で文化祭やりたいと思います。
みなさんチャンスくれて有り難う御座います。

111 :名無し募集中。。。:2006/09/26(火) 19:06:41 ID:/ZNGt3Q9O
文化祭は、壁画を作ったり駄菓子屋…おばけ屋敷…
門の飾りでアーチを作りました。
前夜祭では皆歌を歌ったり演奏したりしましたよ

って…参考になりましたらと思って書き込みさせて頂きました。

皆さん頑張ってください!

112 :ミヤビイワナ:2006/09/26(火) 19:18:52 ID:CncbuQLC0
>>111
有り難う御座います。
壁画、駄菓子屋、おばけ屋敷・・どれも自分の時代にはなかったものです。
大変参考になりました。
携帯電話もインターネットも消費税もなかった時代でしたが「歌と演奏」だけは
ありました。
負けないように文化祭を楽しんで書きます。



113 :オーディション編番外 夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜:2006/09/26(火) 21:26:38 ID:ec8epkeJO
序章-Prologue-

2006年10月1日、サンプラザ中野。
オーディションを受けるべく会場にやってきた久住小春は、友達でありライバルでもある嗣永桃子と久しぶりの再会を果たす。
そして、そこで桃子の同級生である清水佐紀を紹介された。
三人で話しているうちに、やがて小春の受ける女優部門の受付が始まったようだった。

桃子たちと別れ、小春は女優部門の列の最後尾に並んだ。
振り返って笑顔で桃子たちに手を振る。
桃子がぎこちない笑顔で佐紀と一緒に手を振り返すのが見えた。
「桃ちゃん、また緊張してお腹痛いんだろうな」
もう何度もオーディションは経験してるはずなのに、そう思うとおかしくなる反面、無理もないかな、とも思うのだった。
小春は、桃子と初めて出会ったオーディションのことを今も鮮明に覚えている。
「でも、あの時は私の方がお腹痛くなったんだっけ…」
小春が腹痛でうずくまってしまった時、前に並んでいた桃子が医務室まで連れて行ってくれたのだった。
「桃ちゃん、大丈夫かな…」
もう一度振り返ったときには、既に桃子と佐紀もそれぞれの列に並んだらしく、さっきまで三人でいた場所にはもう誰もいなかった。

114 :オーディション編番外 夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜:2006/09/26(火) 21:29:06 ID:ec8epkeJO
「さすがにもういないか」
小さく頷いて小春は正面に向き直った。
明らかに小春の方を見ていたであろう何人かが、慌てて前を向く。
自分が周囲の注目を集め、ざわめかせているのは列に並んだ時から既に分かっていた‐いつものことだから。
単発の仕事しかないとはいえ、既に何度かのテレビ出演すら経験したこともある彼女は、いわゆる【常連さん】の間では大きな羨望とさらに大きな嫉妬の対象だった。
しかし、そんなものは彼女にとってはどうでもいいことだ。
今の小春には、周囲の視線も喧騒も全くないに等しかった。
もう、桃子や佐紀に向けていたようなとっくに笑顔は消えいて、彼女の表情は真剣そのものだった。

小春は、服の上からお気に入りのネックレスに手をやった。
今彼女が身に付けているのは、中心にキティを据えて細工を施したゴシック調のシルバーのクロスネックレス。
去年の春、中学に入ったお祝いにと、小春の大事な人が贈ってくれたものだ。
これを付けている時、小春はいつでもあの人が側にいてくれるようで一人じゃない気がして頑張れるのだった。
あの人‐今も変わらず実の姉のように慕っている藤本美貴が側にいてくれるような気がするから。

115 :オーディション編番外 夢、いつの日にか〜小春の夢、美貴の想い〜:2006/09/26(火) 21:53:07 ID:ec8epkeJO
久住小春、14歳。中学二年生。
小さい頃から、TVを見ながらTVの中の歌手のマネをして歌ったり踊ったりするのが大好きだった。
しかし、それだけならどこにでもいるごくありふれた普通の女の子と同じだっただろう。

その彼女に芸能界を意識させたのが、近所の焼肉の名店「焼肉ふじもと」を経営する藤本家の末っ子である美貴だった。
久住家と藤本家は、家が向かい合っている上に両親が幼馴染同士ということもあって、昔から家族ぐるみの付き合いをしていた。
特に美貴は、末っ子であるためか常々妹か弟が欲しいと言っていただけに、小春の面倒を見てやる様はまるで実の姉のようだったし、小春も良く懐いた。
美貴が行くところには必ずついて行こうとして、まだ小さい頃、美貴が学校に行こうとしたとき、小春も一緒に行くと言い張って母親を困らせたこともあったくらいだ。

116 :オーディション編番外 夢、いつの日にか〜小春の夢、美貴の想い〜:2006/09/26(火) 21:55:35 ID:ec8epkeJO
その美貴は藤本家の末っ子で、昔から気が強く、男子と普通にケンカしてしかも勝つことの方が多かった。
中学校に入って一時荒れた時期もあったが、近所の人々が腫れ物にでも触れるかのような感じで扱っていた中、久住家の人々だけは今までと全く変わることなく接していた。
まだ小さかった小春にとっては、近所の評判とかなおさら関係のないことだった。
不良とか言われていても、周りが何と言おうとも、小春にとっては昔のままの優しいお姉さんだったから。
そう、昔も、今も、そして、きっとこれからもずっと。
美貴は小春にとって優しいお姉さんでいてくれるだろう。
「私には夢がある・・・絶対叶えなくちゃいけない夢が。美貴お姉ちゃん、見守ってて」

117 :オーディション編番外 夢、いつの日にか〜小春の夢、美貴の想い〜:2006/09/26(火) 21:57:10 ID:ec8epkeJO
『わたしのゆめは、げいのうかいにデビューすることです。そして、おおぜいの人の前でだいすきな歌を歌ったり、ダンスをおどったり、あとドラマに出たりしてよろこんでもらえるような人になりたいです』


小春が小学校の卒業文集に書いたものだ。
書いた時は、たぶんまったくの夢で終わるはずだった−でも、今は違う。
「美貴お姉ちゃん、私今日も頑張ってくるよ。まだまだ先は長いけど、私の・・・ううん、私たちの夢、いつか絶対叶えてみせるから」
小春はネックレスにそう誓うと、目を閉じた。
小春は、いつしか去年の出来事を思い出していた。

118 :ねぇ、名乗って:2006/09/26(火) 22:51:44 ID:ec8epkeJO
え〜、なんと言いますか、自分でも無謀なことをやってるなと思いますが、ついにおっぱじめてしまいました。
読みづらいうえに、長くなってしまいそうなんですが、暖かく見守っていただけますよう、よろしくお願いしますm(_ _)m
最後に、イワナさんをはじめ励まして下さった皆さまに深く感謝いたします。ありがとうございました。

119 :ねえ、名乗って:2006/09/27(水) 00:00:11 ID:85m673yg0
ちょwwデビューおめ!!
いいでないのいいでないの!焼肉「ふじもと」だしてくれたんだw
皆さん温かいですから!自信を持って書いちゃってくださいな!
続編!松輝夫

120 :ミヤビイワナ:2006/09/27(水) 05:51:24 ID:84lm6KV/0
>>118
やったね。
おめでとう。
あなたの文章が息を吹き出しました、後はゆっくり物語を紡ぎましょう。
小春と美貴、異なる個性同士の物語、楽しみにしています。
悩みながらも踏み出すあなたの勇気、読み手に必ず伝わる。

121 :松輝夫:2006/09/27(水) 15:09:47 ID:YuxeJpQyO
3年B組ベリーズ工房 オーディション編番外「夢、いつの日にか・・・〜小春の夢、美貴の想い〜」

act1.胎動-Indication-

2005年5月。
小学校を卒業した小春は、ある私立中学に入学していた。
新しい生活にも慣れ、新しい友達もでき、バレー部に入部した小春は、勉強や部活に忙しいながらも充実した毎日を過ごしていた。
そして、世間がゴールデンウィークに入ったある日、久しぶりに美貴と二人で出かける機会を得たのだった。
「そう言えば、ま〜たオーディションダメだったよ。」
カラオケボックス「パセラ」渋谷店の部屋に入るなり、美貴が言った。
美貴がまたオーディションを受けるのは知っていたが、まだ結果は聞いていなかった。

美貴には、いつか歌手としてデビューするという大きな夢があった。
「尊敬する安室奈美恵さんのような歌手になりたい」
常々そう言ってたのを今でも小春は覚えている。
「もう聞き飽きたよ〜。」
そう言ってジロリと睨まれたこともあった。
美貴は、高校を卒業後、昼はバイト、夜は「ふじもと」の手伝いをしながら夢を叶えるための努力を続けていた。

122 :松輝夫:2006/09/27(水) 15:11:02 ID:YuxeJpQyO
しかし・・・現実は厳しかった。
オーディションを受けては落選の通知を受け取る・・・この繰り返しだった。
「そう・・・。」
「小春が落ち込むことないだろ。落ちたのは美貴なんだからさ。ま、また次頑張るよ」

「うん!」
「ささ、とにかく今日はトコトン歌おうぜ!美貴から先に入れちゃうぞ。」
「あ、お姉ちゃんずる〜い。」
そう言いながらも、小春は美貴が元気なままでいてくれることが嬉しかった。

123 :松輝夫:2006/09/27(水) 15:12:20 ID:YuxeJpQyO
カラオケパセラは、東京を中心に展開するカラオケのチェーン店である。
値段は少々高めだが、曲数日本一を豪語するだけあり、メジャーな曲はもちろん、マイナーなアルバム曲やらアニメ関係の曲まで幅広く抑えている。
そのため、美貴たちにはお気に入りの店だ。
今日も、原宿で買い物をした後、渋谷まで歩きながら道沿いの店を冷やかしつつ、109を覗いてからパセラに来たのだ。
二人で出かけるときの、いつものお決まりのコースだった。

124 :松輝夫:2006/09/27(水) 15:13:47 ID:YuxeJpQyO
「よっしゃ、これいくか」
美貴がリモコンを手に取ろうとすると、それよりも一瞬早く小春がリモコンを取り上げた。
「小春ちゃん…オーディションに落ちて傷心の姉をいたわって先に歌わせようあげようなんて気持ちはないのかな?」
「そんなこと言ってたら、いつまでたっても小春はお姉ちゃんの後じゃない。お姉ちゃんこそ、たまには妹に先に歌わせてくれてもいいんじゃない?」
「…かわいくないなあ、ほんと。昔は素直でかわいかったのにねぇ。」
「別にお姉ちゃんにかわいいって言われなくてもいいもん!」
「ほ〜〜〜んとかわいくない!…まあ、こっちには奥の手があるもんね。」
美貴はおもむろに携帯を取り出すと、何やら打ち始めた。
やがて打ち終えたのか、携帯をカラオケの機械に向けた。すると…
「うそ〜〜〜?なんで??」
画面に、美貴のリクエスト曲が表示されていた。
「フッ、未熟者め。会員用アプリにはリモコンの機能があるんだよね〜。」
「…未熟者ってワケわかんないし。」
「まあ気にしない気にしない。んじゃ、トップバッター藤本美貴、行っきま〜す。」

125 :松輝夫:2006/09/27(水) 15:15:40 ID:YuxeJpQyO
口を尖らせて抗議する小春に構わず、もう美貴はすっかり自分の世界に入ってしまったようだった。
彼女が選んだ曲は、尊敬する安室奈美恵の代表曲のひとつ「Chase the Chance」だ。
この曲がリリースされたとき、小春はまだ3歳だったが、美貴が部屋でよく聴いていたうえにこうやってカラオケでも歌うのですっかり覚えてしまった。


Just Chase the Chance 信じてる道は
Chase,Chase the Chance まっすぐに生きよう
夢なんて見るモンじゃない 語るモンじゃない 叶えるものだから


その歌詞の中でも小春のお気に入りのフレーズだ。
「なんか、お姉ちゃんにぴったりかも…。」
美貴は歌いながら自分自身に言い聞かせてるんじゃないか、美貴が歌うのを聴きながら、小春はそんな気がするのだった。

126 :松輝夫:2006/09/27(水) 16:54:45 ID:YuxeJpQyO
「は〜、満足満足。」
歌い終わった美貴は、いかにも満足したという表情でマイクを置いた。
「…よかったね。」
「まあ、そう怒らない怒らない。かわいい顔が台無しだぜ。」
「別に怒ってないもん…それより、さっきかわいくないって言ったの誰だっけ?」
「冗談だって冗談。それより、小春も早く入れなよ。」
「もう…。」
おそらく、他の人から見ればくだらない、たわいもないやり取り。
だが小春にとっては、とても幸せを感じられる瞬間だった。
こんな幸せがいつまでもつつけばいい−小春はそう願わないではいられないのだった。

127 :松輝夫:2006/09/27(水) 16:57:52 ID:YuxeJpQyO
とりあえず、小春も気を取り直してお気に入りの曲を入れて歌い終えた。
美貴が手を叩く。
「うまいうまい。小春も上手くなったよね。美貴ほどじゃないしまだまだ未熟だけど。」

「それって、ほめてるの?」
「たぶん…っていうかさ、小春も中1になったことだし、一度オーディション受けてみたら?」
「私が?」
「だって、卒業文集にも書いたんだろ?芸能界にデビューしたいって。」
「あれは…何書いていいかわかんなかったから…そんな夢を見たこともあるけど、小春にはムリだよぉ。」
「でもさ、いい経験になるんじゃね?」
確かにそんな夢を見たこともなくはないが、まさか自分が本当にオーディションを受けるなんて小春は想像もしていなかった。

128 :松輝夫:2006/09/27(水) 17:00:25 ID:YuxeJpQyO
その後、二人のカラオケがだいぶ盛り上がっている中、美貴はしきりに携帯の画面に眼をやった。
「もうそろそろ来るはずなんだけどな…。」
「え?誰が?」
「美貴の親友。ちょうどこっちに出てきたことだし、小春にも紹介しとこうかと思ってさ」
「お姉ちゃんの親友?へえ、友達いたんだ。」
「…小春ちゃん…ちょっと撫でてあげるからこっちいらっしゃい。」
美貴の顔は笑っていたが、目は全然笑っていなかった。
「…遠慮しとく。って言うか、目が怖いよぉ。」
「う・る・さ・い。覚えとけよ〜。」
その時、美貴の携帯が鳴った。
「もしもし…そうそう、部屋は5階の…」
美貴が電話の相手と話し始める。
内容からして、どうやら、電話の相手はその「親友」のようだ。
「もうすぐ来るってさ」
電話を切った美貴が告げる。
小春は、これから来るという美貴の親友をいろいろ想像してみるのだった。

129 :松輝夫:2006/09/27(水) 17:02:19 ID:YuxeJpQyO
ドアが数回ノックされるや、勢いよく開いた。
「よお〜、ミキティ!久しぶり〜。」
入ってきたのは、目が大きくて背も高くかなりの美人…だったのだが…
「お久〜。っていうか、よっちゃんさあ、普通ジャージで来る?」
美貴が呆れた口調で言った。
「ま、細かいこと気にしない。で、この娘がいつも言ってる…」
「よっちゃん」と呼ばれたその美人が小春のほうを見た。
「あ…えっと、久住小春です。」
「小春ちゃんか、かわいい名前だね。吉澤ひとみ、ヨロシクね。」
どうやら、悪い人ではなさそうだ、と小春は思った。

130 :松輝夫:2006/09/27(水) 17:04:22 ID:YuxeJpQyO
やがてカラオケの終了時間が来たので、三人はパセラを出て渋谷駅東口近くのロイヤルホストに入った。
初対面とは思えないほど会話は弾み、小春はひとみとすぐに打ち解けることができた。
「よっちゃんとは高校一年の時からの付き合いでさ、今は楽器店で働いてるんだよね。」
「そうそう、ミキティにはだいぶ泣かされたモンだよ。」
「ちょっと、人聞きの悪いこといわないでよ!」
「あ、すっごいよくわかります、小春も。」
「いや、ミキティと違って物分りの良いかわいい妹だねぇ」
「小春…覚えとけよ。」
美貴がゲンコツを振り上げるマネをする。
「キャ〜、吉澤さん、助けて〜。」
「ミキティ、小春ちゃんいじめるなよぉ」
「吉澤さん、だ〜い好き!」
「…お前らなぁ…。」
「あれ、ミキティ妬いてるの?」
「別に!」
美貴はプイと横を向いた。

131 :松輝夫:2006/09/27(水) 17:40:37 ID:YuxeJpQyO
「そうそう、よっちゃんさあ、またオーディションダメだったよ…。」
「そっか、やっぱ壁は高いんだね。」
ふと真剣な表情になって告げた美貴に、ひとみも真剣な顔で応える。
「わかった、またオーディションの情報があったら連絡するよ。」
「サンキュ!恩に着るよ。ついでにさ…」
美貴は小春の方を見ながら言った。
「この娘が受けられそうなの、適当なヤツないかな。」
ひとみも小春の方を見た。
「小春ちゃんも芸能界目指してるの?」
「ええ…まあ」
「わかった、探してみるよ。」
「よっちゃんはさ、仕事柄こういう情報も入って来るんだ。」
「そうなんですか。」

後から思えば、この時の会話から全てが始まったのだった。
そして、運命はこの日を境に思わぬ方向へ動き出そうとしていた。
そのことを、小春も美貴もまだ知る由もなかった。

act.1 胎動-Indication- end

132 :松輝夫:2006/09/27(水) 17:55:01 ID:YuxeJpQyO
とりあえず、続きを揚げました。感想・激励・要望・批判・苦情などお待ちしてます。
今後のアイデアはたくさんあるのですが、それをどう文章にするか……頭が痛いところです。
じっくり書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

>>119
ありがとうございます。過賞に過ぎるように思えますが……なんとか頑張ってみます。
それと、焼き肉ふじもとと、ペンネーム使わせていただきますね。

>>120
ついに無謀な挑戦始めちゃいましたよ。今後ともご指導よろしくお願いします。

133 :ミヤビイワナ:2006/09/27(水) 19:05:54 ID:84lm6KV/0
>>132
続きが読めるってうれしい事ですね。
「よっちゃん」は物語引き締めるね。
「Chase the Chance」は僕も大好きです、あの頃の小室先生は応援ソング
作るのすごく上手くて大好きな作品がイッパイあります。

自分も書きたくなったな〜
最近「れいな先輩」が心の奥で自分の背中をつつくんですよね。
でも彼女を書いたら最後この板追い出されそうで、止めて大暴れしてしまう
彼女を書くのはこの板が大事だから悩む。
「れいな先輩」を書いた作者さんにも悪いかな、なにしろベリーズのメンバー
じゃないし。
つつかれている自分を遠巻きで腕を組んでいる3人の娘がにやにやしてます。

134 :ねえ、名乗って:2006/09/27(水) 23:17:48 ID:85m673yg0
更新乙です!てかコテ松輝夫になってるしww
よくよっちゃんが楽器店で働いてたの覚えてたね
なかなかノってキテルんで安心したお!それじゃ続き松輝夫!
>>133
面白そうだなとヲレは思うけど登場人物なんだしさ!
書いても荒れないと思うけどなぁ そこから話が繋がっていけたら素敵やん!

135 :ゆじゅ ◆exjpYURiNA :2006/09/28(木) 01:13:32 ID:Q9qO5npt0
        :∋oノノノハヽヽヽo∈: 
        .-"          \. 
        :/   _ノ    ヽ、_ ヽ.:
       :/   _     _   ヽ:
      :|   /::忌」 __ i::忌ヘ  |:  
      :l  o゚  ̄  Y::::::Y  ̄ ̄ ゚o l:
      :` 、 〃//  V^V  //〃 /:
       :, -‐ ○.    ̄     /
       :l_j_j_j と)丶──┬.''´
          :|     :i |:
            :|   :⊂ノ:.


136 :ねぇ、名乗って:2006/09/28(木) 21:28:42 ID:x81GdxUm0
6日間のテント&安宿生活から先程帰宅 こんばんは茉作家でございます
久しぶりに見てビックリ!進みましたねぇw
早速これから読ませていただきます また後ほど…


137 :ねぇ、名乗って:2006/09/29(金) 00:28:48 ID:jRJ491Q10

>>132
文化祭で見た大勢の観客の前で元気一杯踊っていた小春
この物語は彼女のドキュメントのような気がして不思議な感覚で読み終えました。
いやー デビュー作とは思えない出来栄えなんですけどw
続き楽しみにしてますよ

松作家さんはミキティー好きなのかなぁ…小春との会話がやけにリアルなんだもんw

>>133
いやはや…大作でしたね
舞波とリカの物語はもとより実際訪れた事があるように錯覚してしまう
情景描写の細かさはもはや脱帽w 文化祭楽しみにしています。
『れいな先輩』お任せします。脇役だけで終わらせるには勿体無い人物ですから

それともう1つ 「青より蒼いよ…」 綺麗な言葉ですねぇ
自分は『 空 雲 風 匂い 』がどうしても入れたくなる要素なのですが
なんでこういった綺麗な言葉の表現が出来ないものかとw 思いましたよ

>>134
梨作家さん 体育祭構想だいぶ出来上がってると思うので
出来る限り早めにバトン渡しますのでもう少しご辛抱を…

それと集い行かれますか?『語る』で馴れ合いあったらお会いできるといいですね


あーぁ今日は布団で寝れる…嬉しいわ 

138 :松輝夫:2006/09/29(金) 07:12:29 ID:tAbcJTZ4O
>>137
お帰りなさいまし。お留守の間にとんでもないこと始めちゃいました。
自分には過ぎた評価をいただき恐縮です。会話は実際に話している光景を想像しながら描きました。少しでもリアリティを感じていただけたのなら幸いです。
美貴小春姉妹の設定は、明るく活発な姉と、控え目だけど芯が強い妹と想定し、「ガンダムSEED DESTINY」に登場するホーク姉妹に影響されること大でした。
千奈美に、推しはれいななんですが、この姉妹も好きですよ。まあ、今ハローに苦手な娘はいても嫌いな娘はいませんね。
>>133
れいな先輩いいのでは?自分も、美貴様の後輩役での登場を考えましたが断念しました。代わりに書いていただけるなら推しとしては嬉しいことです。
>>134
書く前に宣言した通り、既存の設定に最大限に合わせるべく、何度も過去ログを読み返しましたので。今後ともこのスタンスを継続していきます。
それと、このコテハンかなり気に入ってます。ありがとうこざいました。


とりあえず、昨夜より続きに着手しました。そろそろ桃子の出番☆カナ?それと、重要な役割を持つ新たな人物も……構想ばかり膨らんで、また苦労しそう。

139 :ねえ、名乗って:2006/09/30(土) 00:28:32 ID:EClSK4DU0
>>137
集いは夜の部なんだけどもヲタ友達と一緒にいるんで抜け出せたら顔くらいだすとゆいたい!

140 :ねぇ、名乗って:2006/09/30(土) 00:58:34 ID:Veo5VwoDO
俺も集い参戦しまっせ〜!!

てことで皆さん会えたらヨロシクです^^

141 :梨作家:2006/09/30(土) 17:48:53 ID:/2lj4UymO
今Berryz工房ファンの集いにいます!
現場の空気を感じそのまま作品に反映していけたらなと思います!
現場にて馴れ合っていただいたベリヲタ及び作家さん今日は最高の日にしませう!

142 :ねぇ、名乗って:2006/09/30(土) 22:48:57 ID:Veo5VwoDO
ただいま都内のホテルに帰還

Berryz工房ファンの集い及び
『語る』の馴れ合いに参加してくださった皆さん本当に有難う!

今日はとても楽しいイベでしたね俺も大満足の内容でした!
今日の有意義な思い出をエネルギーにしつつ小説執筆も頑張ってくださいね从´∇`从

143 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:46:41 ID:soZuBQRt0
『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知り。

第1話『折れない心(前編)』

「それじゃ行ってくるから。」
「わしも後から行くからな。」

「焼き鳥食堂」から「田中れいな」は、通学に出かけた。桜中学校の入学式だった。
彼女は本日から桜中学校の生徒になる。
「いよいよ中学生か、早い物だな。」
彼女の後ろ姿を見送りながら彼女の祖父「八名信夫」はつぶやいた。
「焼き鳥食堂」は八名が屋台から始めた焼鳥屋である。昔は夫婦で営んでいたが妻はもうずいぶん前に亡くなっていた。
ここは昔ながらの下町の名残を残した商店街の外れである。夕方から開ける店は10人くらいが座れるカウンターと
テーブルが3つの古い小さな店である。
近くに工場がたくさんあるため労働者が多く訪れる、昔ながらの店だった。

「両親が生きていれば・・・。」

144 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:48:40 ID:soZuBQRt0
彼女の両親はこの世のにもういない、母親方の祖父と二人きりで生活している。
八名の一人娘だったれいなの母親は福岡から大学進学のため福岡から上京していたれいなの父親と
惹かれあい、れいなの父親が大学卒業と同時に結婚して福岡に嫁いでいった。
八名の娘が結婚した歳の11月にれいなは生まれて来た。
れいなが小学生になったばかりの頃、れいなの母親はガンでこの世を去った。
八名の妻もガンで若くして亡くなっていた・・・。
八名は娘の葬式の時にれいなの父親にこれからどうすると聞くと、れいなの父親は二人でこのまま強く生きていくと
言ってくれた。
八名は心配だった。れいなの父親両親も離婚で散り散りになり小学生のれいなの父親を捨てて生き別れだった。
つまり血縁の親戚は八名しかいなかったのである。
捨てられたれいなの父親は施設で育ち中学卒業と共に就職をして定時制を通い特待生がある大学、れいなの母親と出会った
この町に来た。れいなの父親は特待生の条件である新配達の仕事をやりながら奨学金により大学に通っていた。
そんなれいなの父親の堅実さに八名は感心した。
れいなは父子家庭で育ったが強く明るく育った、二人だけの生活だったが楽しく過ごした日々だった。
れいなが6年生になったばかりの昨年、最愛の父は亡くなった。

145 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:50:22 ID:soZuBQRt0
れいなの父親はいつも通り会社にスーツ姿で出勤途中であった。途中20名くらいの保母さんに引き連れられた保育園児達が
正面から歩いてきた。5〜6歳くらいの子供達を見るとどうしても我が子を思うのが親である。れいなの小さかった頃を
胸を熱くしながら思い出していた瞬間に付近から軽自動が近づいて来た。センターラインを大きくはみ出しブレーキーの
音を鳴らし滑るようにこちらへ近づいてくる、ちょうど最後列の女の子を踏みつぶすように車が来た。
れいなの父親はちょうどその子とすれ違う様になっていた今避ければ十分間に合ったが、すでに左手はその子の肩をつかみ
保育園児の列に投げるように押し出していた。投げ出された子はびっくりして泣き出したがどこにも傷がなかった。
一瞬だけで確認した保母が顔を上げた瞬間には目の前の園児を救った男性は飛び込んで来た、軽自動車とブロック塀に挟まれ
うなだれていた。
事故を起こした男性は薬物中毒による障害でれいなの父親の命を奪い去った。
病院の霊安室でれいなは虚ろな瞳で駆けつけた祖父と途方に暮れていた。
昨年の話である・・・・。


146 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:51:37 ID:soZuBQRt0
両手で同時に「ピッシャ」と自分の顔を叩き
「なんのなんの。」
八名は店に入っていた。

通学途中にあるマンションの玄関から「亀井絵里」が小走りに真新しい制服姿に長い髪をなびかせ、
れいなに近づいてきた。

「おはようれいな。」

「おはよう。」

二人は肩を並べて歩いていた。

車の交通量の多い大通りから歩道橋で中学校に続く河川敷の土手にあがる。土手には通勤する学生で一杯だった。
海へと続く大きな河を見ながら歩き、絵里は昨年のれいなとの出会いを思い返した・・・・。


147 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:54:48 ID:soZuBQRt0
昨年の春、絵里のクラスにれいなは転校してきた。
れいなは言葉少なめに挨拶して一番後ろの席に座った。横の席は絵里だった。
絵里は引っ込みがちな性格と人見知りが強かった。しかしどこか冷めた感じがする目がキリリとした「転校生」に少し
関心を持っていた。
休み時間に少し会話をしてみた。

「れいなちゃんの家はどこにあるの?」

「焼き鳥食堂。」
ぽつりと言った。
「ああ、あの商店街の外れの焼き鳥屋ね。」
「わたしの家から近いよ、今日一緒に帰ろう。」
れいなは絵里の事など関心が無いようで真新しい教科書を眺めていた。
そんな些細な会話を横で3人の女子が、にやにやしながら聞いていた。
ホームルームが終わり担任の若い女性の先生が教室を出て行った。
「れいなちゃん一緒に帰ろう。」
絵里が近づいてきた。
れいなは黙ってうなずくだけだった。
二人で河川敷の土手に差し掛かったところ、同じクラスの女子3人グループが近づいてきた。

148 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:57:15 ID:soZuBQRt0
「田中ちょっと話があるんでこっち来てくんない。」
絵里は怯えていた、クラスでリーダ的な女子が転校したばかりのれいなに何を要求するのか。
れいなは黙って亀井と3人グループをおいて歩き出した。
「ちょっと待てよ!」
背の高いニキビ顔のリーダがれいなの肩をつかみ、土手の傾斜に投げ飛ばした。ニキビ顔のリーダーは体がとても大きく
腕力もれいなより上だった。
土手から転がり、れいなは河川敷の自転車道にひっくり返っていた、擦り剥いて穴が開いたジャージの膝から血が出ていた
3人グループは土手を降りて行き、れいなに近づいていった。絵里はその場から怖くて動けなかった。
「あんた焼鳥屋に住んでるって。」

「・・・・・。」
「ネギ臭いんだよ!」
横から子分が言い出した。
「あたしらあんたのネギの臭いで気分悪くなったんだけど。」
「・・・・・。」

149 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:58:43 ID:soZuBQRt0
「慰謝料1万円明日もって来な。」
そう言うと、にやにやしながら3人グループは歩き去って行った。
絵里は3人グループが立ち去るのを待ってから土手を駆け下りる。
れいなは黙って立ち上がりジャージについた草を払い落とし歩き始めた。
「れいなちゃん大丈夫?」
「・・・・・。」
ジャージ姿の部活動をしている学生の一団が通り過ぎていく河川敷だった。
れいなは絵里の事はおかまいなしに一人で歩いて帰っていった。
河川敷を歩いていると前から大きな体がれいなに声をかけていた。

大きな体で坊主頭に口ひげを生やした祖父くらいの年齢の男性が歩いてきた。

「れいなちゃん学校おわったのか。」

黒い「はっぴ」を着て作業ズボンにねじりハチマキの男性は顔を少年の様にニコニコしながら近づいてきた。
はっぴの背中には「江戸前屋形船」と白地で書いてある。
一見したら逃げたくなるような風貌だがとても気さくな「男」だ。

150 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 19:59:52 ID:soZuBQRt0
れいなの姿がはっきり近づいた時、男らしい大きな笑顔が消えた。
両親と死別して遠いふるさとから祖父と二人暮らしを始めた少女が泥だらけの顔をして体は草ホコリで暗い目を
して立っていた。
男はひと目で何があったのかと理解した。今すぐにでも学校に行って事の次第を正したいと心の中で煮えくりかえった。
しかし保護者でもない人間がそんな騒ぎを起こすのは祖父と二人暮らしの小さな「家庭」には迷惑なことだとも自分で
分かっていた。

「丹下のおっちゃん。」
れいなはこの土地で数少ない知り合いの名前を呟いた。

丹下は破れたジャージの膝から除く赤い傷を見てますます悲しくなった。
膝から除く「赤色」はこの少女のわずかながらの小さな「抗議」のように見えてならなかった。
丹下はかける言葉もなく立ちすくんだ。

「・・・・・。」

れいなはまた「焼鳥屋」に向かって歩き出した。

151 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 20:09:48 ID:soZuBQRt0
夜の焼鳥屋は労働者達でにぎわっていた。大体の労働者が地方から出稼ぎ組であった。
家族から離れて働く労働者達は弱い物同士寄り添って家族に会う日を夢見ながら日々を送っていた。
労働者が主のこの店は2200には閉店である。

閉店間近に大きな陰が店に入ってきた。
「なんじゃ丹下もう閉めるぞ。」
「少し話があるんだよ、れいなちゃんの事で。」
八名は手が止まった、帰宅したれいなの暗い顔と何を聞いても答えない孫娘の顔が浮かんだ。
八名はコップを二つカウンターに置き焼酎をお湯割りで作った。二人は黙って熱い焼酎を一飲みしてコップを置いた。

「れいなちゃん、イジメられてるな。」
「やっぱり、そうか?」

丹下は河川敷の土手で見たれいなを八名に話した。
八名は一気にコップを空けてもう一杯作り出した。
今時の学校や世相に今更ついて行けない八名は自分で自分を恨んだ。
考えてもしょうがないでは済まないことも分かっていた。
娘の「娘」を幸せにしてあげたい・・・・・。

152 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 20:12:01 ID:soZuBQRt0
「なあ、あれをやる時代では無いんだが、あの子に守れる力をつけてやらないか。」
丹下もコップを空けていた。

「まさかわしとお前がしてきた道を・・・・・。」
丹下は焼酎の瓶をつかみもう一杯作り出した。
「お互い長いつきあいで歳も取った、すっかり年寄りになっちまったが。」
「確かに青春はあった。」
コップを置き丹下は、
「お互いやってこれたのは負けん気だけだよ。」
何不自由しない今から遙かに時代をさかのぼり過去から語るように丹下は言った。

「歳をとっても心だけはまだ折れていない。」

八名はもう自分たちに今の世相を乗り越えるのは古い「根性」と言う物しかないと決めた。
「丹下、れいなを頼む。」
親友同士は少年のように顔を見合わせコップを空けた。
今時の世相に翻弄される八名は少し希望を感じ、笑みが出た。

「折れない心。」
「れいな・・・・・。」

153 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 20:13:37 ID:soZuBQRt0
次の日の朝れいなは、八名が止めるのも聞かず穴の開いたジャージを着て登校した。
登校する前に八名は、
「今日丹下がお前に教えることがあるので丹下の所に寄ってこいよ。」と言った。
れいなは登校して何事もなく午後の授業が終わり帰宅しようとした頃、三人グループが現れた。

「田中、慰謝料持ってきた?」
れいなは黙っていた。
「お前何とか言えよ!」
そばかす顔がれいなを突き飛ばした。
教室にはまだ数名居たが、とばっちりを食うのが怖く黙っていた。
亀井絵里もその一人だった。

「明日から楽しませてあげるよ。」
3人グループは立ち去った。

れいなは起きあがりランドセルをしょって帰宅した。
絵里は罪悪感でれいなには近づけなかった。

154 :ミヤビイワナ:2006/10/02(月) 20:16:10 ID:soZuBQRt0
帰り道の河川敷の土手でハッピ姿の丹下がれいなを待っていた。
「れいなちゃんお帰り。」
この男の魅力である大きな笑顔が近づいた。
「今日はおっちゃんと運動をしてみないか?」
「・・・・・。」
運動などここしばらくやっていなかったし、特に趣味でやっているスポーツもなかった。
れいなは頷き丹下について行った。
「どうせやることもないし・・・・。」
丹下は屋形船の船着き場にれいなを連れて行った。
船着き場に大きな倉庫があり、そこで船を修理したり塗装をする作業スペースがあった。
ちょうど学校の体育館くらいの大きさである。
天井は鉄骨がむき出した作りになっていて、むき出した鉄骨に茶色い「みの虫」のようなものが
ぶら下がっていた。
「サンドバック」である。
「今日からボクシングをやってみないか?」
わくわくした少年の目をして丹下はれいなに言った。
「・・・・・。」
「強くなってみないか?」
そばかす顔を思い出しながら自分が拳を放つ想像をした。
れいなは深く頷いた。

155 :ねえ、名乗って:2006/10/03(火) 00:12:44 ID:Tb0ZH2na0
新作乙です!!
イワナ氏期待させてくださいね!スポ根モノは自分大好きですから!

156 :松輝夫:2006/10/03(火) 02:52:18 ID:YMu3jfVHO
イワナ氏新作

キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!

おまけに亀ちゃんまで出てくるとわ。推しとしてはイッパイ期待しちゃいます。

しっかし、自分も負けてらんないぞっと。近いうちに続きを挙げます。

千奈美に、さゆも出るの☆カナ?

157 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 13:37:43 ID:EG7hN4BV0
>>133
任されました。
自分の迷いをあまりぐちゃぐちゃ書くのもアレなんで「彼女達」に任せ大暴れさせます。
しかし彼女達を自分は止められないので不快な点は許してあげて下さい。
「旅の空」はどんな色でしたか。
>>41
誤字
「こんな青色見た来ない。」 ×
「こんな青色見た事ない。」 ○
>>150
誤字
丹下は破れたジャージの膝から[除く× 覗く○]赤い傷を見てますます悲しくなった。
膝から[除く× 覗く○]「赤色」はこの少女のわずかながらの小さな「抗議」のように見えてならなかった。

3人グループのリーダーを
 ニキビ顔
ソバカス顔
と書きましたが、ニキビ顔にします。

O型の自分はやはり大ざっぱだな。
みんなすみませんでした。

>>150
もちろんです☆。
第3話からなのでまだまだ先ですが。

仕事で徹夜明けですが年末までギュウギュウなので気合い抜かずがんばります。
来週ちょっと休めるので書きためたいなと。

それじゃ後編へ

158 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 13:39:38 ID:EG7hN4BV0
『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知り。

第1話『折れない心(後編)』

まずは縄跳びから丹下が手本を見せた。
小学校で遊ぶ縄跳びとは明らかに違った。とにかく早い回転であり、着地は両足でせず片足を左右交互に着地していた。
飛ぶ高さも一定で体全体が上下していないように止まって見えるほど一定のリズムだった。
丹下は縄跳びをれいなの身長に合わせてから手渡した。握った縄跳びのグリップには飛んだ回数が分かる3ケタのカウンターが
付いていた。
丹下は大きなラジカセみたいな箱を畳1畳分くらいのテーブルのような鉄の作業台に乗せ電源を入れた。
大きなデジタル時計のディスプレイが赤く光り「3:00」と映し出された。
「それじゃ始め。」

「カーン」、ゴングの音が鳴った。
ディスプレイのデジタル時計が動き出し「2:59」1秒ずつ刻みだした。
れいなは夢中で縄跳びを始めた、緊張して慌てるのか3回飛んだらすぐ足にひもが引っかかった。

「0:00」
「カーン」
3分の終了を伝えるゴングが鳴った後ディスプレイは「0:59」を表示して同じように1秒ずつ刻みだした。
1分間のインターバル(休息)である。
れいなは息を切らせていた。

「3分間、なわとびってこんなにきついとぉ」
3分間を1ラウンドと言って1分休んだらまた3分間。

159 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 13:42:04 ID:EG7hN4BV0
「あと2ラウンド飛ぶんだよ。」
丹下はニコニコして言った。

なんとか縄跳び3ラウンドが終わった。
次は基本姿勢を教わる。体をなるべく横に反らして「半身(はんみ)」にして両拳をアゴを守るように構える。
腰を少し落として足をするように前進する。決して歩くのではなく滑るようにゆっくり確実に「踏み込む」。
その踏み込みを3回やったら3回目に5回上下に小さく跳ねる。この動作を倉庫の端から端までを使い3分間実施する。
丹下は手本を見せる。
大きな体が岩のようにしっかりアゴを守る姿勢を作り、滑るように前進して行く。

「これは大事な基本姿勢だから3ラウンドやるよ。」

れいなは真剣な顔で確実に教わった構えを練習していた。

次は左の使い方だった。
先ほど習った基本姿勢で一歩前進すると同時にアゴに寄せている左拳をまっすぐ伸ばして拳を打ち込む。
いわゆる「ジャブ」と言う動作だ。
3回やったところで3回上下に小さく跳ねる。
丹下が手本を見せる。
左拳を打つ度に風を切る音が倉庫に響いた。

160 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 13:43:35 ID:EG7hN4BV0
次は右の使い方だった。
先ほどの「ジャブ」の最後に左拳がアゴに戻った瞬間に右拳を打ち込み、3回上下に小さく体を跳ねる。
「ワン    ツー     スリー」
丹下はかけ声をかけた。
「ワン    ツー     スリー」
れいなは呟きながら、2ラウンドやり終えた。

丹下は倉庫の端から古い姿見用の鏡を引きずり出してきた。ローラーの音が「カラカラ」倉庫に響いた。
丹下は鏡の前でゆっくり左右を一度づつ打ちその場で3回上下に跳ねた。
れいなも同じように鏡の前で拳を交互に打ち出した。
鏡に写る自分を見て不格好なフォームと思い、丹下のようにきれいな直線と上体の構えをイメージしながら
打ち込んだ。
「シャドーボクシング」を2ラウンドやり終える。
丹下はシャドーをやり終えたれいなに黄色い合成革で出来た作業用手袋を渡した。
「子供用のボクシンググローブが無いのでこれでしばらく代用するからね。」
れいなは黙って手袋をつけた。
丹下は赤いパンチングミットを手につけていた。
「さあ、3分間わしのこのミットに拳を打ってみようか。」
「カーン」機械からゴングが鳴った。
れいなのただでもキリリとした目が鋭さを増した。
ゆっくりミットを片手で出す丹下に合わせ先ほどの左右を打つ。
「パスッ、パスッ」間の抜けた音が響いた。
「れいなちゃん、もうちょと距離を取って打ってみようか、今はちょっと近いから一歩離れて打ってごらん。」
丹下の無駄のない的確な指導が入る。

161 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 13:46:10 ID:EG7hN4BV0
れいなは距離を取り直して打ち込んだ。打ち込む瞬間丹下はミットを素早く加速させてれいなの
拳を受け止める。
「パーン」ミットは高音を倉庫に鳴り響かせた。
ミットの受け方でヒッティングの音は変わる、上手いトレーナーはこの音を出す事で選手に自信を持たせる。
れいなは自分でも信じられなかった、こんなに体が動くことを。
まるでテレビで見た戦隊ヒーローの様に飛び回り拳を打っていることが。
わずか数ラウンドの基本だけでれいなは拳を打つ術を知った。
2ラウンドのミット打ちが終わった。
さすがにれいなは疲れた。ただ基本フォームやシャドーだったら空打ちなので打ち抜く力が要らず負担がない。
しかし心地良い疲れだった。出来ればもっと強いヒッティング音を出したいと思っていた。
「さあ、れいなちゃんサンドバックを打ってみよう。」
丹下は年季の入ったサンドバックに向かった。
「鏡の前でやったシャドーの様に左右を打ってみよう。」
れいなはゆっくり左右を打っていた、その内に自分で距離を取って「ワン、ツー、スリー」の
コンビネーションを打っていた。
この子は応用が早いな・・。丹下は感じていた。

162 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 13:56:07 ID:EG7hN4BV0
れいなは距離を取り直して打ち込んだ。打ち込む瞬間丹下はミットを素早く加速させてれいなの
拳を受け止める。
「パーン」ミットは高音を倉庫に鳴り響かせた。
ミットの受け方でヒッティングの音は変わる、上手いトレーナーはこの音を出す事で選手に自信を持たせる。
れいなは自分でも信じられなかった、こんなに体が動くことを。
まるでテレビで見た戦隊ヒーローの様に飛び回り拳を打っていることが。
わずか数ラウンドの基本だけでれいなは拳を打つ術を知った。
2ラウンドのミット打ちが終わった。
さすがにれいなは疲れた。ただ基本フォームやシャドーだったら空打ちなので打ち抜く力が要らず負担がない。
しかし心地良い疲れだった。出来ればもっと強いヒッティング音を出したいと思っていた。
「さあ、れいなちゃんサンドバックを打ってみよう。」
丹下は年季の入ったサンドバックに向かった。
「鏡の前でやったシャドーの様に左右を打ってみよう。」
れいなはゆっくり左右を打っていた、その内に自分で距離を取って「ワン、ツー、スリー」の
コンビネーションを打っていた。
この子は応用が早いな・・。丹下は感じていた。

163 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 13:58:49 ID:EG7hN4BV0
サンドバックを2ラウンド打って、丹下はれいなに鏡の前で戦う相手をイメージしてシャドーを打つことを
指示した。
れいなは規則的な基本動作を応用させて一方的に打つシャドーをしていた。
シャドーは2ラウンドで終了した。
最後に2ラウンド縄跳びをさせてトレーニング終了である。
れいなは全身から汗が噴き出してジャージの手首から汗がしたたり落ちていた。

「今日はここまで、明日も同じ事をするからね。」

「おっちゃんありがとう。」
れいなの鋭い目に笑みが写った。
(もしかして、向いているのか?)
丹下は正直嬉しかった。
「れいなちゃん、じいちゃんが着替え持ってきたから、そこの奥の更衣室で着替えな。」
丹下は真新しい肩から下げられる大きな黒いスポーツバックをれいなに手渡した。
(じいちゃんが?)
れいなは更衣室でバックを開けるとタオルと真新しい黒いメーカー物のジャージが入っていた。
その下に包装ビニールに入ったままの黒いTシャツとボクサータイプの男性用パンツが入っていた。
八名が少女の下着など恥ずかしくて買える訳がなかったが下着を用意したかった為ボクサーパンツだった。
れいなは黒で統一された衣服をとても喜んだ。
れいなは帰宅した。
八名が店の仕込みで取り串に具を刺していた。
「おうお帰り。」

れいなの黒いジャージ姿がとても格好良く八名は嬉しかった。
「じいちゃんありがとね。」
れいなは2階に上がってグレーのスウェットに着替えた。大事なジャージはトレーニングに使おうと決めた。
れいなは急に空腹になった。今まで時間になったら近くのコンビニで適当な弁当やパンを買っていた。
父親と暮らしていたときは10歳でたいがいの家事はこなせていた。
父が亡くなってからは食べる気力も無くなっていた。いくら祖父が語りかけても、自分でもどうしようもない
ほど気力が出なかった。

164 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 14:12:53 ID:EG7hN4BV0
「じいちゃん台所にある魚の煮付け食べていいとぉ。」
れいなは居間の丸いちゃぶ台に煮付けを鍋ごと持ってきて、どんぶりによそったご飯を食べていた。
O型気質である。
八名はびっくりした、れいなが意思表示していることと自分が作った田舎料理を食べる事に。
八名は納得がいく食卓などあきらめていた。昔ながらの丸い茶色いちゃぶ台で食事をするなど無理だと。
れいなはここに来てから一人でコンビニの弁当を2階でしょうがなく食べていた。
居間から店に顔を出してカウンターで焼き鳥を焼いている祖父の所に行き、
「焼き鳥食べていいとぉ。」
この家に来て初めてれいなが焼き鳥を食べてくれる。
れいなは今日のトレーニングで2キロぐらいの汗をかいている。水分と塩分を欲しがるのは当然だ、
なんと言っても成長期である。
八名は思い出していた食べ物屋をやる楽しさを人を喜ばすことを。
れいなは6本食べて風呂に入るため居間に入った。
9時にはぐっすりれいなは眠っていた。
朝目が覚めたれいなは体の異変に気づいた。体中が筋肉痛なのは分かるが、腕の曲げ伸ばしがひどく痛かった。
腕の関節部分の筋肉痛である。ボクサーを目指す者が一番最初に受ける試練である。
特にれいなは丹下という名トレーナーの超最速トレーニングで一日で基礎をマスターするくらいの
ハードトレーニングを受けたのである。
2階から降りてれいなはちゃぶ台にすわりボーとしたが食卓にあがった目玉焼きとウィンナー炒めを見たら
食欲がわいてきた。

165 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 14:15:36 ID:EG7hN4BV0
昨日までの家庭ではない、れいなはいつも時間ギリギリまで起きず、朝ご飯も食べないでいた。
八名の思い描く「家庭」がささやかに始まった。
八名がみそ汁の鍋を持ってきてみそ汁をつぎだした。れいなはご飯をよそろうとしたら腕から痛が走った。
八名はニヤニヤして、
「一番最初に来るのじゃよその痛みは。」
八名はれいなからしゃもじを取ってご飯をついだ。
「お前の拳を支えるため腕も強くなろうとしているのじゃよ。」
れいなは腕をじっと見つめて腕に呟いた。
「ありがとう。」
この家に来てからまともに食べたみそ汁は絶品だった。魚の「あら汁」だった。
一口飲むと口の中で潮の臭いが広がり寝ぼけた頭がすっきりしていった。
考えてみたら「プロの食堂」に住んでいる事を思い出した。
「じいちゃん料理おしえてね。」
八名はただニコニコしてうなずくだけだった。

166 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 14:17:49 ID:EG7hN4BV0
れいなは相変わらず学校で孤独だった。教室の休み時間などは3人グループに「ネギ臭せー」とみんなが
居る前でバカにされた。
れいなは別にしらんフリでいられた、「ボクシング」があるからだ。
ただ亀井絵里だけは暗い顔でうつむいていた。
(じいちゃんのネギ串は最高とぉ。)
あまりのニキビ顔の同じ単語の連呼にあきれながら、のんきに
(帰ったら焼き鳥食べよー)と考えていた。
教科書を眺めながらぼーっと考えていた。
最近れいなは教科書の文を読んだり、数式を解くのも前より集中出来た。
ここ2週間近くボクシングをやっているため有酸素運動の効果が出ているのだ。
酸素を多く含む事により脳に集中的に酸素を供給して活動を活発にする。
それに加え良質の食事。白米は口で噛むことによって糖分に変わり長持ちする
エネルギーに変わる。脳がエネルギー源にしているのは糖分である。
放課後れいなに絵里が近づいてきた。
「れいなちゃん、いつも助けられなくてごめんね。」
「・・・・・。」
「れいなに関わると絵里ちゃんもイヤなことになるとぉ。」
れいなはいつもと同じように一人で帰宅した。
絵里はその後ろ姿を見送りなんてたくましいのだろうと感心して
「友達になりたい・・・。」
と思った。
絵里はれいなが思うより思い詰めていた。

167 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 14:19:43 ID:EG7hN4BV0
祖父にただいまを言った後、黒いジャージを着てれいなは丹下の所に行っていた。
れいなはボクシングをするようになって髪が邪魔と思い「ポニーテール」に縛った。
もともとキリリとした目は益々「キリリ」と見えた。
れいなはこの数週間で相手が打ってくる拳を払う術も丹下から教わった。
ミット打ちをしている時、れいなが拳を打ちアゴに戻る瞬間に丹下がミットを大きく振ってれいなにゆっくり
打ちつける。その瞬間を目で追い左で払って右を打つ「技」も身につけた。
いつものように一通りトレーニングが終わってれいなが帰る時、丹下が呼び止めた。
「れいなちゃん、ここでのトレーニングも今日で最後なんじゃよ。」
「実は明日から船の塗装作業がここで始まるでの。」
丹下は申し訳なさそうに続けた。
「サンドバックは明日八名の家の庭に屋根をつけて吊すからの。」

「それから。」
丹下は真面目な顔で言い出した。
「もうれいなちゃんはボクシングを覚えた、ふつうの人より強い。」
「何も武器を持たない人を殴ったりしたら絶対にいけない。」
れいなは顔をふせた。
「だけど守るものがある時はすこしだけ使っていい。」
れいなは顔をあげた。
「特に同じクラスメイトには気を使ってお腹を少しだけ叩きなさい、
いくら腹が立ってもこれだけは守ってくれ。」
丹下はれいなが学校でどういう立場にいるかを知っているのだろうなと、れいなは思った。
「それと、デコピンをして許してあげなさい。」

「愛のゲンコツ、ラブナックルじゃよ。」

丹下は大きく笑った。

168 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 14:21:51 ID:EG7hN4BV0
次の日の放課後。
いつものように3人グループがれいなにからんできた。
「田中、あたし達今日忙しいから掃除当番あんたやってくんない。」
「ネギ臭いから掃除してきれいになりな。」
「ガタン」
机から勢いよく立ち上がったのは絵里だった。
「あんた達いいかげんにしなよ、先生にいいつけるからね。」
3人グループはにやにやしながら、
「あんた、田中が来てからイジメられなくなって良かったのに、またイジメられたいの。」
絵里はれいなが来る前にクラスでイジメにあっていた。
絵里は震えながらも抗議をしていた。
れいなと友達になりたかった・・・・・。

169 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 14:38:18 ID:EG7hN4BV0
「はぁ〜あ。」
れいなは立ち上がり、
「やっさうるさいとぉニキビ顔。」
ニキビ顔は引きつっていた、一番気にしている事だから。
ニキビ顔はれいなに飛びついたその瞬間れいなは上体をそらしただけでかわした。
かわされたニキビ顔は逆上してれいなの襟元をつかもうとしたが左手であっけなく払われた。
「テメー」
れいなに近づいた瞬間れいなの右腕が「L字」型を作ってニキビ顔の腹に打ちつけられた。
ニキビ顔は一瞬で動きが止まり腹を押さえたまま両膝をついて体を「くの字」にして座り込んだ。
痛みをこらえながら呼吸を整えていた。
れいなは片膝をついてニキビ顔の正面に座り込み右手を顔の前に素早く突き出した。
ニキビ顔は目をつぶるしかなかった。
クラスメイト全員ニキビ顔が当然殴られると思った瞬間だった。
「ビシッ!」
ニキビ顔はおでこがジンジン熱くなるのを感じた。
突き出された右手は彼女の額にデコピンを放っていた。
どちらにしてもびっくりしたニキビ顔は正面のキリリとした目を見つめた。

「弱いもんイジメしたらいかんとぉ。」
ニキビ顔はぽかんとしていた。
「じいちゃんのネギ串うまいとぉ。」
絵里は本当にれいなが好きになった。
「こんど食べてみ。」
れいなは笑った。

昨年の話だった・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

170 :ミヤビイワナ:2006/10/04(水) 14:40:22 ID:EG7hN4BV0
土手を歩くれいなの後ろ姿を見ながら絵里は昨年の出会いを思い返していた。
もう学校の正門が見えてきた。

「れいな、部活動やるの?」
「女子ボクシング部あるかな。」

「ないよ。」

桜吹雪が中学校の正門でたくさんの新1年生を迎えている。

171 :ねぇ、名乗って:2006/10/04(水) 14:51:07 ID:4IEE4lZ/O
ふぁぁ読んだよ!
イワナ氏お仕事の合間によくこれだけのモノが書けますなぁ・・・驚愕!
デコピンの下り最高でした!なんか余韻がぬけません
あんまり無理せずに続編松輝夫!

172 :ねぇ、名乗って:2006/10/05(木) 23:32:40 ID:YPi3u02k0

>>141
先日は楽しい時間をありがとうございました。帰りはクタクタだったんじゃないかとw
そして肝心な続きですが、考えても一向にアイディア出ず…
これ以上お待たせするのもなんなので一度バトンお渡しします。
教室話もう限界♪ ダメですわ…体育祭の話の中に上手く参加出来たらいいけど…
待たせた挙句に放棄とは、ほんとごめん。新作楽しみにしています。

>>142
先日はお疲れ様でした。千奈美との握手どうでしたか?緊張しました?
周りの席の人と話してたらいつの間にか握手終わってたみたいで拝見できずw
またどこかの会場でお会いしましょう。

>>156
続き待ってますよー
桃子の出番?新たな人物?気になるなぁ〜w

>>157
いや〜読みました!丹下のおっちゃん出演は嬉しい!
GyaOで『あしたのジョー』を見て、勢いで登場させた人物でしたが
自分の物語の中でも彼は重要なキーポイントになりそうです。
motoGP観戦→福島→山形→新潟。毎年お決まりコースのバイク旅も今年で3年目。
ベリの曲もレーシングマシンの爆音も勿論良いけど
一人ぼっちのキャンプ場で聴く木々を揺らす風の音ってのもなかなか良いものです。


しっかし小説ストッパーになってほんと申し訳ない。皆さんの続編に期待っす!

173 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:40:19 ID:kYhm1DltO
3年B組ベリーズ工房 オーディション編番外「夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜」

act.2 決意-Decision-

ゴールデンウィークも終わり、再び小春は忙しくも充実した中学校生活に戻っていった。
また美貴とはなかなか会えなくなってしまったが、メールは頻繁にやり取りしていたし、たまには電話もしたりしていたので、会えなくても寂しくはなかった。
初めて経験する中間テストに期末テスト、さらに小春の13回目の誕生日も過ぎると、一学期は文字通りあっという間に終わり、やがて夏休みがやってきた。
そんな7月の終わり、小春は久しぶりに美貴の部屋にいた。
美貴と会うのは小春の誕生日以来だった。

「ねえねえ、この通販の箱、何で開けないの?」
腰を下ろした小春が、部屋の片隅においてある箱を指して聞いた。
「ああ、それ?去年の冬にセーターを通販で買ったんだけど、姉貴が同じの買っててさ」
「あらら」
「色まで一緒でさ、さすがに着られないし、でも捨てるわけにもいかなくてそのまんまってわけ。しっかし、あぢ〜〜〜」美貴は完全にへばったという風で、団扇を扇いでいる。

174 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:41:52 ID:kYhm1DltO
今日の空は、雲一つなく晴れ渡り、悪いことに全く風もない。
夏の太陽が、その存在をアピールするかのように、これでもかと照りつけてくる。
美貴がへばるのも無理はなかったかもしれないが…
「お姉ちゃん、そんなだらしない格好で…」
「いいんだよ、どうせ誰も見てないし」
「でも、普段からそんなことやってると、他の人の前でもやっちゃうよ?」
「…ったく、口うるさいやつだなぁ。ウチの母さんみたいだぞ」
そのとき、ドアが開いた。
「…誰が口うるさいって???」
「か、母さん…」
「ほら、冷たい飲み物持ってきてあげたわよ」
美貴の母は、手に持ったお盆からコップを二つ、机の上に置いた。
「ったく、アンタお姉さんなんだから、小春ちゃんの前であんまりみっともない真似するんじゃないよ?」
「わかってるよぉ…」
さすがの美貴も、母親には頭が上がらないらしい。
「小春ちゃん、いらっしゃい。ゆっくりしてってね」
「はい!ありがとうございます」
美貴の母はドアを閉めると、階段を下りていった。

175 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:43:31 ID:kYhm1DltO
「は〜、生き返るわ」
美貴はコップの麦茶を一気に飲み干した。
「ところで小春さ、ゴールデンウィークに渋谷に行ったときに会ったよっちゃん、覚えてる?」
「吉澤さんでしょ?覚えてるよ」
美貴は空になったコップを玩びながら言った。
「昨日連絡があってさ、美貴が受けるオーディション見つけてくれたんだけど、一緒に小春が受けられそうなのも一つ見つけてきてくれたんだ」
「え?」
「どう?受けてみない?」
「う〜ん…」
小春は迷った。
正直言って、興味はある。
「明日、予定空いてない?」
迷っている小春に、美貴が尋ねた。
「どうして?」
「明日、秋葉原に行くんだ。よっちゃんの働いてる店で話を聞こうと思って。だから、小春も一緒にどうかなと思ったんだけど」
話自体にはとても興味がある。
それに、小春はまだ秋葉原に行ったことがない。
電気製品がなんでも揃うとか、オタクの街だとか、世間ではそう言われているがまだ実際に行ったことがない。
とりあえず話を聞くだけでもいいだろうし、秋葉原に行けるだけでもいいかな、小春はそんな風に考えた。

176 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:45:07 ID:kYhm1DltO
翌日の昼前、昨日同様晴れ渡った空の下、二人は秋葉原にいた。
JR秋葉原駅の外に出て、小春はあまりの人の多さに驚いた。
原宿や渋谷も人通りが多いが、ここも負けていないだろう。
ただ、歩いている人たちの層はぜんぜん違うけれど。
「時間あるし、少し遠回りして歩いてみようか」
美貴の言葉に小春は頷く。
二人は昭和通を上野方面に向かって歩き出した。
初めて見る秋葉原の町は、人と音と映像の洪水で溢れていた。
「すごい賑やか…」
「夏休みってのもあるけど、いつもこんな感じだよ。再来月にはヨドバシカメラもできるし、もっと賑うんじゃない?」
表通りから裏通りに入ると、今度は怪しげなパーツ屋が軒を並べていた。
物珍しげに見ている小春をおいて、美貴はどんどん先へ歩いていく。
「ちょっと、お姉ちゃん待ってよぉ。歩くの速過ぎ〜」
「ちゃんとついてこないとおいてくぞ?」
「お姉ちゃんのいじわる〜!待ってよぉ」
やがて、美貴はあるビルの前で立ち止まった…と思ったのも束の間、美貴はすぐに階段を上っていく。
小春も慌てて追いかけた。

177 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:46:33 ID:kYhm1DltO
ビルの五階にある楽器店に美貴は小春を従えて入っていった。
「よっちゃん」
美貴が呼びかけた。
「おっ、よく来たね!」
ひとみが手をあげた。
「こんにちは」
小春がちょこんと頭を下げる。
「小春ちゃんも来たということは、例の話、乗り気なのかな?」
「う〜ん、かなり迷ってるんですけど…」
「もうじきお昼の休憩なんだ。お昼食べながら話そうよ。給料もらったばっかだし、今日は旨いラーメンでも奢っちゃうよ?」
三人はビルの外に出た。
「この前見つけた店なんだけど、ホント旨いんだわ。もう何回行ったかな。」
ひとみが熱く語る。
「へ〜、じゃあイッパイ期待してもよさそうだね。」
と美貴。
楽器店のあるビルから少し歩いて、すぐに目的の店に着いた。
店に入ると、すぐにテーブルに案内された。
「ラッキーだね。いつも並んでるからだいたい待たされるんだけど」
席に着くとひとみが言った。

178 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:52:56 ID:kYhm1DltO
「で、例の話なんだけど…」
店員に注文した後、まず美貴にオーディションの説明をする。
美貴との話はすぐに終わり、次にひとみはは小春に一枚の紙を差し出した。
「これなんだけど、よかったらとりあえず受けてみるだけ受けてみたら?」
「う〜ん…」
「一回受けてみたらいいじゃん。いい経験になると思うよ?ミラクルが起きる…かどうかはわかんないけどさ」
美貴が言った。
小春は渡された紙を見てみる。
『新人タレントオーディション タレント・モデル・アイドルなど幅広く募集』
「まま、今すぐ決めるのも難しいと思うし。その紙あげるから、まだ日にちもあるしじっくり考えてみるのもいいかもね」
「じれったいなぁ…」
「まあ、ミキティみたいに何の考えもなしに突っ走るよりはいいかもよ?」
「ちょっとよっちゃん、何それ?」
「まあまあ。おっと、ラーメン来たみたいだよ」
店員がどんぶりを三つ、お盆に載せてこちらに歩いてくるのが見えた。

179 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:54:52 ID:kYhm1DltO
「いただきま〜〜〜す」
店の自慢は塩らしいが、ひとみが注文したのは味噌ラーメンだった。
見た目は濃厚なスープは、すすってみると意外とさらっとしていて、甘みを感じる。
「どうよ?」
ひとみが聞いた。
「いけるね、なかなか」
「でしょ?」
美貴とひとみの会話を聞きながら、小春はオーディションのことを考えていた。
確かに、いい経験になるかもしれない。
ミラクルが起きる可能性は極めて低いかもしれないけど、自分で動かなきゃ何も始まらない。
「やって…みようかな」
小春は呟いたが、ひたすらラーメンに夢中になっている二人には聞こえていないようだった。
自分の決意を二人に打ち明けるのは後にするとして、小春も、まずは目の前のラーメンを片付けにかかった。

180 :松輝夫:2006/10/05(木) 23:58:09 ID:kYhm1DltO
「食った食った。よっちゃん、ごちそうさま」
「吉澤さん、ごちそうさまでした。すっごくおいしかったです」
「喜んでもらえてよかった。また機会があったら他の味も試してみるといいよ」
小春が二人に自分の決意を打ち明けられないまま、店を出て話しながら歩くうちに、三人は楽器店のあるビルの前に着いた。
「じゃ、これからまた仕事があるから今日はこの辺で」
「うん、じゃあ、よっちゃんまたね」
「小春ちゃん、また良かったら遊びおいでよ。色々案内してあげるから」
「はい!いろいろとありがとうございました」
「オーディションの話、もしその気になったらミキティに言ってくれれば、あとはこっちでやるから。それじゃ」
ひとみは階段を駆け上がっていく。
「結局言いそびれちゃった…」
その後姿を見送りながら小春は小さく呟いた。
「ウチらも帰ろっか」
「うん」
小春は、美貴の後について歩き出した。
「ねえ…」
少し歩いた後、ようやく意を決して小春が美貴に話かけた時、美貴が急に立ち止まった。
かと思うと、急に勢いよく走り出す。
「お姉ちゃん?ちょっと、待ってよぉ」
小春は慌てて追いかけた。

181 :松輝夫:2006/10/06(金) 00:01:20 ID:pB2HIo/DO
「中澤さん!」
走りながら、美貴が呼びかけた。
『中澤さん』と呼ばれた女性が驚いたような表情で振り向く。
「美貴じゃないの。どうしたん、こんなところで」
「友達と会ってきたんです。中澤さんこそ、仕事ですか?」
「ああ、ちょっとな」
そこへ小春が追いついてきた。

182 :松輝夫:2006/10/06(金) 00:02:47 ID:pB2HIo/DO
「紹介するよ。美貴が昔お世話になった警察官の中澤裕子さん」
「美貴、この娘は?」
裕子が美貴に尋ねた。
「美貴の妹分です」
「あの…えっと、久住小春といいます」
「小春ちゃんね。警視庁広域特別捜査隊所属(※)、中澤裕子です。よろしく」
「はあ…」
「あれ?中澤さん、勤務先変わったんじゃないですか?前と違うような…」
側で聞いていた美貴が裕子に聞いた。
「そう。犯罪の広域化・多様化に対応するために最近警視庁に新しくできた部署でね。少年課から異動になったの」
「難しい話はよくわかんないけど、なんかすごいじゃないですか!」
「そんなすごいってもんじゃないし、仕事は大変だけどやりがいはあるよね。」
二人を見ているうちに、小春は、裕子に対する美貴の態度が普段見せるそれとは全く違うと思った。
美貴がそう簡単に他人に心を開かないことを小春は十分わかっている。
でも、裕子に対する美貴の態度は、完全に信頼しきって心を開いている感じだった。

183 :松輝夫:2006/10/06(金) 00:06:33 ID:pB2HIo/DO
「裕ちゃ〜ん、お待たせ。」
三人であれこれ話しているうちに、一人の女性が歩きながら声をかけてきた。
「同僚の方?」
「そそ、紹介しとくわ。同期の稲葉貴子巡査」
「裕ちゃん、この娘たちは?」
貴子が尋ねた。
「まあ、ちょっとした知り合いとその妹分、かな」
「えっと、藤本美貴です。中澤さんには以前からお世話になってます。こっちは妹分の…」
「久住小春です」
美貴と小春はそれぞれ名乗った。
「ああ、それじゃ、前の署の少年課にいた時の…」
「そういうこと。それより美貴も元気そうで良かった。まあ、もし何かあったらいつでも相談に来てや。新しい連絡先も教えとくわ」
裕子は、メモ帳に連絡先を書き込むと、ちぎって美貴に渡した。
「はい!ありがとうございます」
「じゃ、あっちゃん、そろそろ行こうか」
裕子と貴子は二人に手を振ると歩き出した。

184 :松輝夫:2006/10/06(金) 00:07:53 ID:pB2HIo/DO
裕子と貴子の後姿を見送った後、小春と美貴も、駅の方向に向かって歩き出す。
「中澤さんはさ、美貴が荒れててどうしようもなかった頃、色々と面倒を見てくれた人なんだ」
「へぇ…」
「あの頃の美貴にまともに接してくれた人って、うちの家族と小春や小春のおじさんおばさん以外ではあの人だけだった。おかげで、何とか高校まで出ることができたし、美貴の恩人なんだ」
「そうだったの」
美貴が小春に昔のことを話したのは、たぶんこれが初めてだっただろう。
小春は、美貴が荒れていた頃のことはあまり詳しくは知らない。
小春の知らないところで、きっと美貴にもいろんなことがあったのだろうが、それを知り、理解するにはさすがにまだ小さすぎたから。

185 :名無し募集中。。。:2006/10/06(金) 00:08:49 ID:fV9PG1PpO
更新乙です!
小説 物語って、たった一つの伝えたい事に100以上もの部品を付けていく困難な作業です
松氏の伝えたいことはなんだろう?
ほのぼのした文章から必死に読み取れたらなぁておもいます
松氏の作風キライじゃないよ!では続編 松輝夫!

186 :松輝夫:2006/10/06(金) 00:11:01 ID:pB2HIo/DO
「ところで、さっき何か言いかけてたよね。なんだった?」
美貴に言われて、小春も思い出した。
「うん…オーディションのことなんだけど…私、やってみようかな、と思って」
「おっと?ついにやる気になったか」
「うん…」
「頑張れよ!まあ、難しいとは思うけどさ、何も始めなきゃ何も起こんないもんな」
「うん。頑張ってみる」
小春は、そうは言ったものの正直、不安だった。
「ま、なるようになる☆カナ」
自分にやれるところまでやってみよう、それでダメならその時はその時だ。
「まだ時間あるし、どっか寄ってくか」
「うん!」
美貴の言葉に小春は頷くと、美貴の後について歩き出した。
二人の姿は、やがて秋葉原の人波の中に消えていった。

act.2 決意-Decision- end
※=某テレビ局の刑事ドラマからパクリました。実際には存在しないそうです。

187 :ミヤビイワナ:2006/10/06(金) 06:58:01 ID:om6XAQ0c0
>>171
読んでくれて有り難う御座います。
書き手に取って感想を頂くのは何にも代え難い報酬です。
自分も書いていてデコピンの下りはれいながよく頑張ったと思っています。
>>172
東北の旅ですね。木々の音、静かな夜を楽しんだんでしょうね。

松輝夫さんの世界がどんどん広がってきました。
中澤、稲葉姉さん達渋いですね。物語の骨格表しますね。
ホーク兄妹は運命に翻弄されお互い違う道を選んだけど最後に運命はつながった。
芯が強いお互いがクロスロードを経て成長するする姿期待します。
伝えたいことはぼかさずにストレートに集中して表現したいと自分自信心がけています。
今日から日曜日まで休みなのでちょっと旅に出てきます。

188 :松輝夫:2006/10/06(金) 11:01:37 ID:pB2HIo/DO
>>187
「ラブ☆なっくる!!」いいですね。
自分も、最後のでこぴんのくだりがお気にです。
さゆも出てくるということなので、続編にイッパイ期待したいと思います。
しかし、なんとなくこのタイトルに萌えを感じるのは自分だけでしょうか…。
しかし、前回の北海道に続いて、今度はボクシングとは…引き出しの深さと種類の豊富さには脱帽するばかりです。
中澤・稲葉のハローの長老方は、イワナさんの読みどおり後で重要な場面で出てきます。
今回の話を考えたとき、中澤姐さんは真っ先に頭に浮かんじゃいました。それにしても、なんかイワナさんには完璧に手の内読まれてるようで…絶対にポーカーとかで対戦したくない相手ですね。

189 :松輝夫:2006/10/06(金) 11:04:20 ID:pB2HIo/DO
>>172
東北に行ってらしたんですか。
自分も田舎が米沢でして…この時期の東北いいですよね。
小説って、実際に書いてみて大変さが良くわかりました。
この苦労は実際に何か文章を書いたものにしかわからないでしょう。
ですが、書き終えた時の達成感もまた格別ですね。
また復活されることを期待してお待ちしていますね。
桃子は次の章に出てきますよ。
今までの流れに整合させるために、また過去ログ読み返さないと…。

>>185
いつも読んでいただきありがとうございます。
自分はあんまり深く考えないで書き始めた面もありますが…オーディションの章で佐紀を唖然とさせたほどの小春の覚悟、その背景はどこから来るのかと考えた時、この話が浮かびました。
今はほのぼのとした日常を描いていますが、そのうちシリアスで重くなると思います。
あまり深くお考えにならずに読んでいただき、最後までお見捨てなきようお付き合いくだされば幸いです。

190 :松輝夫:2006/10/07(土) 21:53:04 ID:69bumfq1O
FC限定夏紺ソロDVDのメンバー全員セットを申し込んで\21000也が消えたお…FCの悪徳商法はますますエスカレートしてるような気が…。

次章はオーディション編、ついに桃子登場!
しかし、今までで一番難しいかも…オーディションの部分をどう描けばいいのか。おかげで全然進まない…。
また「恋☆カナ」のPVでも見てアイデア浮かぶのを待つか…。

それから、イワナ氏へ。
高校教師である自分の父は今日明日が文化祭だというので、何やってたか聞いてみましたよ。
やっぱ、文化祭にソーラン節は欠かせないらしい。頑張ってくださいねぇwww
あとは、模擬店でうどん・そば屋、駄菓子屋、焼鳥屋等々。
中学校と高校で違いはあるでしょうが、参考までに。

191 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:28:22 ID:F+EKOKgC0
『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
         八名の親友丹下からボクシングを教わり、ボクシングに熱中。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知りだったがれいなとの出会いで勇気ある
         娘に成長中。
新垣里沙    :隣クラスの優等生。

第2話『拳闘士(バトラー)』

入学式が始まった。
真新しい制服を着た少年少女が緊張しながら椅子に座っている。あたらしい制服のサイズはみんな
成長期なので大きめにしているため妙にぶかぶかしている子もいた。
校長先生の挨拶が終わり、3年生の生徒会長が先輩代表として立派な挨拶をしていた。
次は1年生の代表による挨拶だった。

「1年A組、新垣里沙です。」

体育館の壇上にあがったのはお下げ髪がよく似合う隣クラスの少女だった。
大きなおでこがよりいっそう彼女を賢そうに見せる。
「れいなとは別の世界の人間やろね。」
挨拶が終わり入学式は終了した・・・・・。

192 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:36:11 ID:F+EKOKgC0
れいなは絵里と同じクラスになれた。
絵里は本当に嬉しそうだ、「1年B組」である。
担任の先生は若い女性の先生。
れいなは全く興味がなかった、小学校の時も若い女性の教師だったがクラスのイジメも気づいているのか
いないのか頼りにならなかったからである。
初のホームルームも終わり解散である。

「ねえ、れいな何委員やるの?」
「給食委員しかないなあー」

「給食であまった牛乳飲む気ね。」

正面玄関には入学生の父兄でにぎわっていた。
「絵里、こっちこっち。」
絵里の母親が絵里を見つけて手招きしていた。
その反対側から紋付袴姿の八名が黒いスーツを着た丹下と並んでいた。
「れいなまた明日。」
「バイバイ。」
手を振りながら絵里は母親に向かって駆けだした。

193 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:37:51 ID:F+EKOKgC0
「おお、れいな写真取りに行くぞ」
はたから見たらヤクザみたいな男二人は制服を着た目の「キリリ」とした少女を連れて歩き出した。
商店街にある写真屋で記念写真を3人で撮った。
れいなは笑顔で椅子に座りその左右に八名、丹下とが立っていた。
「もう一枚とるが、れいなポーズをつけてみろ」
れいなは目を鋭く細めて立ち上がりファイティングポーズを取った。
八名と丹下は腕を組んだ。
見つめられる方はいたたまれない視線を浴びる。カメラマンはそそくさと写真を撮った。
商店街に飲食店が多く並んでいた、その中に「須藤飯店」がある。
店に入るとすでに学生服をつれた客達がいた。座れそうなテーブルが一つあったので座る。
店の調理場からは炒め物の「ジャーッ」と言う良い音が聞こえる。八名はつねづね中華は「火」だと
思っている。火を使い慣れる事がうまい中華料理の原点であると。この店の味はプロの八名も認める
味である。
感じのいい奥さんが注文を取りに来た。
「味噌ラーメン、野菜タンめん、五目めん、
あんかけ焼きそば1つ、中華散らし2つ
餃子3人前とビール2本とオレンジジュース。」
この店の料理はすべておいしいので色々頼んで少しずつ分けて食べるのが八名の流儀である。
先に飲み物が来て3人で入学祝いの乾杯をした。

194 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:39:20 ID:F+EKOKgC0
「何十年ぶりに校舎に入ったな。」
丹下はビールコップにつぎながら言った。
「そうだのお、わしも娘の入学以来だな。」
「懐かしいなあの時はわしも一緒に行ったな。」
「学校とは不思議な所だよ、たとえだれかが卒業して立ち去っても必ず新しい学生達がやってくる。」
丹下はビールコップをテーブルに置き
「川の流れのように次々と新しい人生が始まるのだな、尽きることのない様に、でなきゃわし達みたいなもの
でも生きていけないものな。」
不思議そうに二人を見つめるれいなに丹下は、
「人は一人で生きてる訳じゃないという事じゃよ。」
八名と丹下は両親を亡くし絶望に囚われた少女がボクシングを支えに生きる姿が自分たちの「希望」
であるとれいなに伝えたかったのだ。
「そうじゃれいな入学祝いじゃ。」
八名はずーっと下げていた紙袋から箱を二つ取り出した、携帯電話だった。
「携帯電話持ってもれいな誰からもかかってこらんとぉ。」
言いながられいなは箱をあけて白い携帯電話を取り出した。
「まあ、なんかあるかもしれんし・・・・・。」
八名は茶色い携帯電話を箱から取り出した。
丹下は今時の世相は携帯電話は必需品と言ってれいなに持たせるように八名に買わせた。
「なあ丹下どうやって使うんだ?」
さあ大変である年寄り二人と携帯を持ったことのない中学生がテーブルで携帯をカチャカチャやり始めた。
注文の品ができあがりそうな須藤飯店の奥さんは持って行っていいか思案した。

195 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:41:32 ID:F+EKOKgC0
れいなは昨年の秋から丹下の知り合いが経営するボクシングジムに通っていた。
自転車で20分ほどの場所にある「あすなろボクシングジム」という。
ここの会長はずんぐりした体型でパンチパーマをかけたゴリラみたいな会長だった。
丹下が頼み込むと「OK牧場」と言って好きな時間に来いと言ってくれた。
八名は新しいボクシンググローブとボクシングシューズをれいなに買っていた。
通った当初はれいなも大変だった、丹下との練習しか経験がないため人があふれる練習場はとまどった。
たいがい男子で年上の中高生、大人もいた。ボクササイズでダイエットを目指す女性もいたが小学生の
女の子はさすがにいなかった。
基本的に日曜日はジムは休みだったがれいなは休み以外ほとんどジムに通っていた。
ジムの会長は初めてれいなの練習を見て目をみはった。丹下が基本を教えたと言うので、初日特に
指導しないで他の練習生と同じに自由に練習させた。
れいなのシャドーを見て会長はれいなの体の柔らかさに目をつけた。ボクシングに限らず運動とは体の
柔らかさが重要である、しかし体の柔軟さは持って生まれた個人差もある。
競技練習も大事であるが基礎的体力は後の応用に大きな影響をもたらす。れいなは持って生まれた「才能」が
あった。

「れいなちゃん、インパクト(衝撃)って分かる。」
「・・・・・。」

「拳を打つとき強く握ると腕が伸びるのが遅くなるのだよ。」
「拳の握りを弱くして打ちつける物に当たる瞬間に拳をぎゅと握って強くしてあてる。」
「それをインパクトと言うのだよ。」
れいなは何となく拳を打つときに早い時と遅いときがあるのを自分でも感じていた。
(そうか、インパクトか。)
れいなはシャドーを鏡の前で始めた。れいなのモーション(動作)が益々早くなっていた。

196 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:42:37 ID:F+EKOKgC0
ささやかな入学祝いの宴会が終わり須藤飯店を後にした3人は帰宅した。
丹下は屋形船の準備に八名は焼き鳥食堂の準備だった。
れいなはジャージに着替えていつも通りジムに自転車をこぎ出した。
ジムでは練習生は基本的には個人練習である、入門当初は基本を会長に教えられるが基礎が出来れば自分で
メニューを作り鏡やサンドバックの場所が空くまで別なメニューをやるといったように自主トレーニングが
基本である。れいなは自分で決めたメニューの中で一番重要にしているのは対戦相手を想像しながら練習する
シャドーボクシングであった。
れいなはまだスパーリングをしたことがなかった。中学生になるまでは会長もスパーリングをさせるのは
小学生には危険だと思っていた。特にスパーリング相手は中学生以上しかいないし女子もいるが高校生と
ダイエットコースの女性なので相手としては合わない。

「れいなちゃん、入学おめでとう。」
「いよいよスパーリングできるね。」
「これをあげる。」

会長が差し出した手には小さなプラスチックの箱が入っていた。れいなは手に取ると透明の箱の中身を
取り出した。透明なゴムで平べったい「U字型」だった。
「マウスピースだよ。」
れいなは胸が高鳴った。
いよいよ本番のボクシングである。
練習が終わり帰宅したれいなはヤカンで熱湯を沸かす、その後洗面器に熱湯をためてその中にゴムの
マウスピースを入れる。2分くらい待ったところでお湯を捨てて熱で柔らかくなったマウスピースを
自分の歯形にぴったり合う様に口に入れ強く噛んだ。
れいなは他の女の子が服やアクセサリーを手に入れて胸をときめかす様に闘う為に必要な道具
「マウスピース」を作り出した。この世に一つだけ、自分だけの。

197 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:49:59 ID:F+EKOKgC0
次の日。
れいなは一通りのメニューをこなして軽く柔軟体操をしていた時だった。

「れいなちゃん軽くスパーリングしてみようか。」

会長はフルフェイスのヘッドギアを持ってれいなに声をかけた。
れいなは心臓がどきどき緊張しだした。
「まずそこのグローブをつけて。」

会長が指さす方向に棚があり16オンスのグローブが並んでいた、アマチュアの公式戦は16オンスという
大きなグローブを使う。練習でミット、サンドバックを打つ時のグローブは薄く軽い物だ。
16オンスはそれの2倍くらいあるグローブで衝撃力を少なくしている。
れいなは赤いグローブを選んだ。
ヘッドギアは通常は頭から顔の側面特にアゴを守るように出来ている。会長がれいなに渡したヘッドギアは
透明な硬いビニールが顔の全面を覆っているバイクのヘルメットのようなヘッドギアであった。
「空手」の試合で使われる物である。防護の力が大きい。
準備が終わりリングに入る。テレビで見るリングの様に壇上になっているわけでは無い。
四本の鉄柱にロープを張り練習場所の一角を仕切っているだけである。
目の前にはよく見かける練習生の中学生男子がいた、スパーリング相手だ。
れいなよりやや背が高いが体つきはボクサー体型で細い。れいなのようにフルフェイスのヘッドギアは
つけていない。
「カーン」
いよいよ開始である。

198 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:51:20 ID:F+EKOKgC0
リング上で対戦者同士は両手を伸ばしグローブを合わせる、ボクシングの礼儀だ。
れいなはとにかく緊張していた、相手がジャブを打ってくる、よく見えるがガードしかできない。
緊張で体が全く硬かった。相手が打ったのを見計らって自分も手を出すが距離のタイミングが全く合わない。
フルフェイスのヘッドギアが汗で曇る、打たれるたびにずれて視界を奪った。
れいなは全く良いところがなく2ラウンドが終わった。
両者は最後にお互いの両手を伸ばしグローブを合わせて一礼をしてリングを出る。
汗で曇ったフルフェイスのヘッドギアをはずし、次は絶対にこのヘッドギアをつけないと誓った。
れいなはは帰宅していつものように一人で丸いちゃぶ台で夕飯を食べた。
一人と言っても居間のすぐ横が店なので八名の働く姿が見える場所だ。
八名がれいなの為にいつも焼きたての焼き鳥を4〜5本焼いて食事時に持ってきてちゃぶ台に置いていく。
いつものようにちゃぶ台に焼き鳥置きに八名が来た。
「じいちゃん今日初めてれいなスパーリングしたと。」
「なに?もはやか?」
八名は複雑な顔をして店と居間の間にある縁にサンダルをはいたまま座った。
「じいちゃん初めてスパーリングした時怖くなかったとぉ?」
「いつも怖かったよ、相手から殴られるのが怖くて怖くてしょうがなかった。」
「・・・・・。」
「初めてのスパーリングはただガードをして逃げ回るのが精一杯じゃった。」
「・・・・・。」
「そのうちにこれじゃだめだと思い、左だけを打ってみたら相手に当たって相手も手を緩めてきた。」
「・・・・・。」
「相手も怖がってるのが分かったのじゃよ。」
「・・・・・。」
八名は立ち上がり店に戻りながら。
「ヘッドギアと試合用のグローブは会長からカタログを見せてもらい注文しろよ。」
「一番高いのを選べよ。」
食事が終わりれいなは2階に上がり部屋にある立ち見姿用の鏡の前で立ったまま上半身だけで行う
シャドーボクシングをしていた。とにかく左ストレートが速く打てるフォームを確認していた。
同じ年頃の少女は髪型や服装を確認しているというのに・・・。

199 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 21:59:56 ID:F+EKOKgC0
次の日

昨日と同じようにスパーリングが始まった。昨日もそうだがスパーリングと言ってもまだ本気で打ち抜く
ようなスパーリングではない。「マススパーリング」と言って本気で力を入れて叩いてはいけない
「スパーリング」の練習だ。
今日はれいなはフルフェイスのヘッドギアをつけていなかった。相手と同じ額と顔側面から顎にかけて
防護するヘッドギアをつけていた。
「カーン」
ゴングが鳴った。
れいなやはり昨日と同じで緊張していた。全く体が硬かった。しかし昨日より視界が良かった。

「やってみる。」

れいはは左をまっすぐ打った。
きれいに相手の顔面に当たった。相手の動きが止まっていた。なぜかこちらを見ていない、目の焦点が
合っていないようだった。止まっていると言っても普通の人間から見れば一瞬である、ボクサーの動体視力
でしか見えない一瞬である。その一瞬にもう一度左を打った。やはり当たった、相手は目の焦点を失ったまま
後ろに退いた。
その後相手のパンチはれいなに当たらなくなった。
れいなはパンチを避けながら相手にパンチを当てる術を身につけた。
二人のスパーリングを見ながら会長は
「もはや拳闘士になったな。」
れいなはボクシングのとりこになった。

200 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 22:06:14 ID:F+EKOKgC0
入学して2週間ほど経った
「れいな給食委員になれなかったね。」
「・・・・・。」
れいなは給食委員に手を挙げようとしたが太って眼鏡をかけたクラスメイトが先に手を挙げて早々に決まった。
最後に残ったのが体育委員だった。

しょうがなく体育委員になった。
絵里は自分で立候補してクラス委員になった。学年委員長はA組の「新垣里沙」だった。
絵里はれいながボクシングをやっているのを知っていた、自分も何かに挑戦しなければただれいなに
つきまとっている弱虫のままだと思い、絵里にとっては大変勇気のいる学級委員を選んだ。
ある日の事である。
体育委員の仕事でれいなはクラスの女子3人を引き連れて体育用具室の清掃をしていた時。
クラスでリーダ的な女子が一緒で彼女はれいなに指示されて清掃するのがとっても気に入らなかった。
その女子は髪にパーマをあてていていかにもおしゃれ大好きといったれいなより背が高い女子だった。
「田中〜、後一人でやってくんない。」
「・・・・・。」
他の2人の女子もパーマ少女について行こうとしていた。
「ちょっと待ちーや。」
れいなは目が鋭くなっていた。
(この目が嫌いなんだよ)
パーマ少女は何もおしゃれ気がなく目の鋭いポニーテールがとっても気にいらなかった。
「小学生みたいな事言わんとさっさと終わらせればいいとぉ。」
れいなは目を鋭くして言った。
(ここなら誰も来ないしこっちは3人だ)
「田中調子にのってんじゃねーよ。」
れいなを突き飛ばそうとしたがあっさり交わされバランスを崩して倒れそうになっていた。

201 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 22:07:45 ID:F+EKOKgC0
「あんたらおさえな!!」
あまりの形相で叫ぶパーマ少女に怯え二人のクラスメイトはれいなを押さえようとした。
「スッ!スッ!」
短いれいなの呼吸音と同時に左右から手を伸ばした二人の手のひらにれいなのパンチが打たれた、
「バシーン!」用具室に高音が響いた。
一瞬の左右ストレートコンビネーションだった。
別にケガとかはしないが手のひらはビリビリしていて何よりもれいなの動きが異常に速かった事が
パーマ少女より恐ろしかった。
パーマ少女は清掃ほうきを強く握っていた。
「てめー!」
れいなにふりかざした。
「パシッ」
れいなの左手にあけなくほうきをつかまれた。
「ビシッ!」
素早く放たれた右手からパーマ少女は鼻にデコピンをされていた。
パーマ少女はうずくまり、しばらくしてその場を走って逃げ出した。
「さっさと終わらせるとぉ。」
残った二人の少女は急いで清掃をしだした。
パーマ少女は教室に駆け戻った。教室には着替え終わった男子達がいた。体操着のまま教室に入ってきた
女子を見て
「どしたのよ。」

202 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 22:17:54 ID:F+EKOKgC0
クラスで一番背が高いバスケット部の角刈りが言ってきた。パーマ少女とは小学校が一緒だった。
パーマ少女は用具室の話を角刈りにした。
れいなが体操着のまま教室に一人で入ってきた。
パーマ少女が角刈りの後ろに隠れた。
角刈りはクラスのリーダになろうとしていた。ここで女子のリーダ的なパーマ少女に恩を売るのは得だと
狡猾に思っていた。
「なあ田中、暴力振るったんだって。」
「・・・・・。」
(こいう奴は気が強そうだがちょっと机でも蹴ればすぐ泣くんだよ)
「ガシャーン!!」
角刈りは机をけっ飛ばしていた。
「なんとか言えよ!!」
「拾え・・・。」
「あぁ?」
ちょうど女子達が着替えを終え教室に入ってきた。
「早く机を直すとぉ!!角刈り!」
角刈りはキレてしまった。鋭い目で「角刈り」と呼ばれバカにされた気がしたのだ。
角刈りはれいなに殴りかかった、れいなには止まって見えていた。
一歩先に踏み出し左手でビンタをしていた。
角刈りは首を振ってのけぞった、目の焦点が合わなくなっていた。
なんとか目の焦点を戻して今度はイスを持ってふりあげた。
角刈りはもう引き下がれなかった。
「キャー」女子達の悲鳴が教室に鳴り響いた。
(男子だし武器も持っているから丹下のおっちゃんかんにんな)
イスを持ち上げ無防備な角刈りの腹にサンドバックを打つようにきれいな流線を描きボディブローを放った。
体を「くの字」にして床で角刈りはもがいていた。
クラス全員が角刈りを見ていた。
息を整えてやっと角刈りは起きあがった。
れいなは黙って角刈りを見ていた。

203 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 22:19:54 ID:F+EKOKgC0
「そこまで!」
絵里が叫んだ。
「れいな大丈夫!!」
わざとらしくクラス全員に聞こえるよう大声で緊迫の声で叫んだ。
「え?」
れいなはびっくりして絵里を見つめる。
もっとびっくりしていたのは角刈りだった。みんな見ている前でれいなにノックアウトされていたのは
角刈りだったのに。当然自分に同情が集まると思った。
「なぜ女の子のれいなにあなたみたいな大きな男の子が暴力ふるうの!!」
「・・・・・。」
「あんなイス思いっきりぶつけられたら大けがするわ!!」
確かにその通りだった。クラス全員が納得していた。
「理由を教えて、れいなが何をしたの!!」
「なぜ大けがするかもしれないのにイスをふりまわしたの!!」
体育用具室の清掃をしていた二人の女子が絵里の後ろの女子集団に混ざっていた。
パーマ少女は走って教室を出ていった。絵里は鋭い視線で彼女の背中を見送った。
「とにかくれいなに謝って。」
クラス全員が角刈りを見ていた。
絵里は後ろのクラス全員と横にれいなを備えた全権代理人、クラス委員になっていた。
角刈りはもうあきらめた。
「田中さんごめんなさい。」声は震えていた。
「別に・・・・。」
「れいな体操着を着替えて来て。」
絵里は優しく愛しい瞳でれいなに言った。

204 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 22:21:15 ID:F+EKOKgC0
れいなは教室を出ていった。
「俺の机直せよ!!角刈り。」
ふりまわしたイスは給食委員の机だった。
角刈りは怒りで振り向いたが絵里の視線を感じた。
「あたしの机もなおしなよ!!角刈り。」
最初に蹴っ飛ばした机は女子のものだった。
女子の机から急いで角刈りは直した。クラス全員の前で。
彼はクラスのリーダどころか、卒業するまで「角刈り」と呼ばれ女の子相手に机をふりまわした挙げ句
女の子に倒されてしまった情けない男と言われ続けた。バスケット部の先輩達からは特に目をつけられたため
試合のレギュラーすらなれずに3年間終わった。
女の子が「れいな」でなければまた違った中学生活だったはずだが。

205 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 22:24:12 ID:F+EKOKgC0
下校前のホームルームが始まった。
クラスの出来事など知ったか知らないかで若い女教師は話を進める。
パーマ少女は考えていた、れいなは直接戦っても「勝てない」と、絵里からシめればまだ自分がリーダになる
チャンスはあるかも知れないと思った。
しかし疑問な事があった。わざと大声でれいなを擁護して角刈りを一瞬にしてつるし上げたのは優等生の
「偶然」か?もし全て計算だったらあの時自分を追いつめなかったのなぜなのか?
パーマ少女は斜め後ろの絵里の席をちらりと見てみた。

「!!」

絵里は上目遣いでこちらを見ていた。顔を伏せがちで目の奥は前髪で暗い闇が出来ていた。
目が合ってしまった!!
絵里は明らかに警告の視線を送っていた。
絵里は小学生の時イジメにあっていたので相手がどのようにつけ込むのがよく分かっていた。
パーマ少女は3年間おとなしいおしゃれ好きな女子で通した。
1年生当初の話だった・・・・・・・・・・・・・・。

206 :ミヤビイワナ:2006/10/08(日) 22:26:26 ID:F+EKOKgC0
学校の帰宅途中れいなは土手を歩きながら絵里に聞いた。

「絵里はすごいとぉ、良くあの場面でれいなをかばえたね。」
「・・・・・。」

絵里はれいなの前に出て立ち止まり、振り返った。

「れいながいれば絵里なんでも出来そうな気がするの。」
「え?」
「空も飛べそうなの。」

両手を伸ばし天使が羽をひらくまねをして絵里は笑っていた。


207 :ミヤビイワナ:2006/10/09(月) 06:32:50 ID:QaD0RTEm0
>>190
わざわざ有り難う御座います。
とても参考になります。
教師の父上は小説を書く上でも良いヒントをお持ちでしょうね。
父親の職場について会話が出来るなんて素敵なことです。
良い親子関係でしょうね。

208 :ねぇ、名乗って:2006/10/09(月) 13:10:44 ID:nj5aSWxg0
なんかベリが出てきてないんですけど

209 :ねえ、名乗って:2006/10/09(月) 21:26:19 ID:QHcZzVgw0
>>207
更新乙です!れいなヒトから人間に近づいていく様
とても読み応えありますベリの方はそろそろ書き出すのでイワナ氏輝夫氏がんばって下さいな!

210 :体育祭〜砂煙が目に染みる:2006/10/09(月) 22:09:10 ID:QHcZzVgw0
10月の台風の連投の影響で、伸ばし伸ばしになってしまった体育祭。
11月に入り、生徒達の気持ちが随分と萎えきってしまった頃に、気分屋の青空がやっとその顔を覗かせた。

徳永鉄工所の朝は早く、年気の入った機械達がとても眠たそうにカラダを温めている。
「次は背伸びの運動!いち・に・さんっ!」
何十年たりとも変わる事のない『ラジオ体操第一』に合わせ、工員も同じくとても眠たそうに体を温めている。
体操が『深呼吸』に差し掛かると決まって、二階から物騒がしい音が近づいてくる。

「どっどっどっ」きっと彼女が階段を一段抜かして降りてきているのだろう。
これが聞こえると、工員達の顔は一瞬のしてほころぶ。
『徳永鉄工所』のいつもと変わらない朝だった。

「ガッシャーーン!!』4月から換算して12回目の物音がした。
工員達が『あちゃ―』と顔を歪める中、社長であり父の千造だけが「がっはっは!」と腹を抱え笑い転げる。

千造と昔から仲の良く、ベテラン職人の丹下が恐る恐る事故現場に近づくと、
他の工員等も「お嬢!」と丹下に続いた。

211 :体育祭〜砂煙が目に染みる:2006/10/09(月) 23:11:04 ID:CXmK7xeSO
「こ・・こゆび・・・うった・・・」

物陰から右手だけが何かを掴もうと、姿を現した。
「千奈美ちゃん大丈夫かね。」
丹下は今にも吹き出しそうなのを堪え、千奈美に手を貸した。
「こゆび・・・うった・・・」
体が温まらないうちにぶつけてしまった小指は、千奈美から思考と言語を奪い去るには、十分過ぎるインパクトだった。

「おい!圭だろ!またこんなとこに工具箱置きやがって!お嬢が傷物になったらどうすんでい!」
角刈りの先輩らしき男が新入りをどやしつけ、彼が納得のいかない面持ちで頭を下げる。
「圭さんだったの・・・なんかヒドい。」
千奈美の涼しい視線が、新入りに注がれると、角刈りが申し訳無さそうに彼に向き直る。

「ところで今日は運動会なんだろ?お嬢なんで制服着てんだい?」
一人が思い出したように尋ねると、千奈美は顔を赤らめ無言で二階に戻っていった。
「さぁて!仕事だ!仕事!おまえら今日もいい仕事すんぞっ!」
機会の音に負けじと千造が声を張り上げると、男達は自分の持ち場へと還っていく。
朝から勢い良く機械が鉄屑を吐き出していた。

「ガッシャーン!!」13度目の衝撃は敢えなく機械音にかき消された。

212 :体育祭:2006/10/09(月) 23:26:00 ID:CXmK7xeSO
お久しぶりです!再開しました梨作家てございます!
相当煮詰まりながら始まりましたw多分無駄に長いので皆さんヨロです!
あと茉作家さん入ってこれたらまたよろしくゆいたい!
茉麻の件自分が書くのはなんか悪いんで

213 :ミヤビイワナ:2006/10/10(火) 06:24:05 ID:v+sN38I30
>>212
再開おめでとう御座います。
多くの読み手が待ちに待っていました。
ほのぼのとしたオープニングいいですね。
続き楽しみです。

214 :作家さん募集中。。。:2006/10/10(火) 12:53:02 ID:xBmqdFREO
>>212
いやー最高のシーンで再開乙!目に浮かぶわw
そして『圭さん』の登場w 梨作家さんの小説は予測不可能で楽しいよぅ
またストッパーになると申し訳ないので書きためてから参加しますよ


ミヤビイワナさん 松輝夫さん
えり&こはるは娘。で好きな二人なので
続編そして本編への絡み心待ちにしてますよーぅ

215 :ミヤビイワナ:2006/10/10(火) 15:19:33 ID:v+sN38I30
やはり本編は読み手の求める「骨幹」であると感じます。
どんなに何かを加工しても補えない大事な「物語」だと痛切に思います。
自分もこの板の「物語」に感化されて文章を書きましたが、メンバーが頻繁に
登場しない長編は読んでいてもファンの方々には苦痛かと思います。
しばらくは本編の動向を見送るべきでむやみに長文を書くのは控えたいと思います。
214のタイトルの様に本編を書ける「作家さん達」が現れるのを願っています。
苦痛な長編読んでいただいた方々有り難う御座いました。

216 :ねぇ、名乗って:2006/10/10(火) 15:43:01 ID:78bZfyJuO
>>215
それは違うね
もうこの小説の登場人物は物語の住人として 「歩いてる」んです。
細かな背景なしには物語など存在する意義がありません
現3Bの先輩達または周りに息づく人達はどんな人だったのか・・・
それを思い知らせてくれたのはイワナ氏や輝夫氏です!
たった1つのレスで萎えてる場合じゃないです!
皆さんの物語少なくとも自分は読みたいですね
自分達もアンチからボロクソいわれてもなんとかやって来れたから・・・素晴らしき仲間に出逢うことが出来ました!

217 :体育祭〜砂煙が目に染みる:2006/10/10(火) 16:20:24 ID:78bZfyJuO
教室の生徒たちは、この日の為にこしらえた応援旗を教壇に掲げ、満足気にそれを眺めている。
「いやぁ!あなた方は素晴らしいね!こういう作業にかけては、決して労を惜しまない。
あとはこの集中力を少しだけ受験勉強にだね・・・」
坂本の小言が、耳に入っているのかいないのか、生徒達は教室狭しと、はしゃぎまわる。
『はぁ・・人の気も知らないで。』
坂本は、元気で満ち足りた教室を遠目に眺めている。
学校行事を一つ一つ消化していく行為は、『わかれ』に向かって少しづつ歩いて行く事だと、坂本は痛いほど理解できていた。
『お前たち、今日はひたすら勝ち負けにこだわって、ひたすらに楽しめよ。』
彼は心で、生徒達にそう投げかけると寂しそうに後ろの黒板に目を移した。
『最後の体育祭!』
『絶対勝つ!!』
いかにも男子らしい、気合いの入った文字が目を見張る。
『最高の思い出にしようね!』
この丁寧な字は須藤か・・・
生徒30名分の文字を当たり前の事のように記憶していた。
『国語教師の性・・・か。』
坂本は急に照れくさくなり、生徒への愛情を、何気なしに打ち消した。

218 :松輝夫:2006/10/10(火) 21:07:19 ID:04lKBwCOO
え〜、自分も少し思うところを書かせていただきたく思います。

>>212
まずは再開おめでとうございます。
千奈美のセリフはワンダ紺DVDからですね。あの企画は自分も好きです。
今後の展開に期待したいと思います。

>>215
イワナ氏の書かれたことは、実は自分も全く同じ疑問を今も抱きながら書いているというのが実情です。
また、こういう場ですから、批判や中傷も覚悟しなくてはならないでしょう。
ですが、>>216の書き込みをいただき、頑張って続けてみようと思いました。
自分の拙い文章でも待っていてくれる方がいるというのはありがたいことです。
しばらく続きは揚げられませんが、書き終わりしだい必ず揚げたいと思います。
ですから、イワナ氏にもぜひ続けていただきたいと思います。
書けなくなって止めるならまだしも、そうではありませんよね?あれだけの文章を書けるのに、眠らせるのは惜しいと思いますよ。

219 :ねぇ、名乗って:2006/10/10(火) 22:29:21 ID:+KEJcR8B0

あれれ…>>214の書き込み&タイトルで変な方向に向かったかな?
こんばんは茉作家です

自分も数々の書き込みで萎えたものです。その度に先に進めなくなる…
物を書くのはココまで気持ちに左右されるのかと思い知らされました
でもそれでいいと思うんです。
だってミヤビイワナさん書き込んでくれたじゃないですか

『色々酷いこと書かれることあるけど
やはり書いている人自身が自分の状態を描写していると言えます。
細かい精神分析など自分の事じゃないと書けないですよね』

この書き込みをみて、全くその通りだと思ったもの。
自分自身の気持ちこそが物語を動かしていく。凄いことでしょ。

それと…主人公だけを描いた小説や映画ってなかなか無いんです。
周りを囲む脇役があり、過去があり、未来があり それこそが話に深みを持たしていくのです。

違う時間や違う場所を描いていた物語がどんどん絡み合って『ひとつの物語』になっていく
それも見ず知らずの作家さん達が作ったそれぞれの物語がですよ。これも凄いことでしょ。

充電したらまた戻ってきてくださいね。すぐ煮詰る茉作家をなるべく早く助けてくださいw

それともうひとつ…ベリが暫く登場しなかったのはオレのせいなわけw
読んでくれているみなさん ごめんなさい。今度はもうちょっとがんばります 以上w

220 :ねぇ、名乗って:2006/10/10(火) 23:52:37 ID:78bZfyJuO
あと言い忘れましたが
『徳永鉄工所』の角刈り先輩 「らぶなっくる」の角刈り君の数年後をオマージュさせて頂きましたw
ほらね!繋がってるでしょw
差し支えなければ続編松輝夫!

221 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/11(水) 00:37:52 ID:vtB+3ErTO
坂本が熱くなりかけた目頭を誤魔化しながら、三B応援旗を手に取り、30名分の『呼吸する文字』に目を凝らす。

『まったく雅の字は何書いてるのかさっぱりわからんなぁ・・・入試までにはなんとかして直してやらにゃいかん・・・』
『うん?桃子はずいぶんと字がうまくなったなぁ・・』
坂本は文字を指でなぞりながら、生徒達の存在を一つずつ愛でていく。
畳一畳程の応援旗の端に書かれた小さな字に彼は、はっと目を留めた。
『みんな絶対優勝しようね!』
それはとても控え目で、下手をすれば見落としてしまいがちな弱々しい文字であったが、紛れもなく佐紀の筆跡が3Bの一員で在ることを懸命に訴えていた。
「あとはそれを口に出すだけだよ。佐紀。」

222 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/11(水) 01:02:37 ID:vtB+3ErTO
ガラガラガラ・・・

勢いよく開いた扉に、一斉に視線が注がれた。
「ぉ、おはようございます・・・」
千奈美は肩で息を切らし、坂本に会釈をした。
いつもなら余裕顔で遅刻してくる千奈美が、行事ごとに限って、死に物狂いで遅れてくる。
同じ遅刻には変わりないのだが、坂本はそんな千奈美の素直さが、とても可笑しく、また気に入っていた。
「千奈美はいつもそうして急いで来たらいいんだけどな。」
坂本の小言に彼女は瞬時に反応し、
「だってぇ!うちが急いできて車とかに惹かれたらどうすんのっ!先生!」
いわゆる逆ギレである。
「あー!屁理屈言わない!だったら早く起きなさいっ!はい着席っ!」
坂本は軽くいなすように、千奈美の席を指差した。
彼女がぶつくさ「小指・・・」などと言いながら着席すると、タイミングを推し量ったようにチャイムが鳴り響いた。

223 :松輝夫:2006/10/11(水) 08:16:57 ID:QWwnqdSUO
応援旗の件、いいですね。なんか、光景が目に浮かぶなぁ。
佐紀ヲタとしては、彼女の変化が感じられて嬉しいです。

>>219
べつに>>214の書き込みには問題ないかと思いますよ。
あと、茉作家さんのせいとか、そんなことは全くないと思います。
先にも書きましたが、文章を書くってとても大変なことですよ。自分で書いてみてよくわかりました。
自分のごとき駄文ですらそうなのですから、他の作家さんのようにレベルの高いものを書こうとすれば、その苦労は自分の比ではないはず。煮詰まるのは当然です。
ですが、待った分素晴らしいものを読ませていただけると思っていますので、自分のせいとか考えられませんようにお願いしたいと思います。

224 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/11(水) 16:18:34 ID:vtB+3ErTO
「はーい!ちゃくせーき!」
チャイムの音をきっかけにして、坂本が教壇から生徒を見渡す。
この日ばかりは、生徒等もとても聞き分けが良く、そそくさと自分達の席に着いた。

「みや、おはよ!」
雅と隣合わせの千奈美が、一人だけ遅れて朝の挨拶を交わす。

「・・・・・・」
頬杖をつき、窓から校庭を眺めていた雅は、何事もなかったように、教室に向き直ろうとはしない。
『おやっ?』と思い、千奈美は人差し指を添え、再び雅の肩に手を載せた。
標的が振り向くと、人差し指が相手の頬に刺さるという、古典的なスキンシップであった。

「あぁ・・・おはよ。」
雅は人差し指を横目に、それがとても億劫な事のように、一言だけ言うと鼻から溜め息を漏らし、グラウンドの石灰線を眼だけでたどった。

『うわっヤバっ!すげぇ機嫌悪そぉ・・・』
彼女も伊達に『夏焼雅』と幼なじみをやっている訳ではなく、『みや』や『まあ』それぞれの危険信号は、千奈美なりに理解ってしているつもりだった。
そして『今』彼女が鼻で溜め息を吐いた仕草こそが、今の雅が最骨頂に危険で、アンタッチャブルだと千奈美に理解を強要させた。

225 :梨作家:2006/10/11(水) 16:27:54 ID:vtB+3ErTO
輝夫氏!
全然駄文じゃないからw
一番最初の文書いたのヲレだけど絶対読み返したくないくらいハズカシスorz
ですよね?らーめんまーさこと茉作(ry

226 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/12(木) 01:51:21 ID:1G9/bvniO
つんつん・・・

右斜め後ろから、何か硬いもので肘をつつかれる感触に、茉麻は「ビクリ」と首だけで振り返ってみせた。
『まあ!まあ!』
視点の先には、千奈美がなにやら必死に、口の動きだけで自分の名を読んでいる。
茉麻は、彼女の指先に挟まれたノートの切れ端のようなモノを確認すると、ますます千奈美が何をしたいのか解らなくなり、首を傾げながらもそれを受け取った。

雑に二つ折りにされた紙切れを広げてみると、そこにはこう書かれてある。
『みやがめちゃめちゃおこってる!』
あまりに急を要したのだろう、平仮名だけのメッセージが千奈美の動揺を鮮明に表していた。

『まあ』と『ちい』の間には決定的な思い当たる節があり、そのことを幼なじみの『みや』は知らない。
もしそのことが雅の怒りの原因であるのなら、三人の関係にとてつもない溝ができてしまう事を千奈美は恐れていた。
雅のお菓子を全部食べてしまったことが原因ならどれだけ楽だろう・・・
千奈美は今にも混乱しそな頭の中で、都合の良い想定ばかりを繰り返しす。
楽観主義の彼女にとっても、三人が三人のままでいられなくなる事は、耐え難い苦痛にほかならなかった。

227 :誤字orz:2006/10/12(木) 01:55:54 ID:1G9/bvniO
>>226
○自分の名を呼んでいる誤)自分の名を読んでいる
バカダナヲレ・・・

228 :名無し募集中。。。:2006/10/12(木) 08:36:44 ID:cSRAtDl5O
>>225
らーめん茉麻w ナツカシス

後日読み返して…あまりの恥ずかしさに卒倒  そんな事もありました

229 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/12(木) 16:20:15 ID:1G9/bvniO
『あぁ・・・鬱陶しい・・・』
雅は千奈美の人差し指を邪険に扱うと、行く宛もない視線を再度、運動場に戻した。

『ちいのヤツ、何呑気に笑っていられるの?まあが居なくなっちゃうかもしれないのに・・・茉麻本人から聞かされてない私の立場はどうなるのよ?』
彼女は不機嫌そうに考えごとをしている姿を装い、他の29人との間に意識的に『見えない壁』を創り上げていた。
こんな大事な事だから、こんな言いにくい事だからこそ、一番に自分に打ち明け欲しかった。
『アイツ』の立場だって重々にわきまえているつもりだった。
遠くに行ってしまうのは「私」じゃなく「アイツ」の方なのだから。
自分の立場に置き換えてみると、きっと茉麻と同じ事をしただろう。
解り過ぎているから、同じ事を感じているから、「アイツ」の痛みを分かち合えない距離に、雅はどうにもならない歯がゆさを感じていた。

230 :ねぇ、名乗って:2006/10/12(木) 16:23:15 ID:1G9/bvniO
えー夜は部屋で梨沙子と二人きりになる予定なのでw書けたら書きます!

231 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/13(金) 01:31:44 ID:TntJTsR+O
簡潔なホームルームを終え、生徒達がぞろぞろと廊下に整列をした。
両腕をギプスで縛られたままの雅は、ジャージを肩から羽織るような格好で、列が流れ出すのを待った。
身長順でいうところの雅の真後ろの梨沙子が、いてもたってもいられない、おどおどとした顔つきで雅の横に並ぶ。
「みや・・・この前は・・・ごめん。」
梨沙子は彼女を見るわけでもなく、光沢剥げ落ちたリノリウムの廊下に向かい、心細そうに呟いた。

232 :松輝夫:2006/10/13(金) 10:15:11 ID:V/Ydr898O
仕事が忙しくて書けないおorz
今までで一番難しい部分なので、とにかく時間がイッパイ欲しい……。
それから、前スレのオーディションの部分を相当お借りする面もあるかもしれません。作者さま、ご了承ください。

体育祭の部分、ジリリ進んでキテますね。
読んだ感じ、この先どう進めて行くのか、かなり難しそうな気がするんですが。
作者さまのお手並み拝見ですね、と軽〜くプレッシャーをかけてみるw
と、それはおいといて、続編期待して待ってます。

千奈美に、イワナ氏はホントにしばらくは書いてくれないの☆カナ?
待ってる人は少なくないと思うんだけど……。

233 :ねぇ、名乗って:2006/10/13(金) 15:08:37 ID:TntJTsR+O
>>232
全くの白紙から書いていくのがヲレなんでその日の気分で物語は進んでいきます!
なんであまり重圧をかけるとすんごいことになっちまいますw
輝夫氏もきっとすげぇ話書いてんだろうなぁと思う今日この頃w
早く読みたいよぉ^^

234 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/13(金) 15:58:28 ID:TntJTsR+O
「えっ?何が?」
雅は先日の出来事で、ことのほか取り乱してしまった自分に、いえもしれぬ憤りを覚え、わざとらしい言葉を引っ張り出して梨沙子の言葉を不格好にはぐらかした。
「別に・・・。梨沙子に謝られるような覚え、私には無いし・・・」
精一杯の強がりで、『夏焼雅』を演じてみても、彼女のぐらついた本音は尻切れトンボのように、周囲のざわつきに吸い込まれていく。

そう。誰も悪くない。梨沙子も佐紀も千奈美も「アイツ」も・・・
誰も責められないから、ただ悲しさだけが版画みたく浮き彫りになっていく。
彼女の処理しきれない宙ぶらりんの「感じ」は、流れ出した体操着の列と共に、仕方なしに歩を進めた。

235 :松輝夫:2006/10/13(金) 21:41:01 ID:V/Ydr898O
3年B組ベリーズ工房 オーディション編番外「夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜」

act.3 邂逅-Encounter-

まだ夏の暑さも残る9月の初め、小春は中野サンプラザ前の広場にいた。
あの後、ひとみを通して申し込んだオーディションは、一次の書類選考を通過し、二次選考の段階に入っていた。
そして、無事に会場まで来れたまでは良かったのだが…
「!…また…来た…」
小春は、さっきから繰り返し執拗に襲ってくる腹痛の波に辟易していた。
今朝起きた時はそうでもなかったのだが、中野駅の改札を通ってからこの広場に近づくのに比例して少しずつ激しくなってきた。
この腹痛の原因は、もちろん食べ過ぎとかではなく、精神的なものだった。
初めてのオーディションで緊張しているのもある。
しかし、さらにそれに輪をかけていたのが会場付近の異様な雰囲気だった。

236 :松輝夫:2006/10/13(金) 21:44:26 ID:V/Ydr898O
周囲の女の子たちの視線の多くが、今は小春に集中していた。
見慣れぬ「新顔」をどうやら品定めしているようだった。
その中に好意的な視線などあるはずも無く、探るような鋭い視線の集中砲火を浴びて、小春の腹痛は今日何度目かのピークを迎えようとしていた。
「すごいプレッシャー…押し潰されそう…これが…オーディション?」
美貴も、いつもこんなプレッシャーの中でオーディションを受けていたのだろう。
小春は、昨日のことを思い出していた。

237 :松輝夫:2006/10/13(金) 21:45:40 ID:V/Ydr898O
昨日の夜、小春は両親と共に「ふじもと」にいた。
小春が翌日に生まれてオーディションを控えているというので、美貴の両親が急遽店を休みにして壮行会を開いてくれたのだった。
「小春さぁ、明日一人で大丈夫か?美貴がついて行ってやってもいいけど?」
「大丈夫だもん、一人でちゃんと行けるよ」
「心配だなぁ」
「もう、いつまでも子ども扱いしないでよ」
美貴の言葉に、小春は軽く反発を覚えながら答えた。
「そうだよ、アンタと違って小春ちゃんはしっかりしてるんだから、心配要らないよね」
美貴の母親が口を挟む。
「まあ、会場に行くだけなら大丈夫かもしれないけどさぁ…」
「大丈夫、心配しないでお姉ちゃん」
自信たっぷりにそう言い切った小春だったのだが…。

238 :松輝夫:2006/10/13(金) 21:49:51 ID:V/Ydr898O
腹痛の波はようやくおさまりつつあったが、会場前の広場で、小春は猛烈に後悔していた。
「やっぱ、ついてきてもらうんだった…」
美貴は、たぶんこうなるということがわかっていたのだろう。
だからああいうことを言ってくれたに違いない。
美貴がもし側にいてくれたら、だいぶ状況は変わっていたはずだった。
『後悔先立たず』という言葉の意味を十二分に思い知らされながら、小春は、バッグの中から封筒を取り出した。
封筒には、二次選考の書類が入っていた。
それによると、予め割り振られた整理番号順に審査を受けることになるとのことで、小春の整理番号は「58」だった。
二次の選考では、歌・簡単な演技・面接が行われ、この結果を元に最終的な合格者を選出するらしい。
そして合格後は、事務所に所属してレッスンを受けつつ、合格者それぞれの適性に応じた活動をするとのことだった。
しかし、それよりも今は、出来ることなら今すぐこの場から逃げ出したい、それが小春の本音だった。

239 :松輝夫:2006/10/13(金) 21:51:44 ID:V/Ydr898O
会場の中の雰囲気も、外と全く同じだった。
腹痛を堪えつつ、受付を待つ列に並んだ小春はため息をついた。
「何でみんな平気でいられるの?」
小春同様緊張していると思われる娘もいるが、多数派ではないようだった。
「!!!…来た来た…」
招かれざる客‐腹痛の波がやってきた。
「いたたたたた…」
小春は思わずその場にしゃがみこんでいた。
「大丈夫?」
その声に小春は顔を上げた。
前に並んでいた女の子が、心配そうな顔で小春の顔を覗き込んでいる。
「あ…えっと…大丈夫です。すいません」
「そう、ならよかった」
それだけ言って、その娘はまた前を向いた。

240 :松輝夫:2006/10/13(金) 22:53:54 ID:V/Ydr898O
受付を済ませて、小春はいったん列から離れた。
説明では、約60名の参加者を1〜30番と31〜60番の30名ずつ二つのグループに分けてオーディションを行うとのことだった。
小春は58番だから二番目のグループなので、まだまだ時間はタップリある。
受付で説明を受けている間に、腹痛はだいぶおさまりつつあった。
小春は、壁に寄りかかりながら、ライバルたちを観察してみた。
オーディション慣れしているのか、自信に溢れている(ように見える)娘もいるし、振り付けの練習に余念が無い娘もいる。
「なんか…すごい人ばっかり」
果たして大丈夫なのか、そんなことを考えた途端、おさまったと思った腹痛が待ってましたとばかりに襲いかかってきた。
それも、今までに無いほど鋭く強烈な痛みで。
「もう…ダメ…」
再び、小春はその場にしゃがみこんだ。
「お姉ちゃん…」
心の中で呼びかけた時だった。
「ちょっと、大丈夫!?」
声の主は、さっきの娘だったが、小春には、もはやその問いかけに答える余裕すらなかった。

241 :松輝夫:2006/10/14(土) 00:58:56 ID:Cu+ShkKeO
>>233
プレッシャーをかけたつもりが、逆にかけられちゃった☆カナw
ちょっと時間ができたので書いてみました。続きはまた少し先になると思います。

242 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 01:34:12 ID:vQIxz2bSO
おっとwビミョーなとこでオワタネ!
丁度桃佐紀オーデ書いてた時 酷い下痢に悶絶していたというのが実のところでしたw
テキトーすぎヲレorz
そんな話に便乗して頂きまことにサンクスゆいたい!
それでは続き松輝代♀

243 :ねぇ、名乗って 茉:2006/10/14(土) 01:59:08 ID:+L2cghgE0
梨作家さん『体育祭』少し書いてもOK?
雅ちゃんの話しなんで少々梨作家さんの話に絡んじゃうけど
今後の展開には影響ないと思うので…

244 :梨作家:2006/10/14(土) 02:43:28 ID:vQIxz2bSO
かめへんかめへん
てか待ってましたからw
「かくしごと」の続編的意味合いで書いてるんで是非にヨロです!
いまやはぐれメタルなみwにレア化した茉作家さんの文章 存分に堪能させて下さいな!

245 :ねぇ、名乗って 茉:2006/10/14(土) 03:15:37 ID:+L2cghgE0

はぐれメタルw こりゃどうも!
お言葉に甘えて取りあえず書いているだけ ↓ 続きは今晩…☆カナ

246 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/14(土) 03:21:18 ID:+L2cghgE0

梨沙子との会話に居た堪れなくなった雅は、こっそりと列を抜け出してトイレにいた。

「冷たっ!」

苛立ちに任せて、勢い良く洗っていた指先から飛び出した水は
雅のジャージを濡らし見る見るうちに広がって大きな染みを作った。

「ハァ〜 何やってんだろう私…」

校庭の隅にあるこのトイレは体育の授業や部活動の時に使用する目的で建てられたものだ。
随分と昔に建てられたトイレ故に、だいぶ草臥れた外見をしていた。
だが、雅はこのトイレに居る時間が好きだった。その訳は個室の壁一面にある無数の落書きにあった。

『平成3年都大会4位!』  

『卒業おめでとう!これからも友達だよ』

本来なら消されてしまう落書きも、いつの日か卒業生の証として黙認されるようになっていた。
雅は、時々個室に篭っては卒業生達が残していった落書きをひたすら眺めて過す事があった。

『あきら&あやこ 結婚しようね』

『かずのり&みちこ ラブラブな二人はずっと一緒だよ』

すっかり薄くなってしまった文字を見て、二人の事を案じた。
『結婚したのかな… でも別れたかも… でも同窓会でばったり会ってラブラブだったり…』
有りっ丈の妄想を掻き立てて、未来から現実になっている今の二人を想像した。

そんな時間が、雅はとても好きだった。

247 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/14(土) 03:23:44 ID:+L2cghgE0

しかし苛立っている今の雅には、そんな文字さえも疎ましく感じた。
ふと見た手洗い場の鏡に映る自分の顔は、口をへの字に曲げ目を吊り上げ自分自身を睨んでいた。

「ハァ〜 ホント何やってんだろう私…」

雅は先程より大きくため息を吐くと、鏡の中の自分から逃げ出すようにトイレから出た。

「あぶねぇ!」

大声と共にぶつかってきた身体に、雅は堪らず倒れこんだ。
とっさに地面に付いてしまった手の痛みに、雅は少し驚いた。

『あんまり痛くない… 直ってきてるんだ… 人間の体ってスゴイ…』

一瞬の出来事ではあったが、自分の体の回復力に感心した。

「あぶねえよ!」

大声で怒鳴るその声に、雅は我に返った。
そして肩から落ちて情けなく地面に広がっているジャージを勢い良く投げつけた。

「あぶねえのはそっちだろ!」

そう言って雅が力一杯投げつけたジャージを、何ともあっけなく掴んだその男を見上げた。

「やじまあ!」

そこには、半分呆れ顔で雅を見下ろす、矢島が立っていた。

248 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/14(土) 03:25:25 ID:+L2cghgE0

矢島が抱えていた安物のプラスチックのカゴから飛び出てたマジックとノートが
あたり一面に転がっている。二人は言葉少なくそれを拾い集めていた。
「なんでこんなにマジック持ってんだよ」
「しょうがないだろ 体育委員なんだから 何かに使うんだろ」
矢島は、不自由な手で不器用にマジックを拾い集める雅を気遣った。

「いいよ夏焼 おれ拾うから」

その優しさに雅はムッとした。
茉麻に対する矢島の『敵わぬ優しさ』を垣間見た様で、悔しさと寂しさで一杯になった。

「なに怒ってるんだよ」

「別に」

ギブスをしている手で不恰好に腕を組んでいる雅に、矢島はため息混じりに言った。
「もうわかったよ ぶつかって悪かった…機嫌直してくれよ」
「そんなんじゃないよ」
マジックで一杯になったカゴを億劫そうに抱えると矢島は立ち上がった。

「じゃあ 何を怒ってるんですか」

「ちょっと話がしたいんだけど」

「えっ! あのさ…おれ急いでるんですけど」

「私もちょっとお話がしたいんですけど!」 

「おいおいおい!」

雅は矢島の手を強引に牽いて、トイレの裏に連れ込んだ。

249 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 04:15:47 ID:vQIxz2bSO
うはw
いきなり茉作家さんの「らしさ」爆発ですねw
それにしてももやびちゃん口悪っw
みんなで作り上げたキャラとはいえ「初期設定」の恐ろしさが身に染むよ



だがそこがいい!

250 :既にその名前は使われています:2006/10/14(土) 05:11:48 ID:KpGKg7Ju0
1 名前:既にその名前は使われています 投稿日:2006/10/14(土) 04:40 ID:lCh4Qfb1
ロリコン乙プギャーーーーーwwwwwwwww

ジャニーズの力が及ばない海外メディアでは、公然と、赤西解雇が報道されている
香港の新聞
http://www.singpao.com/20061013/gossip/880229.html
 【本報綜合報道】日本超人氣偶像KAT-TUN風頭?赤西仁,昨天突然宣布由本月開始休息三個月,
事件可謂極之唔尋常。而休息的原因??紛云,有傳赤西的健康出了問題,亦有指他想到外國學英文,
還盛傳他因搭上只有14?的組合Berryz工房成員コ永千奈美,而被事務所勒令退出組合。
台湾の新聞

赤西仁被傳?及不道コ行為突遭無限期停工(圖)
http://news.sina.com.tw/ents/sinacn/cn/2006-10-13/10443561281.shtml
>Berryz工房的14?成員コ永千奈美,因恐當中?及未成年淫褻行為,

赤西仁突遭雪藏Johnny's事務所拒公布原因
http://news.sina.com.tw/ents/mingpao/cn/2006-10-13/050312131854.shtml
赤西仁疑?淫行遭急凍
http://www.chinapress.com.my/content.asp?dt=2006-10-14&sec=entertainment&art=1014en42.txt
>而コ永則是Morning娘同門組合Berryz工房的成員。有傳尊尼事務所擔心赤西仁會跟未成年少女?及淫穢行為,

251 :タル暗さん ◆iDolQnZwMQ :2006/10/14(土) 05:12:15 ID:mu8eIZ0jO
ネ実からきましたキモヲタロリコンども

252 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 05:12:27 ID:+vyzL5eRO
セックスしちまってるぞオイw

253 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 05:18:16 ID:H0VpyfFdO
同じくネ実からきました。

254 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 05:23:12 ID:KpGKg7Ju0
俺はネ実からきてない、さすが忍者さすが汚い

255 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 05:23:26 ID:J+W5K+gRO
ここですか?

256 :ななしさん:2006/10/14(土) 05:27:29 ID:/borRo9s0
所詮キモオタどもの慰めアイドルなんてジャにに食い物にされるのは確定的に明らか。
お前らは必死に否定するだろうけど、パンちングマシーンで100とか出す俺に勝てるわけが無い。
まあ諦めて次のアイどルでも応援するこった

257 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 05:33:52 ID:H0VpyfFdO
>>254
どう考えてもネ実からきたのは確定的で明らか

258 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 05:41:12 ID:KpGKg7Ju0
なんか話題ないのか?www
ひょっとして世間じゃみんな寝てる?

259 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 06:39:33 ID:Fds1P1QG0
ネ実からきました^^

カツーンの赤西仁が寝取ったのって誰なんだぜ?

260 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 06:42:59 ID:N1Wu2oYT0
このロリコン工房を応援してるやつらって何が生きがいなの?

レコード会社のおえらいさんにお布施して(グッズ購入)、君らが頑張って
ライブに通って応援したロリコン娘たちはかっこいい男を捕まえて君らファンを捨てて
子供作って幸せになって去っていくだけだぞ。

心の中ではなにこいつらキンモーとか思われてるのに人生無駄にしていいの?
大好きなアイドルに金使っても一生名前も顔も知ってもらえずHもできない。
用が済んだら(稼いで男作ったら)おまえらポイだよ?w

261 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 06:44:54 ID:DONiIJc00
565 :ユー&名無しネ:2006/10/14(土) 01:16:57 ID:H9WCUI5A
海外メディアでは公然と報道されているみたいだから
解禁してみては?

======================================
日本のメディアは、ジャニーズ事務所の影響力に配慮して
赤西仁の引退の真相を報道しない。
その一方でジャニーズ事務所の圧力の及ばない海外では真実(赤西解雇)が報道されている。
もちろん交際相手(14歳)の実名も報道されている

香港の新聞
http://www.singpao.com/20061013/gossip/880229.html
 【本報綜合報道】日本超人氣偶像KAT-TUN風頭?赤西仁,昨天突然宣布由本月開始休息三個月,
事件可謂極之唔尋常。而休息的原因??紛云,有傳赤西的健康出了問題,亦有指他想到外國學英文,
還盛傳他因搭上只有14?的組合Berryz工房成員コ永千奈美,而被事務所勒令退出組合。

262 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 06:50:56 ID:DONiIJc00
http://www.excite.co.jp/world/chinese/web/
このweb翻訳に↑のURLを貼って訳してみよう。
翻訳メチャクチャでワロタ

263 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 07:24:55 ID:ZQLf+ZfZO
カカッ

264 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 08:11:53 ID:YXeEjk64O
嘘でも西と噂になるなんて100万年早いッつうの
どんな奴かしらんがな。
今度コンサとかに行って
硫酸でもひっかけてやろうかな(笑)


265 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 08:20:42 ID:Fds1P1QG0
おまいらがオナヌーしてる時にも
赤西のティムポなめなめしてたんかな
尻穴なめたりもしてたんかな
赤西のティムポ挿れられてアンアン言ってたのは事実なんだよな・・

圧力かけられて報道されないだけで
他の人もきっとイロイロしてるんだろうな・・

赤西仁被傳?及不道コ行為突遭無限期停工(圖)
http://news.sina.com.tw/ents/sinacn/cn/2006-10-13/10443561281.shtml
>Berryz工房的14?成員コ永千奈美,因恐當中?及未成年淫褻行為,

ヌrポ

266 :Landy ◆cplnFO9T0I :2006/10/14(土) 08:46:54 ID:L2qzuginO
何このきもちわるいスレ

267 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 09:15:53 ID:NkY/B/aH0
日本超人氣偶像KAT-TUN風頭?赤西仁,昨天突然宣布由本月開始休息三個月,
事件可謂極之唔尋常。而休息的原因??紛云,有傳赤西的健康出了問題,亦有指他想到外國學英文,
還盛傳他因搭上只有14?的組合Berryz工房成員コ永千奈美,而被事務所勒令退出組合。

268 :松輝夫:2006/10/14(土) 09:56:48 ID:Cu+ShkKeO
>>242
いや、時間が無かったもんであそこで止めざるを得ませんでしたわ。
続きは明日書けたら書きますが、腹痛の原因は下痢だったとわ……。
一応、腹痛はあくまでも精神的なものということで、その部分は使わないと思いますが、ご了承ください。

>>248
復活オメ!
「らくがき」いいですね。二人の間でどういう話になるの☆カナ?

しかし、はぐれメタル懐かしい……。

269 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 15:13:38 ID:J0iyu4yA0
痛いスレですね
ロリコン乙wwwwうぇwwうぇうぇww

270 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:02:08 ID:J0zwU/VoO
ネ実からきました。
結局どうなん?

271 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:08:22 ID:mO52ivFd0
俺も14歳とセックルしたいお

272 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:19:46 ID:3nA7mSXg0
肥溜めネ実より酷い板があるなんて【ショック】(´・ω・`)

273 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:22:41 ID:mO52ivFd0
>>268
なんでそんな気持ち悪い語尾なの☆カナ?

274 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:44:35 ID:E10gJYNVO
彼は18歳未満の少女と知りながら14歳の少女と淫らな行為を致しました。犯罪です! 彼は今元極楽トンボの山本氏の元へ修行しに行きました。
二人でコンビ結成で帰って来ます。
ロリコン淫行コンビ 山本&赤西

275 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:48:27 ID:/borRo9s0
>>264
きめえええええええええ勝手に逮捕されろwww

276 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:57:01 ID:KbIEtgzQO
カツーンの赤西仁が解雇されたのにFFか!!!
http://live19.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1160768444/

277 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 16:57:36 ID:ORTbx8f10
14歳とセックスして、海外留学したいなぁ
乳首とかピンクなんだろうなぁ

還盛傳他因搭上只有14?的組合Berryz工房成員コ永千奈美,而被事務所勒令退出組合。


278 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 17:57:17 ID:DzgP7iGtO
14さいとやりて〜
赤西ずるいぞひとりだけ〜

279 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 18:12:37 ID:CbqCcESe0
14歳のしかもアイドルに中だし!!!!!!
カトゥーンやっててよかったぜ!!

280 :ミヤビイワナ:2006/10/14(土) 19:32:05 ID:PvPgeo8K0
みんな徹底スルーでよろしく☆
書いてるから
みんな好きだよ
今はガマン

281 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 19:50:08 ID:DzgP7iGtO
いや〜無視しちゃダメ〜
14才に仲だしてんのゆるせるのか?
西のてぃんぽしゃぶりまくってる姿想像してみろ
悔しくないのか?
14才の子を誑かしてやりまくってんだぞ
ゆるせないだろが

282 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 19:57:35 ID:cplU8UiFO
赤西仁にだったら掘られても(・∀・)イイ!!

283 :松輝夫:2006/10/14(土) 21:08:43 ID:Cu+ShkKeO
>>280
おかえりー。みんな待ってたと思いますよ。
ウジ虫はハナから眼中にないので大丈夫。
続き期待してます。自分も頑張って書くお。

284 :ねぇ、名乗って:2006/10/14(土) 21:37:40 ID:UcKiNS4VO
/(^o^)\なんてこったい

285 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 00:45:33 ID:doG7DmG0O
>>280
続き期待してます!頑張って下さいね!

286 :名無し募集中。。。:2006/10/15(日) 05:23:40 ID:Wt125DiLO
イワナさんマジおかえり!
心配してました今は勝運のあおりでモロここに被害がでたけどこのスレのやってることは決して恥ずかしいことじゃないからさ・・・
ガンバれ!

287 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 05:28:53 ID:4mC5NxDE0
無視されて帰っていくネ実のウジ虫どもが雑魚過ぎてワロタw
大体、タル暗とかいうコテマジ臭そうだし^^;

>>280
続き楽しみにしてます!


288 :アホ赤西:2006/10/15(日) 07:57:50 ID:SBkQLVD40
赤西仁會跟未成年少女涉及淫穢行為,

289 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 09:26:31 ID:ZdIf+jvtO
実は相手がHINOIチームだった件について

290 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 09:38:45 ID:CmvvDkkjO
可哀想になo(>_<)o
憧れのブサイクアイドルがやられちゃって

しかも相手はロリコンだし

291 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 09:40:16 ID:EuaWKVnaO
キモヲタどもはいつまでもお布施を払ってくれりゃぁいいよw
いい金ヅルだw


292 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 13:08:53 ID:y2cAfYWA0
平和願ってるBerryz工房!!!!!
以上!!!

293 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 15:38:16 ID:hMrEZXRS0
14?的組合Berryz工房成員コ永千奈美,而被事務所勒令退出組合。

294 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 19:19:46 ID:l+bS2tc/0
マジでこのスレキモイな
こんな世界もあるのかぁ、ヲタ道は深く広いですね

295 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 19:43:22 ID:3do91yFJO
徳永さんの画像載せてくれませんか?みたいです。

296 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 19:50:39 ID:hMrEZXRS0
>>295
ttp://ayaya.suepon.com/profile/tokunaga_chinami.html
14の娘にハめた赤西は神いわゆるゴッド

297 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 19:51:27 ID:YzirYChyO
おいィ?タル暗さんを馬鹿にするなよ?

徳永が食われたのは赤西の記者会見を見ても確定的

298 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 19:58:52 ID:3do91yFJO
画像がありませんが((>∧<))

299 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 20:02:03 ID:y3VyRySx0
>>297
徳永ってガチャピンみたいな奴?

300 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 20:04:20 ID:Ip2B5mRT0
なんでこんなブサイクと噂になるんだ。
赤西カワイソー

301 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 20:09:07 ID:y3VyRySx0
歌の通りギリギリでいつも生きていたいからなんだろ。
オレはムック派だなぁ。

302 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 20:22:16 ID:y3VyRySx0
>>286
イヤ、恥ずかしいだろ。

303 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 20:39:38 ID:2F2krpwF0
http://mataorawotaka.raputax.com/up/nacci/funny-pudding2284.jpg
http://siontakes.ddo.jp/img/00kids/cap/hell8102.jpg


304 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 20:40:35 ID:7z9o76Bm0
ここの名無し面白い

もいちど好きって言わせてほしい〜
キスして髪を舐めて〜キスしてねぇ、名乗って!

305 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 21:01:09 ID:l+bS2tc/0
やっぱね^^;三次元^^;とか^^;気持ち悪い^^;と^^;思う^^;んですよ^^;
理想は^^;二次元^^;だって^^;
二次元^^;なら^^;自分の^^;思う^^;通り^^;に^^;弄くれ^^;ますからね^^;
こういう^^;三次元^^;ヲタが^^;思い通りに^^;ならない^^;現実^^;の女に^^;
キレて^^;事件^^;おこす^^;んだろうね^^;

306 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 21:18:55 ID:y3VyRySx0
オナホマン来た、これで勝つる。

307 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 21:31:05 ID:hMrEZXRS0

ttp://image.blog.livedoor.jp/tokorozawa_nikki/imgs/a/5/a5817d7e.jpg
ttp://www13.plala.or.jp/koasa/img/tokunaga.jpg
ttp://m4u.alpha-sv3.com/v_card/2004_08.01/haitsu_02.jpg

こんな幼い娘の写真を見ているだけでティムポが立ってきます。
赤石は立ったティムポを、この娘のマムコに入れて
ギシギシアンアンしていたわけですね。

まじで羨ましすぎる

308 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 21:34:43 ID:hMrEZXRS0
スレの1〜100あたりまで流し見たんだけど
このスレってなに?私小説スレ?

309 :ねぇ、名乗って:2006/10/15(日) 21:41:29 ID:s+o4O/zp0
そうだよ
今日はお客さんがいっぱいなのだw

310 :ねぇ、名乗って:2006/10/16(月) 00:24:03 ID:gQhCHIc30

おまえらもしかして、
徳永以外は処女だと思ってるの?


311 :ねぇ、名乗って:2006/10/16(月) 06:07:32 ID:WN+4IMyZO
とりあえずまんこしたい

312 :ねぇ、名乗って:2006/10/16(月) 06:33:59 ID:09C2X4//0
>>308-309
私小説を辞書で引いてみなさい
厳しいことを言うが
梨沙子やちなこだって私小説の意味ぐらい理解してると思うぞ


313 :ねぇ、名乗って:2006/10/16(月) 08:01:50 ID:lfhp8mc80
从o´ー`从<おはよう>>312さん まあはスルーしてますよ〜♪ 

314 :ねぇ、名乗って:2006/10/16(月) 09:06:05 ID:YLzfO/iyO
徳永との結婚も否定されてるしな

315 :ミヤビイワナ:2006/10/16(月) 19:10:29 ID:5ioJMaJH0
たった一週間だったけど本当にみんなに心配させたし傷ついた人も居たと思う。
本当に「ご免なさい」
本当は一ヶ月くらい書かないつもりだった。
今回の件で思い知った、「文章」っていいなぁ。
実は自分ヲタではない、みんなが応援してるほどアイドルを知らない。
この板の物語だけが好きだったんだ。
終わらしたくない物語を楽しむことを。
今はまだ書き込めない、せめてこの騒ぎが終わるまでみんなにも書き込んでもらいたくない。
「ラブ☆なっくる!!」書いてるから、早くみんな読んでもらいたい。
今、書く場所を用意している、しばらく待って貰いたいし色んな企画も考えている。
「クリエイター」に限界はない!!
もう少し待っていてもらいたい。
季節が変わるからみんな風をひかないように、明日から2日ほど自宅に帰らず仕事なので
気合いをいれています。
それじゃ。



「まだまだ終わらんよ!」

316 :ねぇ、名乗って:2006/10/16(月) 20:58:43 ID:gQhCHIc30
>>312
相手の失態をつくことしかできないのか
不憫だな

317 :松輝夫:2006/10/16(月) 21:07:09 ID:bG0yrGcAO
>>315
了解です。自分はイワナ氏に合わせますよ。イワナ氏が何をしでかしてくれるのか期待。
それまではウジ虫の醜態観察して待ちますわ。

318 :ねぇ、茉乗ってw:2006/10/16(月) 21:23:06 ID:lfhp8mc80
从o´ー`从<みやが帰ってきてまあはうれしいよぅ♪ まあは放置中だよぉ

ル ’ー’リ<佐紀ちゃん徹底スルーだよぅ〜♪

川*^∇^)|| <りしゃこもスルーでいいよねぇ♪

319 :ねぇ、名乗って:2006/10/16(月) 21:25:19 ID:HA/dMEkZO
>>315
分かりました。イワナ氏が戻って来るのを気長に待ってます(笑)

320 :ねぇ、名乗って:2006/10/17(火) 00:29:31 ID:JQSdePTl0
州*‘ o‘リ<あたりめえだゆー!!




なんだ・・みんな元気そうで安心いたよ
早く書きてえええええええええええええ!!!!!
マジうずうずしてきたわ!
ベリ関連スレどこもだがなんかすごい団結してますな!
怪我の功名ってやつだね!
イワナ氏!いつか機械があれば彼女達のコンサート行ってみてください!!
きっと彼女達の「リアル」がそこにあるはずです!
そしてこの物語がハッピーエンドしたらここの住人たちでうまい酒でも飲みにいけたらいいね!


321 :ねぇ、名乗って:2006/10/17(火) 11:32:05 ID:5sCXrNC70
>>315

>実は自分ヲタではない、みんなが応援してるほどアイドルを知らない。
嘘は良くないぜw?

322 :ねぇ、名乗って:2006/10/17(火) 17:52:06 ID:kkZQCRLYO
私はイワナ氏を応援します。

あ、にゃー

323 :ミヤビイワメ:2006/10/17(火) 18:18:44 ID:Czxg7IVl0
コンサートですか。
「いつか機会があれば」とは思っています。
ですが、あの異様な熱気の中に私のような半端者が入っていいものかと二の足を踏んでしまう。

324 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 01:58:09 ID:CIb8Tdq30

「何だよ 話って」

風にのって漂ってくるトイレの嫌な臭いに矢島は眉を顰めた。

「あのさー」

背を向けている雅の髪の毛で、ゆらゆらと心地良さそうに揺れる赤色の鉢巻に目が留まった。
桜中の体育祭は、各自生徒が紅白の鉢巻をすることになっている。B組は赤組、C組は白組。
赤い鉢巻で綺麗に髪を束ねあげている雅のうなじに、矢島はとてもドキドキしていた。

「まあさのことなんだけどさ…」

まあさ…その言葉に、ドキドキした心に罪悪感が覆いかぶさった。
『まいみくんとは敵同士だね』
今朝そう言ってアイロンを掛けた真っ白な鉢巻を笑いながら渡してくれた茉麻の顔が眼に浮かんだ。

「聞いてる?」

「えっ!聞いてるよ!」

動揺している矢島に、雅はあきれた表情で振り返った。

「そうじゃなくって 北海道に引越すかもしれないってこと!」

「なんだその事か…夏焼も知ってたんだ」

「なんだって…そんな言い方ないじゃん…」

雅は不貞腐れた顔で、矢島に近寄るとトイレの壁に寄りかかった。

325 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 01:59:22 ID:CIb8Tdq30

「聞いてるよ…その話」

矢島は持っていたカゴを足元に置いた、それと同時に校庭の直ぐ脇の線路を電車が通過して行く。
雅はその音にかき消されぬ様、少しだけ声を張り上げて矢島に訊いた。

「ショックだった?」

「うん まあね… でも思った程でもないかな」

その意外な答えに、雅は少し驚いた。
矢島は腰を下ろし、トイレの壁にもたれ掛かった。
雅もつられて隣に座り、隣に座る矢島をそっと横目で見ていた。
考えてみれば矢島とこうして二人きりで話すのは
茉麻が待っている図書館に行くよう促した9月のあの『告白の日』以来だった。

あの時より随分と伸びた髪の毛は、矢島を大人びて見せていた。その髪に隠れるよう
『アイロンを掛けてきた』と嬉しそうに茉麻が話していた『まっしろな鉢巻』が眩しく輝いていた。
どんどん大人になっていく矢島 どんどん私から離れていくまあさ 雅の心は複雑に揺れていた。

「なんだよ」

横目で自分を見ていた雅に気付き、矢島が怪訝な顔で言った。
「ううん なんでもない」
そう言って俯いてしまった雅に、今度は不思議そうに肩をすくめた。

「まあさのお母さんて面白いな」

「そうか…まあのおばさんから聞いたんだよね あの話し」

「うん 公園であいつの事待ってたんだよ そしたら突然近づいてきてさ…」

326 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 02:00:32 ID:CIb8Tdq30

「矢島君だよね? 矢島まいみ君」

突然話しかけてきた女性を矢島は不思議そうに見つめていた。
「あっ はい…」
「やっぱりそうかあ」
そう言ってその女性は矢島が座っていた隣のブランコへ腰を下ろし
沢山の食材が入ったスーパーの袋を重そうに膝の上に置き矢島の方を振り向いて言った。

「こんにちは 茉麻の母親です」

驚いてブランコから立ち上がろうとする矢島を母は制した。

「ちょっとね 矢島君に言っておきたい事があるんだけど…少しいいかな?」

「目…」

「ん? なに」

「まあさと似てますね 目が」

矢島の顔を興味深く覗きこむ母の顔は、父親似と言っていた茉麻の言葉とは裏腹に
目元がとても茉麻に似ていた。
「あはは 矢島君って面白いね」
突然大笑い出した母に、矢島は呆気に取られた。

「私が似てるんじゃなくて、茉麻が私に似てるんでしょう」

「あっそうか…」

母の尤もな意見に、矢島と母は目を見合わせて大笑いした。

327 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 02:01:53 ID:CIb8Tdq30

「あはは まあのおばさんらしいね」

「凄く優しかったよ まあさのお母さん」

「で、その時聞いたんだ…北海道の話」

「うん…」

矢島はそれっきり黙りこんでいた。足元に転がっている小石を
ただ漫然と壁に投げつけているその姿を、雅もまたボンヤリと眺めていた。

328 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 02:03:05 ID:CIb8Tdq30

「たぶんアイツ北海道行くと思うよ…」

足元の小石が無くなりかけた頃、矢島は漸くポツリと呟いた。
「なんか敵わないなって…そう思っちゃったよ 優しさとか、絆とか…良く分からないけどさ」
「でも、矢島はそれで良いの」
覗き込んできた雅の顔を見て、矢島は微笑んだ。

「あいつが決めた事なら応援するよ 今の俺にはそれしか出来ないもん」

その言葉に雅は大きく息を吸って、勢い良く立ち上がった。

「あーあ 何か敵わないな!ふたりには」

無理に強がって見せるいつもの背中に、矢島は訊いた。
「まだ好きなのか まあさのこと…」
微かに頷いた強がった背中が、今はとても寂しく、とても小さく見えた。

「ねぇ矢島 キスした?」

「なんだよ 突然…」

「まあとキスしたかって聞いてるの!」

雅は振り向くと、矢島に詰め寄った。
いつに無く真剣な表情で見つめる顔に、矢島は少したじろいで言った。

「してねえよ まだ…」

そう言って俯いた矢島を見ると
雅は表情を満面の笑みに変えて、矢島の目の前にピースサインを出した。

329 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 02:09:48 ID:CIb8Tdq30

「わたし奪っちゃったよ まあのファーストキス」

「はあ? 何言ってんのおまえ」

思いもよらぬ言葉に、力が抜けて呆れ顔になった。
「矢島!ちょっとマジック貸して!」
そう言うと雅は、プラスチックのカゴから黒いマジックを奪ってトイレに駆け込んでいった。


矢島はトイレの壁にもたれたまま雅が出てくるのを待っていた。
校庭にはもう随分と生徒が出てきて整列を始めている。
「なあ 早くしろよ!」
トイレの窓から雅に呼びかけても何の反応も無い。矢島は少し苛立っていた。
「ねぇ 矢島」
漸く聞こえた声に矢島は呆れ顔でため息を吐くと、立ち上がって声を張り上げた。

「なんだよ 早くしろって!みんな集まってきてるぞ」

「悔しい? 私とまあがキスしちゃって」

全然悔しくないよ…口から出そうになった言葉を、矢島は飲み込んだ。
雅の切ない思い…未だ何となくではあるけど理解出来るその思いに、矢島は言葉を変えた。

「悔しいよ 凄い悔しい」

矢島のその言葉に雅は少し微笑むと、最後にひとこと小さく書き加えた。

「よし!出来た!」

330 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 02:11:02 ID:CIb8Tdq30

「うわ!もう整列してるじゃん!」

トイレから出てきた雅は、すっかり並んでいる生徒を見て声をあげた。
「だからさっきから言ってるだろ!」
「ごめーん」
雅は悪戯っぽく舌を出して笑うと、乱暴にマジックをカゴに戻した。

「じゃあ わたし行くね」

「うん」

校庭に向かって走り出した雅が途中で振り返った。

「矢島!ありがとね 少しだけスッキリした!」

そう言ってまた走り出した雅を見て矢島は呟いた。

「何書いたんだろ あいつ」

何処までも高く青い空の中で赤い鉢巻で束ねあげられた雅の髪の毛が
秋の風に乗って気持ち良さそうに揺れていた。

331 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 02:12:55 ID:CIb8Tdq30

校庭の片隅にあるトイレに、今年の秋もまた一つ『らくがき』が増えた。
人目につかない天井の近くに、茉麻の似顔絵と共にこう書き記してあった。


「わたしの心を奪った史上"最愛"の大バカ!」

 
そしてその下には 『やさしい矢島へ まあさを頼んだよ』 そう小さな文字が寄り添っていた。

332 :『 体育祭 〜らくがき〜 』:2006/10/19(木) 02:18:21 ID:CIb8Tdq30

中途半端なんで取りあえずアゲちゃったw
梨作家さん続き頼んだよ〜

某スレのスレ主さん心配だよ 元気かーい
イワナさん松さん色々とありますが楽しんでいきましょーう↑↑

333 :ねぇ、名乗って:2006/10/19(木) 10:21:39 ID:sZZHxHO0O
ふむふむ
更新今までに無く乙です!
やっぱ書かなきゃ始まんないもんな・・・
ヲレも茉作家さん同様始動すっか!
勇気は自分でつくるものじゃい!
平和願ってるBerryz工房!!

334 :松輝夫:2006/10/19(木) 14:52:09 ID:TJ5mLR4JO
更新おつかれいな!

どうやら今回の千奈美の件はガセっぽいし、ウジ虫の醜態観察も飽きたんで、自分ももう再開してもいい☆カナ?と思います。
とりあえず、現在続きを書いてますので、できてる分は近いうちに揚げようかと。

それから、イワナ氏。
紺は周りに迷惑さえかけなければ、自分が楽しければいいと思いますよ。
かくいう自分も、何も踊ったりとかできない半端者ですから。宜しかったら連番しますか?

335 :ミヤビイワナ:2006/10/19(木) 16:45:48 ID:d+oX27Bq0
>>332
はぁ〜いいな。人間関係交差してますな、ますますキレが出てうらやましい。
あ!ども。

松輝夫さん>>323書き込んだの自分じゃないですから。

「イワメ」って河川に在来種のイワナもしくはヤマメを産卵時期を考慮せず
放流すると出来てしまう「ハイブリット」と言われる種になる魚です。
だからもし自分が言ってると思っていたら違いますからね☆

異様な雰囲気なら昔のパンクバンドはひどいもので「スターリン」の
コンサートなんかそりゃとても書き込めない。

みんなほど知らないと書いたのはまさに嘘をつきたくなかったからです。
知ったかぶりで書き込みしたくなかったもので。
CDも聞いてるし、ネットでビデを見たりしてるけどファンクラブとか
集まりには行ったことがないと言う事です。

しかし昨年コンサートじゃないけどラジオの公開録音に家族で行ったんですよね〜。(自慢はこれだけ)

そんなことぁどうでもいいか☆

みんなこの前は書き込んでくれて本当にありがとう御座いました。
本当にうれしかった。

>>318
の絵文字というのかな自分(雅役?)はどの様に書くのですかね?

>>338
やはり物を知らないので「連番」と言う言葉の意味がわかりません。
すみません。
みんないつもいつもご免なさい。

336 :松輝夫:2006/10/19(木) 19:09:45 ID:TJ5mLR4JO
>>335
失礼しました。単なる誤変換かと思ってました。誠に申し訳m(_ _)m

お詫びに、みやのAAをお教えしますわ。

雅→ノノl∂_∂'ル

他の方々

キャプテン→川´・_・リ
桃→ル ’ー’リ
ちなこ→从´∇`从
まあ→从o゚ー゚从
友理奈→川*^∇^)|
りしゃこ→州*‘ o‘リ

でよかったと思います。
それから、連番とは、要は一緒に紺に行くことですよ。チケを一緒に取れば連番で席が隣になりますから、要するにそういうことですね。
わかりづらいかな…。

337 :ミヤビイワナ:2006/10/19(木) 19:24:05 ID:d+oX27Bq0
松輝夫さんありがとう御座います。
みんな絵文字なのにかわいいですね。
火曜日、水曜日は泊まり込みで仕事でした、うちの組織はインターネットあるけど
どんな掲示板にも書き込めないよう設定されています。
ふざけんな!!と思っていますがまさに自分はシステム管理の仕事をしているので
率先してシステム保守をやっています。
わかりづらいではなく知らない者は無知なのでごめんなさい。
今Gyaoで須藤さんのハロプロアワーを見ています。

338 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:04:18 ID:TJ5mLR4JO
しばらくして、気がつくと小春は医務室にいた。
「気がついた?」
声をかけてきたのはさっきの娘だった。
「よかった〜、大丈夫?」
その娘の話によれば、小春が腹痛で動けなくなったところを医務室まで運んできてくれて、ベッドに寝かせた後、今までずっと側にいてくれたらしい。
「あの…すいません。オーディション初めてなので、緊張しちゃって…」
小春がすまなそうに答えると、その娘もうんうんと頷いた。

339 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:05:47 ID:TJ5mLR4JO
「わかるわかる、桃もね、初めてオーディション受けた時はそうだったから。もっとも、今でもだけどさ。」
「桃…?」
「ああ、私の名前。嗣永桃子、13歳、アイドル志望の中学二年生。ヨロシク」
『嗣永桃子』と名乗ったその娘は右手を差し出した。
「あの…久住小春、中学一年生です。ありがとうございました。それとすいません、迷惑かけちゃって…」
小春も右手を握り返しながら名乗り、礼を言った。
「すんだこと気にしない!それより、同じく夢を追いかけてる者同士なんだから、ヨロシクね!」
話してるうちに、二人はすっかり意気投合してしまった。
桃子と小春は年は一緒だが、桃子の方は早生まれなので学年は一つ違うらしい。
色々話しているうちに、時間はどんどん過ぎていき、小春の腹痛もいつの間にかどこかに行ってしまったようだった。

340 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:10:18 ID:TJ5mLR4JO
「そうそう、そういえばそろそろ一番目のグループが終わるんじゃないかな?」
「え?」
不意に桃子にそう言われ、小春はすぐには何のことかわからず聞き返した。
「オーディション。小春ちゃんの出番ももうすぐだよ。整理番号は58だったよね?ここに連れてくる時にバッグを拾い上げたら落ちてきたから見えたんだ」
そうだった。
今日ここに何をしに来たのか、小春は本来の目的をようやく思い出した。
「あの、そういえば桃ちゃんの整理番号は何番なの?もちろん一緒のグループだよね、ここでずっとついていてくれてたんだから」
「えっと…あの…29番…だから…もう終わっちゃってるね」
桃子は言いづらそうに告げた。
「ちょ、ちょっと…それじゃ…小春のせいで受けられなかったんじゃない?」
「う〜ん…まあ、オーディションは受けられなかったけど、別に誰のせいでもないから」
小春は、桃子にかける言葉が見つからなかった。

341 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:12:41 ID:TJ5mLR4JO
「いいのいいの。桃ね、たぶん小春ちゃんと桃が逆の立場だったら、きっと小春ちゃんは桃に同じことをしてくれたと思うの。だからいいの」
桃子の言葉を聞いているうちに、小春の目から涙が溢れ、頬を伝って落ちていった。
「ごめんね…私なんかのために迷惑かけちゃって…」
「ちょ、ちょっと、泣かないで」
桃子は、小春の手に自分の手をやさしく重ねた。
「小春ちゃん、いいこと教えてあげる。嗣永憲法‐何があっても自分の部屋に帰るまで泣いちゃ駄目。部屋に着くまでがオーディション」
「…桃ちゃん?」
「桃が作った、桃のための決まりごと!ちゃんと守ってね。他にも色々あるから、今度教えてあげる」
面白いことを言う娘だ‐そう思うと、小春はなんだかおかしくなった。
「そうそう、笑って笑って。せっかく初めて受けるオーディションなんだから。桃も応援してるから、頑張ってね」
「うん。ありがとう桃ちゃん。頑張ってくるね!」
小春は、急いで準備すると医務室を出た。

342 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:21:29 ID:TJ5mLR4JO
ホールはライバルたちで充満していた。
番号順に並ぶよう指示され、小春は列の後から二番目に並んだ。
次々とライバルたちが壇上に呼ばれ、審査は進んでいく。
桃子のおかげだろう、腹痛も不安も緊張もすっかり消え、小春の精神はクリアな状態だった。
目を閉じると、色々な人たちの顔が浮かんでくる。
小春の両親、美貴、ひとみ、そして自分のオーディションを犠牲にしてまで初対面の小春を助けてくれた桃子。
「私、まだまだ子供なんだね…」
小春は自嘲気味に呟く。
美貴について来てもらわなかった代わり、桃子に迷惑をかけてしまった。
今はまだ、誰かに助けてもらわないとだめだ。
それなら、これからは必要な時は遠慮せずに助けてもらおう。
その代わり、今自分にできることを精一杯やろう。
そのためにも、まずはこのオーディションに全力を尽くす、改めてそう誓うのだった。
そして、ついにその時は来た。

343 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:23:01 ID:TJ5mLR4JO
「…58番、久住小春さん」
自分の番号を呼ばれた小春は、返事をして、壇上への階段をしっかりと踏みしめて上ってゆく。
壇上で、机に陣取る審査役の大人たちに一礼する。
「それでは久住小春さん、どうぞ」
予め歌う曲は選んで申し出てある。
もちろん、小春が選んだのは、美貴の好きな安室奈美恵の「Chase the Chance」だった。
目を閉じて精神を集中する。
やがて、イントロが流れはじめた。

344 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:27:15 ID:TJ5mLR4JO
何とか無事に歌と演技を終えた小春の目の前で、大人たちがざわついていた。
やがて、そのうちの一人(寺田と名乗っていた)が小春に尋ねた。
「君、歌はどこかで習ってるんか?」
「いえ、別に…」
「じゃ、演技は?」
「いえ、特には…何も…」
何でそんなことを聞くんだろうと小春は思ったが、とりあえず聞かれたことを正直に答えた。
その答えに大人たちが再びざわめく。
「この娘、ミラクルちゃうん?」
寺田の声が聞こえた。
小春はわけがわからないまま、他の大人たちの質問にも答えていく。
「…それでは、久住さん、お疲れさまでした」
やがて、聞くべきことは全て聞き終えたか、審査員の一人に言われ、小春は「ありがとうございました」と言ってちょこんと頭を下げると、壇上から降りていった。
会場を出る時、肩越しに審査員の大人たちが額を寄せ合って再び何やら話しこんでいるのが見えた。
全くわけがわからなかったが、とりあえず悔いはなかった。
小春の表情は、何か一つのことをやり遂げた人間のそれだった。
こうして、小春の初のオーディションは終わった。

345 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:51:15 ID:TJ5mLR4JO
会場のホールを出ると声をかけられた。
「小春ちゃん!」
桃子だった。
「桃ちゃん…」
「どうだった、初めてのオーディションは?」
「う〜ん…よくわかんない」
正直、そうとしか答えようがなかった。
「でもありがとう。桃ちゃんのおかげで落ち着いてできたよ」
「桃のおかげだなんて…照れるな」
桃子は照れくさそうに頭を掻く。
「あの…良かったら晩ご飯食べてかない?美味しいラーメン屋知ってるんだ。中野は何度も来てるから覚えちゃった」
「うん」
桃子の誘いに小春も即座に応じた。
オーディションが終わってほっとしたら、ちょうどお腹が空いてきたようだった。
「よかった〜、桃ね、小春ちゃんともっとお話したかったんだ。」
「私もだよ、桃ちゃん」
「そうなの?嬉しいな。じゃ、桃についてきてね。」
桃子はそう言って歩き出す。
小春も一緒に歩き出したが、ふと立ち止まった。
今日一日を思い返す。
色々あった日だった。
生まれて初めてのオーディション、新しい友達との出会い。
まだ13年しか生きていないけど、今までの人生で一番濃厚な一日だったろう。

346 :松輝夫:2006/10/19(木) 20:52:42 ID:TJ5mLR4JO
「ちょっと小春ちゃん?どうしたの?」
桃子の声に、小春の回想は中断した。
「早く〜ぅ。桃お腹空いたよぉ」
桃子の言葉に、小春は微笑んだ。
たぶん、桃子とはずっといい友達でいられそうだ。
特に根拠があるわけじゃないけど、小春はなんとなくそう感じた。
「ごめんごめん、今行くね」
「早く早く〜。飢え死にしちゃいそうだよぉ」
大げさな表現で催促する桃子に苦笑しながら、小春は桃子の方に向かって歩き出した。
「ねえ小春ちゃん、なんでそんなに楽しそうなの?」
桃子が尋ねた。
「さあ?なんででしょう?」
「ちょっと〜、気になるぅ」
オーディションの重圧から解放された二人は、足取りも軽く、会話も弾ませながら夕方の中野の街に向かって歩いていった。

act.3 邂逅-Encounter- end

347 :ミヤビイワナ:2006/10/19(木) 21:06:26 ID:d+oX27Bq0
やさしさが良く出ていますね。
人は人とふれあう事でしか生きていけないですね。
本当にいぃなぁ。

348 :松輝夫:2006/10/19(木) 21:50:58 ID:TJ5mLR4JO
自分もとりあえず再開させました。
この駄文を待っていてくれた方も、そうでない方も再びよろしくお願いしますm(_ _)m

前スレのオーディションの件を何度も何度も読み返し、小春のオーディション初体験と桃子との出会いを描きましたが、作者さまこれでよろしいでしょうか?
ご不満も多いことと思いますが、至らない点はお許しくださいm(_ _)m
なお、表現など多く参考にさせていただきました。この場でお礼を申し上げます。

次章では、姉妹の運命が急展開します。
もうほのぼのした風景は書けそうにありません。
重い展開になりますので、予めご了承ください。

>>347
そう好意的に読んでいただけると助かりますわ…。
ところで、そろそろイワナ氏の「ラブ☆なっくる」の続きが揚がってもいい☆カナ?と思いますが…いかが?

349 :ミヤビイワナ:2006/10/19(木) 22:08:09 ID:d+oX27Bq0
>>347そうですね
自分は勝手に先走りみんなの作品をあらためて紹介したい
ホームページを勝手に作ってしまったんだけど、どうかな?
やりすぎかな。
活動はあくまでもこの板が原則で他に集中して読めるページってどうかな?
「ラブ☆なっくる」は当然書いてますが気分がのらないとか思考を別の方向に
持っていきたい時に拠り所になる場所って欲しいなと思ったんだ。
「3B同創会」ってどう思う?
今日はもう疲れたので寝ます。

ノノl∂_∂'ル  みんな大好きなんだな。

350 :まぁ、名乗って:2006/10/19(木) 22:36:04 ID:CIb8Tdq30
>>335
イワナさんから『スターリン』って言葉が聞けるとは…
昔ライブでやりましたよ『吐き気がするほどぉお!』とか『365日!』とかw
自分の世代は次のパンクブームかな LAUGHIN' NOSE や THE STAR☆CLUB が活躍してました
ライブにも良く行きましたよ ダイブが盛んな時期でしたねw
それとHPですが 過去ログ的なものを兼ねてると非常に助かります

>>346
自分の書くのに必死で前回のまだ読んでなかったので続けて読みましたよ
松さんの描く『ももとこはる』って妙にリアルで不思議な感覚になるのよ
なんだろう…テレビドラマを見ている感じっていうか…上手く説明できないけどw
それに引き換え『みやとまあさ』は性格が真逆?な設定なのでホント困るw
だからイベコンで実際に彼女達に会うとものすごく煮詰まります 
本当はこんな子じゃないのにぃ…ってw

351 :梨作家:2006/10/19(木) 22:41:21 ID:sZZHxHO0O
イワナ氏ホムペの件マジすか?
そこまでしてもらって・・・スレ立てたモノとしては自分が過去ログだの実際は自分の作業なのに結果的に作家さんにやらしてしまうのは凄く申し訳ないですがイワナ氏の行為に甘えちゃいますorz
それとこのスレにまさかスターリンがでてくるなんて自分は爆裂都市でしかミチロウさんの姿は見た時ないですが・・・狂ってたんだろーなw
豚の首?内臓?客席にぶちまけんでしょ?
自分もパンク大好きなんで話合いそうですね!

352 :梨作家:2006/10/19(木) 22:47:03 ID:sZZHxHO0O
うはwwww
すげぇ!見事に趣味かぶったね!
これなんて奇跡?


輝夫氏更新劇乙!!
帰ったらじっくり読ましてもらうよ!

353 :まぁ、名乗って:2006/10/19(木) 23:19:56 ID:CIb8Tdq30
あらららホント見事にwww ワロタ

354 :シド・りしゃす:2006/10/19(木) 23:33:23 ID:sZZHxHO0O
輝夫氏乙ぅ!!
激しくほのぼのさせてもらったよ!
こっからどうやってシリアスに移行するのか・・・
ヲタのしみです!
ももちのセリフとても寒かった★ヨネ
合わしてくれてサンクスゆいたい!
では続き松輝夫!

355 :松輝夫:2006/10/20(金) 10:19:28 ID:Qgc6T46gO
>>349
HPマジっすか?乙であります。自分はいいと思いますよ。
イワナ氏が何やらやらかしてくれるというのはこれでしたか。
「3B同窓会」っていいじゃないですか。大賛成ですね。
>>350
読んでいただき、ありがとうございます。
過分におほめいただき光栄です。
あの文章からリアリティを感じていただけてるなら、最高に嬉しいです。
千奈美に、自分の中では、小説の中のみやもまあもあり☆カナ?と思います。
全然、普通に受け入れてますよ。
>>354
今回、元があってそれに合わせたことは、苦しい反面、楽でもありました。
とりあえず、今回の自分の文章が本体のいい流れを壊す結果にならないよう願います。
次章は既に大まかな流れはありますが、細部をどうするか……当分の間、苦しくて楽しい作業から抜けられないでしょう。

千奈美に、自分はPart4から感想や紺のレポもどきをカキコして参加させてもらってますが、その前とかはもう残ってないの☆カナ?
できれば、読んでみたいと思いまして……。

356 :まぁ、名乗って:2006/10/20(金) 20:15:23 ID:QSyIPv9a0
>>355
過去ログは其の一から保存してありますよ
お見せできる良い方法があればいいんですけどねぇ




357 :ねぇ、名乗って:2006/10/20(金) 23:27:54 ID:/1MBtF3X0
HPというか、まとめサイトはあるといいな、と思う。
過去ログと、登場人物の簡単な紹介があるような。

358 :ねぇ、名乗って:2006/10/21(土) 01:26:04 ID:IlsQr9lpO
>>357
すまねえorz
全部スレ立てた俺の責任

あまりにも無知過ぎた
いまだに過去ログ俺も見れねぇ

「坊やだからさ」な俺w
イワナ氏!お願いしますぅ

359 :ねぇ、名乗って:2006/10/21(土) 16:11:18 ID:I+skmUBa0
過去ログは、どこかのロダを借りてupすればよいと思うけど、
自分も全部は持っていないからなあ…
まとめサイトを作るとしたら、このスレの住人が協力しないと
いけないね。
それから、登場人物については、このスレの中でもよいから、
新規の作家さんが参入してきたときに、過去の設定と矛盾
しないためにも、ここらで一度まとめておいたほうがよいかな、
と思う。
矢島が男子という設定は、登場回数と重要度からして問題
ないだろうけど、岡井と萩原も男子という設定は、忘れている
人もいるだろうから。
自分も個人的にまとめてみようと思ったけど、過去ログが不完全
だからなあ…
まあ今晩にでも、>>2-3以外の人物を整理してレスしようと思います。

360 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/21(土) 16:25:51 ID:IlsQr9lpO
「宣誓!私達桜中学校選手一同は、スポーツマンシップに則り正々堂々競技する事を誓います!!
三年C組村上愛!!」

今年の「選手宣誓」3Cからの選出ということもあり、C組担任の北は、
今にもほころんでしまいそうな笑顔で、村上を迎え入れた。

「いやぁ!何とも素晴らしい宣誓ですなぁ!我ながら惚れ惚れしてしまう!」
北がまるで愛娘の晴れ姿にでも出くわしたような、大袈裟な動作で、坂本とA組の乾相手に立ち振る舞う。
「いやいや結構結構!ですがうちの委員長も負けてませんですから!」
坂本は引きつった笑みで、佐紀の肩をバシバシと叩く。
「だよな!?佐紀!」
佐紀は教師達の大人気ないやりとりを後目に、首だけで軽い会釈をした。
「なんのなんの!A組だって負けてません!うちには文武両道のロビンがいますから!」
乾は交換留学生の彼女に目配せをすると、軽い咳払いをして、その場を離れた。

「いやぁ!結構結構!」
北はジャージで隠れた腹をさすりながら、青色の空に目を凝らした。

361 :ミヤビイワナ:2006/10/21(土) 19:38:36 ID:f/bBubRc0
984 :ミヤビイワナ:2006/09/11(月) 17:01:58 ID:PH5S72ae0
素人の者ですが、最近このページ見つけて読みふけりました。

上記のように先月からこの板のファンになったもので>>359さんの言う他の登場人物全く知らなかった。

新参者のくせに生意気なことばっかりかいてるなぁと思うこの頃です。

>>350,>>351
また何気ない書き込みで違う方向に・・・
いつもいつも間がわるいなぁ〜自分は・・・
まぁ!楽しければいいか☆

「シド・りしゃす」・・・梨沙子ちゃんにベース持たせたいような・・・

州*‘ o‘リ <私は「フライングV」だよ、もちろん「フェルナンデス」黒字に白玉模様だし!! 〜♪  

ノノl∂_∂'ル <いいなぁ〜私は「ストラト」にしてもらおう 〜♪

センスないけど一応作った、梨作家さん、茉作家さん、松輝夫さんの承諾頂いたと受け取りましたので少しずつアップしていきます。

 ttp://www.geocities.jp/iwa3b/index.htm

「おてがみ」はそのうち設定するので☆
恥ずかしすぎて百式に乗って逃げたい☆☆☆

>>360さん書いているところすみませんでした。







362 :ねぇ、名乗って:2006/10/21(土) 22:47:35 ID:ZFAfMDlWO
いまどき新規参戦とは珍しい

363 :ねぇ、名乗って:2006/10/21(土) 23:31:09 ID:I+skmUBa0
>>2-3以外の主要?人物(桜中学関係者)

・国井美代子:桜中学の教頭。

・坂本金八 :桜中学3年B組の担任。

・乾 友彦 :桜中学3年A組の担任。

・北 尚明 :桜中学3年C組の担任。

・辻 希美 :3Bのクラスメイト、加護と行動を共にする。大食で有名。食べ物の為ならリアルで泣く。

・加護亜依 :3Bのクラスメイト、辻の相棒。奈良から引っ越してきた。

・岡井   :C組の男子。  

・萩原   :C組?の男子。

・村上 愛 :C組の女子。

・亀井絵里 :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知り。

・新垣里沙 :れいな・絵里の同級生。優等生で、桜中学一年のときには学年委員長。

364 :ねぇ、名乗って:2006/10/21(土) 23:34:22 ID:I+skmUBa0
>>2-3以外の主要?人物(桜中学以外の関係者)

・大森巡査 :桜中学近くの交番の警官。

・石井リカ :舞波の叔母。東京のコンピュータシステム開発会社でシステムエンジニア
        として勤務。現在は北海道千歳市で長期出張で勤務している。

・吉澤ひとみ:千奈美の通う楽器屋の店員。藤本美貴とは高一の頃からの付き合い。

・藤本美貴 :小春の近所の焼肉店「焼肉ふじもと」を経営する藤本家の末っ子。
        久住家と藤本家は昔から家族ぐるみの付き合いで、小春は美貴を
        実の姉のように慕っている。

・八名信夫 :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。

・中澤裕子 :警視庁広域特別捜査隊(実際には存在しない)所属の警官。
        元少年課勤務で、そのときに美貴が世話になった。

・稲葉貴子 :中澤裕子と同期の警官(巡査)。

・徳永千造 :千奈美の父。徳永鉄工所の社長。


うーん…上手くまとめられなかった。訂正・補足お願いします。

365 :ねぇ、名乗って:2006/10/21(土) 23:43:28 ID:I+skmUBa0
>>361
サイト作成乙。
作家さんの了承があれば、修学旅行編とか、友理奈ノキズ編とか、
完結したエピソードも掲載できればいいかなあ、と。

366 :シド・りしゃす:2006/10/22(日) 00:04:05 ID:S2LlX5fUO
こんばんうっひ!!
みなさん乙!そしてGJ!ホムペの件サンクスです!
なんか形になるっていいね!
こちらは全然うpしてもらって構いません! てか是非宜しくお願いします!ホムペの誕生でロム人口そして作家がふえる事を願ってます!

人物紹介乙です!
自分で書いててカンカンとか北先生のフルネーム知らんかったわぁwww
着々と息づいているキャラクター達に思わずニヤリ^^

367 :まぁ、名乗って:2006/10/22(日) 00:53:19 ID:lxGbY4ZR0
イワナさんHP乙でした
おてがみ設定完了次第『過去ログ』送りますね

>>363-365
登場人物まとめ ありがd
こうなると須藤夫妻にも名前が必要な気がしてきたw 

368 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/22(日) 02:00:18 ID:S2LlX5fUO
開会式が終わり、生徒達は散り散りにクラス別に分かれた席に戻って行く。
結局、骨折が完治しないまま当日を迎えることになってしまった雅は、
存分に盛り上がることの出来ない憂鬱を引きずりながら、パイプ椅子に腰掛けた。
『あ〜ぁ・・・もう痛くないのになぁ。ギブスさえなきゃ飛んだり走ったりできるってのに・・・』
虚ろな表情で両腕から顔を上げると、千奈美と手を繋いだ茉麻が、こちらに向かって歩いてきた。

369 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/22(日) 02:27:21 ID:S2LlX5fUO
『!!』
雅は思わず、椅子ごと体を反転させ彼女達から目を逸らした。
とにかく心の整理がつかなかった。
茉麻を「許す」とか「許さない」とか、そんな次元の事なんかじゃなく、
矢島みたくあんなカッコ良く割り切って「茉麻の為」を思うことが出来ない。
今もし、こんな賑やかな場面で茉麻からあの事を聞かされたら、
ところかまわずに泣いてしまう。そんな自信すらあった。

茉麻の口からどんな言葉を聞かされても、泣かない自信が持てるまで・・・
彼女は茉麻の選択が揺らがないように、『今だけ』を強く自分に言い聞かして、視線を両腕に戻した。

370 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/22(日) 03:01:29 ID:S2LlX5fUO
「100m走の選手は、教員テントまで集まって下さい。」
第一種目の100m走のアナウンスが告げられると、各クラス毎に召集がかかった。
友理奈は靴紐を固く締め直し、選手列を目指す。
思えば中学校生活で最初で最後の体育祭なんだと今更ながら気付くと、
友理奈はおぼろげながらも、前学校での記憶を思い浮かべた。
クラス中から慕われているなんて、勘違いも甚だしかった一年生。
風邪だったか忘れたけど、とにかく体育祭の記憶はない。
たしかその日のうちに、級友の数名が自宅まで見舞いに来たことだけを、うっすらと覚えている。
当時は友理奈の家に『お呼ばれ』されることが、級友達のステータスであり、そんな下らない事で友人の甲乙が決していた。

371 :シド・りしゃす:2006/10/22(日) 03:12:17 ID:S2LlX5fUO
「パトラッシュ・・・なんだか疲れたよorz
僕はとても眠いんだ・・・」


また続きかきます・・・
なんかダサいコテにしちゃったけど今までとおり「梨作家」とよんでくださいw
シドは単なる憧れなんで
あとみんなはまとめて上げてるみたいなんですが どうやって上げてるんですかね?
機械年齢が幼児なみなもんで。。。 すいません

372 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 07:12:00 ID:zx6rs+B/0
『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
         八名の親友丹下からボクシングを教わり、ボクシングに熱中。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知りだったがれいなとの出会いで勇気ある
         娘に成長中。
新垣里沙    :隣クラスの優等生。

第4話『拳闘士(バトラー)その2』

2年生になったれいなは益々ボクシングに熱が入り練習生の男子にも負けない技術をつけていた。

「れいなちゃん、ちょっと。」

あすなろジムの会長が練習中のれいなを呼び寄せた。
「れいなちゃん、女子のプロボクシングあるの知ってる。」
れいなはボクシング雑誌を読んでいるので女子プロがあるのを知っていた。
知り合いの紹介で隣町のジムかられいなちゃんを2日間のスパーリング合宿に参加してほしいと言ってきたんだよ。
れいなは胸がときめいた、「プロ」と言う言葉に。
帰宅後、店のカウンターで焼き鳥の仕込みをしている祖父の隣に立って相談した。
祖父は自分がれいなに強い力を持ってもらうため丹下に頼んでボクシングを習わせたが、正直ここまで身につけるとは思って
いなかった。自分が普通の家庭の様に育てられないためボクシングジムに通う事はしょうがないと思っていたが、「プロ」となると
少し複雑だった。れいなの進路についても考えなければならなかった。
八名は当然自分の娘が通った様に高校へ進学させるつもりだった、しかし凄いスピードで成長していく孫娘を見て自分の言うことを
聞くだろうか疑問に思った。

「れいな、高校受験のこと考えているのか?」

れいなはきょとんとしていた。自分の周りはそう言えば受験の話とかしている子がいたなと思うぐらいで、れいな自身まだ具体的には
考えがなかった。

373 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 07:16:12 ID:zx6rs+B/0
「まだ先の話じゃが、3年生になるまでは決めなければならないぞ。」

「・・・・・。」

「焼き鳥食堂」では今夜知り合いの結婚祝いが行われる。
知り合いと言ってもまだ20歳同士の若者である。青年は高校を中退してこの町で荒れていた頃、丹下に喧嘩をしかけあっという間に
気絶させられた過去を持つ。その後丹下の紹介でこの町にある工場で勤務して現在の彼女に出会い今月入籍した。
親とは縁を切り彼女の親にも反対されて結婚する二人であった。丹下は工場で真面目に働く青年はいつか両親にも認められて祝福される
時が来ると二人を応援していた。

今日はささやかながら職場の仲間達と結婚祝いである。
れいなはこの話を丹下から聞いた時この宴会の手伝いを少しでもさせてほしいと祖父に頼み込んだ、八名はまだ店の手伝いは早いと
言って取り合ってくれなかった。

れいなは次に丹下に取り次いだ。丹下は大きな笑顔で笑って、「まかしときな」と言った。


374 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 07:17:25 ID:zx6rs+B/0
宴会の前日だった。
夕方の店を開ける仕込み時期に丹下は八名の所に来た。
「なあ、八名、れいなちゃんがこの店手伝いたい事だけど。」
「・・・・・。」
八名は焼き鳥の串に具材を刺していた。
「お互い、いつまで働けるのかな。」
「・・・・・。」
「と言うか、いつまで生きていられるかな。」
「・・・・・。」
「決められた時間、れいなちゃんといつまで一緒にいられるんだい?」
「・・・・・。」
「一緒に過ごす時間を大事にしなければならない、わかるよな。」
「・・・・・。」
「・・・・あの子が他人にバカにされないかの?」八名の声は震えていた。


375 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 07:18:40 ID:zx6rs+B/0
絶対抗えない運命、自分はいつかあの子より先にこの世を去る。自分が死んだ後あの子は本当に肉親がいなくなる。
優しい優しい瞳で丹下は立ちすくむ八名の肩を抱いて何度もうなずいていた。
「一人で生きていく時に一つでも多く手に職をつけていることが助かる事は俺とお前が誰よりも知っているじゃないか。」
「生きている間にあの子に出来ることは金だけを与えて暮らす事だけじゃないぞ。」
「・・・・・。」
「なあ八名、世の中には勉強が出来ても自分の理想が見つけられなくて就職もせず働かない若者がたくさんいるそうだ。」
「ミートだかニートだかと言うらしい。」
八名と丹下の周りは遊んでいて暮らしていける人間はいない下町だった。

「いい世の中なのか悪い世の中なのか分からない。」
「自分の意志で闘ったり仕事する事はやれと言ってもなかなか出来ないと言うことだけは、はっきりしていると思う。」
「だから今の時代に意志を持っているれいなちゃんを笑う奴はいないと思うぞ。」
「逆に感心な子だとわしは誇らしいよボクシングの教え子として。」
「・・・・・。」
「自慢の孫娘を見せてやれ、よく働くと誉めてやれ。」
「丹下・・。」
「あ?」
「れいなを誉めてくれてありがとよ。」

376 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 07:23:37 ID:zx6rs+B/0
夕方
ささやかな結婚祝いが始まった。
れいなは仕込みから手伝い料理を運び皿洗い等をやった。やはりれいなは八名の「孫」である、料理のセンスがあった。手先の器用さに
仕事の洞察力が冴えている。腕力もあるので仕事も早かった。
八名は丹下に礼をしていた、仕事を教えれば教えるほど伸びる事に気づかせてくれた事とれいなと働けることを。

たくさんの労働者が「焼き鳥食堂」に集っていた。高層ビルから見下ろしながら毎日変動する株価を追い続け信じられない程のお金を
稼ぎ出す世界もあれば経済格差の底辺にいて経済を支える労働者達がいた。汗にまみれた顔達は若い二人を我が事のように喜んでいた
地方から出稼ぎに来ている人たちもふる里の親戚家族を想い祝福していた。誰もが弱く貧しい、誰かと一緒じゃなきゃ生きられない。

「俺一人じゃ無理だけど、二人なら生きていけると思うんだ。」
「・・・・あたしもよ。」

若い夫婦の素直な言葉だった。

れいなはカウンターで皿を洗いながら「光景」を眺めた。
人が楽しめる場所は素敵だ。

377 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 07:51:15 ID:zx6rs+B/0
今日からスパーリング合宿に参加するためフェザー級3位という現役女子プロボクサーが会長として運営するジムに来た。
れいなの家からはちょっと遠いので地下鉄で来た。
あすなろジムにも女性の練習生はいるがさすがにプロはいない。このジムもダイエット目的の女性が多いが会長以外にも
女子プロボクサーが在籍していた。アマチュアの大会に登録している選手も多数いた、もちろん女性である。

「今日から2日間よろしくね。」
会長がれいなに話しかけてくれた。
れいなは着替えて基本メニューを一人でこなしていた。
合宿と言っても別にジムに泊まり込みをするわけでもなく普段通り練習生とダイエット目的の女性達もいた。
特定の選手と練習生に集中的にスパーリングをさせるという趣旨で行われていた。
「田中さんスパーリングするから準備して。」
れいなはどきどきしていた、いつもは男子練習生相手だから女子のプロに専門的に練習された相手とのスパーリングは想像出来なかった。
「カーン」
年上の女子高校生がはじめの相手だった。自分より背が高い手足の長い練習生だった。
れいなは積極的にジャブを出して距離を計った、相手は何故か防御に徹していた。
会長から「左を出して前に出なさい!」
女子高生は前に出た瞬間れいなの左ストレートを前から受けていた。れいなはすぐ後ろに下がって間合いを切った。
女子高生はまた自分から間合いに出なくなった。このままでは練習にならないのでれいなは自分から間合いに入った。
もしかしたら相手が年下の中学生相手に手加減をしているのかなとこの時までは本気で思ったからである。
男子相手のスパーリングならとっくに打ち落とされている間合いにわざと入った、相手に打たせるために。
しかし難なく間合いに入ってしまった、体に染みついた上下のコンビネーションが勝手に出てしまう。
女子高生は腹を押さえて膝をついた、れいなは無条件に体が反応して手加減するのを忘れた。

378 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 07:57:13 ID:zx6rs+B/0
あまりにも実力が違いすぎる、会長はこのスパーリングを中止した。
「すみません・・・。」
れいなは会長に謝ってしまった。
「・・・・・。」
「こちらこそ御免なさい、ちょっと体重の階級上げていい?」
「はい。」
実は先ほどの女子高生もれいなより2階級は体重が上だったが。
れいな以外の選手がスパーリングを始めた。

脱色した長い髪を結んだ「プロ選手」同士のスパーリングだった。両選手とも短パンスパッツに試合用のタンクトップにヘッドギアに
16オンスのグローブだった。16オンスの大きな破壊力を押さえたグローブでも「芯」を捉えると顔面に当たれば出血する。
それがボクシングだ。
力は拮抗していた、れいなは二人を見ながらシャドウボクシングを始めた、自分がこの両選手と闘うイメージをして。
その後2組のスパーリングが終わりれいなの順番が来た。
今度の相手は肉付きのいいOLをやっている20代前半のアマチュア大会に出場が決まっている選手だった。
先ほどの女子高生より明らかに体格がいい。
「カーン」
真っ直ぐ選手が打ってきた、れいなは両手でブロックしてみた。
(受けられる・・・・)
相手の右ストレートを受けても上体はブレなかった。
その光景を見て女会長は、
(中学生相手に途中でストップだけは勘弁してね・・・・。)
OL選手を心配そうに見つめた・・・・。
残念ながられいなには良く相手の動きが見えた。
(入る・・・)
力まかせに右を出すOLの動きに合わせ速い左を合わせた、右より左の方が長い。
OLの突進に合わせて相手の右がれいなに当たる前にれいなの左が相手の顔面を捉えていた。
「カウンター」だった。
相手の力と自分の力で倍の衝撃力を生むカウンターがきれいに決まった。
OLは柔道で倒されるように後ろにひっくり返った。
会長は黙って割って入りスパーリングを終了させた。

379 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 08:03:50 ID:zx6rs+B/0
一通りの練習が終わりれいなは帰宅の準備をしている時、女会長はれいなに近寄り話しかけた。
「あすなろの会長からは色々女子について教えてくれと頼まれたけどこっちが勉強になったわ。」
「・・・・・。」
「明日もきてね、がっかりさせないから!」
「はい。」
れいなは帰宅した。
最近では「焼き鳥食堂」を手伝うことはれいなにとってジムに通うくらい大事なことだった。れいなの境遇を知った常連の客達は
当初はれいなを不憫に思っていたが八名の仕込みに応じた仕事ぶりを見て労働者達は「職人」を見る目でれいなを見た。
まだ少女の強い眼差しで焼き鳥を焼く姿はたくましく強さを放っていた。
店の閉店後れいなは宿題をやっていた、勉強が苦手な訳ではなかった。
宿題を終えてぼんやりこの前祖父に言われた進学を考えていた。
(働きながら学校へは通えないだろうか?)
眠くなってきた彼女は布団に潜った。
(明日は強い選手と闘えるのかな・・・。)

380 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 08:13:42 ID:zx6rs+B/0
翌日
「今日はプロの選手とスパーリングしてもらうわよ。」
女会長は嬉しそうにれいなに話した。昨日のスパーリングを見てどれほどプロ選手と闘わせたかったか。
昨日見た髪を赤く染めて後ろで縛ったれいなより少し体が大きい選手が相手だった。
「カーン」
二人とも距離を取って間合いを計る、先に手を出したのはプロ選手だった。
きれいなコンビネーションがれいなに入った、やはりプロの打ち込みは速く的確だ。
終始二人はアウトボクシングに徹していたがれいなは右を出してみた、相手は身を乗り出して「カウンター」を出した。
危なく当たるところでれいなはバックステップを踏んだ、あと2cmで当たっていた。
「カーン」
1分間のインターバル。
れいなはコーナーに寄りかかり静かに息を整えていた。
(速いけど・・・怖くない。)
「カーン」
アマチュアのルールで1ラウンド2分間だ。
先ほどとあまり変わらない内容だった、当然だが相手のペースだ。相手はれいなを手ほどきする様にいなしながら試合運びをする。
残り30秒の合図の警告音がジム内に響いた。
れいなはアウトボクシングを止めて相手の懐に入り「インファイト」をしかけた。相手も応戦して近距離の左右のフックを出した。
構わずれいなはボディーブローを打つ、
(ひっかからないし・・・・。)
相手の腹筋は鍛え抜かれていた、16オンスでは致命打にならなかった。
(上を狙うんでしょ)
相手はアゴのガードを固めた、その瞬間正面からではなく下から打撃が押し上げるように入った。
(見えない?)

381 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 08:16:34 ID:zx6rs+B/0
ガードが崩れた所に本命のコンビネーションが打ち込まれた。下を打ちガードが緩くなった所を上に打ちに行くのはセオリー中の
セオリーだが、れいなは下から斜めに打ち上げた。アッパーではなく「ジョイント」と呼ばれる打ち方である。
他には「スマッシュ」とも呼ばれている。フックと呼ばれる打ち方もそうだが接近してなるべく視界の外、つまり「死角」につけこむ
技である。れいなはわざと相手に「死角」を作らせていたのだ。
れいなは残りの30秒連打を続けた、相手も「手ほどき」どころではなかった。
「カーン」
終了。
プロ選手は息を整えながられいなと終了の挨拶であるグローブをつき合わせた。
スパーリングを終えしばらくれいなはしゃがみこみストレッチをして体をほぐしていた。
ヘッドギアをつけた女会長が近寄ってきた。
「田中さん。」
「・・・・・。」
「最後はわたしが相手するわ。」
「・・・・・。」

「カーン」
先ほどのプロ選手同様速い動きだ、とても捉えられなかった。手ほどきするようにれいなに打たせる隙を作るがきれいには
打たせてくれなかった。
(これがプロ・・・・。)
2ラウンドも同じような展開だ、残り30秒の合図である警告音がジム内に響いた時れいなは先ほどと同じように
「インファイト」を仕掛けかけた。
「!!」
目の前に「異様」な光景があった、スパーリング中なのに相手がこちらを見ていない!!
顔を右に向けて何かを見ているようだ。
れいなはつられて相手が見ている方向を見た、別に普通の光景だった何も目を引く物はない、何故????

382 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 08:20:48 ID:zx6rs+B/0
顔を正面に戻したときはすでに相手のきれいな右ストレートが入っていた。れいなは合宿中初のクリーンヒットを受けた。
吹き飛ばされた体はロープに受け止められた。
(まさかフェイント????)
(!!!!!)

「カーン」
女会長は嬉しそうにれいなに近づき、
「いい田中さん、相手は狡猾なプロ選手よ。」
「勝つためには手段を選ばないの。」
「・・・・。」
「だけど二度とあなたには通用しないわね。」
れいなはプロの技を奥深いと感じた、勉強になったと思っている。
「田中さん一週間・・いや1ヶ月に一度でもいいからこのジムに来てちょうだい。」
「・・・・。」
「あなたはこのジムの特待生よ。」
「はい。」

女会長はウィンクしながらロッカールームに着替えに行った。
(フェイントでも使わないと持たないでしょ)
苦笑いだった。
この合宿はれいなを益々「拳闘士」として成長させた。
「強いって、どういう事を言うとぉ・・・。」
少しだけプロの世界を垣間見た中学2年生の話だった・・・・・・・・・・・。

383 :ミヤビイワナ:2006/10/22(日) 08:33:54 ID:zx6rs+B/0
>>371(アロア)「ネロ〜ネロ〜」 ??? 「寝ろ?寝ろ?」

お疲れさまでした。
友理奈の心理描写きましたね。
ウズウズです。

おてがみ設定完了しました。

384 :松輝夫:2006/10/22(日) 09:41:23 ID:PKe2ItzpO
なんか、最近動きが活発で嬉しいです。
更新された方、お疲れさまでした。全部読ませていただきましたよ。
また、登場人物のとりまとめ、サイトの作成、お疲れさまです。
大変な作業だったと思いますが、二つは連動してますので、とても意味があることだと思います。

385 :まぁ、名乗って:2006/10/22(日) 14:01:13 ID:uRcw0AoSO
おてがみ設定了解しました
A組と会ってくるのでログは夜にでも…

386 :ねぇ、名乗って:2006/10/22(日) 23:30:05 ID:S2LlX5fUO
イワナ氏!再開乙です!
時間を見ればとんでもない時間じゃないですか?
仕事に差し支えないていどに頑張って下さい!
それとスパーの下りは正に圧巻です!
今日たまたまジョーの劇場版を見たんですが
天国?の梶原先生もきっとビックリしてるに違いない?

茉作家さんwA組?P組?いかがでしたかw
しかし茉作家さんのD組力は正に圧巻ですw
もーそちょんもビックリしてるに違いない?

387 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/23(月) 00:06:55 ID:AWoKWobpO
そして中学二年の体育祭・・・
言うまでもなくなく、自惚れに埋没しかけた「私」を、あの子が見えない力で救ってくれた。
舞波を不本意な形で失うと、歪んだ景色、人間不信、無気力の渦だけが残された。
閉鎖された心にも平等に訪れる日常の中で。

団結やら協力を頑なに拒み、はっきりとした強い意志をもって、友理奈は残された全学校行事のボイコットを繰り返す。

そんな自分にも、環境と時間がちゃんとした「癒やし」を与えてくれた。
新しい級友達との談笑の中、時折彼女の「本音」が友理奈自身に舌を出し笑いかける。
『ズルいよ・・・あんた。』と。

388 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/23(月) 00:30:17 ID:AWoKWobpO
友理奈は、トラックの一番外側に陣取り、こみ上げ始めた緊張と呼吸を鎮め、ゴールのテープを見据えた。
横一列、皆がクラウチングの姿勢で、飛び出すきっかけに神経を尖らせている。
世間から見たら、ただの「うんどうかい」の一言で片付けられ、皆が大人になる頃には、
きっと一着だのドベだの、誰一人覚えてもいないだろう。
しかし今、横一線に並ぶ真剣で澄んだ「目玉」こそが、若さの特権であり、揺るぎない現在(いま)だった。

389 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/23(月) 00:52:31 ID:AWoKWobpO
教員テントでは、坂本が独り意気勇んで、ピストルの合図をハラハラしながら見守っていた。
掌と鼻の下に汗をかき、ひたすら声を枯らすその佇まいは、
教師というより、寧ろクラスメートのそれに近かった。

「位置に着いてーっ!」
走者一同、地面に着いた指先に力を込める。
「ヨーイ!!」
スターターがピストルを挙げた利き腕で、自身の耳を庇う。
「パーーン!!」
火薬の乾いた破裂音が、気持ち悪い程の青空を一喝した。

390 :シド・りしゃす:2006/10/23(月) 01:10:21 ID:AWoKWobpO
明日早いもんでネルヨ
また地道に上げます
明後日はとうとう夏夏のフラゲ日なんで そっから少しというか大幅に執筆ペースが予想されるヲレですが何卒宜しくですorz
なんか新スレたってもう400間近とは・・・多少荒れましたが前のペースじゃ考えられんw
たまにはロムの皆さんの感想も聞いてみたいなぁと贅沢なことをゆってみる
作家さんも随時募集中。。。
ではまた

391 :まぁ、名乗って:2006/10/23(月) 03:52:58 ID:QxDMjxpM0
>>386
すっかり寝落ちしてた A組…じゃなくてP組かw 
相変わらずの低速握手で今日も楽しかったよ また週末参加っすw
今週はB組DVDにC組CDと応援企画振り込め用紙到着・・・
DDは資金面が辛い 劇ハロどうすんだろオレw 
さてと・・・またれるね zzz


392 :ミヤビイワナ:2006/10/23(月) 07:54:17 ID:ad+OaqQ10
>>386
読んでいただき有り難う御座います。
休日なのでゆっくりアップしました。
>>390
『ズルいよ・・・あんた。』・・いいですね久々の友理奈サイド
彼女にはいつかどこかで自分自身に決着をつけてもらいたなぁ〜、
イワナがそのうち彼女をクロスロードに立たせてみたいような。
「ラブ☆なっくる!!」もちょっとかかりそうなのでお互い
それなりのペースで行きましょう。
体育祭終わってみんなのゴーサイン出たら次は文化祭なので
もうちょっと時間が欲しいかな。
自分は書きためて掲示板にコピーペーストしているだけだけど
他の作家さんはいかが?

393 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/23(月) 16:11:05 ID:AWoKWobpO
気がつくと友理奈は、ゴール地点で息を荒げ、激しく呼吸をしていた。
いったい何番目のゴールなのだろう。
後ろを振り返ると走者全員が、自分と同じような格好で、
周囲の酸素を一心に求め、息をきらしていた。

こんな全力で走ったのは、きっと去年の10月2日以来だろう。
友理奈は記憶の補完をするように、額に噴き出した汗を、か細い指先で辿った。
ただ「あの日」と、決定的に違うのは、心地よい躍動と余韻が、しっかりと友理奈の身体に刻まれている。
3Bの座席からは、沢山の声援が自分の名前を叫んでいてくれている。
友理奈は、騒がしく、温かい「癒やし」に手を振って応えると、
夢中で勝ち取った一着を、控えめたけど、とても素直に噛みしめた。

394 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/24(火) 00:03:04 ID:AWoKWobpO
友理奈が一番にテープを切った瞬間、梨沙子達はパイプ椅子に乗り上げ、歓喜の声を上げていた。
3C女子の梅田を土壇場で抜き去ると、友理奈は力一杯に胸を突き出し、平成十八年度 桜中学校 体育祭、最初のゴールを果たした。
「ゆりなぁー!!ゆりなぁー!!」
梨沙子と桃子が手を繋ぎ、友理奈の勝利を労うように手を振った。

照れくさそうに小走りで戻ってきた友理奈を、彼女はハイタッチで出迎える。
梨沙子は目をキラキラと輝かせ、級友の勝利をまるで自分の事のように喜んだ。

395 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/24(火) 00:40:33 ID:kjIqzN0LO
そんな微笑ましい風景を、坂本は教員テントから温かみの詰まった表情で見守っていた。

「坂本先生・・・」
繊細でどこか品を感じさせる声が坂本を呼び止める。
「いやぁ!どーもどーも!来ていらしたんですか!」
声の主は、梨沙子の母「詩子」だった。
「すみません。ご挨拶になかなか伺えなくて・・」
詩子はそう言うと、本当に申し訳なさそうに深々と頭を下げた。
「いやいや!どうか頭をお上げになって!
私の方こそ、電話の一つも差し上げなくて。申し訳ないです。」
腰の低い者同時のやり取りが可笑しかったのか、詩子からクスリと笑みがこぼれる。
「それよりも・・・見てやって下さい、あの子のあの嬉しそうな顔。」
坂本は小皺だらけの優しい視線を、無邪気にはしゃぐ梨沙子に向けた。

396 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/24(火) 01:23:09 ID:kjIqzN0LO
「本当。あの子のあんな楽しそうな顔・・・正直、信じられません。」
詩子は、喜びと困惑が同居したような複雑な表情で、坂本の言葉につづいた。
詩子の「信じられない。」という言葉は、決して大袈裟などではなく、
今まで梨沙子に関わってきた人間なら、きっと彼女と同じ印象を持つに違いない。

いつ発症するかわからない、否してもおかしくない、梨沙子の抱えた『病』。
梨沙子の生きていた環境では、その『病』のサポートが暗黙の了解だった。
出来るだけ、彼女に過度の感情を与えず、世間の刺激に晒さない。
腫れ物扱いをするわけでもなく、彼女に与えられ役割は、マスコットのような空虚で合理的なモノだった。
クラスメートが与えてくれるバランスの中で、梨沙子は不自由のない毎日を生きた。

予め用意された予定調和という思いやりに、梨沙子はある程度の充実を感じ、そこに疑問符の付け入る余白は、初めから存在しなかった。

397 :シド・りしゃす:2006/10/24(火) 01:35:00 ID:kjIqzN0LO
すごく煙草を吸いました・・・
なんの構想も無しに体育祭を書き始めた己の馬鹿さにワロタw
多分どこまで長くなるか解りませんorz
いろんなアイデアが浮かんでは消え 浮かんでは消え・・・
なんか夏祭りの頃の脳内カオスをおもいだします
ベリ全員書くのはなんていうかw
ノーフューチャー!!
でもこのプレッシャーがなんか楽しい!
ではネルネ

398 :ねぇ、名乗って:2006/10/24(火) 09:43:08 ID:dWYDY8wR0
大してかわいい子もいないしと放置していたが、意外といい曲が多いとわかった。つんくがこっちに力入れてる分娘がという感じが

399 :ミヤビイワナ:2006/10/24(火) 18:29:25 ID:R25Si7I60
>>397
おつかれ〜。
次は梨沙子ちゃんですか。
変化球続投、やり遂げてネ☆

病気に絡んでくる話は深くなりそうですね腕の見せ所、
友理奈を自慢げにする笑顔がよくみえてますよ。



400 :梨作家:2006/10/25(水) 01:51:45 ID:fhaI/mDOO
夏夏ミオワタ^^
たかだか2カ月しかたってないのになんだかとても懐かしい
紺を重ねる度にどんどん成長していくベリメンの姿に少し涙が出ました
つくづく俺は彼女達から偉大なパワーをもらって生きているんだなぁと
ヲレも皆さんに少しでも小説を通じて何かを発信できたらいいなぁと思いましたw
では今日はネルネ

あと℃の初回DVD・・・
あれは酷い もうちょっと他に映像化するものあるっしょ!
あれじゃC組がカワイソス。
イワナ氏レスどーもですノ 体育祭の味付けは思った通り強敵です!
だがめげずにやり遂げマス!

401 :松輝夫:2006/10/25(水) 09:31:16 ID:90/epsNRO
梨作家氏乙です。全部読ませていただきました。
相変わらず描写が細かく……自分と比較するのも恥ずかしくなりますわorz
運動会、どう展開していくのやら、イッパイ期待してますよん。
千奈美に、詩子さんは、瓦屋からですよね。

夏夏はまだ届いてないお……まあ、昨日今日と泊まりなんで見れないけど。
明日泊まり明けで休みだから見れる☆カナ?
それを楽しみに仕事頑張りましゅ。
それにしても、もうも二ヶ月経つんですねぇ……。
紺のため「だけ」に愛知や大阪に行ったっけ……。

今日は小春の2ndシングル「バラライカ」も発売ですね。
明日は、夏夏を見た後は「バラライカ」をBGMに執筆活動wwwに勤しみますわ。

千奈美に、自分の方もそれなりに進んでます。
今回は長くなりそうなうえ、自分で納得いくまで揚げないつもりなので、お見せできるのはまだ先になる☆カナ。

402 :ミヤビイワナ:2006/10/25(水) 20:55:26 ID:0izQlZIL0
バラライカはディミニシュスケールかマイナースケールか?
自分はディミニシュスケールに近いマイナースケールと思うが
やっぱりランディローズのようなペンタトニックかな☆とも思う。

きらりん☆は実は見ています。
松輝夫さんお仕事ごくろうさまです、自分も来週3日間泊まりで仕事です、
お互いテンション上げて行きましょう。

この曲で「ボルテスV」思い出すのは疲れのせいか?

ノノl∂_∂'ル <間奏のコード進行が似ているんだなぁ〜♪


403 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/26(木) 01:35:28 ID:4VXYhDG4O
「本来なら、母親の私があの子に色んなモノを見せてあげないと駄目なんでしょうね・・・
本当に坂本先生や生徒さん達には、どれだけの感謝をすればいいのか・・・」
詩子は無垢にはしゃぐ梨沙子とは対照的に、肩を落とし力なく坂本に感謝を述べた。
坂本はこれ以上詩子に頭を下げさせたく無かったんだろう、詩子を振り返ることなく全力で駆ける生徒達を目で追った。

「真っ直ぐですなあ!」
「えっ!?」
坂本が発した唐突な言葉の意味を推し量るように、詩子はゆっくりと頭を起こす。
「いやぁ!梨沙子の事ですよ。お母さんもそう思いませんか?」

坂本は自分の生徒に『ちゃん』や『さん』を付けずに、敢えて『梨沙子』と言い切ってみせる。
その彼らしい着飾らない言い回し方には、教師としての立場や愛情が、しっかりと裏打ちされていた。

404 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/26(木) 01:54:44 ID:4VXYhDG4O
「真っ直ぐなんですなぁ。」
坂本は自分の思いを確かめるように、ゆっくりと語りかける。
「あなたのように真っ直ぐな親御さんから沢山の愛情を授かった梨沙子は、本当に愛らしい程、真っ直ぐな子なんです。」
詩子は坂本の言葉が余程照れくさかったのか、慌ててかぶりを振り、それを打ち消した。
「情けない話ですが、我々教師が生徒にしてやれる事なんて、ほんの一握りに過ぎません。
梨沙子は友との学校生活の中で、それはもう本当に沢山の表情を見せてくれるんです。
笑ったり、ふてくされたり、悲しんだり、緊張したり。お腹が空いたと苛立ったり。
梨沙子の真っ直ぐな明るさは、充分に生徒達の支えになってくれていますよ。」
グラウンドでは派手に転んだ生徒が恥ずかしそうに、擦りむいた膝小僧をさすっている。
時折舞い上がる乾いた砂煙が、悪戯に子供達を包み込むと、学校中の声達が、ひときわ大袈裟な悲鳴へと変わった。

405 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/26(木) 02:07:33 ID:4VXYhDG4O
「ですから彼女に感謝しなければいけないのは、寧ろ僕達の方なんです。」
坂本は言葉の最後を、そう締めくくると、100m走のスタート地点で身体をほぐしている3Bの男子に向けて、激励の声援を送った。

「ですから、お母さん。
これからは少しだけ肩の力を抜いて、彼女に色んな景色を見せて上げて下さい。
及ばずながら、私で良ければ何でもご相談に乗らせて頂きますので。」

、「・・・坂本先生。」
詩子は頭を下げるという動作が、最早身体に染み着いてしまっているのか、何度も何度もその動作だけを繰り返す。
母親が持つ、母親だけのその偉大な力に、坂本は思わず熱い思いがこみ上げる。
「絆」という、多分に使い古されてしまった言葉の持つ本来の「重み」に、坂本はただ頷くだけだった。

406 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:23:06 ID:2Q51+DAi0
『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
         八名の親友丹下からボクシングを教わり、ボクシングに熱中。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知りだったがれいなとの出会いで勇気ある
         娘に成長中。
新垣里沙    :隣クラスの生徒会長。
道重さゆみ   :転校生

第4話『うさちゃん☆ピースの転校生』

れいなは3年生になった。
3年生の進級と同時に担任の先生が替わった。
3年B組、初のホームルームが始まった。
「知っての通り国語の坂本です、中学最後の1年みんなで元気に明るく頑張ろう。」

れいなは若い女教師より年輪を蓄えた「金八」と呼ばれるこの先生に好感を持っていた。
「ホームルームの前に転校生を紹介する。」
先ほどから教室の入り口に立っている転校生を坂本は中央に呼び寄せた。


407 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:24:09 ID:2Q51+DAi0
転校生の挨拶が始まった、
「今日からみんなの仲間になる道重さゆみです。」
「山口県から転校してきたのでこの辺の事は良くわかりません、みなさんよろしくお願いします。」
「・・・・・。」
男子生徒は皆ぼーっとしていた。
スラリとした体型、目が大きく口元のホクロが色の白い彼女をよけいに大人っぽく見せていた。
長い髪を大きなリボンで結んだ転校生はピースサインを両手で作り頭の上に掲げた。

「うさちゃん☆ピース」

「おお〜」
教室はざわめいた。
坂本はくしゃくしゃな笑顔を作ってさゆみの真似をしてうさちゃんピースをやっていた。
絵里は苦笑いをしていたが明るいからいいかなと思った。
「・・・・・。」
れいなは直感的に友達にはなれないだろうなと思った。彼女は明らかにお嬢様でれいなとは別の世界の人間だと思わせた。
だいたい絵里にしたってれいなにとってはお嬢様過ぎるのだから。

絵里はちょくちょくれいなの家に行き八名の「ネギ串」をごちそうになっていた。絵里の父親も会社の帰宅途中スーツ姿のまま
「焼き鳥食堂」に行って八名に愚痴ったり労働者達と肩を合わせ酒を飲んでいた。
絵里の父親は最初はれいなの境遇に同情する心をもって焼き鳥食堂に通ったが現在では自分が癒されに通っていた。
どんな高級クラブよりも好きになっていた、出来ればサラリーマン仲間には教えたくないほど大事にしている。

そんな絵里の父親家族を含めてれいなにとって「絵里」なのだ。
(・・・・ネギ串はたべんよね)

お嬢様オーラを放ちさゆみはれいなの隣の席に座った。

408 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:25:51 ID:2Q51+DAi0
「よろしくね☆」

「よろしく・・・・。」

隣席の男子の鼻が伸びている。

「それでは出席を取ります。」
坂本の声が教室に響いた。

放課後
今日はれいな一人の帰宅だった、絵里は生徒会の集まりで遅くなるらしい。
生徒会長はA組の「新垣里沙」だった。
1年生の入学挨拶の時から益々優秀な成績で今や学校を代表する優等生だ。
(どんな事したらあんなに優秀になれるとぉ)
土手を歩きながら他愛のない事をぼんやり考えていた。

土手から見える林の陰に小さな人影達が見える、明らかに小さな中学生と大きな中学生が対峙していた。
普通の中学生なら感じないがれいなの目には数人の動きが小さな陰でも分かった。
れいなは「和やかな」雰囲気ではないと直感的に感じた。小学生の時に土手から突き落とされた記憶が蘇る。

「ちっ!」

れいなは土手を駆け下りて行った。

409 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:26:59 ID:2Q51+DAi0
「お前の家、ラーメン屋だからニンニク臭いんだよ!!」
「うるさいよ!!」

雅は同級生に飛びかかった。
同級生はきれいに後ろに転んだ。
その姿を見た大きな体をしたニキビ顔の3年生が雅の顔をビンタした。雅はケンカで男子にも負けた事がなかったがさすがに
中学3年生の相撲部にでも入った方が良さそうな先輩にはかなわなかった。
気の強い茉麻もさすがにどうしようもなかった。千奈美は今にも泣きそうだったが小学生の時、雅と約束した「泣かない」約束を
必死に守ろうとした。

「あたしの妹にニンニク臭い思いさせておまけに突き飛ばすなんて、あんたら明日5千円ずつ慰謝料持って来な!!」

どうやら雅達のクラスにはニキビ顔の妹がいるらしい。ニキビ顔の妹は小学生の時も茉麻にちょっかいをかけていたらしいが
いつも雅につぶされていた。
中学に入り姉の力を使って小学生の恨みを晴らそうとしていた。
雅はもう一度ニキビ顔に飛びかかったが体の大きい彼女に勝てなかった。
地面に打ち付けられた雅は悔しそうに、
「茉麻を侮辱することだけは許さない!!」
まだ諦めていなかった。

410 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:28:27 ID:2Q51+DAi0
「どっかで聞いたことのある話だと思ったら、またあんただったとぉ〜」
れいなが林の入り口から歩いてきていた。

「大丈夫とぉ?」
「・・・・・。」

れいなは雅を抱え起こし制服のほこりを叩いてはらっていた。
雅はドキドキしていた桜中学最強で男子生徒すら敵わない「スケ番」と言われている「田中れいな」が
母親の様な優しい仕草で自分を抱き起こしてくれている。
茉麻はれいなの話を父親から聞いていた。不遇な境遇に負けぬ強い娘だと、しかも頭にタオルを巻いて焼き鳥を焼く姿は職人であると。
茉麻の父親が商店街で「須藤飯店」を開いた時も八名には色々力になってもらっていた事も聞いていた、父はいつも八名を尊敬する
職人だと言っている。貧しい労働者達が飲み食い出来るように利益が出ない仕事を何十年もやっているとも聞いた。
父は八名の事を「師匠」だと思っていて、れいなの強く生きる境遇を思うと感極まって涙声になっていることがあった。
れいなの話を聞く度、茉麻は自分も中学生になったら店の手伝いをしたいと思っていた。
茉麻にとってれいなは最強の「スケ番」ではなく憧れの「先輩」だった。

411 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:37:03 ID:2Q51+DAi0
「こんなチビちゃん達いじめて恥ずかしとぉ」
れいなは雅をかばうように立ってニキビ顔に言った。
千奈美と茉麻は雅に寄り添った。

れいなは3人をかばうように立っていた。

ニキビ顔は小学生の時にされたデコピンを思い出している。あの一件以来あのクラスで自分は鼻つまみにあっていた。
中学に入学して幸いだったのはれいなと同じクラスにならなかった事だった。目立たぬ中学生活を送っていたが誰も来ないここなら
れいなを思いっきり叩くことが出来ると思った。今の彼女はれいなより背が高く体も大きかった、スラリとした体型のれいなに負ける気が
しなかった。

「昔の借りを返すよ!!」

ニキビ顔は突進してれいなにつかみかかった。
れいなはただ左手を振ってニキビ顔にビンタをした。
首を振ってのけぞるニキビ顔は諦めずもう一度つかみかかろうとした時、すでにれいなは目の前に立っていて「L字」にした右腕を
ニキビ顔の腹にめりこませていた。
ニキビ顔は小学生の時と同じように膝をついて息を整えていた。
小学生の時とは比べられぬ拳だった、動きの速さも化け物じみている。
(ありえない!こんな拳で顔を殴られれば!)
れいなは片足でひざまずきあの時のようにデコではなく「鼻」にデコピンをした。
ニキビ顔は気の遠くなるような痛みを受け鼻を押さえて耐えていた。

412 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:38:56 ID:2Q51+DAi0
下を向いてうずくまっているニキビ顔にれいなはひざまずいたまま語り出した。
「なぁ、あんたもれいなも来年は中学卒業だなぁ。」
「・・・・・。」
「中学生やってて良かったと思える事ひとつでも自分でつくるとぉ。」
「・・・・・。」
「れいなはそう思っている。」
「・・・・・。」

ニキビ顔は腹を押さえたままうずくまって動かない。
ニキビ顔は泣いていた・・・・鼻が痛いだけじゃなかった。

れいなは怯えるニキビ顔の妹に近づき、
「おねえちゃん叩いてゴメンな、連れて帰ってあげてな。」
れいなはニキビ顔の妹に詫びを入れて土手に歩いて行った。
れいなは悲しい瞳をしていた、
(姉妹・・・・うらやましいとぉニキビ顔・・・・もちっと叩けば良かったか)

その後を3人の一年生が並んでついて行った・・・・・。

413 :ミヤビイワナ:2006/10/26(木) 19:45:49 ID:2Q51+DAi0
>>405
書いてるところ申し訳ないです。
母親とのやりとりの難しさ伝わります、がんばれ!!
気分転換にいかがかとアップしました。

>>386
>>天国?の梶原先生もきっとビックリしてるに違いない?
最近思うのですが、
嘘でも冗談でもこんな事書いていただけるなんて・・・
これから仕事でも物を書くとき一生忘れないないだろうなぁ・・・

ノノl∂_∂'ル <いつもありがとう〜♪


414 :梨作家:2006/10/27(金) 00:17:27 ID:yUnkl23W0
いやいや!イワナマジック炸裂の物語!遂に最愛なる3馬鹿トリオwが登場しましたね!
同じ時間軸を生きるこの物語の住人たち・・・これですよ!
ヲレが求めている世界観は!    
週末は仕事が多忙なんでまた日を改めて書きますが茉作家さんも何か構想があれば(ry

輝夫氏も拘り抜いた物語 松輝夫!!
くどいようですが住人の皆さん 居たら感想ヨロです!

415 :松輝夫:2006/10/27(金) 10:35:13 ID:SzGxo+1VO
「バラライカ」が来ない!なぜだ!!

Amazonだからさ

松輝夫でございます。
昨日夏夏見ました。あのツアーは楽しかったなぁ。

>>413
更新乙です。
さゆキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
転校生として登場とわ……そうきましたか。
土手のシーンいいですね。
本編のエピソードもしっかり取り込んで、光景が容易に想像できましたよ。
千奈美に、某小説スレでイワナ氏ハケ〜ンしますた。

>>414
なんか、重い方が性に合うのか、それなりに進んでます。
もちろん、相変わらず煮詰まりながら書いてますけど、今までのほのぼのより書きやすい☆カナ?
だいぶたまったので、そろそろ揚げよう☆カナ。
一気に揚げても読む方もキツいでしょうし。

416 :ミヤビイワナ:2006/10/27(金) 19:30:07 ID:t2grnap80
>>414
楽しんでいただけましたか。
この手法は特に考えなくても本編を読むと続いて行くのですよね〜。
この先書く「文化祭」逆の方向を向いたり・・・
楽しいな☆
仕事がんばって、体には気をつけて、
がんがんいきまっしょい!!

>>415
さゆちゃん出したけどこれからがハチャメチャになってしまうんです。
最初の方に書いたけど迷った理由が分かってくると思いますが
なんとかこらえてね☆
一気に読むのが良いんです、
みんなが待ってるから!!
送ってくれた原稿まだページにアップしてないけどごめんなさい
今本編を全部編集して失礼ながら誤字脱字の修正中でもう少しかかります。
編集の為に其の四から読み返しているけどマジでいいから。
たぶん書いた作家さんもあらためて形にしたらいい気分だと思います。
題名がない作品はとりあえずイワナが考えてみました。
もう少しでアップ出来るので、お楽しみに。

ノノl∂_∂'ル <はやく読んでもらいたいなぁ〜♪

417 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/28(土) 00:44:20 ID:Wunx2oUXO
午前中の競技種目が終わり、生徒達は仲の良いグループ同士で集まると、昼食の輪を所々に広げた。
普段の学校給食とは違い、生徒各自が持ち寄った『お弁当』は、それぞれの子供達の家庭の色が、とても面白く反映されている。
カラフルなおかずがひしめき合っているような、可愛らしいもの、ステンレスでできたいかにも武骨な弁当箱にシンプルな日の丸が誂えてあるもの、
家事の忙しさにまみれ、片手間に作られたのか、ご飯にオカズの汁が浸食しているもの。
それぞれの家庭の色彩が詰め込まれた、その箱の中身を生徒達は、笑顔を交えながら、とても美味そうに味わっている。

418 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/28(土) 01:23:38 ID:Wunx2oUXO
クラスメートの活躍に、声を枯らしたり、空腹を訴えるわけでもなく、雅はただボンヤリと考え事をしていた。
「まぁ。」
千奈美が雅を気遣うようにそっと茉麻を呼び寄せる。
「みやのことなんだけどさ・・」
「あぁ・・うん。」
茉麻は彼女が何を言わんとしているのか、大体の察しがついているように、やんわりと言葉尻を濁した。
「多分・・・多分だけど。まぁが北海道行くかもしれない事、知っちゃったかもしんない。」
「あぁ・・・うん。」
二人の懸念が一致してしまったのか、茉麻は言葉が見つからない様子で、ちらりと雅の横顔に目をやった。
彼女の肩にかけられたジャージの袖が、雅の心の中を見透かしているようで、何だかつまらなそうにプラプラと揺れている。

「まあ、弁当まだでしょ?屋上行こうよ。」
千奈美は機転を利かしたつもりで、彼女を屋上に誘う。
虚ろな顔でゼリードリンクを啜る雅に後ろ髪をひかれながら、茉麻は千奈美の後に続いた。

419 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/28(土) 03:53:47 ID:Wunx2oUXO
屋上から臨む賑やかな風景を背に、小さな体を金網にあずけ、彼女はペットボトルに入った水を勢いよく飲み干した。
いまさら弁当くらいで母親を恨めしく思ったりはしない。
佐紀はただ、級友の詮索の目から距離を置くのには都合が良いと、この場所を避難場所に選んだ。

風邪を遮る建物が何にもない屋上は、11月の乾いた風がぴゅーぴゅーと肌に触れる。
もっとも佐紀にとっては、心を病んだ母につけられた忌まわしい『傷』を覆い隠すには、ちょうど良い温度だった。
グラウンドに視線を落とすと、きっと桃子だろう、くねくねと走りながらどうやら鬼ごっこで盛り上がっている。
桃子の可笑しな走り方に、佐紀は思わずクスリと微笑むと、それが合図だったように、彼女の腹の虫が空腹を訴えた。

420 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:03:06 ID:6x8cJOGgO
3年B組ベリーズ工房 オーディション編番外「夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜」

登場人物
久住小春 中学二年生。実の姉のように慕っていた藤本美貴の影響で芸能界を目指し、現在は女優を目指している。
久住章 小春の父
久住千代子 小春の母
藤本美貴 焼肉「ふじもと」を経営する藤本家の末っ子。小春とは実の姉妹以上の仲。歌手を目指していたが…。
吉澤ひとみ 楽器店店員。高校以来の美貴の大親友。
中澤裕子 元少年課所属で、現在は警視庁広域特別捜査隊所属の刑事。階級は巡査。美貴が荒れていた頃立ち直らせた。
稲葉貴子 警視庁広域特別捜査隊所属の刑事。階級は巡査。裕子の同期で同僚。

act.3 暗転-Brackout-(前編)

2006年10月1日、中野サンプラザ。
オーディションを受けるために、小春はライバルたちと共に受付を待つ列に並んでいた。
列は少しずつ動ていき、小春を回想の世界からいったん現実に引き戻した。
やがて順番が来た小春は、受付を済ませ会場に入り、列の後の方でステージ上を準備のために忙しく動き回る大人たちを眺めていた。

421 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:04:50 ID:6x8cJOGgO
忘れもしない去年の9月、ここから小春と美貴の運命は変わったのだ。
受かるはずもないと思っていたオーディション。
おまけに、直前に緊張のあまり激しい腹痛に襲われた挙句、医務室に連れて行かれ、それでまさか受かるなんて思ってもいなかった。
小春は、今でも時々思ってしまう。
もし、あの日オーディションに受かっていなかったらどうなっていたのだろう、と。
おそらく、きっと今のようにはなっていなかっただろう。
そのことは考えてはいけないと、美貴やひとみに何度も言われているのだが、それでもどうしても考えてしまう。
それほど、あのオーディションの後に彼女を待ち受けていた運命は、少女の心に大きな影を落とさずにはいられなかった。
だが、小春は自分がそれを正面から受け止めなければならないということも十分にわかっていたし、その覚悟もあった。
小春は、軽くため息をついてまた目を閉じた。
再び、回想の世界に小春は身を沈めていった。

422 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:07:02 ID:6x8cJOGgO
初めてのオーディションが終わって二週間。
小春は今までどおりの生活に戻っていた。
オーディションのことは、もうとっくに小春の頭の中から抜け落ちていた。
もともと受かると思っていなかったし、直前にあんなアクシデントがあってはなおさら受かるわけがないと思っていたから。
それよりも今の小春には、嗣永桃子という新しい友達ができたことのほうが重要だった。
桃子とは、あの後携帯の番号とメールアドレスを交換した。
桃子は結構頻繁にメールをくれる。
最近のメールでは、桃子はまたオーディションを受けるつもりらしい。
小春も誘われていたのだが、今回は断った。
でも、いつかまた挑戦したいという気持ちはある。
そんな小春の元に、ついに運命の日がやってきたのだった。

423 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:08:22 ID:6x8cJOGgO
「ただいまーーー!」
いつものように学校から戻った小春は、母親の千代子に挨拶してから二階の自分の部屋に行こうとして千代子に呼び止められた。
「おかえり。そうそう、郵便来てるわよ」
「小春に?」
分厚い封筒を渡された小春は、とりあえずそれを持って自分の部屋に向かった。
階段を上がりながら、小春は封筒の差出人を見て、どこかで見たような気がしていたが思い出せなかった。
部屋に入って、ベッドに腰掛けながら、封筒を胸に抱き考えているうちにようやく思い出した。
これって、あのオーディションを開催した事務所…ということは…まさか?
急いで封筒を開けた小春は、その「まさか」であることを確認した。
「ちょっと、お母さん!お母さーん!!」
小春は叫びながら封筒を片手に階段を駆け下りていく。
「何なの?騒々しい…」
そう小春を嗜めた千代子だったが、数分後には、小春よりも舞い上がってしまうのだった。

424 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:11:17 ID:6x8cJOGgO
次の土曜日の昼過ぎ。
小春は母と共にオーディションを開催した事務所を訪ねた。
あの後、母に書類を読んでもらい、事務所に電話したところ、都合のいい日に一度事務所に来て欲しいと言われ、この日にしたのだった。
「あ〜、よく来てくれましたね」
母と共にソファーにかけて待つ小春に、事務所側の担当だという男性が声をかけてきた。
「早速なんだけど…君、女優を目指してみないか?」
「女優…ですか?」
「歌の方も良かったんだけど、まだまだなんだよね、正直。まあ、レッスンでそうとう改善が見込めるんじゃないかって寺田さんは言ってたけど」
寺田…ああ、「ミラクル」とか叫んでた審査員だ。
「…で、とりあえず、先ずは女優目指して頑張ってみないか、ってことなんだ。演技の方もかなり良かったんでね。どうかな?」

425 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:36:14 ID:6x8cJOGgO
意外な話に小春は面喰ったが、女優も面白いかも、とも思う。
小春は隣の母の顔を見た。
千代子は口に出しては何も言わなかったが、ただ目で「小春の好きなようにしなさい」と言っていた。
「…やってみます」
いろいろ考えた末に、小春はついに決断した。
その後は、母と事務所の人との難しい話になっていた。
小春は、大人たちの話を聞き流しつつ、窓の外の風景を見ながら、この先に自分を待ち受けるものを想像して期待と不安を交錯させるのだった。

426 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:39:36 ID:6x8cJOGgO
こうして、小春はこの事務所に所属してレッスンを受けつつ、芸能活動を行うこととなった。
事務所を出る頃には、小春はすっかり舞い上がっていた。
不安も大きいが、それ以上に期待のほうが大きかった。
夕方、母と共に家に戻った小春は、すぐに向かいの藤本家に向かった。
言うまでもなく、美貴に事の次第を報告するためだ。
「お姉ちゃん!小春ね、オーディション受かっちゃった!」
「…ホントに?」
「うん!」
「そっか…よかったね。おめでとう…」
後から考えれば、この時の美貴の様子は明らかにいつもと違ったのだが、普段ならともかく、完全に舞い上がっていた小春はそれに気づくことはできなかった。
そして、小春は後で知ることになるのだが、ちょうどこの日、折り悪く美貴は久しぶりに受けたオーディションの落選通知を受け取っていたのだった。
だが、そのことも、この先に待ち受ける運命も、この時の小春には知る術もなかった。

427 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:44:12 ID:6x8cJOGgO
時は流れ、2005年も残すところあとわずかとなった12月。
小春は、中学校生活を送りつつ、所属した芸能事務所でレッスンを受けていた。
学校の勉強の合間にレッスンを受けるのはなかなかしんどかったが、苦痛ではなかった。
そういうわけで、小春は毎日多忙ながらも充実した生活を送っていた。
そんなある日…
「小春…ちょっと」
「何?お母さん」
母の表情が今まで見たこともないくらい深刻なのが気になった。
「美貴ちゃんのことなんだけど…」
「お姉ちゃんがどうかしたの?」
「もう二ヶ月近くほとんど家に帰ってないんだって。携帯も通じないらしいし…あんた、何か知らない?」
「え?」
思いもかけない話に、小春は驚いた。
そういえば、最近忙しさにかまけて、全然連絡とってない。
「そう…何かあったら、すぐ教えるのよ」
母の言葉に小春は頷いた。

428 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:46:43 ID:6x8cJOGgO
自分の部屋に戻った小春は、すぐに美貴の携帯に電話をしてみた。
「繋がんないや…」
何度試しても、その都度機械的なアナウンスが流れ、電源が切れているか、電波が届かないところにいるからかからない旨を小春に告げた。
諦めた小春は、とりあえずメールを送ってみた。
「お姉ちゃん…」
小春は「送信しました」と表示されたままの携帯の液晶画面をしばらく眺めていた。
やがて父の章が仕事から戻ってきて、三人での夕飯になってもこの話題が出た。
「そうか…」
母の話に父もそれ以上言葉がないようだった。

429 :松輝夫:2006/10/28(土) 14:48:27 ID:6x8cJOGgO
「もしかしたら…今度こそ…もうダメなのかも知れないわね…」
「千代子!」
ポツリと漏らした千代子を章が語気も鋭く嗜めた。
「ちょっと…何のこと?何が今度こそダメなの?」
小春がそう尋ねるのも当然だったろう。
「何でもないよ…小春は知らなくていいことだから」
父は優しい口調で小春に言った。
父も母も何か知っていて隠してる―――小春はすぐにそう悟ったが、いくら尋ねても二人はそのことに関しては話そうとしなかった。
いつもなら会話も絶えず楽しいはずの久住家の夕食の時間が、今日は重苦しい沈黙に支配されたまま、ただいたずらに時間だけが過ぎていった。

430 :松輝夫:2006/10/28(土) 16:01:11 ID:6x8cJOGgO
「…ごちそうさま」
美貴のことが気になって、小春は結局夕飯もロクにノドを通らず、ほとんど手つかずで残して席を立ったが、両親は何も言わなかった。
部屋に入って、ベッドにうつぶせに身を投げ出す。
美貴から電話かメールでも来ていないかと思って携帯を取り上げたが、何もなかったようだ。
「着信ナシ…か」
美貴は一体どうしたというのだろう。
そして、父と母は何を隠しているのだろうか。
それにしても、自分はなんてダメな妹なんだろう。
忙しいのをいいことに、今日まで美貴と全然連絡をとっていなかったことを小春は悔やんだ。
美貴に甘えてばかりで、美貴のことを何も気にかけていなかった―――美貴は、今までいつも自分のことを気にかけてくれていたのに。
もしかしたら、或いはこんなことになるのは防げたかもしれなかったのに。
小春は、机に飾ってある写真を手に取った。
そこには笑顔の二人が写っていた。
「お姉ちゃん…」
写真を胸に抱きしめ、小春は決意した―――自分で何とかする。
もちろん、今の小春にできることなんてたかが知れてるだろう。
でも、このまま自分が何もせずにただ時間だけが過ぎていくのは耐えられなかった。

431 :松輝夫:2006/10/28(土) 16:03:11 ID:6x8cJOGgO
次の日。
学校から戻った小春は、着替えるとすぐに自宅の向かいの藤本家に向かった。
「小春ちゃん…」
出迎えてくれた美貴の母親の顔は、すっかり憔悴しきっていた。
「おばさん…あの、お姉ちゃんのこと…聞きました。お姉ちゃん、家に帰ってないって…」
「そう…立ち話もなんだから、お入りなさい」
「お邪魔します…」
こんなに苦しい気持ちで藤本家の敷居を跨いだのは、小春は生まれて初めてだった。
居間に通された小春は、美貴の母親に尋ねた。
「あの…お姉ちゃんいつから…」
小春の問いに美貴の母親が答えた日付を聞いて、小春はガツンと頭を殴られたような衝撃を感じた。
あの日だ―――自分がオーディションに受かって、舞い上がっていたあの日…。

432 :松輝夫:2006/10/28(土) 16:05:42 ID:6x8cJOGgO
「あの日にね、美貴もオーディションの結果を受け取っていたの。ダメだったんだけどね…それで言っちゃったのよ、私…」
美貴の母親が語り始めた。
「夢を見るのもいいけど、もういい加減、そろそろ現実を見なさいって…それで喧嘩になって、飛び出していって…」
何も知らなかったし、考えもしなかった…一人で浮かれて舞い上がっていた自分を、美貴はどんな気持ちで見ていたのだろう。
小春は、知ってしまった真実の重さに、自分が押しつぶされそうに感じた。

433 :松輝夫:2006/10/28(土) 16:07:42 ID:6x8cJOGgO
「…小春のせいです」
「小春ちゃん?」
「自分がオーディションに受かったからって、お姉ちゃんの気持ちも考えないで一人で浮かれて、調子に乗って…最低ですね…」
美貴の母は、小春の肩に優しく手を置いて言った。
「ううん、違うよ。そうじゃない。あの子が弱いだけ。だから、自分を責めるのはお止しなさい」
「おばさん…」
「それと、たまに夜遅く家に戻ってきてるみたい。私たちもいつまでもこのままにはしないつもり。でも、今は気の済むようにさせておくわ。もう、ダメかもしれないけど…」
美貴の母の言葉に、小春は昨夜の両親の会話を思い出してハッとなった―――やはり、美貴には、あるいは藤本家には自分だけが知らない「何か」があるらしい。

434 :松輝夫:2006/10/28(土) 16:08:52 ID:6x8cJOGgO
「おばさん、それってどういう…」
小春にそう聞かれ、美貴の母親は「しまった」という表情をした―――が、それも一瞬、
「ううん、これは小春ちゃんには関係ないことよ。忘れてちょうだい」
そう言って、それ以上のことはいくら小春が聞いても話そうとはしなかった。
「とにかく、美貴とはいずれちゃんと話すから心配しないで。せっかくオーディション受かったんでしょう?だから今はそっちを頑張って。あの子もそう望んでるはずよ」
美貴の母親は、小春のことを一言も責めずに、逆に気遣った。
その優しさがまた小春には辛かったし、自分だけが知らない「何か」の存在が心の中で引っかかっていた。

435 :松輝夫:2006/10/28(土) 16:28:22 ID:6x8cJOGgO
「…あの…お姉ちゃんの部屋に行ってもいいですか?」
「…ええ、どうぞ」
何かわかるかもしれない、何か感じられるかもしれない―――小春はなんとなくそんな気がして、美貴の母親の了解を得て美貴の部屋に入った。
主のいない部屋は、きちんと整理されていた。
美貴が飼っていたメスのハムスター「ムク」が、タンスの上にあるケージの中で音を立てながら勢いよくホイールを動かしていた。
小春は、ケージから「ムク」を出して自分の手の上に乗せた。
「最初はよく咬まれたっけ…」
手の上で毛づくろいする「ムク」を眺めながらそんなことを思い出し、小春は自分に突きつけられた現実の重さを改めて感じるのだった。
「ムク」をケージに戻した小春は、ふと机の上にある二つの写真立てに気がついた。

436 :松輝夫:2006/10/28(土) 16:31:55 ID:6x8cJOGgO
一つには自分が持っているものと同じ写真、そしてもう一つの方には美貴と一人の女性が写っていた。
小春は、その女性に見覚えがあった。
「私、この人に…一度…会ってるよね…」
小春は自分の記憶の引き出しを片っ端から開けて、そして思い出した。
そうだ、美貴が昔世話になったという警察官の中澤裕子さん…。
小春は思った―――警察の人なら、もしかしたら何とかしてくれるかも…。
ようやく、僅かながら希望の光が見えたような気がした。

act.3 暗転-Brackout-(前編) end

437 :ミヤビイワナ:2006/10/28(土) 19:31:19 ID:vwvzXshH0
>>436
松輝夫さんお疲れさまです!!
まってました。
後で感想ゆっくり書きますね。

遅くなったけど本編アップしました。
やっぱり自分が作ったHTML文おかしいところあるみたいだけど
アップしました少しずつなおします。

作品書いた作家さん達はエピソード番号もしくは段落を教えていただきたい
作家紹介もしなければなりません。 

 ttp://www.geocities.jp/iwa3b/index.htm

よろしくです☆

438 :ねぇ、名乗って:2006/10/29(日) 16:54:52 ID:GZeDePafO
輝夫氏おつ!
しかしどんどん上手くなってるんですけど・・
背景も描写も細かく それでいて無駄がない!
先の展開そして美貴の秘密・・
いったいどうなってしまうんだああああああああああああああ

439 :まぁ、名乗って:2006/10/29(日) 19:12:38 ID:5ics2Zaq0
イワナさんメールで過去ログ漸く送りました 宜しくお願いします

なんかみんなスゴスギル…携帯小説みたいに休憩時間に読んでおります 
茉作家はみなさんのペースについていけずのんびり考え・・・ いや さぼり中w アヒャ

440 :ミヤビイワナ:2006/10/29(日) 21:43:27 ID:z6oq4JnZ0
>>436
話の導入が上手ですね。
一つ一つ丁寧に問題呈示する手法、松輝夫さんのスタイルが
出来てきました。

次のストーリーが知りたい、ゆっくり階段をあがるような
そんな文章になっています。
他の作家に引けを取らぬ描写が見えます、
イワナと他の作家も遅れを取らぬように☆

梨作家さんメールありがとうございました。大変助かりました。
Episode001 Introduction の中に矢島まいみ君が茉麻ちゃんに告白するシーンがあります。
この下りは「恋の呪縛」の歌詞をモチーフした台詞になっていますがこのあたりが
「恋の呪縛」ではと思いますが。
其の四ではこの辺の作品の結節に題名がなかったので勝手に含んでしまいました。
上記が間違っていたらご指導お願いします。
Episode001 Introductionの段落での指定をいただき「恋の呪縛」と言うタイトル作りますか?
お返事はいつでも結構ですので。

まあさん大変ありがとうございます。
みんなに読ませるように対応します。
今週は先週に引き続き殺人的スケジュールなので週末までネットは対応できません。
週末までまっててね☆

ノノl∂_∂'ル <たすけてダーリン クラクラリン〜♪

441 :梨作家:2006/10/30(月) 01:09:04 ID:/fpdxosmO
仕事の合間に少ないけど地道に書いてるます!
明日くらいに少し上げたいなぁと思いますので
よ ろ し く ! !

442 :松輝夫:2006/10/30(月) 09:58:12 ID:Rx2SIuGpO
最近、ますます小春面に落ちている松輝夫です。
ようやく自分が納得できるものができたと思い揚げたわけですが、揚げてからミスに気づくとわ…。
では、突っ込まれる前に…まず今回はact.4になります。3ではありません。
それから、現在少年課という呼称は使われていないようです。一応、今回はこのままいきますが。
さて、過分な評価をいただき、嬉しくもありますが恐縮しきりです。
上手くなったというか、自分にはやはりほのぼのよりは、こういう重い展開の方が書きやすいみたいです。
もちろん、他の作家さんの作品を読んで影響された部分も大きいと思います。
そういうわけで、他の作家さんの続編を期待したいと思います。
かくいう自分も、書き上げてしばらく燃え尽きた感じでしたが、今日から後編に取りかかりたいと思います。

443 :ねぇ、名乗って:2006/10/30(月) 14:26:38 ID:///oMdxX0
まとめサイトとかってない?

444 :ねぇ、名乗って:2006/10/30(月) 14:58:23 ID:/fpdxosmO
>>443
一応貼っとく
少し不完全だけど

445 :ねぇ、名乗って:2006/10/30(月) 22:29:04 ID:/fpdxosmO
まとめサイト?
http://www.geocities.jp/iwa3b/index.htm

446 :体育祭〜砂煙が目に染みる:2006/10/31(火) 00:41:57 ID:R2AdsXKqO
>>419

佐紀はナイロン製のトートバッグから、アルミ泊で包まれた昼食を人目を憚ることなく取り出した。佐紀が手にしたそれは、円盤状の形をしていて、まるで銀色をしたフリスビーのような形状をなしている。

料理だけは『大』が付くほど駄目な佐紀は、握り飯くらいしか思い付く料理が見当たらなかったのだ。
強引に一つの形にまとめられたその円盤状の握り飯は、
佐紀の、どちらかといえば少女的で引っ込み思案なイメージとは、似ても似つかない、
まるで居酒屋の宴会に駆り出されそうな、珍メニューのような趣きがあると言えた。

447 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/31(火) 00:58:44 ID:R2AdsXKqO
佐紀は、まだ父親が健在だった頃、一度だけ料理の真似事をしたことを覚えている。
またその思い出話は、佐紀にとって忘れようのないほろ苦い思い出話だった。
それは彼女の父が、他界する一年前の『父の日』の出来事。

佐紀の父『竜二』は、いつも『今日』と『明日』の狭間に帰宅するような、まさに絵に描いたような仕事人間だった。
仕事人間というとどうしても『家庭をかえりみない』『ストイック』などの印象がついてまわる。 それが俗に言う『仕事人間』という種類の生き方である。
しかし竜二は違った。
家庭をかえりみないどころか、家庭を一番に愛し、日々の疲れと底なしのストレスを安酒で紛らわす事もなく、真っ直ぐに家路を目指すような、
そんじょそこらでは、お目にかかれない『理想のパパ』だった。

448 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/31(火) 01:14:28 ID:R2AdsXKqO
佐紀の父『竜二』は、まだチーマーという言葉が存在していた時代、渋谷界隈を拠点とする、札付き達のいわゆるヘッドだという事を佐紀は知っていた。
一度家族で渋谷に出掛ける機会があった時、革ジャン姿の若者や、
体中のあちこちに綺麗なイラストをあつらえたツルツル頭のお兄さん達が、とても礼儀正しく竜二に挨拶をしてくる。
竜二はそれが何だか凄くこそばゆい事のように、『お兄さん』達の輪を照れくさそうにすり抜けていった。
佐紀はそんな父の表情が単純に大好きで、嬉しさで顔をくずしながら、竜二に手を引かれて歩いたことを覚えている。


ネクタイを緩め、くたびれたスーツ姿の竜二が「ただいま」を言いに襖を開く、佐紀は薄目を開け、竜二の独り言に耳を澄ます。
大好きな父との優しい時間。

佐紀はそんな日常が当たり前の事なんだと、どこかで錯覚をしていた。

449 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/31(火) 01:25:40 ID:R2AdsXKqO
「今日はお仕事で、名古屋までいってきたんだよ。エビフライ美味かったなぁ・・今度はみんなで行かなくちゃな。」

「佐紀の作文読んだぞ! ダンサーになりたいのか?流石俺の子だ!頑張るんだぞ!負けるなよ!」
佐紀は芝居じみた寝息を立てながら、時々竜二の言葉に耐えられずに笑顔をこぼす。
父の口癖といえば決まって「頑張れ」「負けんな」「気合い」「根性」・・・

それがいつしか清水家を形作り、佐紀の体に自然と染み込んでいった。

絶対に疲れを家に持ち帰らない、竜二の強い言葉を聞いている内に佐紀は、あるプレゼントを思い付いた。

『オムライスだっ!!』
たまの休日にレストランで食事をすると、竜二はとても美味そうにオムライスを頬張る。
見ているこちらが幸せになるような、まるで子供みたいな笑顔で。

450 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/31(火) 01:31:53 ID:R2AdsXKqO
『そうだ!!オムライスだ!
パパの大好きなオムライス、佐紀が作ってあげるんだっ!』
佐紀はそう心に決めると、それからの行動は早かった。
カレンダーで父の日を確かめ、母の『まゆみ』と綿密な打ち合わせをした。
竜二に感ずかれないように、佐紀は頭の中でカレンダーに×をつけていく。
竜二の驚きと嬉しさの詰まった顔を想像するだけで、佐紀の心は今にも踊り出しそうでムズムズしていた。

「ぜーんぶっ!佐紀がやるんだからね!買い物も下ごしらえも!ぜんぶ!」
佐紀が何度もまゆみに念を押す。
まゆみはそれがたまらなく可笑しい様子で、
「はいはい!頑張って頂戴ね!料理長!」
キッチンからは、愉快で幸せに満ちた会話が飛び交っていた。

451 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/31(火) 01:38:03 ID:R2AdsXKqO
玄関口が勢い良く開く。
竜二は愛娘との約束を律儀に守り、早めに仕事を切り上げ帰って来てくれた。
今になって思えば、学歴の無い父の事だ。
きっと職場で数々の嫌みを言われながら、年下の上司に頭を下げ、申し訳無さそうに早退してきたくれたに違いない。

佐紀は時々そんな事を考えると、申し訳ない思いで胸が締め付けられた。
佐紀の家庭の、他にはない特別な温度は、間違いなく竜二の存在なしにはあり得なかった。

452 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/10/31(火) 01:44:51 ID:R2AdsXKqO
「ただいま!」
竜二がソファにスーツとネクタイを放り投げる。「パパぁ!早いよぉ!もぉ!」
キッチンの中では、驚いたことに佐紀がフライパンを片手にぶうたれていた。
その愛娘の張り切る様を、傍らでまゆみがハラハラしながら心配そうに見守っている。
フライパンから放たれる悪臭は佐紀の奇天烈なアイデアと比例して、その濃度を増していく。
竜二がまゆみに目で合図を送ると、彼女は肩をすくめ『こまったわねぇ。』のジェスチャーをした。
『そうかそうか・・・ついこないだまで、ヨチヨチ歩きしてたと思ったら・・・俺の為にあんなに頑張りやがって。
泣くせやがってよぉ!こんチクショウ!!』
竜二は涙目になりながら、キッチンから運ばれてくる刺激的な香りに胸を詰まらせた。

453 :ねぇ、名乗って:2006/10/31(火) 02:04:44 ID:OoFx0Ls+O
最近あんまり来れない・・・m(_ _)m

作家の皆さん引き続き頑張ってくださいね!ノシ

454 :ねぇ、名乗って:2006/10/31(火) 10:23:17 ID:R2AdsXKqO
>>453
やあ!
久しぶりぃノ
梨沙子に日曜日逢いに逝ってくるます!

455 :ねぇ、名乗って:2006/11/01(水) 02:36:11 ID:ECpqyX/nO
寝る前に…

>>454
お久しぶりっす!!
日曜てゲキハロっすか?楽しんできてね〜!

456 :ねぇ、名乗って:2006/11/01(水) 04:38:38 ID:9XWC90I3O
ちょっと画像あげてくれる?

457 :無名作家:2006/11/01(水) 17:05:05 ID:MxX4Urrn0
初投稿です。
よろしくおねがいします。
気がむいた時小説かきますんで

458 :まぁ、名乗って:2006/11/01(水) 19:24:34 ID:5I4iq6dP0
>>457
是非是非!お待ちしています


それにしてもめぐぅ・・・ 。・゚・(ノД`)・゚・。ショック

459 :梨作家:2006/11/02(木) 00:42:57 ID:T3c1rGsOO
>>457
やあ!ようこそ!
どうですかこのスレは?卒業式まで一緒にがんばろう!
期待してマス!

460 :松輝夫:2006/11/02(木) 03:02:56 ID:V1VXs2/7O
>>457
はじめまして。ようこそです。
ここは自分ごとき者にすらあたたかく接してくれる良スレです。
おかげさまで、自分でもレベルの高い作家さんの中に混じってなんとかやっていけてます。
ぜひ作品をお待ちしています。卒業まで頑張りましょう。

461 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/03(金) 01:03:17 ID:7r+yLO+TO
>>452

規則正しくピシッと張られたテーブルクロスに、佐紀の手料理が運ばれる。
どうやら黄色と赤の彩りからして、オムライスのつもりらしい。
佐紀のワクワクしている顔を見つめながら、竜二はイチかバチかの賭けにでた。
「おぉっ!オムライスじゃないか!!」
にっこりと頷く佐紀をみて、竜二はほっと胸を撫で下ろした。
テレビに映し出された野球中継は、まだ縦縞の頃の野村監督が、不機嫌な顔でぶつくさと審判に抗議をしている。

「じゃあ!そろそろ食べようか!」
「そ、そうね・・・」
まゆみの表情が一瞬、曇って見えたが、とにかく腹の減っていた竜二は、お構いなしとばかりにスプーンを半熟の卵に突き刺した。

462 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/03(金) 01:15:21 ID:7r+yLO+TO
まゆみはバンジージャンプに挑むような決死の覚悟で、それを恐々と口に押し込む。
無理もない、今日一日中ずっと佐紀につきっきりで、このオムライスが作られていく様を見届けてきたのだ。
ピーナッツバター ナンプラー お好み焼きソース トマトペースト・・・・
数えだしたらきりがないほどの調味料が、止めどなく投入されていく様子を。
どんな味かと聞かれたらきっと誰もが返答に困るだろう。
ただ一つだけ言えることは、ここがレストランであるならば、まゆみは絶対にお金を払わない自信がある。 それだけは断言できた。
『それにしても・・・よくここまで、凄い味になったものね・・・・・』
まゆみはなんとかそれを水で流し込むと、達成感に酔いしれている佐紀に向けて、半ばヤケクソに微笑んでみせた。

463 :梨作家:2006/11/03(金) 01:31:14 ID:7r+yLO+TO
みんなごめぇんorz
仕事がギザイソガシス
とにかく今余裕が無さ過ぎです
これだけしか上げられなくて・・・・
なんとか時間みつけて書きますんでノシ

464 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 13:55:35 ID:WXq0xzXd0
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知りだったがれいなとの出会いで勇気ある
         娘に成長中。
新垣里沙    :隣クラスの生徒会長。
道重さゆみ   :転校生、財閥の令嬢。
柴田あゆみ   :さゆみの父親が経営する会社の秘書

第5話『愛しのれいな』

「みや、田中先輩どう思う?」
「噂とは全然ちがったな。」

学校の帰り道に千奈美は雅にれいなの印象をうかがった。
「あたしは父さんから昔から田中先輩の事聞いてたから今日助けてもらって今まで以上に憧れるわ。」
「田中先輩、焼き鳥焼いたり料理作れるんだよ、しかも自分ちのお店で。」
「あたしもお店手伝いたいの。」
向上心を表すような茉麻の言葉に千奈美も負けずに、
「うちも新聞配達やるんだ。」

「・・・・・。」
雅はれいなの事を考えていた、近所のパーマをかけたおしゃれ好きな3年生の先輩は田中れいなの事を酷い
凶状持ちだと言って男子生徒も何人も殴られていると言っていた。
しかし雅は確信していた田中れいなは絶対に弱い者をいじめたりはしないだろうと。先ほど抱き起こしてもらって
制服のホコリを払ってくれた優しい仕草を何回も思い出していた。
しかし、れいながあまりにも強いため噂が立ってしまうとも思っていた、ただ強いだけで「スケ番」と
呼ばれているのだろうなとも確信していた。
3人の1年生達はそれぞれ、れいなの印象をおもいふけり帰宅した・・・・・。

465 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 13:58:30 ID:WXq0xzXd0
れいなは帰宅しながら一人で考えていた、
(どんなに自分がみじめでも格好悪くてもたった一人でも姉妹がいればれいなは・・・。)
れいなは弱気な事など考えた事は無かったが妹がいる同級生の悪さがどうしても許せず殴ってしまった事を
後になって凄く後悔した。
それと同時に家族がいるのに何かに「いじけて」生きる彼女の姿も許せなかった。

自宅に着いた。
れいなには両親がもうこの世には居ないそのため母親が住んでいたこの家に住むことは母親の微かに
残った気配を感じる事が出来る。
例えば母親が読んでいた雑誌等もまだ部屋に残っていた。
母はバイク好きでバイク雑誌とバイク漫画が一杯あったが、れいなはバイクに全く興味がなかった。
母の古いアルバムには髪を後ろに結び黒いジャンパーにブルージーンズ、黒いバイクブーツ姿の写真がたくさんあった。
母の青春を彩ったバイクは今、自宅の物置にシートをかぶせて置いてある。
そのシートをめくって母のバイクを見るのがれいなの日課でもあった。
そのバイクは1983年ホンダ製250ccで女性にも乗れる中型スポーツバイクだった。
赤いカウルにタンクとボディにあたる部分は白でシートはブルーである。
れいなの部屋にはまだそのバイクのカタログが残っていて読んでみた。

最大の特徴である2ストロークV型3気筒エンジンは250ccスポーツ車、世界初
フロント16インチ、インボードディスクブレーキ、プロリンクリアサス等、

当時のホンダの最新技術がつまっている趣旨が載っていた。

後に知ることになるがあまりにも繊細で強力に作られたエンジンは扱い方によって短命であり
パワーの制御が難しくオイルを吹き出しながら白煙をまき散らすため「欠陥バイク」とも呼ばれたが几帳面な運転と
エンジン調整で中型と思えない高速走行が可能なバイクである。
現在はこの構造2ストローク250ccV型3気筒エンジンは製造されていない。
そのバイクの名は「MVX250F」と言う。

466 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 13:59:34 ID:WXq0xzXd0
れいなにとって2ストロークV型3気筒エンジン250ccスポーツ車、世界初はどうでも良く
世界に一つだけの母の「愛車」だった。

母が昔読んだバイク漫画に男子高校生の主人公が「MVX」に乗っている話があった。学園青春ラブコメディーで
ありながら暴走族の抗争に巻き込まれて尊敬していたバイク乗りの先輩が行方不明になってしまう話だった。
れいなはバイクの事は良く分からなかったがこの主人公とバイク乗りの先輩が好きだった。
「かあさん、ケンちゃん(主人公)の事好きだったの?それともヤチさん(バイク乗りの先輩)になりたかったとぉ。」
シートをめくって「愛車」に語りかけた・・・・・。

さゆみが転校してきて2週間が過ぎていった。
すっかりクラスに慣れた(実際には周りが慣れた)さゆみは女子達と楽しく談笑していた。
その脇で4人の女子が転校生を疎ましく眺めていた。
「なぁ道重シメッか。」
「OK〜体育用具室ね。」
どうやら道重に嫉妬する4人組は「わるさ」を画策しているようだった。

放課後、道重は日直の日誌を金八に提出しに職員室に入った。
「道重、クラスにはすっかり慣れたようだな。」
「ハイ☆みんなとっても優しくて楽しいです。」
「親と離れて暮らすのは慣れたかい?」
「ハイ☆」

さゆみの親は山口に住んでいる。道重の家は地元の財閥で大きな会社を明治から経営している。
東京に転校して来た理由はある事件からであって現在は会社の「柴田あゆみ」と言う秘書が同居人になってこの町内の
マンションで二人暮らしをしている。
秘書の方は東京にも支社があるのでフレックス制で東京のオフィスにも出勤していた。
「それでは失礼します☆」
見送りながら金八は思う、
(この学校で卒業してほしい、私のクラスの生徒になったんだから・・・)
3年生と言う高校進学の岐路に立つこの時期をさゆみに乗り越えさせてほしいと金八は願った。

467 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:03:15 ID:WXq0xzXd0
教室に戻る廊下を歩くさゆみにクラスの女子4人組が塞ぐように立っていた。
「道重ちょっと来てくれる〜」
「なに☆」
意地悪そうな顔達は、さゆみを体育用具室に連れ込んだ・・・・・。

絵里とれいなは清掃を終えて下校準備をしていた。
絵里は最近進路の事を考えていた、絵里は学校の成績がとても良かった。進学校に行ける実力だった。
しかし出来ることなられいなと同じ高校に行きたかった、れいなは頭が悪いわけでもなく勉強が苦手でもないが彼女は
「ボクシング」と「焼き鳥食堂」が人生だった。他に生きる道をまだ考えつかないのだった。
「れいな、あのね進路のことなん・・・」
「・・・・・。」
「委員長〜大変だよ!!」
慌てて走ってくるクラスメイトの女子が来た。
「どうしたの?」
「うちのクラスの女子4人組が道重さんを体育用具室に連れ込んだの!!」
「!!」
れいなは1年生の時に絡まれた事を思い出していた。
「ちょっとカワイイからってあんたさ〜うざいんだよ!!」
言っている女子の後ろで3人が笑っている。
さゆみは下を向いたままずっと黙っていた。
「なんとか言えよ!!」
突き飛ばそうと女子が手を伸ばした瞬間わずかな動きでさゆみは避けた。
「ふざんけんな!!」
女子はつかみかかったその瞬間目の前が白くぼやけて、そのまま後ろにひっくり返った、鼻の奥がジンジンしている・・・。
さゆみは左手で「正拳」を出していた。
「なにすんだよ!!」
3人の女子は同時につかみかかった。
さゆみの左足は一番前にいる女子の鼻をねらって蛇の様に伸びてとらえた、とらえられた女子は先ほどの女子の様に後ろに
ひっくり返り起きあがれなくなっていた。

468 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:04:52 ID:WXq0xzXd0
振り上げたさゆみの足が地についた瞬間、反対の足が残った二人の女子をなぎ払う様に横から飛んできた。
直接脇腹にあたった女子が吹き飛ばされるように横に倒れ、巻き込まれるようにもう一人の女子も倒れた。
脇腹にかかとを押し込まれた女子はただひたすら痛みが引くのを願いもがいていた。
巻き込まれた女子は恐怖で顔が引きつっていた。
(武器でも持ってくればいぃのに・・・)

「そこまで!!」
絵里とれいなが駆けつけていた。
振り向いたさゆみの目つきは異常だった、まるで肉食獣のような瞳をしていた。
「!!」
れいなは倒れている女子4人組を見てびっくりしていた。
「道重さんやったとぉ?」
4人組は委員長とれいなに詮索されるのが嫌でよろけながら立ち上がり逃げるように下校して行った。
「助けにきてくれたの☆ありがとう。」
肉食獣の瞳はなくなっていた。
「田中さんが助けに来てくれるなんて、さゆみは田中さんとあんまり話したことがないからさゆみの事嫌い
☆カナと思っていたんだ。」
「でも道重さんには助けがいらないらしいとぉ。」
れいなは直感的にさゆみから悪意を感じていた、どう考えても4人を起きあがれないほど短時間で倒すには「武器」を
持っていなければ出来ない。れいながボクシングという「武器」を持っているように。


469 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:13:27 ID:WXq0xzXd0
次の日
明らかに復讐に燃える4人組は学年の女子番長の力を借りることにした。男子番長にも頼み込んだが絵里とれいながいる事で
とても引き受けてはくれなかった。それでも冷やかしの人数も揃い16人にもなっていた。
「この人数なら絶対勝てる!!」
「相手は金持ちだから後で金づるになるよ!!」
この時までは清掃用具ほうきのブラシの部分を壊して棒だけにした武器と野球部からくすねた木製のバットで圧倒的な多勢で
たった1人の女子をいたぶり楽して金を得られる興奮を女子達は感じていた、この時までは・・・・・。

雅は一人で土手を歩いていた、
「あいつら掃除当番終わるまで待ってくれてもいいだろに。」
茉麻は今日店の仕込みで餃子の包み方を教えてもらえると言ってうれしそうに先に下校した。
最近前よりも音楽にうるさくなった千奈美は本日からレンタルされるCDを早く借りるため一目散に下校した。
「う〜ん・・・・?」
雅はこの前れいなに助けてもらった林を土手から見ていたら大勢の人陰が見えた。
「まさかね。」
雅はこの前の3年生の意地悪を思い出し腹を立てながら土手を下りていった。
「昨日は調子こいてくれたけど今日はお返しするから〜。」
16人の女子はバットと棒でさゆみを威嚇していた。
さゆみは下を向いてうつむいたままだった。

「!!」
雅は林の隙間から様子を見た途端に来た方向に気づかれないように走っていった。
さゆみは学校でも目立つ上級生だった、雅はすぐ事情を飲み込んでいた。
きっともてない女子達の嫉妬だと思っていた。
(大変だ田中先輩に助けてもらわなくちゃ!!)

470 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:14:59 ID:WXq0xzXd0
「ほら〜昨日みたいにやるか〜」
バットを振り回し昨日鼻を蹴られた女子が後ろに10人以上控えてさゆみを挑発していた。
バットを地面について杖代わりにして下を向いたままのさゆみの顔をニヤニヤのぞき込んだ、
「!!」
さゆみはニヤニヤして笑っていた。
突然風の様にさゆみはバットを蹴った。杖代わりのバットはさゆみの蹴りで真っ二つに折られた。
全員が硬直したが一番恐ろしかったのは昨日の4人組だった、昨日見た「肉食獣」の瞳が目の前に現れたから。
(もしかしたら自分でヤバイ事作ってる?)
後悔しかけたが女子達はもう引き下がれなかったのだ。
あまりの恐怖に耐えられず昨日の少女達は棒を振り落としたがあっけなくさゆみに掴まれて手首のスナップだけで
棒を折られた。
昨日と同じくさゆみの正拳で目の前がぼやけて倒れるだけの少女達だった・・・・・。
「ハァハァ」
「!!」
「田中先輩だ!!」
運が良くれいなは帰宅途中だった。
土手を歩くれいなの前に雅が駆け込んできた。
「田中先輩!この前の林で大勢で道重さんを!!」
「!!」
れいなは駆け出していた。
雅は体力に自身があった、足も男子に負けないほど速かったが、れいなにはとても追いつけなかった。
「ハァハァ、田中・・先輩・・陸上部だっけ?」
もう遠くに行ったれいなが土手から下る姿はまるで空を飛んでいる様だった。
れいなの目の前には十何人の女子生徒が倒れもがく姿が映った。
さゆみは女子番長と対峙していた、女子番長はさゆみより身長も高く体も太かった。
傍目から見ればさゆみに勝ち目はないのだが押されているのは女子番長の方だった。


471 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:16:14 ID:WXq0xzXd0
女子番長は拳をさゆみにめがけて打ったが逆にローキックで動きを止められた。
女子番長はもう動く事は出来なかった。
「もう終わりなの?」
肉食獣の瞳はゆっくり女子番長に歩み寄った、「とどめ」を刺すつもりだった。
「もうやめるとぉ!!」
さゆみは振り返り肉食獣の目のまま微笑んだ。
「助けに来てくれたんだ☆」
「・・・・・!」
れいなは全くさゆみの事が分からなかった。
(助けなきゃいけないのはどっちとぉ・・・・・。)
林の入り口で事の成り行きを見ていた雅は、れいなを厄介ごとに押しつけたような気がしていた。
「さゆみもう怖い☆カラ帰る。」
さゆみは何事もなかった様に薄く笑って土手を登って行った。
れいなはしばらくさゆみの後ろ姿を見送ってから女子番長に歩み寄った。
「大丈夫とぉ?」
「れいなあんた気をつけな。」
「・・・・・。」
「あの女は普通じゃない、あんたのボクシングでも勝てないよ。」
女子番長は倒れた女子達を一人ずつ起こして全員でヨロヨロしながら帰宅した。

472 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:17:48 ID:WXq0xzXd0
れいなは雅がいたことを思い出した。
「あたしは田中れいな、あんたは?」
彼女が「田中れいな」だと知らない生徒はいない。
「な・な・夏焼雅です。」
れいなはやさしい笑顔をしていた。
「この前は助けてくれてありがとうございました。」
「一緒に帰ろうか?」
「はい!!」
雅は正直うれしかった、この事をすでに茉麻と千奈美に明日自慢しようと思っていた。
「焼き鳥食堂」の目前に来てれいなは聞いた。
「夏焼は家こっちとぉ?」
「はい真っ直ぐ行って右曲がった3件目の赤い屋根の家です。」
「あぁ、あそこの夏焼さんね。」
「店よってくとぉ。」
雅はもちろん店に寄っていった。
店に入り雅はカウンターに座らされた。
「ちょっとまってて」
れいなは2階にあがって行った。
店は昼の営業が終わり客は居なかった。
雅はてもちぶさで店の中を見て歩いた、古い店だがきれいにされており清潔感がある。
新聞と雑誌が置いてある本棚に文庫本が数冊あった。


473 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:19:19 ID:WXq0xzXd0
「老人と海?」
小学校低学年の時、体育館で映画放映された事を思い出した。
「変なタイトルだよな。」
雅は手にとってペラペラめくった。
「お待たせ。」
れいなは黒いジーンズに黒いトレーナーの上にエプロンをつけながら歩いて来た。
歩きながら後ろでエプロンを結ぶ姿を見て雅は顔を赤くしてドキドキした。
れいながとても大人っぽく見えたからだ。化粧をしたり髪型をいじったり綺麗な服を着ている近所の女子高校生達よりも
何でもない仕草のれいな方がよっぽど「色っぽく」見える。
「一緒にお茶を飲もう。」
れいなは顔が赤い事とドキドキしている事をごまかすため文庫本をペラペラしながらカウンターに座った。
れいなは麦茶の入ったグラスをカウンターに置きながら、
「ヘミングウェイ好きとぉ?」
雅は更に顔が赤くなった、全く知らないからだ。
「いえ読んだ事ないです。」
れいなは優しい笑顔をしていた。
「でも小学生の時この本の映画を学校の体育館で見た事があります。」
「へぇ〜学校でね〜いいなぁ。」
れいなはうれしそうに笑いながら焼き鳥を焼くコンロに火をつけた。
「夏焼は焼き鳥何でも食べれるとぉ?」
「はい何でも食べます。」
れいなは手早い手つきで八名が仕込んでおいた焼き鳥を焼き始めた。
八名は仕入れに行っているのか店に居なかった。
火を弱火にしてれいなはカウンターを挟んで雅に話しかけた、
「その老人と海はね、れいなやっさ好きなん。」
「夏焼は映画見たから知ってると思うけど、貧乏で運が悪い一人ぐらしの漁師をやっている老人が小さな船で
大物をねらって無理な漁に行くじゃない。」
雅は小学3年生の時に見た映画を必死で思い出していた。

474 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:25:01 ID:WXq0xzXd0
「とうとう大物はかかったけどどうやっても釣り上げられない大物で3日くらい素手で釣り糸を離さずあきらめなかった。」
(そう言えばみんな映画のスクリーンに向かっておじいさんがんばれ!!って言ってたな)
「とうとう手をボロボロにして釣り上げたけど港に帰るまでにサメに食べられるとぉ・・・。」
雅は可哀想なおじいさんを思い出していた。
「でもね。」
「!!」
「おじいさんは死んだ訳じゃないとぉ、れいなはねあの後やっぱり同じようにおじいさんは
挑戦して最後は成功すると勝手にね、想像してるとぉ」
言いながられいなは焼き鳥を焼いていた。
鋭い目のれいなは笑うと本当にカワイイ目になるなぁ〜と雅はれいなの笑顔を見ていた。
「田中先輩はヘミングウェイと言う本を書く人好きなんですか。」
「れいなの死んだ母さんが好きだったみたいとぉ、この家に一杯あったから。」
雅は大変な事を聞いたかもと思ったが、れいなは笑顔で、
「母さんが読んだ本全部読んでみたいとぉ。」
雅はヘミングウェイの本全部読もうと決意した。
(田中先輩が読んだ本全部読んでみたい・・・・・)
焼き鳥のいい臭いが漂ってきた・・・・・。

さゆみはマンションの一室に柔道用の畳を敷きサンドバックを置いたトレーニングルームにいた。
先ほどの闘いの際れいなに良いところで止められた事にとても腹を立てていた。
「ビシッ!!ビシッ!!」
何度もサンドバックに蹴りを入れていた。
(あの人じゃまよね〜)
トレーニングルームにスーツを着た女性が入ってきた。


475 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:28:01 ID:WXq0xzXd0
「お嬢様先ほど社長から連絡があり今週末は実家で過ごされるよう指示されましたが、ご都合いかがですか。」
彼女はさゆみの父が経営する会社の秘書である。さゆみが東京に引っ越す際に形上保護者代わりに同居している。
形上はとても不自然な生活だが道重家は代々の財閥なので弁護士等の司法には何も困らなかったのである。
「柴田さん今週はどうも疲れるので来週にしてくれませんか。」
「分かりました、社長にはそのようにお伝えします。」
さゆみはまたサンドバックを蹴ろうとした時、
「お嬢様、ほどほどになさいますように。」
「・・・・・。」
一礼して柴田は部屋を出て行った。

次の日
「え〜ずるいなぁ〜」
食いしん坊の千奈美は本当に残念そうだ。
「田中先輩の焼き鳥焼くところ見たかった〜」
茉麻も料理人のれいなを見れず残念だった。
雅は誇らしげに昨日お腹一杯焼き鳥をごちそうになったことを自慢していた。
(今日は図書室で「老人と海」さがしてみよう)
3人は土手を歩いて学校に向かっていた。

3年B組の女子4人組もすっかりおとなしくなり、目立たぬようにしていた。
そんな4人組にさゆみは笑いかけて、
「もういじめないでね☆」
4人組は血の気が引く思いだった。

絵里とれいなはそんな彼女を見て複雑だった。

476 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:29:56 ID:WXq0xzXd0
昼休み
廊下を歩いているれいなに隣組の女子番長が話しかけてきた
「田中、今日あたし高校生の先輩とこの前の林で道重シメッから手伝わない?」
「!!」
「あんたこりないとぉ。」
「やんのかやんないのかどっちだよ!」
「あんたらもう勝手にやればいいとぉ。」
「田中、一応あんたの許可は取ったって事でいいな。」
「・・・・・アホらしいとぉ」
れいなは取り合わず教室に向かった。

さゆみは教室で女子と男子達とで談笑していた。その姿はただの可愛い女子生徒だった。
アホらしいとは言ったがやはり気になる、道重を放っておけば人に大変な大ケガをさせるのでは?

放課後
今日も絵里は生徒会の集まりでれいなと一緒に帰れなかった。
「れいなに進路について話さなければね。」
絵里は早いうちにれいなの進路が知りたかった、れいなと一緒の高校に行きたかった。

土手を歩く下校途中のさゆみの前に昨日の女子番長と女子高校生4人組がまちぶせしていた。
女子高生達は渋谷のギャルサークルに入っていて家にも帰らない娘達だった。
鼻にピアスをした顔を異様に黒くしたさゆみよりはるかに身長が高い高校生がさゆみに歩み寄った。
「ちょっと用あるからこっち来てくんない。」
昨日と同じく林にさゆみは連れられた。

「チョー簡単に話すけど10万用意して。」

さゆみは顔をふせたままだった。

「はぁ〜」

477 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:31:53 ID:WXq0xzXd0
金髪にした高校生が気だるそうにさゆみに近づきビンタを張ろうとした時、いつもの様に正拳が打ち込まれた。
金髪の女子高生は吹き飛ばされるように後ろに転んだ。
女子番長は昨日と違いさゆみは手加減していない事が分かった。昨日の正拳で鼻血を出している子はいなかったが
今倒れている女子高校生は止まらない鼻血を出しながら嗚咽していた。たぶん鼻が折れているだろう。
「イイわ〜家にも帰らないお姉さんどうしようとかまわないものね〜」
肉食獣の目は歓喜に満ちていた。

「てめ〜」
風を巻き起こすようなハイキックが高校生の顔面に入った。
高校生は倒れたまま同じように鼻血を出しながら痛みに耐えていた。

鼻ピアスの高校生が刃渡り10センチほどのナイフを取り出した。
「はぁ〜頼むからさ〜中坊は学校でいきがんなよ〜」
鼻ピアスは目が血走っていた。
「最高〜さゆみ正当防衛でお姉さん殺しちゃってもイイのねぇ〜」
女子番長は血の気が引いた。
(本当に殺される!!)

ナイフを構え女子高生は真っ直ぐさゆみに突進した。
さゆみは両足をしっかり地面に着け腰を落として、
「ぶらすぅ〜なっくるぅぅぅぅ!!」
女子高生の脇腹に正拳をめり込ませた。
女子高生の体は10cmほど浮き上がりもう一人の女子高生を倒すように吹き飛んだ。
鼻ピアスの女子高生はイモムシのように体をよじって呼吸を探していた。

478 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:34:54 ID:WXq0xzXd0
「道重さんもういいだろう!!」
林の入り口かられいなが歩いて来ていた。

肉食獣の目は不機嫌そうにれいなに向けられた。
「・・・いつも、いつも」
「!!」
「なんでじゃますんのよ!!」
さゆみの突風のようなハイキックがれいなの顔面を襲った。
「ちっ!」
れいなはファイティングポーズを構えバックステップを踏んだ。
「やめるとぉ!!」
さゆみは嬉しそうにハイキックを繰り返しれいなを追いつめる。
(かわしきれないとぉ)
れいなは着地するさゆみの足に合わせ前に出てボディブローを打つモーションに入った、
「!!」
着地した足の反動で反対の足がれいなの脇腹をめがけて飛んできた、「後ろ回し蹴り」だった。

「ちっ!」
れいなはすぐ反応して蹴りを左腕ではらった。
(見たことない動きで読めない!!)

れいなはボディブローを打つためさゆみに近づきすぎた!!
「ぶらすぅ〜なっくるぅぅぅぅ!!」
れいなは避けられないため腰を落とし腕を下に向けを十時に組みとっさにガードを作った。
「ドーン!!」
今まで受けたことのない重い拳はきゃしゃななれいなの体を持ち上げて放り出した、れいなはバランスを取って着地した。
(腕がジンジンするとぉ、熊かあいつ!!)

479 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:43:28 ID:WXq0xzXd0
さゆみはれいなの踏み込みを見切ったと確信した!!
「田中さんおもしろかったわ〜」
さゆみは踏み込んで足を高く真っ直ぐ上げようとした瞬間、
「!!」
れいなは顔を横にそむけ林の入り口を見ていた!!
(何があるの????)
さゆみは足を高く上げながられいなの見ている方向を見た、
(何もない????)
さゆみが顔を正面に向けたときにはもう、れいなはショルダーアッタクの体勢で肩からさゆみに向かって
ロケットの様に飛び込んで来ていた。

(フェイント????)
さゆみはほんの一瞬の隙を衝かれた!!
片足で立っているさゆみはもう避けることは出来なかった。
れいなはさゆみを押し倒して馬乗りになり腕を振り下ろす様だった、
(もうダメダ!!)
さゆみは覚悟して目をつぶった、
「ビシッ!!」
さゆみのオデコはジンジンしていた。
「いいかげん自分からけしかけるような事やめるとぉ!!」
「!!」
「はじめっから相手にしなきゃいいとぉ!!」
「・・・・・・。」
「あっ・・・?。」
「いや〜〜〜!!」
さゆみは上に乗っているれいなを押しのけて鞄を拾って走り去って行った・・・・・。

480 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:44:51 ID:WXq0xzXd0
(なんなんだあいつは!!)
凄い勢いで走り去るさゆみを見送っていた。
その様子を林の陰から秘書として柴田あゆみは見守っていた・・・・・。

さゆみは全力で走っていた。
(初めて倒された!!)
(ほんの一瞬の隙だけどあんな速さで踏み込めるの?)
(なんなのあの人・・・。)
(かっこイイわ〜☆)
さゆみは顔が赤くなって胸がドキ☆ドキしてきた。強引に馬乗りになったれいなの鋭い目を思い出した。
「恋☆カモ」

次の日
さゆみはオデコにウサギのイラストが書いてあるバンドエイドを貼って登校した。
休み時間等でれいなは何故かさゆみの視線を感じていた、肉食獣の目ではなく何かを訴えるような目だった。
(なんなのぉ????)
れいなは困った様子で顔をそむけて読みかけのヘミングウェイ「誰がために鐘は鳴る」を読んだ。
絵里はれいなを見ているさゆみを見ていた。
「まさかよね?」
絵里はれいなには分からない、さゆみの視線に「妖艶」を感じていた。


481 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:46:33 ID:WXq0xzXd0
放課後
教室の生徒達は下校準備をしていた。
「・・・・・。」
さゆみはれいなの席に近づいて行った。
れいなは絵里と話していた。
「れいな今日ちょっと家に行っていい。」
「ああ、いいとぉ」
れいなは笑顔で答えた。
放課後の校内放送が始まった。
放送委員のDJは今日のリクエスト曲から紹介を始めた。
「あのね進路のことなん・・・」
さゆみは絵里に割って入りれいなの目の前に立ちはだかった。

482 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:47:58 ID:WXq0xzXd0
「!!」
れいなは後ずさりをして身構えようとした。
(ブラスナックルだけはご免だ・・)
「れいな、あたしあなたのことが☆スキになってしまったの!!」
「*!?%&・・・!!??」
「あたしと☆つきあって!!」
れいなは理解不能になっていた。
たださゆみのオデコに貼ってあるバンドエイドのウサギを見ているしかなかった。
絵里は、
(やっぱり〜!!)
下校準備をしていた生徒達は静まりかえり、れいなとさゆみを見つめている。
校内放送のDJの声しか教室に流れなかった。
「続いてのリクエストは水泳部副キャプテンから女子バスケ部員へ。」

「愛しのレイラ〜!!」

クラプトンのギターサウンドが教室を包んだ・・・・・。

483 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:55:57 ID:WXq0xzXd0
>>463
おつかれです!!
仕事いそがしいのに頑張ってますね。
自分も負けずにがんばります。
と言っても自分もここ2週間ほんとにハードだった。
久しぶりに土日休みなので私事(しごと)しようと思います。
ホームページもう少し調整したいことがあるので後でメールします。

>>457
楽しみにしています。

>>458
スーパーエースでしたね・・・・・・・・




484 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 14:58:46 ID:WXq0xzXd0
>>463
佐紀ちゃんの事心配でしたが、新境地と言うか、
そろそろ決着ですかね?
難しいけどガンバレー!!

485 :ミヤビイワナ:2006/11/03(金) 19:05:02 ID:WXq0xzXd0
>>473 × れいなは顔が赤い事とドキドキしている事をごまかすため
○ 雅は顔が赤い事とドキドキしている事をごまかすため

疲れてるな

486 :無名作家:2006/11/03(金) 19:55:29 ID:XDrYXzxR0
あらためて皆さんの見てたら自信喪失だ

487 :ねぇ、名乗って:2006/11/03(金) 22:19:36 ID:7r+yLO+TO
>>486
>>1を嫁!
自分の書きたい事書けばええねん
応援してるよ!
短編みたいなんから始めてみたら?
できる限りフォローします

488 :松輝夫:2006/11/04(土) 00:18:43 ID:DeYC3kG4O
>>463
今回は自分がほのぼのさせていただきました。
あのお母さんにもこんな時期があったんですね…。
>>482
更新乙です。
しかし…こう来ましたか。さゆにこんな裏の顔があるとは…。
>>486
>>487の方の書き込みに集約されていますけど、自分のごとき駄文ですら書き込ませていただいてますので、自信を持って書いてみて下さいな。

489 :ねぇ、名乗って:2006/11/04(土) 03:29:36 ID:2C2YTPY+O
イワナ氏乙です!
今週見かけないなぁとオモていたら怒涛の展開w
自分は好きですねぇ!
言うなれば青春スポ根ドタバタラブロマンスヒューマンドラマと言えます
しかし無駄もなく、長文でもぶれない芯みたいなのがしっかり垣間見えてGJ!
続き期待です!

490 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 06:53:26 ID:xHPvYkIg0
『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
         八名の親友丹下からボクシングを教わり、ボクシングに熱中。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知りだったがれいなとの出会いで勇気ある
         娘に成長中。
新垣里沙    :隣クラスの生徒会長。
道重さゆみ   :転校生、財閥の令嬢。
柴田あゆみ   :さゆみの父親が経営する会社の秘書
斉藤瞳 :ギャルサー「デス・ラビット」のリーダー。

第6話『月に吠える』

一年生の教室では・・・・・
「田中先輩レズなんだって!!」
千奈美は細い目を大きくして茉麻に話しかけた。
「レズかどうか知らないけど道重先輩と仲がいいみたいね。」
「・・・・・。」
雅はれいなのエプロン姿を思い出しながら一人で顔を赤くしていた。
(あんなに綺麗でやさしかったら男でも女でも・・・・)
茉麻の横顔を眺めながら雅は考えていた・・・・・。


491 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 06:54:44 ID:xHPvYkIg0
3年B組では・・・・・
「れいな〜今日一緒に帰りましょう☆」
「・・・・・。」
れいなはヘミングウエイを読みながら無視していた。
「ねぇ〜☆」
「・・・・・。」
「道重さん、れいな今本読んでとぉ。」
「イヤ〜、さゆって呼んで☆」
絵里はイライラしてきた。
「・・・・・。」
(いつ進路の事話せばいいのよ!!)

国語の授業が始まった。

「司馬遼太郎先生の「燃えよ剣」は一世一代の喧嘩屋
「土方俊三」の生き様を書いた明治の歴史書でもあるのだな。」
「昔の侍は刀が命であると言っていたわけだ。」
「みんなも受験戦争に立ち向かう侍だぞ。」
男子生徒が、
「刀はもってないけどね!!」
クラスは笑いに包まれた。
「はは、だけど本当はみんなは刀を持っているんだぞ。」
「あるわけないじゃん!!」
「なぁ、刃の下に心と書いてどう読む。」
「!!」
「そう、「忍」だよ、どんな逆境にも負けない「心の刃」をみんな持っているんだよ。」
「・・・・・。」
「その刃をどう鍛えるかがみんなの課題なんだ。」
「・・・・・。」
れいなはじっと自分の拳をみつめた・・・・・。

492 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 06:58:16 ID:xHPvYkIg0
放課後
「れいな〜一緒に帰りましょう☆」
「・・・・・。」
「ネェ〜☆」
「・・・・・。」
れいなは帰り支度を終わらせていたが机に座ってヘミングウェイを読んでいた。
「ねぇたら、ねぇ!!」
「・・・・・。」
「なによ〜豚パッナ☆」
「!!」

教室中の生徒が青ざめた、れいなに面と向かって暴言を言った人間などはいなかった。
「な・な・何いうとぉ〜!!!!」
れいなも女の子である、自分のちょっとだけ低い「鼻」を気にしていた。
れいなが立ち上がった時にはさゆみはすでに教室の入り口まで走っていた。
れいなは本を鞄にしまい凄い勢いでさゆみを追いかけた。
掃除当番が終わった絵里が教室に入ろうとしたら二人が次々凄い勢いで教室を飛び出って行った。
「ちょっとれいな〜!!」
背中に叫んだがれいなには届かなかった。
(今日も一緒に帰れない)
さゆみはお嬢様走りで、
「ホ〜ホッホッホッつかまえてごらんなさい☆」
れいなは全力ダッシュをしていたが何故か追いつかない、
(なんであんな変な走り方に勝てないとぉ!!)
さゆみもまた「健脚」だった。

493 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:01:15 ID:xHPvYkIg0
校庭をもの凄い勢いで走る二人を見た陸上部のキャプテンは、
「今からでもいいからあの二人入部しないかな〜。」
校門からはもう見えなくなっていた。

渋谷のある雑居ビルに「デス・ラビット」と言うギャルサーの集会場所があった。
ここには百人近くのメンバーがいてほとんどが学校にも行かず家にも帰らない高校生や無職の少女達で構成されていた。
ここのリーダ「斉藤瞳」は昔、有名女子校バレー部のエースだったらしいが膝を壊し全日本選抜を逃した過去があった。
「で、女子中学生にのされたわけ?」
「すいません。」
鼻にピアスをしたガングロ女子高生は怯えながらリーダーに報告していた。
長い金髪に白いワンピースを着た少女が入ってきた。
「おつかれ〜」
斉藤はさっきまでの苦い顔を笑顔に変えてその少女をむかえた、
「リサ、今日早いな。」
「リサ」と呼ばれる少女は「デス・ラビット」のサブリーダらしい。
リサは部屋の片隅にあるノートパソコンに向かい掲示板のチェックをしていた。
デス・ラビットの「仕事依頼」の為だった。
「瞳ちゃん駅前に5件だね。」
「わかった。」
斉藤は鼻ピアスに仕事の指示をしていた。
仕事とは「ドラッグ」販売だった。
鼻ピアスはトボトボ事務所を出って行った。
「何かあったの瞳ちゃん?」
斉藤はにやにやしながら、
「あいつ中学生にのされたらしいよ。」
「しかも桜中学だって。」
「!!」
リサは話の詳細を斉藤から聞いてニヤニヤしながら、
「それなら良い方法でお返しできるよ。」
リサは上機嫌だった。

494 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:02:32 ID:xHPvYkIg0
れいなは「あすなろジム」でスパーリングをしていた。
相手は桜中学校卒業の男子高校生だ。
男子高校生はインターハイを目指している実力者で、変則的なスタイルを持つ強者でありれいなも少し苦手な相手だった。
ロングのストレートからショートアッパーを絡める戦法でれいなはいつも苦戦していた。
(この前の道重の空手に比べれば!!)
れいなは相手の変則にわざと乗って接近戦に持ち込んだ、いつものようにショートアッパーを避けるのではなく左手で
抑えるように受けて使えようないようにして接近打を打ち込んだ。
「カーン!!」
あすなろ会長がれいなに語り始めた。
「れいなちゃんここ数日来なかったけど山にでもこもって修行した?」
「まさか。」
「今のスパーいい切れだよ、来年はいよいよ16歳だ、アマチュアの大会出ような。」
会長は上機嫌で次のスパーリング準備をした。

495 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:27:34 ID:xHPvYkIg0
れいなは1800過ぎに自転車で帰宅した。
今日も「焼き鳥食堂」からは労働者達の笑い声が聞こえていたが店の中に見慣れぬ白い人影が見えた。
店の入り口から入ると、
「おかえりなさい☆」
さゆみだった・・・・・。
「あ・あ・あんた〜!!何してるとぉ〜!!」
れいなは訳が分からなかった。
さゆみは白い割烹着に頭に日本手ぬぐいを巻いた伝統的な日本のお母さん姿をしていた。
「じいちゃん!!」
れいなは凄い形相で八名に詰め寄った。
「え・え?」
「何考えてるとぉ?勝手に中学生使っちゃいかんとぉ!!」
「お前の友達と聞いていたもので、今日お前遅くなるので使ってくれと言われたのじゃよ。」
「だからって本当に使う事ないとぉ!!」
「それに柴田と言う人が来て社会経験と言うことで使ってほしいと頼まれたんじゃよ。」
「!!」
「さゆみちゃん令嬢なんだって?お前そういう子ともつきあってるのか?」
「おまちどうさま☆」
さゆみはお構いなしに奥のテーブルに料理を運んでいた。

「ちょっとあんた〜!!」
れいなは最近調子を狂わされてばかりだった。
「れいなご飯食べてらっしゃい☆」
(あんたれいなお母さんじゃないでしょう!!!!!)
れいなは店の中でぎゃーぎゃー騒ぐのをあきらめてエプロンに着替えた。
さゆみは焼き鳥を焼くれいなの姿をうっとり見ていた。
(やっぱりこのひとイイわ〜☆)
今日は金曜日なので23時まで店はにぎわった。

496 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:29:01 ID:xHPvYkIg0
さっき何故かさゆみが風呂に入っていた。
(なんでうちの風呂にはいってたんだろ?)
れいなは風呂に入りパジャマに着替えて茶の間に入った。
さゆみがパジャマに着替えてお茶を飲みながら八名と談笑している。
「・・・そしたられいな凄い顔して追いかけてきて土手のところでつまづいて転んでるの☆」
「れいながか?」
二人してゲラゲラ笑っていた。
「あ・あ・あんたなにしてるとぉ!!」
「なにって、もう遅いから寝る準備よ☆」
「・・・・・。」
れいなは八名を睨んだ。
「柴田さんがよろしくと言っていたもので・・・・それじゃ寝るか。」
れいなとさゆみは2階に上がっていった。
「!!」
れいなの布団とさゆみの布団はピッタリくっついている。
「もちっと離すとぉ!!」
れいなは布団を引っ張って離した。
「なに照れてるの☆」
れいなは取り合わず電気を消した。
れいなは不思議でしょうがなかった、家族と何故離れて暮らす事と、こんなめちゃくちゃなやり方で自分の所に来るのか?
「なぁ〜あんたお父さんとお母さんと離れて寂しくないとぉ。」
れいなは家族というものにはとても興味があった、たとえ他人の家族でも。
「・・・・・。」
「お父様は元気だけどお母様はもう居ないの。」
「・・・!!」
悲しい者だけが分かり合える「サイン」だった・・・・・。
「なぁ、あんた。」
「・・・・・。」
「?」
「zzzzz。」
(寝たんだ・・・。)
一日が終わった・・・・・。

497 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:30:35 ID:xHPvYkIg0
今日は一学期に行われる進路相談の日だった。
れいなの死んだ父親は両親に捨てられて福祉施設で育ったと聞いたことがあった。義務教育の中学を修了すると工場で
働きながら定時制と言われる高校に夜通ったらしい。その後は新聞配達の奨学生をやりながら大学まで卒業したと言う。
この話を聞く大人達はいつも父を誉めていた、父は何も言わずただ照れて笑うだけだった。
れいなは両親に捨てられた訳ではないが両親はもうこの世には居ない。
「働きながら学校へ・・・・。」
れいなは最近進路についてはこのように強く考えるようになった。

進路相談室にれいなと金八は居た。
「田中、確かに君には両親が居ない、だけどおじいさんがついているし金銭的な事を
考えても高校でも奨学金が受けられるんだ。」
「・・・・・。」
「君が大人になったら少しずつ返して君のような子供に使ってもらえるんだよ。」
「・・・・・。」
「それに大学に行く気があるなら普通に高校へ行った方が上を狙う可能性もあるんだ。」
(確かに坂本先生の言うことは分かる、だけどれいなの気持ちは・・・・。)
「君がボクシングをやっているのは知っている。」
「・・・・・。」
「先生の教え子もボクシングやっていてたまに学校に来た時に君のことを誉めていた。」
「・・・・・。」
「桜中学の誇りとまで言っていたよ。」
「・・・!!。」
「もう少し考えような。」
「・・・はい。」

498 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:31:52 ID:xHPvYkIg0
日曜日の「焼き鳥食堂」は休みだった。
金曜日から大雨が続いていたが今日はとっても天気の良い日だ。
れいなは午前中にジムで汗を流し午後からは家でヘミングウェイを読んでいた。
八名は夜、商工会の集まりに行くと言って出かけて行った。学校での文化祭等のボランティア出店を町内会で会議する
そうだ。
1700頃出って行った八名かられいなの携帯電話に着信が来た、
「れいなすまんがカウンターの上に茶封筒があってそれに見積もり書が入っているのじゃよ。」
「公民館まで持ってきてくれるか。」
「すぐ行くとぉ。」
れいなは自転車で20分くらいの公民館に急いだ。
1720頃公民館で無事に茶封筒を八名に手渡した。
れいなは土手を自転車で走っていたが前から30代前半の女性が血相を変え走ってきた。
「すみません5歳くらいの女の子と10歳くらい女の子を見ませんでしたか?」
「見てませんが、どうしました?」
「1500くらいにこの辺の公園に遊びに行くと言ってまだ帰ってこないんです!!」
「!!」
れいなは公園の場所を聞いて周辺を探すと母親に告げ自転車を走らせた。
しばらく走ると公園の側にある小さな川の中州に人影を見つけた。
「!!」
昨日からの雨で増水した川の水を今日は本流の水門を使って放水していたのだ。
そのため小さな支流の小川は夕方までは中州は子供でも歩いて行けたのだが水門の放水で取り残されたのだ。
しかも増水はどんどん進んでいる、人を呼ぶ時間はもうない!!


499 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:34:27 ID:xHPvYkIg0
老朽化した川のフェンスに立ち入り禁止の看板があった。壊れたフェンスを囲う黄色と黒の「トラロープ」が長くほどけて
ぶらぶらしていた。
(川幅は小さい今ならまだ!!)
れいなはトラロープを外して自分の体に巻き付けフェンスの金具にしっかり結んだ。
(やってみる!!)
れいなは川に飛び込んだ!!
川幅が小さいためすぐに中州にたどり着いた。
小さな姉妹は抱き合って震えていた。
「もうだいじょうぶとぉ。」
れいなは息を急いで整えて優しい笑顔を作って姉妹に語りかけた。
「いいとぉ、ねえちゃんにつかまって絶対離したらいかんとぉ。」
姉妹は震えながらうなずいた。
れいなは二人を抱えて泳ぐことは出来ないが流れにまかせていればトラロープを結んだ位置から下流に流され引っ張られる、
つまり流れに乗って岸にたどり着くのだ。
「さぁいこうか。」
れいなは二人の姉妹の脇腹を抱えて姉妹はれいなの服をちぎれんばかりに握っていた。
少しずつ川に足を入れてゆっくり川の流れに乗ったが川の勢いはすさまじくあっという間に3人は流されトラロープに
引っ張られながら岸にたどり着いた。
れいなは川の中で体を真っ直ぐにしてまず姉の方から丘にあげた。
姉は両手をついて川から丘に楽に上がった。
れいなは「ほっと」した片手があいて丘に引っ張ってくれる人間がいれば5歳児を楽に丘に上げられる。
「!!」
2m程の太い流木が流れてきた、れいなは避けられなかった。
流木を避ければ5歳児を溺れさせかねない、れいなはクルリと背中を向けて妹をかばうように背筋に力を入れた!!
「ドーン!!」
流木はれいなの体をなぎはらうようにぶつかり下流に流れ去った。
(ブラスナックルよりは・・・マシとぉ・・・)

500 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:37:54 ID:xHPvYkIg0

さゆみの笑顔が目に浮かんだ。
今度こそれいなは妹を丘にあげた、姉はしっかり妹の手を握り引きずり上げた。
(それでいいとぉ・・・。)
れいなは嬉しそうな笑顔でうなずいた。
「ブチッ!!」
・・・・・古いトラロープは激流に耐えられず切れた。
姉妹の驚く顔を眺めながられいなは下流に流された・・・・・。

20時の桜中学・・・・・。
「じゃ、やるよ。」
10人ほどの「デス・ラビット」のメンバーは鼻ピアスの女子校生の合図で一階の窓ガラスを野球部の倉庫から持ってきた
金属バットで割り始めた。割った窓から職員室に入ってカンスプレーでなにやら文字を書き始めた。
一階の窓は全て割られた。
警備システムのブザー音が鳴りだした。
「引き上げるよ!!」
デスラビットのメンバーはバットを投げ捨てて闇に消えて行った。

501 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:41:03 ID:xHPvYkIg0
れいなは2200頃やっと帰宅した。
「れいな!!どうしたんじゃ!!」
八名は丹下と一緒に警察に行ってれいなを捜索してもらうか相談していた。
れいなは中州の姉妹を助け上げた後に自分がだいぶ下流まで流されて帰宅するのが遅くなった事を話した。
八名と丹下は町内にこの武勇伝を自慢したくてたまらなかった。
れいなの話をサカナにして二人は24時まで酒を飲んでいた。
れいなはさっさと風呂に入って布団に入った。
(あの姉妹助けられてよかったとぉ)
れいなは背中に残る流木の打撲を感じつつ眠りに入った。

月曜日の桜中学は大変な事になっていた。
「みや、ひどいね教室の窓全部割られてるよ!!」
千奈美は興奮しながら雅に話した。
「・・・・・。」
一階は1年生の教室だった。
生徒会長の新垣里沙が陣頭指揮を執ってガラスの撤収作業を開始した。
「みんな決して慌てずガラスをほうきで集めて絶対手で触らないこと。」

茉麻が多きいガラスを手で持ってゴミ箱に入れたとき少し指を切ってしまった。
「あなた、絶対触らないでって言ったでしょう。」
里沙は冷たく言い放つと先を急いで撤収作業を指示していた。
「大丈夫!!」
千奈美は茉麻をつれて洗面所に行って傷を洗ってバンドエイドを巻いてあげた。
雅は一人残ってガラスをほうきで拾っていた。
(田中先輩なら絶対茉麻を心配する、生徒会長なんてものは・・・・・)
一人で腹を立てつつあんなに目立つれいなが全校作業で見あたらないのが不思議だった。

502 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:43:17 ID:xHPvYkIg0
れいなは金八と校長室に居た。
「それじゃ全く思い当たることはないんだね。」
校長は覗くようにれいなの顔を見た。
「はい。」
れいなは全く何が起きているのか理解できなかった。

昨日の事件の際に職員室にカンスプレーで落書きされていた文字は、
「田中れいな参上」といくつも書かれていた。

「午後から臨時のPTA総会があるのだが坂本先生。」
「はい。」

校長はれいなに向き直り、
「警備システムが作動したのは2020分くらいだそうだがその時に君はどこにいたのかね?」
れいなは昨日の中州の話を校長と坂本に話した。
「田中〜よくがんばったな!!」
坂本はとても嬉しそうにれいなを誉めた。
「それじゃその家に行って昨夜の君を証明してもらおう。」
校長は機嫌がよくなってきた。
「あの〜れいなは流されてそのあとその家族には会っていないし、全く知らない人たちです。」
「・・・・・!!」
校長はうなだれた。
「坂本先生、申し訳ないが逆にその時間誰も田中さんの所在が分からないと言うことだな。」
「・・・・・そうですね。」
金八は腕を組んでうなだれた。
「午後からPTA総会なので時間がないから事が収まるまで田中さんには自宅謹慎と言うことで。」
「!!」
「校長、それはちょっと急ぎすぎでは。」
「1300から総会です、その時までに少しでも父兄を刺激せずに打開策を考えましょう。」
「・・・・・。」
「一応形だけでもね。」

503 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:47:57 ID:xHPvYkIg0
放課後
「みや、ガラスを割った犯人田中先輩らしいよ。」
「!!」
雅は千奈美のいつも明るくはしゃぐ姿が大好きだった、しかし今回だけは許せなかった。
「ちーだめだよ!!本当かどうか分からないんだから!!」
雅は堪らず走り去っていった。
走り去る雅を心配そうに茉麻は見送った。

金八は電話をかけながら何度も何度も頭を下げていた。
「はは、そうですか分かりました、わたしはあの子を信じていますが確かに証拠はないですな。」
「大丈夫ですから先生気になされるな。」
「はぁそれでは失礼します。」
受話器を置いた金八の目には涙があふれていた。
なんの恨みも辛みも言わない祖父と少女の家庭を思うと不憫でならず、教師と言う仕事につきながら生徒を助けられない
非力を嘆くだけだった。
(田中もう少し待っていてくれ、必ず助ける・・・・)
金八はまだ涙が止まらなかった。

絵里は力無く土手をとぼとぼ歩いていた。
(嘘に決まっている・・・・)
れいなが自宅謹慎になっているのがまだ信じられなかった。

504 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:50:44 ID:xHPvYkIg0
「亀井先輩。」
後ろから声をかけてきたのは須藤茉麻1年生だった。
絵里と茉麻は並んで歩いていた。
「そうなんだ、前からお父さんにれいなの事聞いていたんだ。」
絵里はれいなを好きでいてくれる人達がいる事が嬉しかった。
「なにか手伝える事ないですか?」
「さっき話した川で助けた姉妹がみつかればね。」

絵里は帰宅後母親からPTA総会の話を聞いた。
完全にれいなが犯人扱いされている話だった。
両親がいないため「グレ」ていて祖父としか住んでいないからやりたい放題の不良。
弱い者イジメをして人を殴っているなど聞いている内に小学生が憶測で人の悪口を言っている物だと絵里は呆れかえった。
しかし最後の言葉だけは聞き逃せなかった。
「事件の真相が分からない場合今月中に転校させるって。」
「・・・・・!!」
絵里の母親は申し訳なさそうに絵里に言った。

505 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:53:13 ID:xHPvYkIg0
「焼き鳥食堂」は今日も繁盛していた。
れいなちゃん「砂肝」ね!!
「まいど!!」
れいなは頭にタオルを巻いて次々と焼き鳥をさばいていた。
「その年でこれだけの腕だ、学校なんか行かなくたって食っていけるぜ!!」
常連の客はれいなを誉めていた。
「まだまだじいちゃんにはかなわんとぉ」
れいなを見つめながら八名は、
(この子がグレる真似など絶対ないだろう、わしだけは何があっても味方じゃ・・・)
学校とジムには行ってないが店の手伝いだけは自宅なのでやっていた。
店が終わったあと丹下が来ていた。
「なんとかその川で助けた姉妹を捜すしかないな。」
「・・・・・。」
「丹下わしはあの子を信じている、それだけで良いと思っている。」
「・・・・・。」
「あぁ〜・・つ・つまんねぇ〜世の中だな〜。」
丹下は声を震わせ泣いていた。

月曜日からあっという間に金曜日になっていた。
1500頃「焼き鳥食堂」を訪れる者がいた。
「久しぶり〜☆」
「あ〜あんたとぉ」
さゆみは帰宅途中制服のまま来ていた。
れいなは久しぶりに同級生を見てなんだか懐かしい気分になった。

506 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:56:47 ID:xHPvYkIg0
「焼き鳥食堂」は今日も繁盛していた。
れいなちゃん「砂肝」ね!!
「まいど!!」
れいなは頭にタオルを巻いて次々と焼き鳥をさばいていた。
「その年でこれだけの腕だ、学校なんか行かなくたって食っていけるぜ!!」
常連の客はれいなを誉めていた。
「まだまだじいちゃんにはかなわんとぉ」
れいなを見つめながら八名は、
(この子がグレる真似など絶対ないだろう、わしだけは何があっても味方じゃ・・・)
学校とジムには行ってないが店の手伝いだけは自宅なのでやっていた。
店が終わったあと丹下が来ていた。
「なんとかその川で助けた姉妹を捜すしかないな。」
「・・・・・。」
「丹下わしはあの子を信じている、それだけで良いと思っている。」
「・・・・・。」
「あぁ〜・・つ・つまんねぇ〜世の中だな〜。」
丹下は声を震わせ泣いていた。

月曜日からあっという間に金曜日になっていた。
1500頃「焼き鳥食堂」を訪れる者がいた。
「久しぶり〜☆」
「あ〜あんたとぉ」
さゆみは帰宅途中制服のまま来ていた。
れいなは久しぶりに同級生を見てなんだか懐かしい気分になった。

507 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 07:59:40 ID:xHPvYkIg0
「謹慎中の生徒の家にきたらいかんとぉ。」
さゆみはカウンターに入ってお茶をいれていた。
「これ飲んで早くかえるとぉ。」
「・・・・・。」
「あんたでもクラスメイトの顔見れたらうれしいとぉ。」
「・・・・・。」
「来てくれてありがとな。」
「・・・・!!」
クルリと後ろを向き洗い物の準備をしだした。
「・・・・うっうっ。」
さゆみは泣き出していた。
「・・・・・!!」
「なに泣いてるとぉ!!」
「れ・れい・ながね・うっうっかわいそう・・・・。」
「おお!!さゆみちゃん。」
八名が居間から出てきた。
「今日も遊んでくか。」
「はい☆」
コロっと泣きやんでいた。
「じいちゃん!!」
3人で店の仕込みを始めた。

508 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 08:03:34 ID:xHPvYkIg0
夕方
絵里は「焼き鳥食堂」に来た。
「こんにちは。」
店に入ると割烹着を着て頭に日本手ぬぐいを巻いた昔ながらの「お母さんスタイル」をしたさゆみが目に入った。
「道重さん何やっているの!!」
「イヤ〜ン、エリ、さゆって呼んで☆」
(絶対呼びません!!)
「おお!!エリ、ひさしぶりとぉ。」
頭にタオルを巻いたれいながいた。
「ねぇれいな今日店が終わってからでもいいから家に来ない。」
「・・・・・。」
「ごめん自宅謹慎中でどこにも行けないとぉ。」
「!!」
「ねぇ本気で言ってるの!!れいなは何も悪いことしてないじゃん!!」
「・・・・・。」
「なんで友達ともつきあえないの?」
「・・・・・。」
絵里は店を飛び出した。
(ごめん絵里、あんた一番の友達だよ、だから巻き込みたくないとぉ・・・・)
れいなは勢い良く焼き鳥を焼き始めた。

絵里はイライラしていた。
(なんで道重さんが店にいるのよ!!)
絵里はさゆみの「お母さんスタイル」が令嬢のくせに凄く似合っているのが悔しかった。
家に帰る途中の暗い路地裏に来た。
(あたしだってれいなとあんな風に仕事してみたいわよ!!)
「!!」
絵里は凄い力で羽交い締めにされた!!
「ん・・・!!」
薬品の臭いが鼻を刺激して意識が遠のいた・・・・。

509 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 08:04:51 ID:xHPvYkIg0
「焼き鳥食堂」は金曜日と言うことで繁盛していた。
「おまちどうさま☆」
すっかり板に付いた仕草でさゆみは働いていた。
「ジリリリリッ!!」
店の電話が鳴り出した。
「はい焼き鳥食堂です。」
絵里の母親からだった。
「はい、夕方店に来ましたがすぐ帰りました。」
「チンッ」
「どうしたの?」
さゆみは力のない顔をしたれいなを心配して尋ねた。
「絵里がまだ家に帰ってないとぉ。」
「!!」
さゆみも心配になってきた。
「ちょっと柴田さんに電話かけてくる。」
「・・・・・。」
「れいなちゃん!!レバ串頼むよ!!」
「は!・はい、まいど!!」

さゆみは居間に上がって柴田の携帯に電話した。
「柴田さん、例のギャルサーどうなりました?」
「ほぼ間違いなく事件の犯人です。」
(絶対追いつめるから、まっててねれいな☆)
「ところで柴田さんクラスメイトの亀井さんがまだ帰宅していないそうなんです。」
「分かりました調べます。」
「それとお嬢様、このサークルのサブリーダと言うのが・・・・・」
「!!」
「分かりました万が一のためさゆみの「アレ」だけは用意しといて下さい。」

2300「焼き鳥食堂」は閉店した。

510 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 08:08:53 ID:xHPvYkIg0
「れいなのせいだ!!あの時絵里の話を少しでも聞いてあげれば・・・・」
「あ・あ・ああ!!」
れいなは東京に来て初めて涙を流した、
「た・すけ・て・うっうっ」
「バッシーン」
さゆみはれいなの頬を張り飛ばしていた。
「!!」
「落ち着いてれいな!!」
「うっ・うっ」
れいなは電話の内容を話してメールを見せた。
「これは下手に動けんのぉ。」
八名は丹下に電話をしていた。
さゆみは柴田に電話していた。
しばらくして柴田が黒いベンツに乗って来た。
「失礼します。」
れいなは初めてスーツ姿で来た柴田あゆみを見た。
「初めましてれいな様。」
「・・・・!!」
20代中半のセミロングヘアーに聡明な瞳をした美人だった。
スポーツバッグをさゆみに手渡した。
お気をつけなさいませ。
「八名様、あとでここに電話いたしますので事が済むまでこちらで待機なさって下さい。」
「分かりましたよろしくお願いします。」
「それでは外で待っていますので。」
一礼して柴田は出て行った。

511 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 08:12:20 ID:xHPvYkIg0
茶の間では3人が絵里を探しに行くかどうか相談していた。
れいなの携帯電話に着信が入った、
「絵里!!」
「もしもし!!絵里どこにいるとぉ!!」
「絵里ちゃんなら4号水門の横にある工場跡地にいるよ。」
「あんただれ!!」
「空手のお嬢ちゃんもいるんでしょう?」
「二人で絵里ちゃん助けに来ない?」
「あんただれなん!!」
「デス・ラビットよ!!」
「・・・!!」
「二人以上で来たら絵里ちゃんの可愛い顔が可哀想なことになるからネそれじゃ待ってる。」
「ピー」
れいなの携帯にメールが入った。
「!!!!!」
絵里の写真だ!!、彼女のきれいな長い髪が耳が出るまで切られていた。
顔は無事だが目をつぶってぐったりしていた。
れいなは歯を鳴らして震え出した、足が震えて止まらなくなっていた。
「れいな!!どうしたの!!」
八名もただごとではない、れいなの様子を見て落ち着かない。
(こんなれいな見たことがない!!)


512 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 08:14:09 ID:xHPvYkIg0
「れいなのせいだ!!あの時絵里の話を少しでも聞いてあげれば・・・・」
「あ・あ・ああ!!」
れいなは東京に来て初めて涙を流した、
「た・すけ・て・うっうっ」
「バッシーン」
さゆみはれいなの頬を張り飛ばしていた。
「!!」
「落ち着いてれいな!!」
「うっ・うっ」
れいなは電話の内容を話してメールを見せた。
「これは下手に動けんのぉ。」
八名は丹下に電話をしていた。
さゆみは柴田に電話していた。
しばらくして柴田が黒いベンツに乗って来た。
「失礼します。」
れいなは初めてスーツ姿で来た柴田あゆみを見た。
「初めましてれいな様。」
「・・・・!!」
20代中半のセミロングヘアーに聡明な瞳をした美人だった。
スポーツバッグをさゆみに手渡した。
お気をつけなさいませ。
「八名様、あとでここに電話いたしますので事が済むまでこちらで待機なさって下さい。」
「分かりましたよろしくお願いします。」
「それでは外で待っていますので。」
一礼して柴田は出て行った。

513 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 08:17:20 ID:xHPvYkIg0
「さぁ、れいなエリを助けにいきましょ☆」
「!!」
れいなは先ほどのビンタで正気を取り戻した。
2階に上がり黒いジーンズを履き黒いジージャンをタンクトップの上から羽織った。
さゆみはリボンを外しきれいな黒髪を下げた。
柴田に届けてもらったスポーツバッグから赤いレザーパンツにノースリブの赤いレザージャケットを羽織った。
手には格闘用の黒いグローブをしていた。
れいなも思い出したように初めて丹下にボクシングを教えてもらった時に使った黄色い作業用手袋をさがしてつけた。
小学生の時はぶかぶかだった合成革の手袋はぴったりはまって拳の力を増してくれそうだった。
「なにそのポシェット?」
さゆみは肩から大きめのピンク色したウサギの顔の形をしたポシェットを下げていた。
「いくわよれいな☆」
「・・・ああ」
柴田の車に揺られ第4水門まで送ってもらった。
二人は工場跡に並んで歩いた。
満月の夜だった・・・・・。

514 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 08:23:21 ID:xHPvYkIg0
>>505,506
ダブルカウント
>>510
順番間違えた
私事しながらなのでミスッた。





515 :無名作家:2006/11/04(土) 08:27:10 ID:YQ8nS/qz0
短編かきたいけど大丈夫でしょうか?

516 :無名作家:2006/11/04(土) 09:42:08 ID:YQ8nS/qz0
「ご、ごめん・・」
「ごめんくらいですむなら私こんなに怒らないよ・・。ちぃ・・。」
雅が誰もいない静かな教室で泣きじゃくりながら謝る千奈美に冷たくいいは
なつ。
「なんで○○君の事好きっていう事ばらしたのよ。まぁどんな理由があっても絶交だから・・。」
「桃ちゃんに教えてってせがまれたから・・。つい・・。」
「せがまれたからっておしえたの!馬鹿、死ね!あんなに信じてたのに」
千奈美はいきなり怒鳴られよくわからなくなり泣きながらバックを持ってでていって
しまった。
千奈美の走ってる音がきこえてきて夕日が教室に入り込む。雅が口走った・・。
「ごめん。ちぃ・・。」
雅は親友に怒鳴ってしまった罪悪感のせいで我慢してた涙がこみあげてしまった
その手首には千奈美のメッセージがいれられた。リストバンドがはめられてた。

長くてすみません。アトバイスくれたら幸いです。






517 :無名作家:2006/11/04(土) 10:17:19 ID:YQ8nS/qz0
13行目のいれられた。というところは、 。じゃなく、 、にしてください

518 :ねぇ、名乗って:2006/11/04(土) 15:45:11 ID:2C2YTPY+O
>>516
本編とは別のストーリーなんだ
まずはタイトルを入れてみては?
それと始まり方が少し急で??ってなるかも
とりあえず続けてみるとイイ!
形になったら改めて感想書くね!

519 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/04(土) 17:01:53 ID:2C2YTPY+O
>>462

目の前でカチャカチャと音を立て、それを頬張る竜二を見ていると、佐紀は嬉しい反面、とてもいたたまれない気持ちに襲われた。

佐紀は自分が夢中で作ったそれを一口だけ食べると、スプーンを持つ手が動きを止めてしまっていた。
自分で言うのも何だが、「不味い」。圧倒的に、否、それは絶望的に不味かった。

母のあからさまなリアクションの方が、いたって自然だと言える。
イタズラ好きの佐紀にとって、まゆみから受ける『お小言』など、日常茶飯事で、ケロッと立ち直る才能にかけては、ダンスと同じく佐紀の天職だった。
しかしながら今、目にしている幸せな食卓こそが、ある意味で佐紀にとっての『罰』と言えた。
佐紀は、文句一つ言わない両親に、心底お灸を据えられた思いで、気まずそうに黙り込んでしまった。

520 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/04(土) 17:17:58 ID:2C2YTPY+O
テレビから流れる『六甲おろし』が竜二の御贔屓のチームの勝利を告げる。
色とりどりの風船がヒステリックな音と共に、夜空を躍っている。
竜二は余程機嫌を良くしたのか、チキンライスを最後の一粒まで器用に平らげた。

「あ〜っ!!美味かった!おかわりあるか?おかわりっ!」
竜二がからっぽになった丸皿を、佐紀の前に差し出した。

「あなた・・・・・」
竜二の余りにも父親らしく振る舞おうとする姿に見かねた、まゆみが首を横に振る。
「お父さん、これだけじゃ足りないよ。まだあるんだろ?佐紀。」
竜二は佐紀と同じ目線で佐紀の頭を撫でてやる。
「もう・・・ない。
もういいよパパ。無理しなくて。」
必死で場を繕う竜二に、心が耐えられなくなった佐紀は、思わず本音をこぼしていた。
「なんだよ?無理って。パパは無理なんてしてないよ。」

「だってぇ!まずいんだもん!パパだってそう思ってるくせに!」
佐紀は声を荒げていた。
せっかく良いことをしようとしたのに、パパをこんなにも嫌な気持ちにさせてしまった。

佐紀はそう勝手に解釈すると、悔しさがこみ上げ声を荒げていた。

521 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/04(土) 17:46:53 ID:2C2YTPY+O
「ばぅっわっはっはっ!!」
数秒の間、沈黙したリビングに竜二の笑い声がこだました。
竜二の目には涙が微かに浮かんでいた。
今でもその涙が、可笑しくて溢れたものなのか、悲しくて溢れたものなのかは解らない。
ただ言えるのは、竜二の笑い声には何か特別な魅力があった。
お世話にも品の良いとは言えない、場合によっては不快感を示す人間もいるだろう。
佐紀ははっとした。

パパのこの笑い声が聞きたかったんだと、だからこそ頑張ってオムライスなどに挑戦できたのだと。

「不味くなんかないぞっ!こんな美味いのに、佐紀はグルメじゃね〜なぁ!」
竜二はそう言いながら、二人分のオムライスを見渡した。
「なんだよっ!まゆも佐紀も全然食ってないじゃん!
わかった!作ってるうちにお腹いっぱいになっちゃったんだな!よし!
なら俺が食ってやる!そんかわり、あとから返せなんて言っても知らないからなぁ!」
竜二はおもむろにに二人の皿を取り上げると、再び気持ちよいくらいの食べっぷりで、あっという間に片付けてしまった。
「やっぱ佐紀も少し食べたいぃ!」
竜二は佐紀のワガママをいなすように、「ごちそうさまでした。」と意地悪く舌をだした。

522 :ねぇ、名乗って:2006/11/04(土) 18:30:46 ID:OqQbjA9d0
体育祭〜砂煙が目に滲みるさんもう今日は終わりですか?

523 :体育祭:2006/11/04(土) 19:06:42 ID:2C2YTPY+O
今外なんで今日は無理ぽ

524 :無名作家:2006/11/04(土) 20:08:28 ID:OqQbjA9d0
初めての長編書きたいと思います。できたらアトバイスくれたら幸いです。

さわやがな朝日。すがすがしい空気。美しい鳥の鳴き声。
少し町外れに建ってある一軒家に住んでる中学2年生徳永千奈美はいつも幸せな
な朝に起きる普通の少女だった。あの事件がおきるまでは・・・・。
千奈美は町外れに住んでいたか学校には割りと近いほうだ。
「み〜や、おはよう!」
「あっ、おはよう、ちぃ!」
二人はザワついてる教室で挨拶を交わした。この子は千奈美の幼馴染であり大親友の雅だ。
「そう、ちぃ、今日、転校生くるんだって!」
「どんな子なの?」
「ふふふっ、それはね・・・。」
「わっびっくりした!!!」千奈美と雅がびくっとした
不気味な笑みでわりこんできてのはけっこうモテモテの桃子だ。
「なかなかかわいい子だったよ。苗字は確か・・そう亀井っていうんだよ!」
「な、なんで桃ちゃんがしってるの?」
千奈美が不思議そうに聞く
「だって家近くだもん。でも、性格的にちょっと暗いのよね〜〜。なんか
ワケありってゆう感じなのよねぇ〜。」
(どんな子なんだろう?とにかく話かけて仲良くしよう!)そう千奈美は
おもった。そんな考えが苦しむことになるなんて・・・。


525 :無名作家:2006/11/04(土) 21:21:13 ID:OqQbjA9d0
524の続き
チャイムがなり終わりドアが開いた。そこから担任の坂本先生と、ショート
ヘアーの美少女が入ってきた。その瞬間男子が騒ぎはじめた。当然の結果だ。
確かに暗い。
「桃のいうとおりワケありってゆう感じね」
雅が千奈美に話しかけた。その時先生の口がひらいた。
「さてと、このクラスの一員になる亀井だ。自己紹介を」
今度は彼女の重い口が開いた。
「亀井絵里です。よろしく・・・」
亀井の言葉は寒気がするほど重苦しかった・・・。



526 :無名作家:2006/11/04(土) 21:39:18 ID:OqQbjA9d0
525の続き
確かにかわいいが、暗い転校生の亀井
「さてと、亀井あそこの徳永の前の席空いとるから」
その時千奈美はドキっとした。亀井がこっちに来て前の席に座った
「よ、よろしく私徳永千奈美っていうんだ。みんな、ちぃってゆってるから
そうよんでね」
千奈美はそういったが亀井は悪魔で無表情で沈黙だ。千奈美はまた、
「亀井ちゃんの事なんでよべばいい?」
亀井の口が開いた。
「馴れ馴れしい、しかもうざい」
冷たい言葉だった。その時隣の雅が千奈美にはなしかけてきた。
「ちぃ、あんなやつほっとこうよ」
雅は親友が汚されたことのにいらたってる。(いや、まだまだ千奈美がんば
るのよ!)先生がいった。
「男子騒ぐな!!心太ふざけるな!授業はじめるぞ!」


527 :無名作家:2006/11/04(土) 21:41:13 ID:OqQbjA9d0
続き明日か、明後日書きます

528 :ミヤビイワナ:2006/11/04(土) 22:16:13 ID:xHPvYkIg0
シド・りしゃす と まあさん 自分ちょっと一人で酒飲んで酔ってる(ヒック!)。
自分は人を攻撃したくないし(ヒック!)
舞波書いてた季節になった、本当に寒いな。
少し萎えそうだ・・・(ヒック!)
またイワナを(ヒック!)叱って(ヒック!)
松輝夫さん(ヒック!)本当に上手くなったね(ヒック!)
素直な文体(ヒック!)本当に好きだよ(ヒック!)
弱いなイワナは(ヒック!)
ホムペ過去ログ本編の所に(ヒック!)追加したから(ヒック!)
もう少し(ヒック!)
飲んでる(ヒック!)





529 :ねぇ、名乗って:2006/11/04(土) 22:18:46 ID:VMuqR6AKO
ゲキハロの坊主うぜえ!餅松亮死ね

530 :ねぇ、名乗って:2006/11/05(日) 05:58:28 ID:zYvHih0H0
>524-527
エリザベスキャメイはれいなの同級生で、ベリメンの上級生
という設定になっているから、転校生を別人に変えたほうが
よいのでは…

531 :無名作家:2006/11/05(日) 09:00:36 ID:9ZHfZ5i60
530
亀井以外にあてはまるキャラいないもんで・・・。
ほかにこのキャラにあてはまるハロプロメンバーいますかね?

532 :ねぇ、名乗って:2006/11/05(日) 10:14:39 ID:zYvHih0H0
>531
過去ログを読み返してみたら、キュートメンはベリメンと同学年で
3Cだという設定になっていたので、2年時の話なら、キュートメン
から誰か選べばよいのではないかと。
キュートメンは大体登場済ですが、愛理と栞菜はまだ登場して
いなかったはず…
キャラ的に誰があてはまるかとなると難しいところですが、
あくまで創作ですから、自分で作りこんだキャラを書き込んで
いけば、そのうち違和感がなくなるのではないかと。
これまでの主要登場人物にしても、実際に近いキャラもいれば、
そうでないキャラもいるでしょうし。
個人的には、千奈美は実際に近くて、熊井ちゃんはかなり異なる
と思いますが、これも本当のところは分かりませんし、ここまで
物語が進むと、私は現実のキャラとの乖離は気になりません。

533 :松輝夫:2006/11/05(日) 11:46:40 ID:gYd7ubmjO
>>528
イワナ氏更新乙です。
面白くなってきましたね。拉致られた亀ちゃんの運命は?
それにしても、娘。の中でもあまり運動は得意じゃない二人が小説の中では……このギャップがいいですね。
また、サイト更新乙です。
おかげさまで其の四より前が読めますわ。

自分の方も、昨夜act.5が完成しますた。
これから見直して、近いうちに揚げますわ。
いよいよ美貴様の秘密が明らかに……それを知った小春は?そして小春に迫る危機……!
待っていて下さる方は、あまり期待せずにお待ち下さい。
そうでない方はもう少し我慢して流して下さいな。

从 ` ヮ´)飲みすぎは良くないっちゃ

534 :ミヤビイワナ:2006/11/05(日) 11:54:17 ID:BliM2P4Z0
>>534
ありがとう〜
美貴様は気になるね、どうなっちゃんだろう!!

从 ` ヮ´) ところでこのAAは誰ですか?ひくようなこと聞いてごめんなさい

535 :ミヤビイワナ:2006/11/05(日) 12:04:16 ID:BliM2P4Z0
もしかして
RAM(ランダムアクセスメモリー)ちゃんかな?
なつかしー!!
でも違うのかな?

536 :松輝夫:2006/11/05(日) 12:41:44 ID:gYd7ubmjO
>>534
えっ?マジでわからんとですか?

从 ` ヮ´)じいちゃんのネギ串うまいとぉ

コレでわかりますよね?コレでもわからない人はオシオキです。

从 ` ヮ´)ラブ☆なっくる!

……松輝夫です。
れいなになら(さゆでも可)殴られたいとです。
松輝夫です……。


美貴様の秘密はそんなにすごいもんじゃないですから。
あまり過大な期待はしないでくださいな。
これから先は、書いてる本人もハズいベタ〜な展開になると思われ……。

537 :ミヤビイワナ:2006/11/05(日) 12:54:43 ID:BliM2P4Z0

ごめんなぁさ〜〜い!!
涙出そうだ!!!!

勉強になりました
ハズカシー!!

最近ミスだらけだ、よりによって
副局長の名前間違えるし!!

>>491
×土方俊三
○土方歳三

ヤバイ!!副局長が追ってきた!!
百式では副局長のファンネルかわせない!!
サザビーで逃げよう!!
それじゃ!!

538 :無名作家:2006/11/05(日) 13:47:46 ID:9CHcBPYP0
5時間ぶりにきたらもりあがってますね

539 :ねぇ、名乗って:2006/11/05(日) 15:07:09 ID:KJVmAws3O
森上がり

540 :無名作家:2006/11/05(日) 15:14:47 ID:9CHcBPYP0
僕が今かいてる小説の登場人物をかえたいと思います

亀井絵里ー→有原かんな

です。

541 :無名作家:2006/11/05(日) 16:45:46 ID:9CHcBPYP0
526の続き
「よ〜し、それじゃ今日の授業は終わりだ。明日から土日だからゆっくりやすめ」
そうゆった瞬間、男子が騒ぎだした。みんな遊びに約束や自分の計画を友達に
ゆったりしている。千奈美はこんな雰囲気がすごく好きだった。
女子といえば転校してきた、かんなにむらがっている。
「どこから引っ越してきたの?」
「兄弟いるの?」
みんな、かんなを質問攻めにしているが、かんなは答えようともしないし
相変わらず、無表情だ。その時朝からいらだっている雅が千奈美に話しか
けてきた。しかも、大声で。
「ちぃ、あんなきもいやつほっといてさっさと帰ろ!!」
千奈美はびぐっとしてしまった。しょうがない。雅は朝だけならともかく
そのあとも千奈美が話しかけたら、全部かんなからボログソいわれたから
だ。親友があんなに汚されたら雅の堪忍袋がきれてしっまた。そして、千奈美
が帰ろうとてかんなのほうをみたら、かんながなにか訴えそうな目線を、
千奈美に送っていたような気がしたが雅に引っ張られ教室をでていってし
まった・・・。

542 :無名作家:2006/11/05(日) 17:17:31 ID:9CHcBPYP0
541の続き
千奈美と雅はいっしょに夕日の中を歩いていた。
「なによあれ。せっかくちぃ、が話かけてやったのに、あんな態度をとるなんで友達
ところが人間と失格よ。ちぃもそう思うでしょう。」
「う、うん」
千奈美は結局、最後まで雅の愚痴をきかされるはめになった。
「それじゃ、ちぃバイバイ!!」
「み〜や、明日ね!」
千奈美は雅と別れて自分の家で立ち止まってしまった。(ただ私が馬鹿なのかな)
気がついたら千奈美は公園のブランコに乗っていた。制服のままだ。
(早くかえらなきゃ!)千奈美はあわててかえろうとしたら目の前に見覚え
のある人影がみえた。

続きは明日くらいにかきます。ご感想やアトバイスをくれたら幸いです。

543 :ねぇ、名乗って:2006/11/05(日) 19:26:29 ID:NsFm0PTWO
今日はゲキハロ参戦してきましたぁ〜
いつもの梨沙子ヲタさん乙でした!

あぁ〜もう一回観たい・・・

544 :ねぇ、名乗って:2006/11/05(日) 22:50:14 ID:y5eUrEi7O
>>542
えーと。文章はいたってシンプルで読みやすさや登場人物の感情がよく引き出されていると思いまーす

敢えて言うと改行ですね。
俺も書いてくうちに改行の重要さに気付きました
茉作家さんなんかは改行をとても上手く使いこなせていると思うので是非参考にされてみては?

サイトに俺の初期作品を載せて貰いましたがホント読みにくいorz
頑張って下さい応援しとるよ!!

545 :3年B組メロン記念日:2006/11/05(日) 23:56:58 ID:V1ztdEmoO
読み辛い

パート1から全て読み返されたらいかがでしょう。

ごめんなさい。
スルーして下さい。

ロムってる分際でごめんなさい。

546 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/05(日) 23:58:50 ID:y5eUrEi7O
>>521


佐紀は、薄暗い天井にぼんやりと今日の出来事を描いていた。
子ども心に『幸せ』という感覚が少しだけ解った気がして、佐紀は竜二とまゆみの顔を浮かばせながらクスクスと笑い声を噛みしる。

ぎゅるる・・・
腹の虫が思い出したように鳴く。
それは佐紀を、このまま寝かせてなるものか。と訴えているようで、
佐紀は仕方なしにベッドから身を起こした。

たぶん冷蔵庫に何か入っているはずだ。
昼間のスーパーで買って貰ったチーズケーキのことを思い出し、薄闇の中リビングを目指した。

廊下の一点から明かりが洩れている。
誰かがトイレに入っているのだろう、佐紀は自分の足音をころして、そっとトイレの前を通り過ぎた。

「うっ・・ううぅ・・。」
微かながら人の呻き声が聞こえてくる。
「ううぅ・・」
その声は次第に大きくなり、佐紀の耳にまとわりつく。
「パパっ?!パパなの?」
恐る恐るドアをノックしながら佐紀は、中で苦しんでいるだろう竜二に、呼びかけた。
「パパ?大丈夫?返事して!」
中からは返事がない。
佐紀はドアにビッタリ耳をくっつけながら、竜二の様子をうかがった。

547 :3年B組モー娘6期:2006/11/06(月) 00:08:44 ID:/bXJ31eqO
おいおい

まさか佐紀パパ=竜二が!

辛いが読まなくては。

548 :体育祭〜:2006/11/06(月) 00:47:43 ID:YvGvTs7WO
佐紀の心配をよそに、呻き声は唐突に口笛に変わった。
トイレの水を流す音が、それをかき消す。
「んっ?どうした?こんな時間に。眠れないのか?」
トイレから出てきた竜二は、何事もなかったような顔で、優しく佐紀に微笑んだ。
「だって。パパすごく痛そうにしてたんだもん。」
「パパがか?なに言ってんだ。きっと佐紀は寝ぼけてるんだよ。」
「佐紀、寝ぼけてなんかないよ!」
竜二の額には、何かじっとりしたような汗が滲んでいるように見え、暗くてよくは判らないが、目が赤みがかっている気がした。
「ホントに痛くない?」
佐紀は、竜二の笑顔が信じられなくて、何度も何度も問い詰めた。

「パパは大丈夫。だから佐紀は心配しなくていいんだよ。」
竜二は佐紀の頭に手を乗せると、眠たそうにあくびをした。
「一人で寝られるか?パパがついててやろうか?」
「ううん。大丈夫!パパも早く寝ないとダメだよ。」
「佐紀はホントに良い子だな。じゃあパパも寝るかな、おやすみ佐紀。」

「うん。おやすみ。」
佐紀はチーズケーキのことなどすっかり忘れてしまったように、竜二に手を振りながら子供部屋に戻っていった。

549 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 13:50:07 ID:fykwjRDg0
がんばって書いてますね、お疲れさまです。
書いてる途中失礼します。

今日は代休なのでゆっくりアップします。


550 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 13:54:34 ID:fykwjRDg0

『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
         八名の親友丹下からボクシングを教わり、ボクシングに熱中。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知りだったがれいなとの出会いで勇気ある
         娘に成長中。
新垣里沙    :隣クラスの生徒会長。ギャルサー「デス・ラビット」のサブリーダー。
道重さゆみ   :転校生、財閥の令嬢。
柴田あゆみ   :さゆみの父親が経営する会社の秘書
斉藤瞳 :ギャルサー「デス・ラビット」のリーダー。

第7話『ラブ☆なっくる!!(ブラス☆ナックル!!)』

「れいな、作戦があるんだけど☆」
「・・・?」
長い黒髪を揺らしながら歩き、さゆみはれいなに「作戦」を伝えた。
「それからデス・ラビットのサブリーダーが・・・・」
「!!」

工場から光が漏れていた。
2階建ての鉄筋工場跡で学校の体育館位の大きさだった。
建物の中には百人近いギャルサークルの構成員達が鉄パイプ等を持って武装した状態でいた。
その中央にひときわ大きな体をしたリーダーがいた。長い金髪の「斉藤瞳」だった。
「絵里はどことぉ〜!!!!!」
れいなは吠えていた!!
斉藤はにやにや笑いながら、

「2階にいるよ。」

551 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 13:56:58 ID:fykwjRDg0
れいなは鉄の階段を見つけ2階にあがろうとした。
「普通簡単に行けないでしょう!!」
鉄パイプを持ったギャル達が一斉に二人に近づいてきた!!
れいなとさゆみは一緒に工場のわきの方に逃げるように走った。
逃がさないように囲むようにほぼ全員のギャルが逃げる方向に集中して集まった。
とうとう囲まれて動きが取れなくなった。
それを待っていたようにさゆみは携帯電話の送信ボタンを押した。
その瞬間工場内の電気が消え真っ暗な闇に包まれた。
さゆみのメール送信で外にいる柴田が工場の電源ブレーカーを落としていた。
さゆみは先ほど、れいなに話していた通りウサギのポシェットから「暗視ゴーグル」を出して渡した。
二人はスイッチを入れてゴーグルを装着した。
(こんなものどこで手に入れるんだろう????)
目の前はわずかな光を拾ってはっきりと工場内が見えた。
相手は当然こちらが見えない。

「れいな相手は大勢で武装して人質まで取っている相手だよ!!手加減は無しよ!!」
「わかった!!」


552 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 13:58:38 ID:fykwjRDg0
れいなは武装したギャル達に飛び込んだ!!
全く無防備の相手だがしょうがなかった、れいなは一撃で終わるように顔面の中心を片っ端から
殴り回った。
さゆみはまるで糸が切れたタコのような蹴りを群れの中で踊る様に振り上げた。
工場内は悲鳴だけが響いた。
もはや羊の群れに放たれた「狼」だ!!
斉藤は全く予想外の展開に為す術がなかった。

30分くらいの時間が過ぎ、さゆみは柴田にメールを送信した。
工場内の照明がついた。
二人はゴーグルを外して工場内を見た。
百人ほどのギャル達は顔面を打たれて鼻血で血まみれになって倒れていた。
意識が残っているギャル達は嗚咽しながら工場から逃げていった。
「お前ら待て!!にげるな〜!!」
誰も振り向きもしなかった。
「・・・・・。」
「しょうがないね二人相手してあげるよ!!」
れいなとさゆみはゴーグルを投げ捨てた。


553 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 14:00:55 ID:fykwjRDg0
「れいな先に2階行ってエリを助けて!!」
「!!」
「はやく!!」
「すまない!!」
れいなは鉄の階段を駆け上がった。

「二人ならあたしに勝てたかも知れないのに。」
斉藤は不敵な笑みをしてさゆみとの間合いを取った。
「あんたなんかブラス☆ナックルで一発よ!!」

2階では・・・・・・・・・・・
絵里が意識を取り戻した。
「ん・・・・?」
「気が付いた?」
絵里は工事現場にある黄色と黒が混ざった工事用作業ロープ、通称「トラロープ」で体を縛られていた。
(もしかして髪を切られている????)
「ん・・・・?」
「亀井さん。」
「!!!!」
「もしかして新垣さん?」
リサは金髪のカツラと薄いサングラスを取った。
「!!!!」
「ビックリした?」
「なんで?」
「もう2年経つの。」
里沙は「デス・ラビット」を絵里に話し出した。

554 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 14:13:29 ID:fykwjRDg0
里沙の父親は商社のエリート、母親は進学校の英語教師。
エリートの父親は仕事でほとんど家には居なかった、母親も里沙の幼児期を過ぎたら職場復帰して
英語教師として多忙な日々を送っていた。
里沙は早いうちから孤独だった・・・・・。

中学に入学しても勉強だけは出来たが心が許せる友達が居なかった。両親からは私立中学に行くように
言われたが拒んでいた、両親の見栄の為に生きるのが嫌になったからである。
ある日いつものように一人でインターネットの「自殺掲示板」を眺めていたところ、
近所のこの工場で飛び降り自殺を予告する書き込みがあった。
体を壊してバレーが出来なくなったエリート選手だった。
里沙はおもしろ半分でのぞきに行ったが本当に屋上に立っている人影を見つけた。
里沙はその選手を説得して自殺をやめさせた、その代わり「暴力と犯罪」を楽しむ力を貸してほしいと
頼んだ。それが「デス・ラビット」だった。

「・・・・・。」
「だから?」
「え?」
「だから、れいなに何が関係するの?」
「・・・・・。」
「見てみたかったの・・・。」
「・・・・・。」
「本当に助けに来るかどうか。」

555 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 14:15:04 ID:fykwjRDg0
斉藤はさゆみより体が大きかった。長身を使った打ち下ろす様な「手刀」がさゆみを襲う。
(体が大きければ絶対強いって訳じゃないから!!)
さゆみはトップスピードで避けて懐に入りボディブローの体勢に入った!!
(・・・・・!!)
斉藤はさゆみが懐に入るのを読んでいたかのように体を回転させてボディーブローを避けると
同時に回転の反動を生かした「左裏拳」をさゆみの左側顔面に打ち付けた!!
さゆみは一瞬意識が遠のいた。
(見えていたの?!!)

斉藤はバレーの選手だった為、類い希な「視力」を持っていた。
さゆみは正面から二段蹴りを振り上げた!!
斉藤の腕は硬いガードを作り蹴りを防いでいた。
(さゆみの体重じゃダメージにならないって言うの・・・)

斉藤は横からミドルキックをさゆみに打ち付けた!!
さゆみはガードごと吹き飛ばされ工場の壁に体を打ち付けた。
打ち付けられた振動で壁に立てかけてある5mくらいある20本ほどの鉄パイプ資材が倒れそうに
なっているのをさゆみは見逃さなかった・・・・・。
(このままでは勝てないようね。)

556 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 14:17:47 ID:fykwjRDg0
斉藤が加速をつけてやって来る!!
(れいな!!うまくいくように力を貸して!!)
斉藤は勝ちを確信していた、
「動きは速いけどまだまだ子供ね!!」
打ち下ろしの手刀を構えた時、

「ガラガラ・ガッシャーン!!!!」
先ほどの鉄パイプ資材が倒れた!!
「!!」
斉藤はさゆみの目が入り口に向いているのを見逃さなかった!!

斉藤は思わずさゆみの視線の先を見てしまった!!

「ぶらすぅ〜なっくるぅぅぅぅ!!」

557 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 14:20:06 ID:fykwjRDg0
両足を床にべったり付け腰を落として脇腹をえぐるローブロー!!
斉藤は「れいな直伝」さゆみのフェイントに引っ掛かってしまった!!

「ドーン!!!!」

斉藤は呼吸を止めて「最後」の手刀をさゆみの肩に打ち下ろした!!
「!!」
さゆみは痛みに構わずもう一度、
「ぶらすぅ〜なっくるぅぅぅぅ!!」

さゆみの拳はグローブを通してあばら骨を折る手応えを感じた。
斉藤の体は浮き上がり床に倒れた、
(バレーの・フェイン・ト・・・なんてものは・・・・・)
斉藤に起きあがる力はもうなかった。
さゆみの肩も手刀のおかげで「ヒビ」が入ったようだった。
(れいな、うまくいったよ・・・・。)
さゆみは肩を押さえながら2階にあがって行った・・・・・。

558 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 14:34:56 ID:fykwjRDg0
2階の扉を勢いよく開けてれいなは飛び込んだ。
「絵里〜〜〜〜!!!!」
悲鳴のような叫びだった!!
部屋の中央に髪を短く切られてロープに縛られた絵里が里沙に片手で押さえられ
ナイフを顔に向けた状態で立っていた。
(!!!!!)
「さっき道重さんから聞いたけど本当にあんただったとはね・・・」
れいなは全校集会で挨拶する生徒会長を思い出していた。

「れいなーーーー!!」
「絵里ーーーーー!!」

559 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 15:35:55 ID:fykwjRDg0
〜 〜れいなは絵里との思い出が頭の中で高速再生されていた。〜 〜

「れいなちゃんの家はどこにあるの?」
「焼き鳥食堂。」
ぽつりと言った。
「ああ、あの商店街の外れの焼き鳥屋ね。」
「わたしの家から近いよ、今日一緒に帰ろう。」
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
放課後れいなに絵里が近づいてきた。
「れいなちゃん、いつも助けられなくてごめんね。」
「・・・・・。」
「れいなに関わると絵里ちゃんもイヤなことになるとぉ。」
れいなはいつもと同じように一人で帰宅した。
絵里はその後ろ姿を見送りなんてたくましいのだろうと感心して
「友達になりたい・・・。」
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
机から勢いよく立ち上がったのは絵里だった。
「あんた達いいかげんにしなよ、先生にいいつけるからね!!」
3人グループはにやにやしながら、
「あんた、田中が来てからイジメられなくなって良かったのに、またイジメられたいの。」
絵里はれいなが来る前にクラスでイジメにあっていた。
絵里は震えながらも抗議をしていた。
れいなと友達になりたかった・・・・・。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
絵里はれいなの前に出て立ち止まり、振り返った。
「れいながいれば絵里なんでも出来そうな気がするの。」
「え?」
「空も飛べそうなの。」
両手を伸ばし天使が羽をひらくまねをして絵里は笑っていた。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

560 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 15:38:40 ID:fykwjRDg0
(絵里・・・絵里・・・絵里・・・・・・・・・・)

「絵里を返せーーーーー!!!!」

里沙はニヤニヤしてナイフをれいなに向けた!!

れいなはトップスピードで里沙に踏み込んだ!!ナイフが絵里の顔を離れた今しかなかった!!
里沙は本気でれいなを「刺す」つもりだ、腕を折り狙いをさだめた!!
れいなが里沙の間合いに入る、里沙は腕をれいなの顔に目がけて伸ばす!!
「バシーーーン」
里沙の右手の甲がれいなの左フックでナイフごと吹き飛ばされた!!
里沙は絵里を離し右手の甲を押さえながら屋上に駆け上がった。

れいなは吹き飛ばしたナイフを使って絵里を縛るロープの結び目を切った。
「絵里!!」
「れいな!!新垣さんを止めて!!」
「!!」
「新垣さん死ぬ気なのよ!!」
「ちっ!!」
れいなは屋上に駆け上がった。

561 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 15:40:09 ID:fykwjRDg0
里沙は壊れかけたフェンスを乗り越えようとしていた、
「あの時死ぬはずだったのは私だったのね・・・」
斉藤との出会いを思い出していた・・・。
(さよなら瞳ちゃん・・・・)

飛び降りる瞬間、里沙は左手をれいなに捕まえられた!!
「!!」
れいなも一緒に落ちそうになったがなんとか左手だけはフェンスの根本を掴んで空中でぶら下がっていた。
「!!」
絵里は体に巻き付くロープをほどきながら屋上に駆け上がって来た。
フェンスの根本に手だけが見えた!!
(どうすればいいの!!)
長い黒髪を振り乱してさゆみが屋上に駆け上がってきた。
さゆみは一瞬で現状を「洞察」した、震える絵里の体に巻きつくロープを伸ばし始めた。
ロープは4mくらいの長さがありロープの先に丸い輪を結んで作りれいなに掴ませようと考えた。
「エリ、この輪をれいなにわたすのよ。」
「うん!」
さゆみはれいなの手を握り絵里がロープを渡した。
れいなはロープをしっかり掴んだが握力も限界に近かった。

562 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 15:43:47 ID:fykwjRDg0
「れいな二人を同時に引きずり上げるのは無理みたい。」
さゆみは肩の痛みがひどかった。

「そのかわり振り子のように遠心力をつけてあたしの合図と同時に上に振り上げるわ。」
「!!」
「チャンスは一度よ、できるわね、れいな!!」
「たのむ!!」
「れいな、これが成功したらあたしにキスしてね☆」
(こんな時になにいってるとぉ〜!!)
「れいな!!どうなの!!」
絵里は堪らず、
「道重さんなにをふざけてんの!!そんなの絶対だめよ!!」
「!!」
さゆみの左手が使い物にならないのが見てとれた。
(あんた、もう限界とぉね・・・・・)

「わかったとぉするから〜急ぐとぉ!!」
さゆみは両足を地にべったり付け腰を落として脇を締めてゆっくり、れいなと里沙を振り子のように
振った。
さゆみは体を震わせロープを握っていた、膝も腰も肩もとっくに限界を超えていた!!
だんだん遠心力が増し楽々高さを増した、今しかない!!
「ぶらすぅ〜なっくるぅぅぅぅ!!」
さゆみはロープを真上に投げた!!
(れいな・・・跳んでみ・せて・・・・)
さゆみは力尽き意識を失った。

563 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 15:46:25 ID:fykwjRDg0
れいなは空中で体勢を整えフェンスを蹴って屋上に里沙と転がるように着地した!!

「れいなーーーーー!!」
れいなはすぐ立ち上がり里沙に向かった、
「ビシッ!!」
れいなは里沙にデコピンをした。

「まだまだ、れいなもあんたもやりなおせるとぉ!!」
「!!!!」

里沙の目から涙があふれ出していた。
れいなは絵里に向いた、
「絵里、今日店まで来てくれたのに話を聞けなくてごめん。」
絵里も涙があふれ出してきた。
「何があっても絵里はれいなの一番の友達だよ!!」
段々れいなは血の気が引いてきた体は限界だった。

今度はさゆみに向いた、さゆみはボロボロになって白目を向いて気絶していた。
(ブサイクとぉ・・・さゆ・・・・)
れいなは初めて道重を「さゆ」と呼びながら気絶した・・・・・。


564 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 16:18:07 ID:fykwjRDg0

とうとう二人を超人にしてしまった。
推しの人たちごめんなさい!!
7話おわり☆


565 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 16:41:59 ID:fykwjRDg0

『ラブ☆なっくる!!』

田中れいな   :両親を亡くし生まれ育った福岡から上京し祖父と二人暮らしをする。
         八名の親友丹下からボクシングを教わり、ボクシングに熱中。
八名信夫    :れいなの母親の父。「焼き鳥食堂」を営む。
丹下のおっちゃん:八名の古い大親友。屋形船で働く。
亀井絵里    :れいなのクラスメイト。引っ込みがちで人見知りだったがれいなとの出会いで勇気ある
         娘に成長中。
新垣里沙    :隣クラスの生徒会長。ギャルサー「デス・ラビット」のサブリーダー。
道重さゆみ   :転校生、財閥の令嬢。
柴田あゆみ   :さゆみの父親が経営する会社の秘書
斉藤瞳 :ギャルサー「デス・ラビット」のリーダー。

最終話『れいな先輩』

「それでは調整したとおりに、お願いします。」
「わかりました、道重会長によろしくお伝え下さい。」
「・・・・・。」

「新垣様行きますよ。」
柴田は少年課の課長と「調整」を終えると気絶したさゆみを背負い里沙を連れて乗って来た車に向かい
闇に消えていった。

「課長、そう言えばうちの署長定年後に地元「山口県」で知事選挙に出馬するそうでね・・・。」
「まぁまぁ、そう言うな。」

566 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 16:43:55 ID:fykwjRDg0
「中澤、例の「誘拐」された少女帰宅させてな。」
「・・・・・誘拐ね」
(捜索願は確かに親から出てたけど・・・・)

「裕ちゃん!!車両きたよ。」
「あっちゃん、今いくで〜。」
(結局は権力の天秤やね・・・・・。)

工場跡地にはパトカー等の車両がたくさん集まっていた。
たくさんの未成年が護送車に乗せられていた。

「こんなとこにあの焼き肉屋の末っ子乗ってないやろなぁ〜。」
「裕ちゃんなんか言った?」
「なんも、早く「被害者」つれて帰るで〜。」
(親は死ぬほど心配してるんやで・・・・・・)

567 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 16:45:15 ID:fykwjRDg0
れいなは丹下の軽トラックの席でまだ気絶したままだった。
れいなは夢を見ていた・・・・

「れいな〜」
(お母さん、お父さん。)

優しい笑顔で両親が並んで立っていた。
「どこ行ってたとぉ!!」

優しい笑顔の両親は、
「本当にがんばったね。」

「父さんと母さんはいつでもれいなを見ているんだよ。」
「いやだ、れいなもつれてって!! もう一人はイヤだ!!」
「一人じゃないわ。」
「あなたの周りにはあなたを愛する人が一杯いるわ。」

母はれいなの手を取って手のひらに暖かい息を吹きかけていた。
幼い頃、寒い夜は布団に入って良くこのように息を吹きかけていた。

「帰りなさい、あなたを愛する人たちの所へ・・・・・」
「待って〜」
「・・・・・・」

「れいなちゃん!!大丈夫か!!もうすぐ家につくからな!!」
眠るれいなの目から涙が流れていた・・・・・。

568 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 16:46:44 ID:fykwjRDg0
明くる土曜日の「須藤飯店」

「茉麻2番テーブルにラーメンお願いね!」
「はぁーい」

茉麻はラーメンをテーブルに運んだ。
「おまちどうさま。」

後ろのテーブルの会話が耳に入った。
近所の木工工場の若い常連客だった。

「・・・・それでさ、主任の子供二人は助かったけどその中学生の女の子流されたんだって。」
「え!」
「主任は死ぬほどビックリしてすぐ警察に行って捜索願い出したけど未だに行方は分からないって。」
「そんな事、大人でも絶対できないなぁ。」
「そうらしい、その中学生いなかったら姉妹は流されて行ったと主任ハンベソかいてたよ。」
「心配だなその中学生。」

茉麻は震えてきた、
(神様・・・・・)

「その話詳しく聞かせてください!!」
「・・・・・。」
ビックリした若い労働者は茉麻を見上げていた。
茉麻の両親も心配そうに見ていた。

茉麻の瞳は「勝利」を確信していた・・・・・。

569 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:03:38 ID:fykwjRDg0
日曜日の朝刊に事件は載っていた、
事件はギャルサーの内部分裂と誘拐事件と言う事で「行政処理」された、ドラッグ販売の主犯として
元バレー選手の顔写真が新聞に載っていた・・・・・。

日曜日の夕方、
新垣里沙は転校した父の転勤が急遽きまり北海道へ転校していった・・・・・。

れいなの自宅謹慎が2週間目に入った・・・・・。

月曜日の3年B組

「・・・・・!!」
絵里は見たこともない髪型をしていた、彼女のトレードマークと言った長い髪がショートカットに
なっていた。

絵里は燃える瞳でクラスに訴えた、
「みんな私は一人でもれいなの復学の署名活動をするわ!!」

絵里のショートカットは決意の現れだとクラス中は納得した。

570 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:15:06 ID:fykwjRDg0
さゆみは土日「テニス」をしていて転んで怪我したと言う、左腕を包帯で吊っていた。
「今週は吊っとかないとね☆」
絵里がさゆみに近づいた、
「・・・・・。」
「ねえ、」
「なに☆」
「この前はれいなを助けてくれてありがとう。」
「本当はエリを助けに行ったんだけどね☆」
「・・・・。」
「さゆも署名活動するからね☆」
「ありがとう・・・・さゆ。」

「焼き鳥食堂」では・・・・・

れいなは店の掃除をしていた。
「れいな、進路の事じゃが。」

八名は唐突に進路についてれいなに話しかけた。

「定時制に行きたいそうじゃが、もう一度考えてくれないか。」
「・・・・・。」
「わしは年じゃがまだまだ働けるし、お前の父親が残した保険金も一つも手につけず残っている。」

八名は貯金通帳をれいなに手渡した。

571 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:16:53 ID:fykwjRDg0
保険金が振り込まれたままの通帳は、大学までの入学金等困らない金額が入っていた。
「お前は一人じゃない、仮にわしに何かあっても焼き鳥食堂がある。」
「充分お前はやっていける。」
「じいちゃん悲しくなることいわんとぉ・・・・。」
「もしもの話じゃよ。」
八名はカウンターに座りお茶を飲んだ。
「なぁれいな、わしは早くに妻を亡くし娘までも先に逝った。」
「・・・・・。」
「絶望の淵にいたがお前やお前の周りの人間を見てまた生きる力が沸いたんじゃよ。」
「さゆみちゃんと絵里ちゃん、良い友達だな。」
「うん。」
「わしも丹下がいてくれたおかげ何度たすかった事か。」
「わしは最近思うのだがもし反対に先にわしが逝ったら娘も嫁もどうだったろう?」
「・・・・・。」
「人にはそれぞれ運命があるが相手を悲しませないで見送る立場もあるのだなと思うんだ。」
「・・・・・。」
「もう一度進路考えてくれ。」
「・・・・うん。」

572 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:18:53 ID:fykwjRDg0
校長室では・・・・・

「坂本先生この一週間なにも手がかりが見つけられず過ぎましたな。」
「はぁ〜。」
「今日は放課後に臨時PTA総会がありますので、決着をつけますよ。」
「・・・・・。」
(田中・・・すまない・・・・)

放課後
正門では3年B組の生徒達がれいなの「復学」を要望する署名活動がされていた。

部活動や塾を休んで活動するクラスメイトもいた。
「あたし1年生の時、リレーがとってもイヤだったけど、れいながわざとあたしと走ってくれた
時あったんだ。」
クラスメイトは恥ずかしそうに話した。
「その後れいなは担任の女教師にすごく責められていたけど、あたしに笑いかけたんだ。」
話ながら女子生徒は胸が熱くなっていた。

「俺、2年生の時ツッパってて隣の中学生に目を付けられた時、田中が助けに来てくれたんだ。」
「桜中学の3年生全員逃げたのにね。」

絵里は絶対れいなを助けると心に誓った。
(れいな、みんなあなたが好きなのよ・・・・・)

573 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:20:42 ID:fykwjRDg0
絵里の持っているノートに署名する大きな体があった。
「!!」
ニキビ顔の同級生だった。
一年生の女子も書き込んでいた。
「ありがとうね!!」
「・・・・・。」
同級生は何も言わず妹の一年生と帰宅して行った。

体育館でPTA総会が始まった・・・・

ヒステリックな眼差しを受けつつ校長は壇上に登った。

その時
「すいませーん。」

父兄の徳永鉄工所社長が丹下と労働者達を従え入ってきた。
「!!」
「な・な・なんですか?」
校長はびっくりしていた。

「ここの田中れいなと言う生徒は不良ではないです。」
「そうだ、れいなちゃんはガラスを割ってないって言ってるそうじゃないか!!」

校長は訳が分からなくなっていた。
(なんでこんな大勢で・・・・)

574 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:23:25 ID:fykwjRDg0
「すいませーん。」
あすなろ会長と女会長が入ってきた、後ろにはスーツを着たプロ女子ボクサーと制服を着た桜中学卒業の
高校生のボクサー達もいた。
スーツ姿の女会長はPTAに向かって言った。
「田中さんが弱い者イジメで人を殴る?」
「ありえません!!弱い者にそんな事していたらとっくに死んでいます。」
「あれほどの拳を持った人間が弱い者を殴ったりしません!!」

PTAもざわめきだした。

絵里は玄関から入った大人達が気になった、
「みんな体育館に行こう!!」

3年B組が体育館に行こうとしたとき、小さい子供をつれた集団が玄関に走って来ていた。
「すいません、田中れいなと言う生徒さんはこちらの学校ですか?」
作業着を着た30代の男性が絵里に訪ねていた。

「みなさん落ちついて下さい!!」
校長は収集がつかなくなっていた。
「PTA以外の方は退場してください。」

「すいませーん。」
(今度は何ですか!!)

校長はすっかり諦めていた。

575 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:51:40 ID:fykwjRDg0
「こちらの田中れいなと言う生徒さんに先々週に命を助けて貰った子供の親です!!」
「田中さんはいますか?」

「!!」
坂本はイスから立ち上がり、
「はい!!、田中れいなは桜中学の生徒です!!」
坂本は家族に駆け寄った。

家族は夫婦と姉妹が来ていた、その両脇に「須藤飯店」の夫婦が連れ添っていた。
土曜日に茉麻が偶然常連客から聞いた話でれいなを助ける事が出来ると八名とつきあいが長い茉麻の父は
今日という日を選んで家族を連れてきた。

「田中さんは無事なんですか?」

姉妹の父親は何よりもそれが心配だった。
坂本は、
「大丈夫ですよ、今日は学校休んでいるもので。」
坂本は校長に目配せをした。

校長はとにかく騒ぎを収集したい。

3年B組まで体育館に押し寄せてきた!!
「れいなはやっぱり事件をおこしていない!!」
3年B組は喜びを爆発させようとしていた!!

576 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:53:04 ID:fykwjRDg0
校長はとにかく収集したい。

「PTA以外の方は退場して下さい!!警察を呼びますよ!!」

「すいませーん。」
「校長先生はこちらですか?」

制服を着た女性警察官二人が入ってきた。
(本当に警察が来た?)

「すいません校長先生は体育館におられると聞いたもので。」
「田中れいなさんはこちらの生徒ですよね。」
体育館は静まりかえり壇上を降りている校長と警察官の会話に耳をすませた。

「先々週の日曜日に人命救助なされた後行方が分からなくなった
女子中学生だと思いますので確認をしたいのですが。」
「・・・・・。」
「確認しだい警察署長から感謝状を渡したいのでその手続きをお願いします。」
「用紙はこちらに。」
「・・・・・。」
校長は力が抜け無言で受け取った。

「それでは失礼します。」

坂本は校長に駆け寄り、
「田中今すぐ学校に呼びますよ!!」
「はいお願いします・・・・。」

577 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:54:04 ID:fykwjRDg0
3年B組は喜びを爆発さていた!!
持っていた署名のノートや紙を空高く投げた。
男子は達はガッツポーズを作っていた。
女子達は抱き合って歓喜に震えていた。

投げ上げられた紙吹雪が生徒達を祝福するように舞っていた・・・・・。

れいなは坂本の電話を受け全速力で学校に向かった。
急いでいたので鞄を持ってきてしまった。
(教室に置いてから職員室に行くとぉ)
教室に向かいながら、
(なにやらやっさ体育館さわがしいとぉ)
教室に入ったれいなを待っていたさゆみがいた。

「あんた大丈夫とぉ?」
包帯で吊られた左腕が痛々しかった。
「ありがとね助けてくれて。」
「・・・・・。」
「れいな約束覚えている☆・・・・」
「*!?%&・・・!!??」

578 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:55:11 ID:fykwjRDg0
忘れるはずもない命がけの「キス」の約束。
さゆみは目をつぶって顔をあげていた。
「*!?%&・・・!!??」
れいなは覚悟してさゆみのおでこにキスした。
「ガラガラ〜」
「!!〜」
3年B組の生徒達が教室に帰って来た。
「さゆ〜〜〜!!」
絵里は凄い形相で怒鳴っていた。

女子生徒達はなぜか頬を赤くさせて二人をうっとり見ていた。
男子生徒達はがっくり肩を落としていた。

れいなは石の様に固まっていた・・・・・。

絵里はさゆみをにらんでいた。

さゆみは絵里にウィンク☆した
「エヘッ☆」

579 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 17:56:51 ID:fykwjRDg0
「裕ちゃんわざと伝えに行くタイミングずらしたでしょう。」
体育館を出て駐車場へ歩きながら稲葉は訪ねた。
「・・・・・。」
「裕ちゃんあたしいつも思うんだ少年達の非行や家庭環境を目の当たりにするとこの仕事から
逃げたくなる。」
二人は車に乗り込んだ。
「・・・・・。」
「だけどさ、今日みたいな日が一つでもあるとやっぱりうれしい。」
中澤はパトカーのエンジンをかけた。
「・・・・・。」
「警視庁広域特別捜査隊、二人とも人事部に上申されたらしいけどやってみる?」
「あたりまえや。」
中澤はアクセルを踏み込んだ・・・・・。

580 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 18:20:59 ID:fykwjRDg0
明くる日・・・・・
れいなは体育館で全校生徒の前で警察署長に人命救助の功績を表彰された。
絵里は急遽転校した生徒会長の代理で放課後生徒会の会議をしていた。
さゆみは柴田に車で向かいに来られ捕獲するようにさゆみを車に乗せ病院へ向かった。
「柴田さん久しぶりのれいなとの下校よ!!」
「れいな様は何処にも行きませんよ。」
さゆみは窓ガラスを全開にしてれいなに手を振っていた。
その姿に柴田は薄く笑っていた。

れいなは手を振るさゆみに答えて手を振っていた。
(柴田さん・・・さゆを違う病院へもつれてって・・・・・)

れいなは表彰状が入った筒を持って一人で帰宅していた。
歩きながら考えた。
(寒い夜に手に息を吹きかける母の愛情)
(自分の夢も未来も命さえも投げ出した父の勇気)
れいなは土手に流れる風に吹かれ
(一人じゃない、もし一人になった時は心が折れる時だ)
「未来」を見据えていた・・・・・

581 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 18:22:58 ID:fykwjRDg0
「あ、田中先輩だ!!」
遠くに歩くれいなを雅はみつけた。
雅は走って追いかけようとした。
「みや!」
「・・・・・。」
「この前は田中先輩を犯人みたいに言ってゴメンね。」
「いいよ、ちぃの父さんに田中先輩助けるように言ってくれたんだろ。」
千奈美は笑顔になり、
「でもレズは本当らしいよ、道重先輩にキスしたって!!」
「別にいいじゃん、男でも女でも。」
雅は茉麻に語りかけた。
「そうだね!!」
茉麻は雅が田中先輩を大好きなんだろうとこの時は思っていた・・・・・。

「早く行くよ!!」
雅は駆けだした。

582 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 18:24:27 ID:fykwjRDg0
千奈美は、
(焼き鳥、焼き鳥!!)
茉麻は、
(料理見せてもらえるかな?)

れいなは遠くから何か叫びながら駆けてくる一年生達に気づいた。

れいなはいつからか後輩達にこう呼ばれるようになった。


「れいな先輩〜〜〜!!!!」





☆    お・わ・り    ☆

583 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 18:31:47 ID:fykwjRDg0
『ラブ☆なっくる!!』 を読んでくれた人ありがとうございました。
やっとおわりです。

途中悩んでやめようかなとも思ったけど、荒らしが来たとき
本気でみんなが心配になった。
傷ついていないだろうか?

勝手に現れて書きまくって止める自分も荒らしじゃないかとも思った。
しかし応援してくれる書き込みを見て「勇気」が出た。

もう10年以上も前にクリエイティブには「技術」より「勇気」が必要だと
知っていた自分なのに・・・・・。

3人は良く頑張りました。自分は彼女達を誇りに思います。

読んでくれて応援してくれた人たち「スッペシャルサンクス☆」

百式に乗って帰ります。

584 :無名作家:2006/11/06(月) 20:00:55 ID:jeq+49kF0
ミヤビイワナさん感動ありがとうございます!!

585 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 20:36:42 ID:fykwjRDg0
>>584
読んでくれて本当にありがとうございます。

あなたの声援がどれほどイワナに勇気をくれるかあなたには分かるだろうか?

お互い勉強しなければならない事がたくさんあります。

この先イワナはあなたに厳しい事を書くとおもいますが、
あなたは「可能性」があります。

何故ならあなたは指を動かし書き込んでいるからです。

今はイワナも燃え尽きてあなたにアドバイスは書けませんが、明日以降でも
厳しいアドバイスを書きます。

本当に書き込み嬉しかったです。

586 :松輝夫:2006/11/06(月) 21:39:51 ID:XuayhSRNO
>>585
イワナ氏大作乙です!
いや、終始全く展開が予想できないお話でした。
途中、真実とガセネタの区別もつけられないウジ虫どもの荒らしもありましたが、無事フィナーレを迎えられたことをお喜び申し上げます。

一つ、特に嬉しかったのが、本編の三人組に加えて裕ちゃん・あっちゃんコンビまで出てきたこと。
この物語の世界は、必ずどこかで一つに繋がっているんだと改めて確認しました。
次回作も楽しみですが、まずはゆっくりお休みください。

587 :ミヤビイワナ:2006/11/06(月) 22:06:01 ID:fykwjRDg0
>>586
最後まで読んでくれてありがとうございます。

いつもいつもイワナを励ましてくれて、本当にありがとう。

じっくり時間があるので先の件を是非考えてもらいたです。

燃え尽きたので今日はもう寝ます。

みんな本当にいつもありがとう。




588 :無名作家:2006/11/06(月) 22:15:55 ID:oV0S/AGE0
542の続き
目の前の人影はかんなということがすぐわかった。(ど、どうしよう。話か
けようかな〜〜?)と迷っていた時、隣から新しい人影がでてき千奈美はか
んなが邪魔でその人物が少しの間わからなかったが(み、み〜や?)それは
他でもない千奈美の幼馴染であり親友の雅だった。
なぜあの二人か?千奈美にとってそれが率直なかんそうだった。暗くて、よ
くわからないが、かんなは学校と時のようにあいがわらず、無表情だ。一方
の雅は今にも跳びかかりそうなほど険しい顔をしてる。千奈美は雅に初めて
恐怖感を覚えてしまった。千奈美がいるのはまたばれてないが、時間の問題
だ。千奈美はちかくの遊具の影に隠れて様子をうかがうようにした。
その時、二人の会話が始まった。

589 :無名作家:2006/11/06(月) 22:18:50 ID:oV0S/AGE0
寝ます。明日かきます。

590 :ねぇ、名乗って:2006/11/07(火) 00:05:58 ID:DxJYbS8E0
マスかいてね

591 :ねぇ、名乗って:2006/11/07(火) 00:22:02 ID:UCb6GmjH0
オナニーは健康に良い

592 :ねぇ、名乗って:2006/11/07(火) 00:36:05 ID:LccmpRhJ0
>>589
がんばれ!!改行しろよww
漢字変換怠るな!  がんばれ!

イワナ氏激しく乙!!
すごいよ!凄かった!全てがリンクしてて相当読み直し研究したんだろうなってオモタ

雅達が田中先輩と呼んでいた違和感を最後の最後で納得させるカタルシス!
いいオチだったよぉ!!
俺もガンバロっと!!とにかくお疲れ様でした!!これからもいい本書こうぜ!!

593 :体育祭(ry:2006/11/07(火) 01:21:32 ID:v2OkO9YVO
>>548


何度も隣で寝返りをうつ気配が、まゆみを眠りから呼び覚ました。
まゆみは暗闇に目を凝らし、横で寝ているはずの夫の姿を確かめる。
竜二は、うずくまるような格好でブルブルと体を小刻み震わせ、その激痛が声にならないように、必死で苦痛をかみ殺していた。

「ちょっと!?竜二?」
『尋常じゃない!』以前看護婦の経験があったまゆみは、苦痛に喘ぐ竜二の姿と、救命で運ばれてくる患者達の姿を重ね合わせた。

「あぁ。起こし・・ちゃったか・・・」
竜二はあくまで平然を装い、寝ぼけたふりで彼女に振り向く。
「あぁ。じゃないわよ!どうしたっていうのよ?顔色、普通じゃないわよ?ねぇ。」
薄闇の中でも、竜二の状態は容易に判断できた。
真っ青な唇、不自然な息づかい。何より目が虚ろだ、焦点が定まっていない。
まゆみの経験と直感は、それがとてもマズい状況だということを悟らせた。

594 :体育祭(ry:2006/11/07(火) 01:49:01 ID:v2OkO9YVO
例えるなら、夜中ナースコールで助けを求める、患者の姿だ。

竜二が執拗に腹を気にしている。
彼女は看護婦時代に培った知識を、記憶の片隅から引っ張り出した。

「ちょっと。痛いわよ。」まゆみは冷静な面持ちで竜二の下腹部を指で押さえる。
「ぐっ・・・うぅっ」
予想した通りの反応だ。『間違いない。胃痙攣だわ。』
まゆみは即座に判断を下すと、救急車を呼ぶためベッドから身を投げ出した。

「ちょっと!待ってくれ!どうする気だ・・っくうっ!」
竜二は身をよじらせながらも、まゆみの前に立ちはだかる。

「何って!決まってるでしょ!救急車よ!救急車を呼ぶのっ!」
まゆみは一刻を争うような口調で、竜二の動きを制した。
それでも竜二は頑なに、そこをどこうとはしない。
時計の針は1時を指そうとしていた。
「な、何なのよっ!胃痙攣なのよ!今すぐ処置しないと、あなた、死んでしまうわっ!」
「それでも救急車だけは・・・頼むっ。くっ、うぅ。」
竜二は遠ざかる意識と格闘しながら、扉の前にしゃがみ込んだ。

「救急車なんか呼んでみろ・・・佐紀が悲しむじゃねぇか・・・
せっかく俺の為にあんなに、頑張ってくれたのによぉ・・。」
竜二は、まゆみをじっと見つめた。

595 :松輝夫:2006/11/07(火) 08:00:46 ID:zR5E1S3VO
>>594
更新乙です。
佐紀パパいよいよ最期の時でしょうか。
それでも佐紀タソを思いやるパパカナシス……。

自分も今日揚げる予定です。
気が向いた方は読んでやって下さい。

596 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:06:13 ID:zR5E1S3VO
3年B組ベリーズ工房 オーディション編番外「夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜」

登場人物
久住小春 :中学二年生。実の姉のように慕っている藤本美貴の影響で芸能界を目指し、現在は女優を目指している。
久住章  :小春の父
久住千代子:小春の母
藤本美貴 :焼肉「ふじもと」を経営する藤本家の末っ子。小春とは実の姉妹以上の仲。歌手を目指していたが…。
吉澤ひとみ:楽器店店員。高校以来の美貴の大親友。
中澤裕子 :元少年課所属で、現在は警視庁広域特別捜査隊所属の刑事。階級は巡査。美貴が荒れていた頃立ち直らせた。
稲葉貴子 :警視庁広域特別捜査隊所属の刑事。階級は巡査。裕子の同期で同僚。
嗣永桃子 :小春が初めて参加したオーディションの会場で出会った、親友にしてライバル。アイドルを目指している。


act.5 暗転-Blackout-(後編)

美貴の家を訪ねた翌日、小春はひとみと一緒に有明にいた。
有明駅でゆりかもめを降り、そこから目的地まで歩いていく。
「どうやらもうすぐみたいだね」
万世橋警察署でもらったメモを見ながらひとみが言った。

597 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:12:06 ID:zR5E1S3VO
やがて、二人は目指していた有明の検察庁・警視庁合同庁舎(※)の前にたどり着いた。
「どうやら、ココみたい」
ひとみに言われて小春が見上げた看板には、「検察庁・警視庁合同庁舎」の文字の下に、「警視庁広域特別捜査隊本部」の文字があった。
目指していた場所に間違いない。
「行こうか」
ひとみの言葉に小春は頷くと、ひとみの後に続いて建物の中に入っていった。

598 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:13:40 ID:zR5E1S3VO
あの後、美貴の家を出た小春は、すぐにひとみに電話をして事情を話し、翌日秋葉原で会う約束をした。
そして今日、小春は学校を生まれてはじめて、それも体調が悪いと偽って早退し、すぐに家に戻って着替えると、秋葉原に行ってJR秋葉原駅でひとみと合流したのだ。
ひとみが尋ねた。
「ミキティがそんなことになってたなんて知らなかったよ。道理で、最近はメール送っても返ってこないわけだ。で、事情はわかったけど、小春ちゃんはどうするつもり?」
小春は、以前紹介された中澤裕子に美貴のことを相談するつもりだったが、どこに行けば会えるのか、見当もつかなかった。

599 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:15:14 ID:zR5E1S3VO
「実は、昔お姉ちゃんがお世話になったっていう警察の人を思い出したんですけど、その人に頼んでみようと思うんです。ただ、名前しかわからなくて…」
「そうなの?」
「はい…確か、広域特別なんとかっていうところにいるそうなんですけど…」
「う〜ん…それじゃ、警察に行って聞いてみようか。ここから近いからさ」
こうして、小春とひとみは近くにある万世橋警察署で聞いてみることにした。
警官の名前だけではなかなかわからなかったようだが、何人かの警官がいろいろ調べたり問い合わせた挙句、小春が覚えていた「広域」という言葉が決め手になったらしい。
「『広域』って、広域特別捜査隊のことじゃない?」
一人の警官が気づき、問い合わせてくれたところ果たしてそうだった。
こうして、警察署で場所を書いたメモをもらった二人は、警官に礼を言うと、すぐにJRとゆりかもめを乗り継いで、この有明までやってきたのだった。

600 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:17:12 ID:zR5E1S3VO
建物の中に入り、ひとみが受付の警官にここに来た目的を告げると、警官は内線でどこかに問い合わせ、それからイスに座って待つように告げた。
「あの…吉澤さん」
「なに?」
「すみません、迷惑かけちゃって…こんなところにまで来てもらっちゃって」
イスに腰を下ろすと、小春はひとみに詫びた。
「気にしないでいいって。ミキティは大親友だし、小春ちゃんは吉澤にとっても妹みたいなもんだからさ。だから気にしなくていいよ」
「ありがとうございます…」
ひとみの優しさは嬉しかったが、その優しさすらも今は小春の心を苦しめた―――美貴を傷つけた今の自分には、誰かに優しくしてもらう資格などないのだ、と。
今は美貴を探すために仕方がない、そう理由づけでもしないと、小春はとても心の平衡を保てそうになかった。

601 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:20:03 ID:zR5E1S3VO
その後は、何を話せばいいのかもわからないまま、小春は建物の前を歩く人の流れをただ無為に眺めていた。そんなところへ―――
「小春ちゃん、お待たせ」
声をかけられて小春が顔を上げると、裕子が立っていた。
「こんにちは…すみません、お仕事中に…あ、あと、こちらはお姉ちゃんの親友の吉澤ひとみさんです」
小春は立ち上がって挨拶すると裕子にひとみを紹介した。
ひとみも一緒に立ち上がると挨拶する。
「はじめまして、吉澤ひとみです。ミキティ…いえ、美貴ちゃんとは高校からの親友です」
「はじめまして、中澤裕子です。それにしても、一体どうしたん、こんなところまで来ちゃって」
ひとみと初対面の挨拶を交わすと、裕子は早速本題に入った。
「まあ、ここで立ち話もなんだし、場所変えよか」
裕子の言葉にふたりは頷いた。

602 :ねぇ、名乗って:2006/11/07(火) 10:26:33 ID:v2OkO9YVO
ワクワク^^

603 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:54:06 ID:zR5E1S3VO
裕子は合同庁舎内の食堂に二人を連れて行くと、部屋の隅のほうの席に座った。
広い食堂には二人だけ、タバコを吸いながら何やら話をしている人たちがいた。
「ここなら周りを気にせんでええよ。さ、聞かせてくれる?」
裕子に促され、小春は今までのこと、ここに来た目的を裕子に話した。
裕子は難しい顔をして聞いていたが、話が終わると
「なるほど…ね。話はわかったけど、ただ、今ウチもちょっと事件を追っててね…だから、正直どこまでしてあげられるかわからないの…」
さほど期待をしていたわけではなかったが、やはり小春は失望した―――やっぱりダメか…。

604 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:56:00 ID:zR5E1S3VO
「ゴメンね。でも、できるだけ協力はするから。何かあったらすぐに連絡するから、小春ちゃんも気を落とさんで美貴が戻ってくるの待ってあげて」
「…はい、お願いします」
すまなそうな表情の裕子にそう言われ、小春もそれ以上は何も言えなかった。
その時、ふと思った―――そうだ、この人ならお姉ちゃんの過去を知っている、もしかしたら…。
小春は、一昨日からずっと頭の片隅に引っかかっている、美貴の母や自分の両親が隠している「何か」―――ひとみにも聞いてみたが、やはり知らないらしい―――について、裕子に聞いてみた。
小春の話が終わるまでずっと黙って聞いていた裕子が、再び難しい顔をした。

605 :松輝夫:2006/11/07(火) 10:58:33 ID:zR5E1S3VO
「小春ちゃん…たぶん、私はあなたが聞きたいことを知ってる。もしかしたら、それが今度のことと関係があるのかもしれない」
そこで裕子は言葉を切り、小春の顔を見た。
「でも、美貴のお母さんも、あなたのご両親も、そして美貴自身も今まであなたには話していなかったということをどう思う?」
「えっ…」
小春は言葉に詰まった。
「たぶん、みんなあなたを大切に思っているから心配をかけたくないんだと思う。それでも聞きたいの?」
「…いやなんです。小春だけが何も知らないなんて。お姉ちゃんのことなら、どんなことでも小春もみんなと一緒にちゃんと受け止めたいんです」
小春の言葉に裕子は頷いた。
「…わかった。それじゃ、話してあげる」

606 :松輝夫:2006/11/07(火) 11:31:49 ID:zR5E1S3VO
「美貴が昔荒れてたってことは知ってるよね?」
「はい…でも、小春が小さい時だったし、あまり詳しくは…」
「そやろね。で、その美貴が荒れてた原因、たぶんそれが今あなたが知りたがっていることだと思う。そしてそれはもしかしたら今回のことにも関係があるかもしれない…いや、話を聞いてる限りでは、たぶん関係あると思う」
そこでいったん言葉を切った裕子は、一瞬躊躇ったが続けた。
「美貴の今のご両親は…実はあの娘の本当のご両親じゃないの」
「!」
小春とひとみは思わず顔を見合わせた。
ひとみも初耳だったらしく、彼女の特徴の大きな瞳を、さらに大きく見開いて驚いた表情をしていた。

607 :松輝夫:2006/11/07(火) 11:33:16 ID:zR5E1S3VO
「本当のご両親は、あの娘を産んだ直後に事故で亡くなってるの」
「そんな…」
「美貴が偶然それを知ってしまったのは中学二年生になって間もなくよ。ここで少し考えてみて。今までずっと自分の親だと思っていた人が、実は違うと知った時の美貴の気持ちを…」
確かに…もし自分がその立場になったら、とてもショックを受けるだろうと小春も思う。
「もちろんご両親はいずれちゃんと打ち明けるつもりだったけど、まだ早いと思っていた。美貴がちゃんと受け止められるようになるまで待つつもりだった。でも、あの娘はそうは思わなかった。ムリもないけどね…」
だまされていた、おそらくそう思ってしまったのだろう。
でも、自分だって美貴と同じ立場に立たされていたら、もしかしたら同じ気持ちになったかもしれない。

608 :松輝夫:2006/11/07(火) 11:56:49 ID:zR5E1S3VO
「あとはあなたも知ってのとおりよ。あの娘の家は、一時はホントに家庭崩壊しかかってた。でも最後には立ち直って、血の繋がりよりも強い絆で結ばれた本当の家族になれたんだけどねぇ…」
何気ない裕子の言葉だったが、最後の一言は小春の胸に鋭く突き刺さった。
そして、声が聞こえたような気がした―――それを再び壊すきっかけを作ったのはお前だと―――。
小春は唇を噛んだ。
「小春ちゃん…どうしたの?顔色悪いよ」
ひとみが心配そうに小春を見ている。

609 :松輝夫:2006/11/07(火) 11:58:35 ID:zR5E1S3VO
「だ、大丈夫です…なんでもありません」
「聞かないほうがよかった?」
裕子は小春に聞いた。
「いえ…」
「小春ちゃん、わかってると思うけど、あの娘は本当は強い娘だわ。今は自分を見失ってるようだけど…でも必ずまた立ち直ってくれる。だから、あなたには信じて待っていてあげてほしいの」
「はい…」
「ほ〜ら、元気出して!中澤さんの言う通りだよ。ミキティなら大丈夫。小春ちゃんが信じてあげなくてどうすんの?」
ひとみにドンと背中を押され、小春はなんとか頑張って弱々しい笑顔を見せた。
本当は泣きたい気分だった―――心に引っかかっていた美貴の過去のことはわかったけど、それだけでは何の解決にもならないのだから―――が、ひとみと裕子に心配をかけるのもいやだった。

610 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:00:20 ID:zR5E1S3VO
夜、家に戻った小春を難しい顔をした両親が待っていた。
「小春、ちょっとこっちに来なさい」
母の千代子が厳しい口調で言った。
小春は、もちろんなぜ自分が呼ばれるかわかっていたし、覚悟もしていた。
「学校を早退したそうね。具合が悪いって。先生が心配して電話くれたわ。一応話は合わせておいたけど、どうもそうは見えないわね。いったいどうして?それに、どこに行ってたの今まで」
普段は優しい母が、厳しい口調で問うた。
「…ごめんなさい…」
小春はウソをついたことは謝ったものの、あとは無言のままだった。

611 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:02:37 ID:zR5E1S3VO
「黙っていたらわからないよ?何か理由があるんだろう?父さんも母さんも小春のこと信じてるから。だから、言いたいことがあるなら言ってごらん」
今度は父の章がいつものように優しい口調で問いかけた。
「…聞いたよ、お姉ちゃんのこと」
娘の言葉に、両親は顔を見合わせた。
「小春だけ何も知らなくて…馬鹿みたい」
それだけ言うと、小春は階段を駆け上がって自分の部屋に飛び込んだ。
章も千代子も何もできずに、ただ娘の後姿を見送るしかなかった。
ベッドにうつ伏せに身を投げ出した小春は、帰り道にひとみが漏らした言葉を思い出していた。
「ミキティにそんな過去があったなんて…何もわかってあげられていなかった。親友失格だね、私」
ならば、ひとみよりももっと長い時間を美貴と一緒に過ごしてきた自分は、いったい今まで何をしていたのだろう―――。
小春は、思わずシーツをギュッと握り締めた。

612 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:08:12 ID:zR5E1S3VO
ベッドの上で、小春は必死に考えていた。
これからどうしたらいいだろう、と。
結局、警察に行っても、自分の知らなかった美貴の過去を知ることはできたが、それ以上の意味は無かった。
ひとみは、後は警察に任せて待つしかないと言ったが、小春はおとなしく待つつもりはなかった。
そして、色々考えた末―――閃いた。
小春は昨日の美貴の母の言葉を思い出していた。
確か『たまに夜遅く家に戻ってきてる』と言っていた、それなら、夜中に家の前の道路を見張っていれば会えるかもしれない―――。

613 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:32:55 ID:zR5E1S3VO
小春は、自分の部屋の窓から外を見た。
幸い小春の部屋の窓からは、家の前の道路、そしてそれを挟んで向かい合う藤本家の玄関が良く見える。
そうだ、これしかない。
果たして本当にこれで会えるのか、会えるとしてもいつになるのか、もちろん小春にはわからない。
でも、小春には他に方法が思いつかないし、だからと言ってこのまま何もせずに待つのは嫌だった。
自分にできることが本当になくなるまで、自分が納得できるまで最後までやり通す。
誰に何と言われようと止めるつもりはない。
そういうところは、血は繋がっていなくても、悲しいくらい美貴にそっくりだった。

614 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:34:39 ID:zR5E1S3VO
翌朝、小春は昨日のことを改めて両親に詫び、両親も頷いたきり、それ以上問題にしようとはしなかった。
「いってきまーす!」
朝食を済ませ、元気に挨拶をすると小春は学校に向かった。
いつもと変わらない、久住家の朝の光景だった―――表面上は。
しかし、昨夜から小春は早速夜中に家の前の道路を見張り始めた。
両親に悟られないよう何とか元気を装っていたが、当然眠い。
だがこの日の夜も、昨夜と同じく小春は道路をずっと見張った。
さらに1日、2日、3日と続けても、まだ美貴には会えないでいた。
本来眠るべき時間に起きているのだから、当然その影響は出ていた。
学校の休み時間はもちろん、授業中にまで居眠りをするようになってしまった。
そして6日目、それでも小春は今夜も眠い目をこすりながら窓の外を見張っていた。

615 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:37:36 ID:zR5E1S3VO
日中寝られる時間には少しでも寝たし、眠気覚ましに音楽を聴いているのだが、全く効果は無く、気を抜くと眠ってしまいそうだった。
「これくらい…お姉ちゃんの心の傷に比べたら…」
そう、そして自分のしてしまったことに比べたら…。
小春は、自分に気合を入れ直して窓の外を見続けた。
いつ美貴が来てもすぐ外に出られるように、既に着替えてある。
深夜二時過ぎ、とっくに前の道の人通りは途絶えていたが、小春はその道を歩いてくる人影を視界に認めた。
その人影は、藤本家の玄関に建つと、家の中に入っていった。
「お姉ちゃんだ…」
小春はすぐに部屋を飛び出すと、なるべく音を立てないようにして、急いで階段を下りて玄関に向かった。

616 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:39:36 ID:zR5E1S3VO
玄関ですぐにスニーカーを履くと、外に飛び出した。
ようやく美貴に会える、そう思うと眠気はとっくに吹き飛んでいた。
藤本家の前に立って見上げると、美貴の部屋に電気が灯っていた。
小春は、とりあえず外で待つことにした。
やがて、美貴の部屋の電気は消え、玄関のドアが開き、手に荷物を抱えた美貴が姿を現した。
「お姉ちゃん!」
「小春…!」
不意に声をかけられた美貴は、驚いた表情で小春を見たが、すぐに目を逸らすと黙って小春の前を通り過ぎようとした。
「ちょっと、待ってよ!」
小春は美貴の腕を掴んだ。

617 :松輝夫:2006/11/07(火) 12:42:27 ID:zR5E1S3VO
「何すんの!離しな!」
美貴はそう言うと、鋭く小春を睨みつけ腕を振り払おうとしたが、小春は掴んだ腕を放そうとしなかった。
「ちょっと待ってってば!今まで何してたのよ?それに、こんな時間にどこに行く気?」
「子供には関係ない!さっさと家に帰って寝てな!」
「何よそれ!ちゃんと話してよ!」
小春と美貴が、お互いの家の前の道で激しくもみ合ううち、一台のライトバンが猛スピードで二人の前にやってきて停まった。
そして、そのライトバンからいかにもガラの悪い三人の男が飛び出してきた。

618 :松輝夫:2006/11/07(火) 13:53:15 ID:zR5E1S3VO
「美貴、遅いじゃねえか。それにそのお嬢ちゃんは何だよ」
そのうちの一人、やたらと太った男が声をかけてきた。
「お姉ちゃん、何なのこの人たち…」
どう贔屓目に見ても、目の前の三人は小春の目には善人には見えなかった。
「何なのって、俺たちは美貴の仲間さ」
美貴が答えるより前に、太った男が答えた。
「冬木(※2)!余計なこと言わないでいい!子供は放っておいてさっさと行くよ」
美貴は小春の腕を振り払うと、ライトバンに乗り込んだ。
「おっと、そういうわけにはいかねえよ、顔見られちゃったしなぁ。秋吉(※2)、高山(※3)、そのお嬢ちゃんも乗せちまいな」
『冬木』と呼ばれた太っちょの声に、残りの二人が小春の腕を掴んだ。

619 :松輝夫:2006/11/07(火) 14:28:32 ID:zR5E1S3VO
「や、やだ、離して!」
小春は男たちを振り払おうと激しくもがいた。
「元気のいいお嬢ちゃんだなぁ」
冬木は、何やら布を車の中から持ち出すと、ニヤつきながら小春の口に押し付けた。
やがて小春は、急激に激しい眠気に襲われると、ガクッと首を垂れた。
「小春!」
美貴の声も無視して、秋吉と高山は小春を車に乗せてドアを閉めた。
「よ〜し、出発すっぞ〜」
「冬木!」
運転席の冬木は、美貴に睨まれているのもお構いなしにそう言うと、乱暴に車を発進させた。
小春を乗せたライトバンは、深夜の街中を猛スピードで走り去っていった。

act.5 暗転-Blackout-(後編) end
※1=当然実在しません
※2・3・4=元ネタわかる人いる☆カナ?


とりあえず完成しましたので揚げますた。

次回予告
美貴に会えたものの、小春は謎の男たちに拉致されてしまった。
監禁場所で対峙する小春と美貴…二人は、生まれて初めて互いに激しく感情をぶつけ合う。
さらに、再び小春に迫る危機…その時、美貴の選択は?
そして二人の運命は?

いつになるかわかりませんが、過剰な期待はせずにお待ちください。

620 :梨作家:2006/11/07(火) 15:05:42 ID:v2OkO9YVO
続編乙!
ハラハラしながら一気読みした!
輝夫氏腕上げましたねぇwすごく丁寧で読みやすい!台詞や感情表現も豊かになり続編が待ちどうしい!
冬木高山はプロレスラーだけど秋吉がワカンネorz
とにかく朝から乙でした!過剰に期待して続編松輝夫!ノシ

621 :ミヤビイワナ:2006/11/07(火) 18:45:07 ID:t+q6aLMR0
>>586
読んでくれてありがとうございました。
やり遂げて燃え尽きてるところです。
みんなの応援と彼女達が最後まで諦めずがんばってくれました。
難しい展開の書き込み、じっくりじっくり。
>>588
言われている通り「改行」です。
台詞と描写が終わったキーボードの「Enter」キーを押すのですよ!!

文体が全然変わります、絶対できるはずです。

>>619
クラクラリン〜♪
ハァ〜心配だー!!

クイズ全然わからなかった・・・・・








622 :体育祭(ry:2006/11/08(水) 00:46:55 ID:WtM+totKO
>>594


「呆れた・・・。この期に及んであなた、自分の命と子供の機嫌どっちが大事だって言うのよっ!」

まゆみが苛立った目つきで、ぐったりとへたり込む竜二を見下ろす。

「俺なら、大丈夫・・くっ。それより佐紀が起きちまう、少しだけ静かにしてくんねえか・・・」
本来ならば激痛が、体内を駆けずり回り、会話することもままならない、意識を保っている事自体が不思議なくらいだ。
まゆみの知る限り『胃痙攣』という症状はそんな状態の事をいう。

しかし何故?目の前の夫は、痛みに屈し苦悶に喘ぐどころか、苛立つ自分に優しく笑いかけている。
『もう何が何だか解らない・・・』

まゆみは急に心細くなり、竜二の前にしゃがみ込んでしまった。

623 :体育祭(ry:2006/11/08(水) 00:53:29 ID:WtM+totKO
「もう・・いやだ・・。お願いだから・・・言うこと聞いて。」

竜二の膝にポタポタと涙がこぼれ落ちる。
「おい。泣くなよぉ・・・。まるで俺がこのまま死んじまうみたいじゃねぇか。」
竜二はどこまでが冗談か解らないような苦笑いをする。

「だから。このままだと本当に死んじゃうよ?!いやだよ!竜二が死ぬの。」
まゆみは嗚咽交じりに懇願する。
流れ落ちる涙は止めどなく溢れてくる。
竜二はスウェットの袖で、まゆみの頬を撫でてやると、虚ろな視線を天井に泳がせた。

「これ・・・この痛みを我慢したらさ、やっと佐紀の父親になれそうな気がするんだ・・・」

竜二が何を言いたいのか解らない。
まゆみは心から辟易したように、鼻を啜る音だけが彼女の言葉に成り代わっていた。

624 :体育祭(ry:2006/11/08(水) 00:57:32 ID:WtM+totKO
佐紀は目を閉じ、眠気の来訪を待ちわびていた。
先程の竜二の様子がどうにも気にかかる。
「パパは何ともない。」そう約束してくれた。
いつもと変わらない、大好きなパパの笑顔を見せてくれた。
佐紀は幾分か気分が晴れ、安心して眠れるつもりでいた。
だがよくよく考えてみる。

トイレから確かに聞こえた呻き声、竜二の額に張り付いた玉のような汗、今になって思うと、話し方にも何だか元気がなかったような気がする。
まだ幼い彼女の目から見ても、竜二の言動は明らかに不自然な点がありすぎた。

『やっぱり心配・・・』
『不安の根っこ』に先導されていくように、佐紀は部屋を飛び出し、両親の寝室に足を向けていた。

625 :体育祭(ry:2006/11/08(水) 01:08:00 ID:WtM+totKO
壁を伝って、誰かの啜り泣く声が聞こえる。
弱々しい泣き声からして、それがまゆみのものであることが佐紀には解った。

『でもなんで?なんでママが泣いてるの?』
佐紀は不安と疑問を抱きながら、壁の前に立ち、二人の会話に耳を澄ました。
「っ!!!」
その次の瞬間、佐紀は言葉を失う。
竜二の声がはっきりと聞き取れた。
「・・・やっと佐紀の父親になれそうな気がするんだ・・・」

確かにそう聞こえた。
まだ小学生の佐紀には、その言葉の意味が上っ面だけしか理解できず、
金縛りにあったように、その場から一歩も動けずにいた。
もしかしたら知ってしまってはいけない話なのかもしれない。
怖くてどうしようもない。
佐紀が底なし沼のような現実から、逃げようとすればするほど、二人の会話は鮮明に、彼女の思考を鷲掴みにした。

626 :体育祭:2006/11/08(水) 01:47:08 ID:WtM+totKO
竜二は遠くを見るような目つきで、やんわりと口を開いた。

「なぁ。まゆ。まゆが佐紀を産んでくれた時、俺は刑務所にいた・・・。」
「何よ。今更そんな話・・。」
「てめぇの子供が生まれるってのに、当の親父は塀の中。・・・父親の資格ないよな。」
痛みに馴れだしたのか、竜二の言葉は淡々としたものになる。
「だって!あれは竜二が後輩を庇って罪をかぶったんでしょ!?竜二の犯した罪ではないわ。」

「でもな、懲役から出てきた俺の顔を、あいつ『パパ!パパ!』って嬉しそうに叩くんだよ。
そん時初めて後悔した。 どんなに言い訳並べても、佐紀は一生犯罪者の子供なんだって・・・」
「犯罪者なんて・・そんな言い方しないでっ!
竜二は本当に佐紀の父親としてよくやってる。
ううん。頑張りすぎよ!世界中どこ探しだってこんな父親、絶対いないわ!」
まゆみの言葉が余程照れくさかったのか、竜二は手持ち無沙汰気味にハイライトに火を点けた。
薄闇の中、チリチリと光る赤い点が、竜二の顔を映し出す。

627 :シド・りしゃす:2006/11/08(水) 01:50:33 ID:WtM+totKO
毎回毎回小刻みで申し訳ないですorz
また明日にでも書くんで
ネルネ

628 :ミヤビイワナ:2006/11/08(水) 20:42:52 ID:PaGtcGka0
>>627
本当にお疲れです。
疲れているのに頑張っていますね。
難しいところだし。

全然関係ない事書くけど、「ラブ☆なっくる!!」書いてるとき
実は恥ずかしいけどいつも書きながら泣いていた。

いくら物語でもこんなに不遇な少女書いていいのだろうか。
周りの人間もれいなの境遇に泣いていた。

しかしまたぶっとんだ話だけど、昨日今日でGyaOの「野球狂の詩」を見たんだ。
「ハロプロアワー」見たついでにね。

涙があふれてきた、「なんでれいな書いてる時見なかったんだ!!」と思った。

自分が小学生の時放映していた物語で自分は小学生だったので「巨大ロボット」しかアニメは見なかった。

この歳で初めて見た。

実はスポ根あまり知らない。「あしたのジョー」は知っていたけどスポ根が大好きって訳じゃなかった。

水島先生の作品早くに知っていればきっと「れいな」も変わっただろうな。

でももう終わったし☆

次の作品にも必ず「れいな先輩達」は出るはず!!

みんなガンバレー!!



629 :ねぇ、名乗って:2006/11/08(水) 21:04:12 ID:8cv7mCTvO
てす

630 :ねぇ、名乗って:2006/11/08(水) 21:22:15 ID:5cN6/cBc0
>>629
氏ね

631 :無名作家:2006/11/08(水) 22:56:27 ID:P1eF3l0v0
588の続き
「何、こんな所までよびだして」
「わかってるんでしょ!!もうちぃを恨めしそうそうにみつめないで!」
やはり暗くてよくわからないが雅は完全に鬼の形相だ。
「だからなんのことよ!」
かんなの方も雅の態度にイラだってるようだ。
「知らないって絶対ゆわせない!ちぃとあんたが双子ってゆうこと。ちぃの
おばさんとおじさんがあんたを施設送りにしてちぃを育ててきたこと全部ちぃ
のおばさんから聞いたよ!」
(えっ。ど、どうゆう意味?)千奈美いま雅ゆったことを疑ってしまった。
「どうゆう意味?夏焼さん。私と徳永さんが双子?」
「しらばくれないで!!私ちぃの家の掃除てつたったらタンスの下から1歳くらい
の二人の女の子顔がそっくりだんでおあばさんに問い詰めたら・・・。」
雅がだまってしまいうつむいでしまった。
「徳永さんの親友のあなただけにゆってあける。確かに私達は双子だけどおばさん
つまり私を生んだ元親はある日私の異変に気づいた調べてもらったら世界で数少ない
病気にかかったのよ」

632 :無名作家:2006/11/08(水) 23:21:04 ID:P1eF3l0v0
かんなは少しの間だまってしまった。そして口がひらいた。
「私の元親は三択に迫られたらしいの。一つ、私こ見殺しにし、徳永さんを
一生懸命そだてるか、二つ、感染する病気なので二人を見殺すか、最後は
私を施設送りにし、ひくい可能性に賭けるか、まっ、その低い可能性にあたった
けど、その時元親は徳永さんをもって引っ越したあとだけど、ほとんどは施設の
人から聞いたはなしだけどね。今は子がいない人のひきとってもらったけど・・。」

「だったら。だったらなんであの子をつめたくするのよ・・。」
雅は涙くんでいた。(そんなことがあったんだ・・。)
「まぶしいあの子のはちかつげないただそれだけ。じゃ明日ね夏焼さん」
かんなは暗闇のなかにさり雅は泣きながらたっていた。
(かんなちゃんともうちょっと話したいな。)そう思いながら千奈美は
雅をずーと見つめていた。しかしこれからの事は千奈美さえ予測できなかった。

なかなか進まなくてすみません・・。(反省)
寝ぼけてかいたんで間違いがあったらおしえてください。

633 :松輝夫:2006/11/09(木) 09:17:06 ID:7SF4D2rmO
ノリo´ゥ`リたすけてダーリンくらくらりん

書き上げて燃え尽き、「バラライカ」のPVで癒されていた松輝夫であります。
読んでいただいた方、ありがとうございました。
続編は昨夜から着手しました。
時間を見て少しずつ書こうかと思います。
千奈美に、三人組の元ネタですが、冬木軍といえばわかる☆カナ?
秋吉・高山は邪道・外道の本名です。
たぶん梨作家さんが考えたのは善廣じゃない☆カナ?
お互い、忙しいですが頑張って書いていきませう。
イワナ氏の次回作にもイッパイ期待ですね。

从 ` ヮ´)祝!デイリー1位♪

634 :ねぇ、名乗って:2006/11/09(木) 09:25:13 ID:xBTN196bO
>>631

荒らし?

635 :梨作家:2006/11/09(木) 09:25:50 ID:/Vi6S4A4O
このスレはホント趣味の合う人がイパーイだわw
邪外か・・・懐かしい
俺もインディー大好きでねFMWやWINGよくいってたお!
ハヤブサがもう見れないと思うと本当に悲しい

636 :松輝夫:2006/11/09(木) 17:52:25 ID:7SF4D2rmO
ノリo´ゥ`リ♪かなでたいのバラライカ

会社の休憩時間にPSPでバラライカのPVばっかり見てる松輝夫です。


>>635
最初、三人組は蝶野大先生と天山・ヒロ斎藤にしようかと迷ったんですがね。
ハヤブサナツカシス…今どうしてるんでしょうね。

ところで、茉作家さんはどうされましたかね?最近見かけないですが…。

637 :ねぇ、名乗って:2006/11/09(木) 19:08:51 ID:O2RALCXy0
>>632
読んだけど間違い多すぎ
読み返してから投稿して

638 :梨作家:2006/11/10(金) 09:33:51 ID:W/QZ+2U8O
>>628
レスどーもですノ
今頃気付きましたorz
自分も似たようなもんでキン肉マン聖矢男塾・・ヤンキー漫画ばかりの青春時代でしたw


この二日忙しくてロクに寝てません・・
今日くらい上げられたらなぁ

639 :まぁ、名乗って:2006/11/11(土) 01:47:26 ID:PQZMimYp0

こんばんわんこ! お久しぶりの茉作家です

>>628
ミヤビイワナさん過去ログうpご苦労様でした
相変わらずのハイペースで書く物語には『感心・関心・歓心』ですw

>>636
夜中にコソコソやって来ては皆さんの作品ひっそり読んでますw
『バラライカ』―― 小学生にも人気です…だってね
先日遊びに来た友達の娘(小3)にですよ

小春の写真ごっそり持っていかれました つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚

>>638
大事な展開の真っ最中だね
たっぷり寝てゆっくりじっくり書きましょーう↑↑ ででで!ゲキハロ面白かった?

>>632
無名作家さんはじめまして!続編はどうですか?
茉作家もいつも苦悩の連続です
web辞書を見ながら読み返しては消して…読み返しては消して…そんな繰り返しです でも―― 

はじめから良い作品が書ける天才作家も素晴らしいですが
 
荒削りの作品をじっくり仕上げていく『努力の作家』も素敵だと思います

そんな『努力の作家』になれる様にお互い頑張りましょう


…と 久々に来て偉そうな事を書き込んだ『につ茉り』作家でしたw
みやびちゃんを幸せにする為の『第一歩…』じっくり考えてます    それでは…ノシ

640 :梨作家:2006/11/11(土) 03:28:04 ID:6xd9ucuHO
orz寝落ちしてた・・
明日こそあげます!
そう思います!

やぁ!茉作家さん ノ
ゲキハロ・・迷わず逝けよ逝けばわかるさw
てかもう終わるよね

641 :無名作家:2006/11/11(土) 19:59:00 ID:59/uuMIP0
632の続き
(やっ、やば、眠いよ〜〜)千奈美はすっかり帰るのがおそくなり両親にこ
ってりしばかれて一時間もねむれなかった。(でも、みや、なんで私と、か
んなちゃんが双子ってゆうこと教えてくれなかったんたろう)千奈美はそん
な疑問をもちながらあるいていたら曲がり角から雅がでてきた。かなり暗い
「みや〜、おっはよ〜〜う!!」千奈美は昨日の事を忘れようとしいつもよ
り元気な挨拶をしたが「あ、ち、ちぃおはよう・・。」やはりくらすきだっ
た。「あ、あのね、ちぃ実はね。その・・。」「私とかんなちゃんが双子っ
てゆうこと?」雅はびっくりして顔をあげた。その時わかったが、雅もねむ
れなくて熊をかくすためがよくわからないが雅の顔には軽く化粧がほとごし
ていた。「なんでその事しってるの?」「昨日たまたま公園いったら聞いち
ゃてごめん・・。」雅があんぐりと口を開け立ち止まり千奈美を見つめた。
「あやまるの私のほうだよ。こんな大事な事いわなくってゆったら、ちぃは
私を見捨てて有原さんのほうに行きそうだったから・・。うっ、うっ、ちぃ
ごめん」雅は泣き出してしまった。近くをとおったおばさんが悲しそうに、
みてさっていた。「ねぇみや・・。」千奈美は寂しい目線を雅におくった。
ちぃ

642 :無名作家:2006/11/11(土) 20:17:14 ID:59/uuMIP0
雅は千奈美のいつもの顔じゃなくて少し顔をひきつってるような感じ
だ。「ちぃ・・。な、何・・?」雅はあきらかに動揺してる。「私、
みやのこと少し見損なったよ」千奈美は冷たくいいはなった。それに
対し、雅の目から出る涙が多くなってきた。「ゴメン・・。」雅はそ
れしかいえなかった。その時千奈美はいつもの満面の笑顔の戻ってい
った。「だから一緒にかんなちゃんと仲良くなってくれたらゆるして
あげる!」そうゆって千奈美は雅を優しくだいた。「ちぃ、ごめん・
・・。」そおいいながら雅は顔を千奈美の肩の置き泣きながら笑った
その時、
キ〜〜ンコ〜〜ンカ〜〜ンコ〜〜ン・・・
「あぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!」二人は一緒に叫びながら学校へ走って
た。


続く

643 :ねぇ、名乗って:2006/11/11(土) 20:46:30 ID:enF0uCOs0
>>641-642

日本語をもう少し勉強してきてね
「てにをは」がむちゃくちゃだよ

644 :無名作家:2006/11/11(土) 21:12:25 ID:2QCpiaEB0
すいません。3年くらい外国暮らしだったんで日本語少しわすれかけてて

645 :体育祭:2006/11/12(日) 01:39:33 ID:QK9M7fgnO
>>626

「渋谷中の人間から一目置かれて、完全に有頂天だった・・・。
『ヘッド』なんてもてはやされてさ・・・
まさか自分の仲間が『草』や『粉』売りさばいてるなんて、思いもしなかったよ。マジで・・・。」

「もうやめて!そんな昔の話、聞きたくない。」
怒り狂ったサイレン、目に焼き付くような回転灯、無表情な刑事達・・・。
もう二度と遭遇したくないような場面達が、まゆみの中でフラッシュバックする。
「牢屋の中で考えたんだ。
俺が馬鹿だった。 なんでこんな所で後輩の尻拭い、してんだってな。
正直、まゆが面会に来てくれた時。会いたくなかった。
我に返った俺の顔、見られるのが嫌でさ。
なんかホントに申し訳なくって・・・」

殆ど顔も覚えていない、どんな奴だったかすら記憶にない。
竜二はただ、それがの『生き様』なんだと自分に酔い、二度と戻らない時間を投げ棄てた。

646 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/12(日) 01:48:53 ID:QK9M7fgnO
フィルターのぎりぎりまで吸い尽くされた、ハイライトは竜二の息づかいだけで、あっけなくその灰が燃え落ちた。

「まゆ。だから俺は、自分のしたことの尻拭いをしたい。
こんな形でしか、家族らしいことなんて出来ないけどさ・・。」

まゆみは、黙って頷くしか出来ないかった。

確固たる看護婦としての経験よりも、女として妻として母としての愛情という不確かなモノが、それに打ち勝った瞬間だった。
「しょうがないひと・・・・・。」
まゆみはそれ以降、口を閉ざし、竜二の肩に寄り添うようにして、眠りに落ちていった。

父親としても母親としても、この頃の二人はあまりにも幼かった。
目を背けたくなるような、剥き出しの感情でしか『愛する』ということと、直視出来ずにいた。

647 :体育祭:2006/11/12(日) 01:55:38 ID:QK9M7fgnO
二人の話していることが、よく解らない。
『刑務所』だとか『罪』だとか・・・。
テレビドラマで何度か聞いた言葉。
扉の向こうで交わされている会話は、佐紀にとってその程度の重みでしかなかった。

まさか学校で、自慢気にそんな事を話してくれる友達など居るはずもなく、
彼女はただ、それが自分の思い描いてしまった『底なしの現実』ではなかったことに、深い安堵を抱いた。
竜二の熱い思いだけが、難しい会話から抜け落ち、都合良く自分の耳に届いてくれる。

一つだけ、佐紀にも解った事。
竜二を思って作ったオムライスが、結果的に彼を苦しめてしまった。
(実際には、苦しむどころの騒ぎではなかたったのだが。)
佐紀は彼女なりの反省をし『もう、オムライスだけは作るまい。』と、少しだけ間の抜けた解釈に、独り頷くのだった。

648 :体育祭:2006/11/12(日) 02:03:13 ID:QK9M7fgnO
騒ぎの明けた翌朝。

竜二はスポーツ紙を大袈裟に広げ、昨夜のサヨナラ劇を手放しで絶賛していた。

「まゆー!!おかわり!!」
竜二は昨日の事など覚えていないと、キッチンのまゆみにむかって茶碗を差し出した。

「もうっ!忙しいんだから!そんくらい自分でやって!」
まゆみはしかめ面は、フライパンの焦げ付きから、竜二に向けられた。

「だから新聞読みながら、ご飯食べないでって何度も言わせないでっ!
佐紀が真似するんだから。
少しはお父さんらしくしてよね!」

元気でいてくれる竜二の姿が、余程嬉しいのだろう、まゆみの口撃はいつになく、勢いづいて見えた。

「ママ・・・怖いな。」
竜二がわざとらしく、こっそりと佐紀に耳打ちする。
佐紀の目から見ても、この日のまゆみの上機嫌は、一段とはえて見えた。

649 :体育祭:2006/11/12(日) 02:19:23 ID:QK9M7fgnO
「ちょっと!今、佐紀に何か言ったでしょ!?」
言葉こそ怒り口調ではあったが、まゆみの口元は緩んでいた。
それどころか鼻歌混じりに、テキパキと家事をこなしている。

「パパ!佐紀がやったげる!」
佐紀は竜二の手から茶碗を奪いとると、ご飯をてんこ盛りにして戻ってきた。
「はい!パパ!」
佐紀から手渡されたそれは、まるで漫画のイラストのように、小さな茶碗から窮屈そうにはみ出している。
竜二はそのあまりの大胆さに、思わず息を呑み込んだ。

「あら?佐紀。偉いわねぇ。」
キッチンからこちらを覗くまゆみの顔が、明らかに笑いを堪えているのが見て取れた。
てんこ盛りのご飯を中心に、家族の視線が交わると、三人は一斉に吹き出した。
何が可笑しいのか解らない、でも笑いたい。
そこにある悲壮感や負い目を弾き飛ばすように、竜二達は腹を抱え笑った。
特別な時間だった。 愛おしすぎた毎日だった。 美しき人間の日々だった・・・・・



佐紀は屋上にて、塩味のまだらなおにぎりに顔をしかめながら、
いつしかの記憶達に思いをよせていた。

650 :梨作家:2006/11/12(日) 02:23:54 ID:QK9M7fgnO
やっと体育祭本編だわぁ!
長い長い回想でしたねw
とりあえず今日はレルネ ノシ

651 :梨作家:2006/11/12(日) 02:30:58 ID:QK9M7fgnO
今ざっと読み返しただけで誤字が三つもorz

みなさんすいません!
何となく汲んでやってくださいorz
間違い探しではないですからw

652 :ねぇ、名乗って:2006/11/12(日) 13:24:49 ID:vcV+alxP0
良かったよ

653 :松輝夫:2006/11/12(日) 13:28:09 ID:p97eC6buO
从 ` ヮ´)昨日は17歳の誕生日だっちゃ!

れいな様、誕生日おめでとうござりまする。


>>639
お久しぶりです。お忙しいんでしょうね。
みやはこの後どうなるんでしょうか?「らくがき」のエピソード、自分はとても好きです。この先が楽しみ。
しかし、自分にはとてもあんな風には書けないだろうなぁ。

>>650
>>651
更新乙でした!
長い回想って……これが長かったら自分の書いてるやつは……。
ストーリー上重要なはずだし、ノープロブレムでしょう。
間違いは、自分もいつものことですが、ケンチャナヨ精神で。
今回も、全部見直ししたはずが……揚げてから一ヶ所見つけちゃったしなぁ。

654 :梨作家:2006/11/12(日) 22:07:49 ID:QK9M7fgnO
輝夫氏レスどーもノ
性格なのかなぁ変なことにこだわっちゃうんだよね
どうでもよかったりする箇所に1日中悩んだりとかorz

でせっかくなんでサブキャラに顔をつけてみようかなとw

清水竜二 吉川光司
清水まゆみ 須藤理沙
菅谷詩子 岡田奈々

俺的には茉麻ママはふぶきじゅん(漢字ワカンネ)なんか想像してよんでますw
みなさんはどんなイメージですかね?
きんも〜☆とか言わないでw

655 :松輝夫:2006/11/12(日) 23:12:02 ID:p97eC6buO
>>654
自分も、けっこう細かい表現とかに拘る方なんで、気持ちはわかりますよ。
今日だって、何回書き直したやら?

千奈美に、風吹ジュンですよね?
自分が朴った、裕ちゃんとあっちゃんが所属する部署の元ネタのドラマに出てましたよ。

656 :梨作家:2006/11/12(日) 23:44:41 ID:QK9M7fgnO
そうだった風吹だったね^^
なんかこんなキャスティングしてる時点で歳バレw
こはパパこはママのキャスティングもよかったら聞かせて下さいな
ヲレこーゆうのでテンション上がるんでw

657 :ねぇ、名乗って:2006/11/13(月) 21:48:59 ID:ibDo3TXD0

>>639
関心を持って頂き有り難う御座います。
仕事頑張ってください。

風吹ジュンさんは昔々NHKで「七瀬ふたたび」をやっていました。
実は放映は自分も見ていません。

しかし筒井先生の七瀬シリーズは10代の頃読んでいました。

原作の七瀬はそりゃもう大変不遇で、読んだことのある人は知っていると思うけど彼女は
超能力者でテレパスでした。

超能力を持っているため排他する組織に狙われそりゃ可哀想な話でとても自分では書き込めないので
読んでね☆

明らかに自分は七瀬シリーズには影響されているし、ヘミングウェイにも影響されているし。
ドイツ文学ではやっぱり「ヘルマン・ヘッセ」ですね。

ギムナージウムの背景は後に『トーマの心臓』萩尾望都による漫画作品に日本に受け継がれたと自分は勝手に思っている。
実は雅と茉麻の恋愛も作者は萩尾望都の影響を受けているのかなと最初思っていたけど未だ分からない。
またベリーズと関係ないこと書いてしまった。
ごめんね☆





658 :ねぇ、名乗って:2006/11/13(月) 22:06:54 ID:ibDo3TXD0

また関係ないけど竹宮惠子先生の「風と木の詩」もギムナージウムという背景で影響を受けている。
むかしこの作品があまりにも悲しく美しいので自分で作曲して歌った事もあった。
たまに昔のデモテープ聞いてあまりにも恥ずかしくてブラスナックル打たれて失神している事がある。

吉川光司は昔フジで日曜日放送していたラジオを楽しみに聴いていた。
まだ布袋と組む前だった。

彼は自分で応募して芸能界に入ったそうだが学生時代は水球とバンド、それがフュージョンのギタリストだったらしい。
フュージョンって彼からはイメージできないな。
ギターはSGを使っていたらしい。

日曜か土曜日かどっちかわすれたなあ。
でも日曜日のNHKのFMは1時間くらいのラジオドラマをやっていたんだ。
そのラジオドラマは今でも影響受けている、1時間で完結の話を毎週やっていた、その当時その放送で日曜日はラジオ放送は5時まで放送されないんだ何処の放送局もね、今でもそうなのかな?
長々とベリー以外の話ゴメンネ☆

ノノl∂_∂'ル <たまには名無しもイイなぁ おやすみ〜♪



吉川こう







659 :梨作家:2006/11/13(月) 23:55:24 ID:y67ExX4FO
茉麻と雅の恋愛形態はなんでもないただの閃きみたいなもんがピコーンと下りてきました
あのころはそこまで深く考えてなかったですw

自分は洋書は殆ど読まないのでヘミングウェイもただの思いつきですw

自分はどちらかと言うと重松清 浅田次郎 とかですね重松清の「ナイフ」「エイジ」のような作風を出せるように努力してます

660 :体育祭:2006/11/14(火) 00:48:12 ID:gsfnU3dnO
>>649

「泣いてるの?」
「そうみたい・・・。」

茉麻と千奈美は重たい鉄の扉の陰から、太陽の下、独り佇む佐紀を見ていた。
『なんだか知んないけど、淋しい奴なんだ・・・。』
千奈美は息を潜め、佐紀の中で起きているであろう『変化』について、彼女なりに思いをめぐらせている。

「ちょっと!押さないでよ!」
茉麻は、背後から覆い被さるようにして覗き込む千奈美を、小声を振り絞ってたしなめる。

体育祭というシュチュエーションと晴れた空、ポツンと屋上にいる佐紀の姿。それらがどうにもしっくりこない様子で、
また同時に、安易に声を掛けてはいけないような雰囲気をつくり出していた。

本来自分達が、屋上に来た理由など、どこかに置い忘れてきてしまったように、数分の間、二人はそこから動けずに立ち往生している。

突然、何の前触れもなく、校舎全体を激しい突風が通り過ぎていく。

「痛ったぁーーぃ!!」

鉄の扉が風で煽られ、凄まじい速度で二人の顔面に直撃した。

661 :体育祭:2006/11/14(火) 01:18:42 ID:gsfnU3dnO
「誰!?」

佐紀は吹き抜けていった風に髪を乱しながら、その声の方に向かって振り向いた。
申し訳なさそうな音を立て、鉄の扉が開いた。

「茉麻?・・・千奈美もいるの?」

佐紀は慌てた。 風のせいで目元が乾いたようにつっぱっている。
泣いているのだ。とわかった瞬間、佐紀は食べかけていたおにぎりを、地面に落としてしまっていた。
童話のようにコロコロと転がるわけでもなく、そのおにぎりは無愛想に地面でひしゃげている。

その、あまりの滑稽さに佐紀は為す術がなかった。
千奈美がこわごわとした様子で歩み寄ってくる。

「なんか・・・ごめん。 まあと弁当食べようと思ってさ。」

佐紀が泣いているのを知っていた二人は、なかなか目を合わせる事が出来ずに、気まずいままの視線が、行き場もなく右往左往している。

662 :体育祭:2006/11/14(火) 01:29:49 ID:gsfnU3dnO
「すごいね!そのおにぎり!」
茉麻は当たり障りのない言葉で、なんとかして会話のとっかかりを試みた。
しかしよくそれを見てみると、本当に『凄』く『巨大』で、目の前の佐紀のイメージとは似ても似つかない。
完全に焼け石に水だと悟った。
佐紀の表情が、一気に曇っていくのが二人の目からも、よく見て取れた。

663 :松輝夫:2006/11/14(火) 07:58:09 ID:i2XXvgJVO
>>660
忙しい中更新乙でした!自分も負けてらんないなぁ。

小春の両親なんですが、小説書く前にはてなダイアリー調べたら、あれは本当の両親みたいなんですよね。

http://d.hatena.ne.jp/keywordmobile/%8bv%8fZ%8f%ac%8ft

そういうわけで特にキャスティング考えてなかったなぁ……。

名無しはイワナ氏ですね。ご無沙汰じゃないですか?
続編期待して松輝夫!

从 ` ヮ´)難しい話はよくわからないっちゃ!

664 :ねぇ、名乗って:2006/11/14(火) 21:27:30 ID:HINpYgza0
りしゃす、すまないが重松清 浅田次郎は読んだことがない。
申し訳ないし勉強不足です。でも必ず読みます。

まだ読んでいないけど「歩兵の本領」は是非読みたいです。

NHKで放映されている「その時歴史は動いた」
11月8日 第269回 日本を発見した日本人 〜柳田国男・「遠野物語」誕生〜

見た人は知っていると思うけど宮崎にある村で山岳地帯に畑を作るのですが、
焼き畑農業で4年間、大豆、小豆等違う種類の穀物を作り4年経ったら土地を
休ませる農耕を未だに僅かながら営んでいる村の紹介でした。
明治の時代に農家が伸びゆく世相に相反し貧しいことに憤り覚え柳田国男氏は
役人になったが農業を研究するうちに土地に伝わる物語を知ってしまった。
特に東北に伝わる「遠野物語」現代でも支持されている。
彼は物語を通じ土地の風土を伝えたかったのです、彼はその創造活動を「郷土史研究」と言う
分野を作り現在どこの土地にもある郷土史と言う文化として人々に愛されています。
自分は郷土史と言う物語も大好きです。

ハァ〜そろそろこの板追い出されそうだな。

松輝夫さん次回作はまだまだ先ですのでご免なさい。

ノノl∂_∂'ル <でもね 美しい話とか勇気が出る話は創造力を無限にするんだぁ〜♪



665 :ねぇ、名乗って:2006/11/14(火) 22:19:19 ID:HINpYgza0

無名作家その後どうだろう?
日本語がどうとか書いていましたが、もしまだ書く気があるのなら

ttp://www.geocities.jp/iwa3b/index.htm

上のページにメール設定があるので書いた原稿送ってくれませんか?

失礼だが校正してあなたに送り返します。
送られた原稿をもとに書き直したりしたらどうかな?

この前書いていた話ぶっとんだSFにするのはどうかな?

一緒に創らない?

この板の作家ともメールのやりとりはしているんだ、
重く考えないでやってみない?

もう一度やってみてイヤならやめればいいし、人生は自分の自由なんだよ。




666 :シド・りしゃす:2006/11/14(火) 23:33:05 ID:gsfnU3dnO
>>664
「歩兵の本領」は読めない感じが多すぎて5ぺージほどで力尽きましたorz
浅田なら是非「きんぴか」をお勧めしますね
この本はマジ参考になります微妙な台詞まわしだとか絶妙な間の使い方
この本読んでなかったら今頃小説なんて書いてないなぁ俺

667 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/14(火) 23:50:12 ID:gsfnU3dnO
>>662

「ごめん・・・。うちらのせいで、おにぎり台無しになっちゃたんだよね?」

千奈美はそれを拾い上げると、大雑把に土埃を取り除き、済まなそうに佐紀に差し出した。

「ちょっと!ちい!」
茉麻が『何してるの』と言わんばかりの目つきで千奈美を睨み付けた。

「えっ?!」
「えっ?て。地面に落ちちゃったんだよ?食べられないでしよ?」
飲食店で育った、彼女らしいもっともな意見である。
千奈美の実家が、鉄工所だからというわけではないが、
茉麻は千奈美なら口に出してもおかしくはない言葉を、瞬時に判断した。
『そんなのフーフーしたら食べれんじゃん!』

そんな事を言われたら、さすがの佐紀もキレかねないと、茉麻は気が気でない。
これ以上状況がマズくならないように、茉麻は彼女なりの機転を利かせた。

668 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/14(火) 23:53:30 ID:gsfnU3dnO
「ねぇ!佐紀がもしよかったら、お昼一緒に食べない?
うちの親、張り切り過ぎちゃってさ、何だか沢山作っちゃったみたいなんだ。
佐紀が嫌じゃなかったら少し食べてほしいなって・・・。」
隣にいた千奈美が「うん。うん。」と得意げに頷いている。

幼なじみの三人は、いつだってこの様なバランスを保って成長をしてきた。
もっとも『ツッコミ役』の三人目は、今頃ふくれっ面をしながら運動場に取り残されているわけだが。

669 :体育祭:2006/11/14(火) 23:59:37 ID:gsfnU3dnO
「でも、なんだか悪いよ・・・。」
二人の誘いが嬉しい反面、佐紀はいろんな事をつつかれてしまうのではないかと、不安な気持ちに駆られる。

「遠慮なんてしなくていいから!」
横から千奈美の茶々が入る。
「もうっ!ちいは黙っててくれる?話が余計にこじれちゃうよ。」
「うわっ。なんかヒドい・・・そんな言い方しなくたって。」
千奈美は頬を膨らませ、分かり易く拗ねてみせた。
「てか、桃じゃあるまあし。全っ然可愛くないんですけど。」
雅がいない分、茉麻が間髪入れずに、しれーっと言ってのける。

何時も遠巻きに見ているだけだった、この愉快なやり取りを、今自分は目の当たりにしている。
佐紀はそのことが、とても新鮮で素直に嬉しかったのか、笑い方を思い出したように、不器用に微笑んだ。

670 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/15(水) 00:34:21 ID:80PVeRsqO
銀色がかったビニールシートが、太陽の光でピカピカと反射している。

昼食を済ませた三人は、足を伸ばし、気持ち良さそうにひなたぼっこを愉しんでいた。
佐紀は口にこそ出さないが、目の前の二人との間(厳密に言えば+1人)に、言葉では上手く表現できない奇妙な縁を感じていた。

無理もない、二学期に入った当初、茉麻とは丁度この屋上を舞台に激しくやり合ったのだから。

出来ることなら、無かったものにしたい。
決して赦されることのない罪を犯してしまった自分。
果たして今の私は、二人の目に、どんなふうに映っているのだろう?
今更媚びるわけでもないが、佐紀はそのことだけが、気になって仕方が無かった。

そしてそれは茉麻にも言える事で、佐紀とは少々異なるものの、その感覚はやはりどこか奇妙でむず痒いものだった。

自分の親友にあれほど酷い仕打ちをした人間に、何故穏やかな感情を抱けるのか?

父親を早くに亡くした佐紀への同情だろうか?
もしくは友情?ただの成り行き?
どれも違う気がする。

ただ佐紀が根っからの悪者でないことは、初めから茉麻にも、理解っていたような気がしていた。

671 :ねぇ、名乗って:2006/11/15(水) 09:32:36 ID:DYMYhS1H0
体育祭編、キャラを活かしたきめ細かい描写に脱帽ですわ。
こういった本編?とともに、桃子のオーデから派生した
サイドストーリーもしっかりしているのがこのスレの
魅力ですなあ(しかも作者が複数)。

そういえば、メンバーは来年のNHK福祉大相撲に出演するそうで。
http://www.npwo.or.jp/info/2006/40nhk1120.html
幅広い年齢層に知ってもらえたらいいなあ、と。

672 :無名作家:2006/11/15(水) 17:33:50 ID:n+JxlQFr0
642の続き
「たく、これからきをつけるんだぞ。雅、千奈美。席につけ」
クラスのみんなはクスクス笑っているし雅も顔が真っ赤だ。しかし千奈美は
なぜか堂々としていた。
「ほらみや、いこっ♪」「う、うん」
席につくと学級委員の佐紀が話しかけてきた。
「千奈美ならともかく雅まで遅刻するなんで感心しないよ」
「それどうゆう意味よ!佐紀ちゃん!」
佐紀はニヤニヤしながらゆってるか、千奈美は怒っていた。
「ちぃ、冷静におちついて、有原さんと仲良くなるんでしょ!」



授業中
「ねー、ねー、かんなちゃんここ教えて♪」
「なんでよ」
かんなは少しムッとしたが千奈美に負けておしえるはめになった



673 :無名作家:2006/11/15(水) 17:47:20 ID:n+JxlQFr0
672の続き



給食中
「かんなちゃん人参もらって〜〜♪」
「ゴメン・・私も食えない・・。」



掃除中
「はい、かんなちゃん。箒♪」
「ありがと・・。」
かんなは千奈美の行動の早さにキョトンとしてる

そして放課後がきて、桃子と佐紀が近寄りはなしかけてくる。
「ちぃ、熱あるんじゃなの。あそこまで積極的だと桃困っちゃ〜〜う!」
桃子はブリッ子をえんじながら体をくねらせてる。
「なんか変なもの食べた?ちぃ、どうしたの?」
佐紀はあくまでも冷静だった。千奈美の今日一日の積極性はいつもより異常
に周りからみえたらしい。

674 :ねぇ、名乗って:2006/11/16(木) 00:17:27 ID:icYGnq/f0
>>673
なかなか良くなったじゃん!
やっぱ改行だよ!
文章が生き返ったものw
この調子でがんばれ!!応援してるよ!

675 :体育祭:2006/11/16(木) 00:35:44 ID:VpW17xROO
「佐紀、聞いてもいい?」
「何?」

佐紀は平静を装ってみたものの、内心穏やかではない。
「そのおにぎりって・・・。」

校内放送からは、生徒達が頑張って編集したであろう、最新曲ヒットチャート集が、垂れ流されている。
いつの時代でも子供達は、こういった作業には労を惜しまない。

「あぁ。お母さん、最近体の具合悪くってさ、取りあえず自分で作ってみたんだけど、昔から料理苦手なんだよね・・・。」
「そうなんだ。悪いこと訊いちゃったね。
早く元気になると良いね。」
「・・・うん。」

あらかじめ予想していた質問を、佐紀は涼しい顔でやり過ごすことができた。
心が痛まないと言えば嘘になる。
だか仕方のないことだった。
佐紀は知られては欲しくない現実に、少しだけ手を加え、虚しい嘘の上塗りを重ねていくしか方法がなかった。

676 :体育祭:2006/11/16(木) 00:46:39 ID:VpW17xROO
二人は佐紀の些細な表情の変化を見逃さなかった。
・・・そっくりなのだ。・・・
こんな事を言えば「みや」に怒られるかもしれない。
だが、とにかくそっくりだった。
雅も嘘をつく瞬間、必ずと言っていいほど右上を見上げる癖がある。

無論そんな癖は誰にだってあるし、「だからなんだ」と問われたら返答に困るだろう。
だが二人は佐紀との何気ない会話の中に、嘘を確信できたような気がしていた。

「プログラム6、障害物競争の出場者は、実行委員テントまで集まって下さい。繰り返します・・・」
年代物のスピーカーから競技再開のアナウンスが入る。

「じゃあ、そろそろ行こっか。」
賑わっている校庭を見下ろし、茉麻がテキパキと片付けをはじめた。

『てか、うちら何しに来たんだろう・・・。』

そんな事を忘れさせてしまう程、青空の下は爽快で、また佐紀の孤独は、大きな気がかりとなって千奈美の心に引っ掛かっていた。

677 :体育祭:2006/11/16(木) 01:05:32 ID:VpW17xROO
友理奈達はボール遊びで、暇つぶしをしている。
「しかし、珍しいよね。」
ボールの行ったり来たりを、膝を抱えながら黙って眺めている雅に、友理奈が話しかけた。

「な、何がよ?!」
友理奈はボールを器用にトスしながら続けた。
「だって、いつもは茉麻達と一緒なのに、今日は独りなんだもん。
何かあったのかな〜って。」
友理奈の放ったスパイクが、綺麗な曲線を描いて飛んでいく。
桃子はそれをキャッチし損ねたらしく、
猫なで声を上げ、ボールを追いかけていった。

「ケンカでもした?」
友理奈は朝から気にかけていた事を、思い切って口にしてみた。

「そんなんじゃないって・・・。」
普段であれば、気丈な態度で突っかかって来るものだとばかり思っていたが、
雅から返ってきた言葉は、彼女らしからぬなんとも気の抜けた、弱々しいものだった。

「そう。ならいいんだけど。」

友理奈はそれ以上、掛ける言葉が思い浮かばず、やっとボールを捕まえた桃子に、大きく手を振った。

「プログラム6、障害物競争の出場者は、実行委員テントまで集まって下さい。」

どうやら午後の種目が始まるらしい。
トラック内では、体育委員の面々が、手際良く準備に取り掛かっていた。

678 :梨作家:2006/11/16(木) 02:04:45 ID:VpW17xROO
>>671
あっざーすw
感想くれてありがd
こうゆう言葉もらうとテンション上がります!
体育祭マジ難しい
全員をかかなきゃいけないのでバランスがどうしても保てないんだよね
だけどガンバりますよ!
何人の人が読んでくれてるのか解んないけど少なくとも感想を貰えてるうちは萎えてらんねぇ

では煮詰まったのでレルネ ノシ

679 :松輝夫:2006/11/16(木) 11:22:14 ID:U5eKC5wRO
从 ` ヮ´)♪祝!オリコン一位!!

三年ぶりか……長かったお。
携帯でPV見ながらまったりしてる松輝夫です。
「歩いてる」一位獲得記念で今日中に揚げたいと思います。

>>664
時間ができたらいいので頑張ってくださいね。
期待して松輝夫!
>>671
読んでいただきありがとうございます。
やはりこういった書き込みをしていただくと、嬉しいしまた頑張ろうという気になりますね。
>>678
またしても更新乙です。
相変わらず描写が緻密で勉強になりますね。
難しく大変な部分でしょうが、続き期待してます。

从 ` ヮ´)♪歩いてる 一人じゃないから みんながいるから

680 :松輝夫:2006/11/16(木) 11:25:31 ID:U5eKC5wRO
3年B組ベリーズ工房 オーディション編番外「夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜」

登場人物
久住小春 :中学二年生。実の姉のように慕っている藤本美貴の影響で芸能界を目指し、現在は女優を目指している。
久住章  :小春の父
久住千代子:小春の母
藤本美貴 :焼肉「ふじもと」を経営する藤本家の末っ子。小春とは実の姉妹以上の仲。歌手を目指していたが…。
吉澤ひとみ:楽器店店員。高校以来の美貴の大親友。
中澤裕子 :元少年課所属で、現在は警視庁広域特別捜査隊所属の刑事。階級は巡査。美貴が荒れていた頃立ち直らせた。
稲葉貴子 :警視庁広域特別捜査隊所属の刑事。階級は巡査。裕子の同期で同僚。
嗣永桃子 :小春が初めて参加したオーディションの会場で出会った、親友にしてライバル。アイドルを目指している。

act.6 悪夢-Nightmare-

小春は暗闇の中を走っていた。
無数の手が後から追いかけてくる。
小春は何かに躓いて倒れこんだ。
見上げると、小春は「手」の大群に周りを取り囲まれていた。
―――美貴を追い詰めたのはお前だ!
―――お前が美貴を傷つけた!
小春は耳を塞いだ。

681 :松輝夫:2006/11/16(木) 11:27:44 ID:U5eKC5wRO
手はジリリと小春に迫ってくる。
「い、いや…いやーーーッ!!!」
そこで小春は目が覚めた。
「夢…だったの…」
小春は天井を見上げた。
「…知らない…天井…」
視界に入ってきたのは、見覚えのない、見知らぬ天井だった。

682 :松輝夫:2006/11/16(木) 11:30:02 ID:U5eKC5wRO
「…ッ!」
激しい頭痛に顔をしかめながら、小春は周りを見渡した。
そして、自分が全く知らない部屋の中で、両手両足を縛られて床に転がされていることに気づいた。
「ここ…どこ?私、どうしちゃったの…」
小春は、まだ朦朧とする頭で頭痛と戦いながら必死に今までのことを思い出そうとした。
「そうだ…私、お姉ちゃんに会って、それで…」
ようやく思い出した。
美貴に会うために夜中に家の前の道を見張り、ようやく会えたと思ったら、美貴の仲間と名乗る三人の男たちに捕まって、眠らされて車に押し込まれたのだ。

683 :松輝夫:2006/11/16(木) 11:36:13 ID:U5eKC5wRO
それにしてもあの男たちは何者なのか、どう見ても小春には悪人にしか見えなかった。
そして、さらに心配なのは美貴のことだった。
小春は、美貴の言葉を思い出していた。
―――子供には関係ない!さっさと家に帰って寝てな!
―――子供は放っておいてさっさと行くよ!
「…私、どうしようもない子供だよね。だけど、だからこそもう一度ちゃんとお話させてよ。小春に謝らせてよ…」
果たしてその機会はあるのだろうか、今の小春には自分のことよりもそのことしか頭になかった。
その時、ドアがガチャッと開いて、三人組と、その後から美貴が入ってきた。

684 :松輝夫:2006/11/16(木) 12:59:05 ID:U5eKC5wRO
「よぉ〜お嬢ちゃん、気がついたか」
冬木と呼ばれていた太っちょが声をかけてきた。
美貴は無言のままだった。
「お姉ちゃん!今まで何やってたの?この人たち何なの?」
小春の声にも美貴は相変わらず沈黙を守ったままだったが、冬木と二人の男はニヤニヤいやらしい笑いを浮かべていた。
「昨日も言った通り、俺たちはこいつの仲間さ。昔こいつが荒れてた頃もつるんでたけどよ、この前偶然会っちゃってな。それより教えてやろうか?こいつが今まで何やってたかよ」
「冬木!余計なこと言わなくていいんだよ!」
美貴の代わりに冬木は答えると、美貴が冬木を睨みながら言った。

685 :松輝夫:2006/11/16(木) 13:02:23 ID:U5eKC5wRO
「まあ、いいじゃねえか。お嬢ちゃん、美人局って知ってるか?」
「…つ・つ・も・た・せ?」
「お嬢ちゃんには難しいか。まあ、わかりやすく言うとだな、こいつが男を誘ってその気にさせて、その気になったバカな野郎を俺たちが脅して金をせしめるってわけさ」
「お姉ちゃん…そんな…悪いことを…」
美貴が「チッ」と舌打ちした。
「まあ、こいつは中身はともかく見た目はイイ女だからな。バカな男がホイホイひっかかるって寸法さ。おかげでいい儲けだぜ」
「冬木!いい加減にしときな!」
美貴の言葉に冬木はわざとらしく肩をすくめて見せた。
「おおこわ。まあ、久しぶりに会ったんだから、二人きりにしてやるよ。秋吉、高山、行くぞ」
冬木は、そう言うと他の二人を従えて出て行き、部屋には小春と美貴だけが残された。

686 :松輝夫:2006/11/16(木) 13:57:34 ID:U5eKC5wRO
「お姉ちゃん、どういうこと?なんであんな人たちと一緒になって悪いことやってるの?」
短い沈黙を破って、先に口を開いたのは小春の方だった。
「…なんであの時すぐに家に戻らなかった?」
ようやく美貴も口を開いた。
「なんでって…お姉ちゃんが心配だからに決まってるじゃない!それより、小春の質問にちゃんと答えてよ!」
「…バカだよ、アンタは」
「小春がバカなら、お姉ちゃんは大バカだよ!どんなに心配したか…ううん、小春のことはどうでもいいの。でも、おじさんやおばさんがどんなに心配してるか、少しでも考えた?」
大バカと言われさすがにムッとしたのか、美貴は小春を睨みつけたが、小春もまっすぐに美貴を見返す。

687 :松輝夫:2006/11/16(木) 13:59:57 ID:U5eKC5wRO
先に視線を逸らしたのは美貴のほうだった。
「…小春のせいだよね、こうなっちゃったの…でも、関係ないおじさんとおばさんに心配かけるのは止めて。お願いだから…」
「フン、どうせ心配なんかしてないよ。いい?美貴の親はねえ…」
「知ってるよ!本当の親じゃないっていうんでしょう?でも、そんなの関係ないよ!小春のお父さんお母さんが小春を心配するのと同じように、おじさんもおばさんもお姉ちゃんのことを心配してるんだよ!なんでわからないの?」
「…子供に何がわかる」
美貴はそう言うと、黙って部屋を出て行った。
「お姉ちゃん…」
小春は、何もできずにその背中を見送るしかなかった。
無情にも、ドアが二人の間を引き裂くように音を立てて閉まった。

688 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:02:44 ID:U5eKC5wRO
部屋を出た美貴は、立ち止まると壁に手を叩きつけた。
「…小春」
さっきまでの小春との会話を思い出していた。
―――お姉ちゃんが心配だからに決まってるじゃない!
「アイツ…美貴のためにあんな時間まで寝ないで待っていたというの…」
美貴は小春の目が頭の中に焼きついて離れなかった。
この先自分がどうなるかもわからないというのに、あんな状況でも、それでもまっすぐに、純粋な目で美貴を見つめていた。
そして、それを直視できなかった自分が情けなかった。
やはり、自分で今の自分自身に疑問を抱いてるからか…。
「小春…バカなヤツ…こんな美貴なんかのために…」
小春はやっぱり子供だ―――でも、こんな自分のためにあの娘まで巻き添え喰らわせるわけには行かない。
美貴は決意を固めると携帯電話を取り出した。
―――小春がバカなら、お姉ちゃんは大バカだよ!
小春の言葉を思い出す。
「アンタ、ホントにバカだよ…でも、一番の大バカは美貴自身か…」
自嘲気味に呟くと美貴は、携帯電話のアドレス帳から目的の電話番号を探し出し、電話をかけ始めた。

689 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:05:17 ID:U5eKC5wRO
一人部屋に残された小春は、二人の間を隔ててしまったドアをずっと見つめていた。
小春も、さっきまでの美貴との会話を思い出していた。
美貴と視線を合わせた時、美貴のほうが先に逸らしたことが小春には悲しかった。
今の美貴が、自分で自分のしていることに自信を持てないでいる様子が、長年一緒にいた小春にはよくわかっていたから。
「お姉ちゃん…自分で自分に自信が持てないようなことをするの?」
だが、逆に考えればそれはまだ美貴が完全に悪人になったわけではないことの証とも言える、そう思うとその点にだけは少し希望が持てるのかもしれない。

690 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:15:53 ID:U5eKC5wRO
その一方で、小春は美貴の最後の言葉がまだ耳から離れないでいた。
―――子供に何がわかる
「そうだよ、小春は子供だよ…お姉ちゃんのこと何もわかってあげてなかった。でも、子供だからもうお姉ちゃんとお話できないの?もうダメなの?」
小春は悲しかった。
こんな悲しい目に遭うなら、オーディションなんて受けなきゃよかった―――そうしたら、今まで通り美貴とも普通に話せていただろうに。
少し前まではそれが当たり前だったのに、もうできないなんて―――なくしてから初めてそれがどんなに大切なものだったか気づくなんて、自分はなんてバカなんだろう。
失ってしまったものの大きさを改めて感じながら、小春は窓を見上げた。
窓から見える空は真っ黒で星一つ見えず、小春の心の絶望を表すかのように、どこまでも黒い夜空だった。
「神様、小春はどうなっても構いません。でも、お姉ちゃんだけは…」
心の中で夜空に向かって祈りながら、小春は涙を浮かべていた。
涙が小春の両頬を伝わって流れ、埃だらけの床に落ちて砕けた。

691 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:20:21 ID:U5eKC5wRO
次の日、小春は相変わらず両手両足を縛られたまま、床に座って窓を見上げていた。
この日の朝、美貴が簡単な食事と水をくれた。
この時はさすがに両手の縄だけは解いてくれたけど、食事が終わるとまた元通りに縛られてしまった。
高山が監視しているのもあって、小春も美貴もお互いに無言のままだった。
その後聞こえてきた話声から考えると、美貴は冬木と秋吉とどこかに行ったらしい。
高山だけが残って留守番と小春の監視役らしかった。
小春は思った、この後、一体どうなるのだろう、と。
「お父さん、お母さん心配してるだろうな…」
自分がこの先どうなっても、美貴を傷つけた罰だと思えば諦めもつくが、両親に心配をかけるのは本意ではなかった。
「お父さん…お母さん…ごめんなさい…」
心の中で詫びた時だった。
ドアがガチャッと音を立てて開いた。
入ってきたのは高山だった。
小春は身を硬くした。

692 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:30:34 ID:U5eKC5wRO
小春は、この高山の視線がイヤだった―――朝食の時、粘着質な視線でずっと小春を見ていたのだ。
13歳の小春でも、男がこういう視線で見てくる時、何を考えているのかおよその察しはつく。
どうしよう…朝食の時は美貴がいたが、今はいない。
「よぉ、お嬢ちゃん、ヒマだろ。俺と楽しいことしようぜぇ」
―――やっぱり、と小春は思ったが、そんな予感が的中したところで嬉しいはずもない。
「…」
小春は無言のまま、高山をじっと見据えた。
「…いい目してるぜ。初めて見た時からいいと思ってたけどよぉ。邪魔者もいねえし、俺と楽しもうぜぇ」
舌なめずりしながら高山は小春の頬に触れた。

693 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:32:52 ID:U5eKC5wRO
「やめて!」
小春は高山の手に噛み付いた。
「イテッ!…このガキ、甘やかしてりゃ、調子に乗りやがって!」
次の瞬間、小春は左の頬に熱い痛みを感じ、そして床に倒れこんだ。
生まれて初めて殴られた痛みとショックで、小春はもはや抵抗する気力もなくなってしまった。
「…お前なんざどうせ後で始末するんだ。この世とおさらばする前に楽しませてやろうってんだから、ありがたく思うんだな」
小春の体の上で仁王立ちになった高山が、いやらしい笑いを浮かべながら言い放った。

694 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:35:17 ID:U5eKC5wRO
そっか…私、やっぱりここで死ぬんだ…。
美貴を傷つけた自分にはちょうどいい罰かもしれない。
もうどうすることもできないだろう、小春は覚悟を決めた。
不思議と怖いという気持ちはなかったが、ただ、美貴とちゃんと話す機会がないまま死ぬことが悔しかった。
涙が浮かんできた。
「お父さん…お母さん…お姉ちゃん…みんな…ごめんね」
父、母、美貴、美貴の両親、ひとみ…みんなの顔が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
小春が観念したように目を閉じた、その時だった。
鈍い音が一発、さらに続けてもう一発部屋に響いたかと思うと、次の瞬間小春の体の上に何か重いものがのしかかってきた。
突然のことに小春は何が起こったのかわからず、恐る恐る目を開けてみた。
次の瞬間小春の目に入ったものは、小春の体にのしかかったままのびてしまって動かなくなった高山と、その後で角材を抱えて立っている美貴の姿だった。
「…お姉ちゃん?」
「小春!大丈夫?」
美貴は角材を投げ捨てると、小春に駆け寄った。

695 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:37:13 ID:U5eKC5wRO
美貴は、のびたまま動かない高山の体を小春の上からどかすと,小春の両手と両足の縄を解いた。
「お姉ちゃん…私…」
「ごめんな、小春。美貴が悪かった。自分が悪いのに、全部親や小春のせいにして逃げてた。アンタの言う通り、どうしようもないバカだよ、美貴は」
「ううん、そんなこと…小春の方こそごめんね」
小春は美貴にしがみついた。
その体を美貴はしっかり抱きしめた。
「ごめんね、お姉ちゃん。ごめんなさい。小春が調子に乗って、お姉ちゃんの気持ちも考えずに浮かれて、お姉ちゃんを傷つけて…」

696 :松輝夫:2006/11/16(木) 14:40:15 ID:U5eKC5wRO
小春は美貴に抱かれて泣いた。
涙が堰を切ったように流れて止まらなかった。
「もういいって。泣くなよ。美貴が悪いんだから」
そういう美貴の声も、少し震えているようだった。
「でも、小春のおかげで思い出した。親はいつだって死ぬほど心配してるんだって。昔、荒れてた時だってそうだった…あの時わかったはずなのに…また見失ってた。ホント、バカだよ」
「お姉ちゃん…これからまたやり直そうよ。小春と…ううん、みんなと一緒に、ね?」
「小春…こんな美貴でも…まだお姉ちゃんって呼んでくれるの?」
「当たり前でしょ!お姉ちゃんは今までもこれからもずっと小春のお姉ちゃんだよ」
「小春…」
小春の言葉に目頭を熱くしながら、再び美貴は小春を強く抱きしめた。

697 :松輝夫:2006/11/16(木) 17:00:53 ID:U5eKC5wRO
しばらく抱き合った後、美貴は真剣な顔になって聞いた。
「小春、立てる?」
「うん」
美貴は小春の返事に頷くと言った。
「ここから逃げるよ。小春、アンタだけはどんなことがあっても絶対に守ってみせるから」
小春は、美貴をじっと見つめた。
「お姉ちゃん…もう、ずっと一緒だよね?どこにも行かないよね?」
「もちろん、ずっと一緒だよ」
―――なんて悲しそうな、すがるような目をしてるんだろう…昨日の強かった小春はどこへ行ったの、そう思いつつ、美貴は微笑みながら頷いた。
美貴の笑顔は、元の優しかった『お姉ちゃん』の笑顔だった。
それが、小春にはとても嬉しかった。
「さ、行こうか。アイツらが戻ってくる前に」
美貴は立ち上がると、小春に手を差し伸べた。
その手を掴んで小春が立ち上がった、その時だった、声が聞こえたのは。
「よぉ美貴、裏切るのかよ。突然いなくなったと思ったら、そういうことかい。残念だなぁ」
その声に美貴は舌打ちすると、庇うように小春の前に立つ。
部屋の入り口に、冬木と秋吉が部屋の立っていた。

act.6 悪夢-Nightmare- end

698 :松輝夫:2006/11/16(木) 17:16:11 ID:U5eKC5wRO
とりあえず、「歩いてる」オリコン一位記念で(?)一気に揚げました。
今回、話の展開上小春と美貴を徹底的に追いつめましたが、二人が嫌いなわけではありません。
>>138で書いた通り、今のハロプロに嫌いな娘はいませんし、この二人、特に小春はこの文章を書いているうちに、一押しのれいなに迫るまでになってしまいました。
そういうわけですので、押しの方、不快に感じられた方にはお詫びしますが、なにとぞご了承くださいますよう、お願いしますm(_ _)m

699 :煮詰輝夫:2006/11/17(金) 01:39:46 ID:DFWoAK6HO
輝夫氏激しく乙!
またまた読み応え充分だったよ!
この展開には悪意は全然感じないし物凄くメンに対する愛を感じる
だから気にせずフィナーレまで頑張って下さい

こちら体育祭は現在煮詰まり中orz
桃子を書いてます
だけど全然進まない
まあ今まで通りダラダラマターリと書きますよw

700 :ねぇ、名乗って:2006/11/17(金) 20:02:19 ID:Fo4KfPLB0

700かぁ〜

文章だけの世界でよくここまで・・・

上手になったと言うのは、もはや失礼な言葉ですね。
ドキドキものでした。
クラクラリンなんて物ではなく正直怖かったです。
迫真の描写、松輝夫さんのスタイル確立した思いです。
松輝夫さんの書き出す前のやり取りが懐かしくすらあります。
そしてあなたの物語を待っている人たちが居ると言うのも嬉しくて嬉しくて。

無名作家さん書き続けてくれてありがとう。
りしゃすが誉めているように見栄えが変わっていますよ。
書く事は大切な事です、読ませると言うのも大切な事です。


りしゃす、いつもいつも仕事で疲れていながら書き込みお疲れさまです。
ホームページのカウンター400件近いんだ。

どう思う?

正直100件もいくかなと思っていたんだ。
りしゃすの「物語」確実に読んでもらっている、しかも大勢の人達に。
「きんぴか」教えてくれて有り難う御座います必ず読みます。






701 :シド・りしゃす:2006/11/17(金) 23:46:13 ID:DFWoAK6HO
>>700
ホントもう700とか
まあ荒らされはしたけど良スレとして充分機能しているよね
イワナ氏もう少し待ってて体育祭綺麗に完結させてお渡ししますので
そして本編は生き物なんであんまし文化祭は細かい考えないほうがいいかもw
俺自身体育祭をどうやって終えようか未だに解ってないんで

702 :ねぇ、名乗って:2006/11/18(土) 05:22:55 ID:hipxEHBP0

>>701
まさかこっちの考え読んでいる?
細かいかもしれないな・・・・
と言うか文章書く事に全力をぶつけてみたいんだ。

ある意味全く違う方向にも行ってしまうだろうし(ベリメン出なかったり)
やっぱりあいつはしょうがないなって言う話になるだろうね。

決して急がないでね、いつでもいいさ、
来年でもいいよね。




703 :無名作家:2006/11/18(土) 21:26:45 ID:0aHUFq2q0
673の続き
「それにはまぁ〜ワケがあって〜・・」
雅が佐紀と桃子に適当な理由を説明してる時かんなが教室をでていっってしまった。
「みや、みんなバイバイ!!」
「あっ、ちぃ・・・。バイバイ!!」
いきなり千奈美が行こうとして雅が呼び止めようとしたが、状況を察知したのか
佐紀と桃子を抑えなから心地よくいかせてくらた。(ありがとう。みや・・。)

かんなには昇降口でおいついた。
「かんなちゃん、一緒にかえろ〜よ〜♪」
「う、うんいいけど・・。」
かんなはあきらかに対応に困っているようだった。

704 :無名作家:2006/11/18(土) 21:55:37 ID:0aHUFq2q0
学校のまた近くなので今日ふざけてた男子生徒の呼び出しの放送が聞こえてきた
「あいつまた呼び出しくらってんの〜〜。ほんと馬鹿だよね〜」
「うん」
あまりにも短い返事だった。
「あのさ〜」
「あ、あのね」
かぶってしまった。
「なに?」
千奈美はかんなに譲った
「なんで、なんでそこまでして私と仲良くしようとすんの?意味わかんない。
昨日あん・・な・に冷たく・・(グス)・・・したのに」
泣いてることはすぐわかった。
千奈美はうつむいて必死に涙をこらえていた。
その沈黙はしばらく続いていった・・。

けっこー長くなりそうです

705 :名無し募集中。。。:2006/11/18(土) 22:35:16 ID:tMFanATMO
いいよいいよぉ
あとは句読点(、。)
漢字変換だ!
頑張れよ!!

706 :まぁ、名乗って:2006/11/19(日) 09:05:58 ID:atDPzhhR0

昨日はSSA行ってました
得点取られる度にものすごく眉をしかめるりーちゃんが可笑しかったw
ちなみとこはるは仲良さそうに手を繋いでトイレに行ってたよ

りしゃすchanガンバ!
ももの話楽しみにしてまーす
ももは昨日も『Berryz工房の嗣永桃子』全開でしたw

影響されたって作家って訳じゃないけれど『花村萬月』の
『におい』に対する描写が好きだったりします
ただ『みやまあ』話の参考にはならず…ほぼ脳内妄想で書いてますw

みなさんの続編心待ちにしてます
さて!今日もこれからお出かけデスw

707 :松輝夫:2006/11/19(日) 11:04:12 ID:0kZzX7WrO
またしても、書き上げて燃え尽きていた松輝夫です。
まずは、読んでいただいた全ての皆さんに満腔の感謝を捧げたいと思います。
だいぶ過大な評価をいただいて恐縮しきりですが、例えて言えば展開がハマった穴馬、みたいな感じですかね。
上手くなったというより、こういうシリアスな展開の方が性に合ってるみたいで、けっこう書きやすいです。
まあ、確かに初めの頃よりは多少マシになったかな、とも思いますが。
昨日より続編を書き始めました。このままラストまで突っ走っていきたいと思います。

708 :体育祭:2006/11/19(日) 22:11:03 ID:gVgfCYrrO
>>677

保健委員の桃子は、午前の係と交代する為、保健室に駆けて行った。

三年連続で同じ委員を務めた生徒は全校でも数える程しかいないらしい。
保健委員といえば、『誰もやりたがらない委員』トップ3に、毎年その名を連ねるという、不名誉な一面を持ち合わせている。
保健室の本田先生は、生徒達から絶大な人気があり、保健室は毎日それなりに賑わいはするのだが、いかんせん委員となると話は別で、
とにかく地味。誰からも感謝されない。
そのくせ当番の日になると、帰りが遅い。
18時から楽しみにしているアニメだって、しょっちゅう見逃すのだ。

全ては桃子の、くじ運の成せる技であった。
三年目ともなると、桃子も腹の据わったもので、絶対に保健委員になるんだろうと思っていたら、見事一発で引き当ててしまった。
ここまできたら、プロ野球のドラフト会議だろうと、年末ジャンボ宝くじだろうと、悠々に保健委員を引き当てるに違いない。
━━これはもはや自分がアイドルに成ることと同じくらいの運命なのだ。そうに決まってる!!━━

桃子は若くしながら、二つもの運命を垣間見ていた。

709 :体育祭:2006/11/19(日) 22:22:25 ID:gVgfCYrrO
後輩の生徒と入れ代わる桃子。
保健室には自分以外、誰もいない様子で、桃子は本田先生の指定席にどっしりと構える。

ベテラン委員ともなると、仕事は気持ち良いくらいの『惰性』で、保健室で過ごす時間は、本田先生とのお喋りが、主に大半を占めているといっても過言ではない。

早速、膝小僧を派手に擦りむいた生徒が、保健室にやって来た。
本田先生は居ないので、当然、Dr.桃子の出番である。

「うわわっ!血っ血っ!うわっ!」
「ちょっと、消毒してくれよ!」
「無理無理無理・・うわっ!!ひぃ〜〜っ!!」
桃子は、思い切り患部から目を背け、消毒セット一式を怪我人に放り投げた。

応急処置完了。
これで今日も一人の尊い命が救われた・・・。
桃子偉いっ!!てか、桜中のナイチンゲール?!
まあ、こんな調子である。
桃子の迅速な処置で、なんとか一命をとりとめたクランケは、何やら口汚い台詞を吐き捨て、保健室を去っていった。

710 :体育祭:2006/11/19(日) 22:25:39 ID:gVgfCYrrO
『本田先生も戻って来ないし退屈だなぁ・・・。』
交代して10分程経ったのだろうか。
桃子は既に飽きていた。
これといって意中の男子がいるわけでもなく、一言で言うなら彼女は、恋愛感情が極めて鈍かった。
運動場の男子の姿を、キラキラした瞳で観察するわけでもなく、固いベッドに寝そべって、取りあえず自分の将来について思いを馳せてみた。

711 :体育祭:2006/11/19(日) 22:38:59 ID:gVgfCYrrO
目を閉じると、煌びやかな世界で常人離れした活躍をするスターな自分が、次々と浮かんできた。
歌番組で、大御所お笑いコンビから手厚い歓迎を受ける桃子。
お昼のバラエティで、グラサン顔の司会者を、桃子パワー(本人はそう呼んでいる。)によって、メロメロにしている桃子。
街を歩けば、至るところに桃子の顔があり、
そのうちブラッドピット辺りが「ファッキンキュート!」とか言って、ヒロイン役のオファーをくれるだろう。
そうなると当然パパラッチ対策も練っておかないといけない・・・・。

妄想とは『偉大』だ。
何せ金がかからない。
多少の虚しさが後をひくものの、贅沢は言ってられない。

桃子はぶっ飛んだ妄想の世界に身を置いていると、何でも出来るような気になり、しばしば自分を見失う。
その気になれば何にだってなれた。
メジャーリーグで年間80本塁打を記録し、アメリカンドリームを掴み取る事さえ、純粋な桃子にとっては容易だった。

712 :体育祭:2006/11/19(日) 22:45:37 ID:gVgfCYrrO
その時、校庭側の扉がガラガラと音を立てた。
空想の世界にポンワリと浮かんでいた桃子は、びっくりしてベッドから飛び起きる。

開け放たれた扉からは、無駄に音の大きい風が飛び込んできて、壁に張り付けられた無数のプリント類を揺らしていた。

「誰・・・?」
桃子は急に怖くなり、ベッドのカーテンから、そっと頭だけをのぞかせる。
「痛ちちちっ・・。」

端正な顔立ち、背が高くスリムな体格。
二年生の時、同じクラスだった矢島まいみだ。

以前、彼の事を女の子みたいな名前だとからかったら、顔を真っ赤にして怒り出したのを、今でもよく覚えている。
なんでも今じゃ茉麻の彼氏らしい、全く最近の中学生ときたら、本当にマセていて始末が悪い。

そんなプレイボーイが、脚を引きずりながら保健室に入って来た。

713 :体育祭:2006/11/19(日) 23:02:53 ID:gVgfCYrrO
「なんだ。嗣永かよ・・・。」
桃子の顔を見た途端、矢島はこれ見よがしに大きな溜め息をついた。
「何だって、何よぉ!何か問題でも?!」
「いや。ただの捻挫なんだけど、お前任すとさぁ、悪化しそうだもん。」
「ちょっと!それすごい失礼!」
せっかくの桃子タイム(本人はそう呼んでいる)を邪魔しておいて、何て言いぐさなんだと、桃子はムッとした。

「うわっ!マジじゃん!」
今の今まで痛そうにしていたと思えば今度は自分の顔を見て笑い出した。
本当に失礼な奴だ。
「何よっ!マジじゃんて!?」
「悪ぃ悪ぃ。
まあ、いや須藤がさ、よく嗣永の真似すんだよ。
ほっぺた膨らましてさ。今時そんな奴いねぇよって思ってたら、マジなんだもん。
思わず笑っちゃった。いやゴメンゴメン。」

矢島は悪びれた様子もなく、白い歯を見せて笑っている。
茉麻と矢島の会話に、自分の話題が出てくるんだと思うと、桃子は満更でもなく、
寧ろ今まで、そこまで親しい間柄ではなかった茉麻との距離が、随分と身直になったような気がした。
「まあ、座ったら?
取りあえず湿布くらいの貼ってあげるよ。」
桃子はそう言うと、満面の桃子スマイル(本人はそう呼んでいる)で、矢島に丸椅子を差し出した。

714 :体育祭:2006/11/19(日) 23:54:17 ID:gVgfCYrrO
冷蔵庫から取り出された真新しい湿布は、何だかとても『神聖』で、
桃子はそのスーッとする匂いを嗅ぐ度、生徒達が執拗に湿布を貼りたがる理由が解った気になる。

その神聖な布を患部に当てがわれ、幾分か気の晴れた矢島は、回転椅子でクルクルと周りながら、保健室の風景を眺めている。

「なぁ。嗣永。須藤から何か聞いてないか?」
矢島は肝心の質問を、何気ない素振りで投げかけた。

「えっ?なんで何にも聞いてないけど。まあさんと何かあったの?」
桃子の口ぶりでは、本当にに何も知らない様子だ。
「えっ?あぁ・・ちょっとな。」
「えっ何?ケンカ?やだぁ!ケンカなのぉ?」

桃子が興味しんしん顔で、思いっきり身を乗り出して来た。
『やっぱコイツに話すんじゃなかった・・・。』
「そんなんじゃねえよ。違ぇよ。」
以前の事(女の子みたいな名前)を未だに根に持っているのか、
矢島は必要以上の男口調を持ち出して、桃子の興味を煙に撒いた。

715 :シド・りしゃす:2006/11/20(月) 00:07:56 ID:0YuegPvTO
>>706

バレー行ってたのw
いいなぁ 痴呆人の俺には絶対無理orz
新曲イベ行けたらいいなあ・・・
胸スカは茉作家さん的にどおよ?
ヲレはすごい神曲だと思ってるたまにはあんな曲調も悪くないよね?
しかしホントベリメンは歌が上手くなったよ色んな経験が自信に繋がってるんだと確信
音戦ももしかしたらメインゲストなんでしょ?
いやいや楽しみ楽しみ

あと桃子のメジャーリーガーのくだり解る人は笑っといてねw
ちなみにパクッときましたよ
なんか桃子を書くとついつい遊んでしまいます;
まあこれがももちの味ってことで(ry

716 :まぁ、名乗って:2006/11/20(月) 09:33:09 ID:OTAN4et1O

>>715
更新乙でした
まいみくん登場でわくわく…昨日手をギューってされて来たので余計w

胸スカはおれも良曲だと思うよ
特に好きなのは千奈美の声 今回すごくカッコイイ!
ソフトで作ったのかもしれないけど何気にブレスしてたりとかね
もも&ゆりなの声はホント独特だし
みや&りさこの裏声使いの上手さは相変わらずだし

Σ(´д`;) ハッ!  まあさきちゃんのパート…ドコイッタ

717 :体育祭〜砂煙が目に滲みる:2006/11/22(水) 00:14:32 ID:UzpSYaePO
「で、そっちの方はどうよ?!夢に向かって頑張ってるのか?」

矢島は、半紙に墨汁を使って書かれた『夢』という字に目を留めた。

茉麻の彼氏だからなんだろうか、桃子は気を許し、先日のオーディションでの失態、そしてその後から続く大不振について打ち明けていた。

妄想と現実では、凄い大差だなぁ。と桃子は自分の事ながら、今更頷く。

「そうか・・。でも頑張ってるみたいじゃん!
だったら胸張ってろよ!成るようにしかならないんだからさ!
駄目なら何度でも挑戦すればいいし、最初から出来る奴より、お前の方が楽しいじゃん!」

矢島は嫌みの無い笑顔で桃子を真っ直ぐに見つめている。
以前の彼では考えられない程、口調も顔立ちも大人びて見えた。
恋愛の影響なのだろうか?
矢島のくれた言葉は、クロスワードパズルの如く、桃子が忘れかけていた気持ちをピタリと補ってくれた。

「うん!ありがとう!矢島君もいつの間にか、いい男になっちやって。」
「うるさいよ!」
矢島は湿布の感触を確かめながら、照れくさそうに保健室を後にした。

「成るようになるか・・・。」
桃子はその台詞がとても気に入ったようで、大切そうに何度も何度も心の中で繰り返していた。

718 :佐紀・りしゃす:2006/11/22(水) 00:19:26 ID:UzpSYaePO
佐紀ちゃん15歳のお誕生日おめ!
これからも愛らしい笑顔とかっちょええダンスで俺達を魅了し続けてね☆
金八スレより愛を込めて!!!!!!!!!!!

719 :ねぇ、名乗って:2006/11/22(水) 00:39:38 ID:ViQHKRVCO
清水さん誕生日おめでとう♪

720 :まぁ、名乗って:2006/11/22(水) 02:55:29 ID:5rLa06g00
佐紀ちゃん15歳の誕生日おめでとう♪

721 :松輝夫:2006/11/22(水) 21:40:35 ID:MoWsCBeJO
佐紀タソ15歳の誕生日おめ!
そういうわけで、誕生日記念に間もなく続編揚げようっと。

722 :松輝夫:2006/11/22(水) 21:41:55 ID:MoWsCBeJO
3年B組ベリーズ工房 オーディション編番外「夢、いつの日にか…〜小春の夢、美貴の想い〜」

act.7 運命-Destiny-

冬木が言った。
「まあ、いずれ二人とも始末するつもりだったけどよ。ちょっと予定が早まったか」
冬木と秋吉がジリジリ近づいてくる。
「そう簡単にやれると思ったら大間違いだよ!」
美貴は足元に落ちていた角材を拾い上げた。
「!」
美貴は素早く小春の手を掴んで引っ張りながら駆け出し、冬木と秋吉に向かって角材を無茶苦茶に振り回す。
不意を衝かれた冬木と秋吉が、辛うじてそれを避けた間を素早く駆け抜けると、美貴は部屋の入り口に立ちふさがった。

723 :松輝夫:2006/11/22(水) 21:43:49 ID:MoWsCBeJO
美貴は角材を構えたまま後ろは向かず、不安そうな表情をした小春に向って肩越しに言った。
「小春!今のうちに早く逃げて!」
「お姉ちゃん!?いやだよ、そんなの。ずっと一緒だって言ったじゃない。もう離ればなれになるのいやだよ!」
「言ったろ!アンタだけは絶対に助けるって。ここは美貴が喰い止めるから、早く!」
「でも…」
「大丈夫、美貴だってそう簡単にはやられないよ…だから、小春が助けを呼んできて」
美貴はやさしく言った。
「…うん」
小春もついに心を決めた。
身を翻すと、部屋の外に駆け出していった。

724 :松輝夫:2006/11/22(水) 21:45:27 ID:MoWsCBeJO
「逃がすな!」
冬木の声に秋吉が追いかけようとしたが、その前に美貴が立ちはだかった。
「おっと、ここから先には行かせないよ!アンタらの相手は美貴がしてあげる」
そのまま角材を振り回して、冬木と秋吉を部屋の隅に追い詰めていく。
冬木も秋吉も避けるので精一杯だった。
力任せに角材を振いながら、美貴はふと思った―――こんなことしてると、昔を思い出すな…。
どうしようもなく荒れていた、ケンカばかりしていた中学時代、しょっちゅうこんなことしてたっけ…。
小春がこの場にいなくてよかったと思う―――小春を助けるためとはいえ、こんな姿は小春に見られたくなかった。

725 :松輝夫:2006/11/22(水) 21:46:46 ID:MoWsCBeJO
「…結局、美貴があの娘のためにしてあげられるのはこんなことくらいか…」
まあ、最後の最後に、何か一つあの娘のためになることをしてあげられただけマシかもしれない。
全く、どうしようもない姉がいたもんだ―――でも、それでも小春はこんな美貴を最後まで「お姉ちゃん」と呼んでくれた。
だから、自分がどうなってもあの子だけは絶対に助ける、それが自分の運命なんだろうと思う。
そんなことを考えながら、美貴は角材を構えて冬木と秋吉を睨みつけた。
『どうやら、あの娘だけは助けられそう…かな』
美貴がそう思った時、不意に後で声がした。

726 :松輝夫:2006/11/22(水) 21:48:25 ID:MoWsCBeJO
「…ぶっ殺してやる!」
その声に美貴は後ろを振り向いた。
「!」
声の主は高山だった。
さっき、気絶させたはずの高山が起き上がり、憎悪のこもった目で美貴を睨みつけている。
「高山!ガキが逃げた。ガキを追いかけろ!」
冬木の声に、高山は不満そうに軽く舌打ちすると部屋の外に出て行った。
「やらせないよ!」
美貴が追いかけようとした時、今度は逆に、いつの間に持ち出したのか、手にナイフを持った冬木と秋吉が立ちはだかった。
「チッ!」
「どうやら形勢逆転だなぁ。これでお前もあのガキもこれでオシマイだわ」
冬木が勝ち誇ったように言った。
『小春…無事に逃げて』
「おらおらぁ〜、そのキレイな顔を、二度と見れないように切り刻んでやるぜぇ」
美貴が心の中で祈った時、冬木が切りつけてきた。

727 :松輝夫:2006/11/22(水) 21:59:45 ID:MoWsCBeJO
小春は部屋を飛び出し、一気に階段を駆け下りて外に出た。
そして、立ち止まって後ろを振り返った小春は、さっきまで自分がいた場所が、今は使われていない工場のような建物であることに気づいた。
周りにも似たような建物があり、どうやらこの一帯は寂れた工業地帯のようだった。
「お姉ちゃん…」
外に出たものの、助けを呼んできてと言われたけれど、どうしたらいいだろう。
木々の間から街が見えたが、そこまではだいぶ距離があるようだ。
戻ろうかとも思ったが、しかし自分が戻っても何もできないだろう。
その時だった―――たった今自分が出てきた出口から、一人の男が出てくるのが見えたのは。

728 :松輝夫:2006/11/22(水) 22:00:51 ID:MoWsCBeJO
出てきたのは高山だった。
もう迷うヒマも必要もなかった―――小春と目が合った高山が、憎悪むき出しで猛然と向かってくるのが見えたから。
「待ちやがれこのガキ!」
もちろん、小春がおとなしく待つはずもなく一目散に逃げ出したが、意外と高山は足が速く、あっという間に二人の距離が縮まってきた。
「!」
焦りと疲労で足がもつれた小春は、その場に転倒してしまった。
「これで終わりだなぁ…さっきは邪魔が入っちまったが、今度こそゆっくり楽しませてもらうぜ…殺す前になぁ」
勝利を確信した高山が、残忍な笑みを浮かべながらゆっくりと近づいてくる。

729 :松輝夫:2006/11/22(水) 22:03:09 ID:MoWsCBeJO
高山が一歩一歩近づいてくるが、もはや小春には再び立ち上がるだけの余力も気力も残っていなかった。
「…お姉ちゃん…ゴメンね…」
心の中で美貴詫びた―――せっかく美貴が助けてくれたけど、もう逃げられそうになかった。
小春は今度こそ覚悟を決めた。
「小春ちゃん!」
その時、聞き覚えのある声がして、誰か(後ろ姿からは女性のようだった)が小春と高山の間に割って入った。
「なんだテメェは!」
高山は、不意に現れたその女性に面喰ったようだが、すぐに口汚くののしりながら、今度はその女性に襲いかかる。
しかし、その女性は少しも慌てず身構えると、突進してきた高山に前蹴りを食らわせた。

そして、高山の動きが止まった次の瞬間、高山の左側頭部にその女性のハイキックがクリーンヒットし、高山はその場に倒れこんだ。
小春は何が起きたのかわけがわからず、目の前の光景を呆然と見つめていた。
「小春ちゃん、大丈夫?」
高山を倒したその女性が振り返った。
「…中澤…さん?」
女性は裕子だった。

730 :松輝夫:2006/11/22(水) 22:05:25 ID:MoWsCBeJO
裕子は地面に倒れている小春の手を取って立ち上がらせた。
「裕ちゃん!」
声のした方を見れば、貴子と大勢の警官がこちらに向かって駆け寄ってくる。
「小春ちゃん、よかった、無事やったか」
警官たちが、地面に倒れている高山に手錠をかけてどこかに連れて行った。
「小春ちゃん、美貴はどうしたん?どこにいるの?」
裕子の言葉に、小春はハッとなった―――そうだ、お姉ちゃんが…。
「中澤さん、お姉ちゃんを助けて!お姉ちゃんが…お姉ちゃんが!」
「落ち着いて、小春ちゃん。美貴はどこ?」
小春は、裕子に自分が今までいた建物を指差して話し始めた。
小春の話を聞き終えた裕子は、すっくと立ち上がった。
「あっちゃん、小春ちゃんを頼むわ。行くで!」
最後の言葉は警官たちに向けたものだった。
小春を貴子に託すと、裕子は大勢の警官の先頭に立って美貴のいる工場に向かって駆け出した。
『美貴…無茶するんやないで。今行くからな』
工場の入り口に飛び込み、裕子は二段飛ばしで階段を駆け上がって小春に教わった部屋に向かっていった。

731 :松輝夫:2006/11/22(水) 22:10:32 ID:MoWsCBeJO
部屋の入り口に着くなり、ドアを蹴り中に飛び込んだ裕子が見たのは、床にだらしなくのびている二人の男たち。
そして、それを見下ろすかのように角材を杖代わりにして、肩で息をしながら立っている全身ボロボロの美貴の姿だった。
「美貴…」
裕子の声に、美貴は顔を上げた。
「中澤さん…遅かったじゃないですか」
そう言ったかと思うと、美貴の体がぐらりと揺れ、裕子は急いで駆け寄り、美貴の体を支えた。
「バカ!なんでウチらが来るまで待ってなかったん!」
「…すいません」
「…ったく、相変わらず無茶するわ」
裕子は呆れたように言った。
「あの…小春は…」
「…大丈夫、無事や。あんたが助けたんや」
裕子の言葉に、美貴は黙って頷いた。
「全員逮捕、連行して」
裕子が遠巻きに見ている警官たちにそう指示すると、その声に弾かれたように警官たちは一斉に動き出し、床に倒れている男たちに手錠をかけて連れて行く。
美貴は、ふらつく体を裕子に支えられながら、その様子を無言で見守っていた。
「さ、ウチらも行こか?」
裕子に促され、美貴は裕子に支えられながら部屋の出口に向かった。

732 :松輝夫:2006/11/22(水) 22:14:28 ID:MoWsCBeJO
工場の外で小春は、貴子と一緒に冬木と秋吉が手錠をかけられ警官に連行されてくる様を見ていた。
いつの間にか、周囲には何台ものパトカーが集まり、警官の数も増え、辺りは騒然としていた。
「広域201より本部へ…」
警官の無線の声が聞こえる。
「お姉ちゃん…お姉ちゃんは?」
警官たちの列が目の前を通り過ぎても、美貴の姿はなかった。
「大丈夫や、祐ちゃんが必ず助けてくれるから」
「でも…」
小春の見ている前で、犯人たちが護送車に乗せられ、犯人たちを乗せた車はどこかに向かって走っていく。
小春が心配そうにもう一度工場に目をやった時、入り口に、裕子に体を支えられた美貴が姿を現した。
「お姉ちゃん!!」
言うが早いか、小春は美貴の方に向かって駆け出し、美貴の胸に向かって飛び込んでいく。
「小春!!」
美貴はその小春の体をしっかりと受け止め、そして抱きしめた。

733 :松輝夫:2006/11/22(水) 22:17:02 ID:MoWsCBeJO
二人はお互いの感触を確かめるようにしっかりと抱き合った。
お互い、またこんな時を迎えられるなんて思ってもいなかった。
「小春…よかった、無事で…」
「お姉ちゃん…お姉ちゃん…」
小春は泣きじゃくった。
言いたいことはたくさんあるのに、言葉にならなかった。
「もう泣くなって。いつの間にか美貴より背高くなったのに、泣き虫なところは昔のまんまだな」
「だって…だって…」
裕子と貴子は傍で温かく見守っていた。
貴子はハンカチで目頭を押さえている。
裕子も、姉妹の再会を手助けできたことに喜びを感じていた。
もう二度と、この二人を引き裂くようなことがないことを願うのだった。
しかし、一方で彼女には別に果たさなければならない義務があった。
一人の人間としての感情と、刑事としての義務感が彼女の中で激しくせめぎ合い、そして彼女は苦悩の果てに苦しい決断を下さざるを得なかった。

734 :松輝夫:2006/11/22(水) 22:22:17 ID:MoWsCBeJO
「ミキティ!小春ちゃん!」
ひとみの声がして小春と美貴が振り返ると、二人の両親の姿もあった。
こちらに来ようとするひとみを警官が制止したが、裕子が通させた。
「よかった…二人とも無事で」
「よっちゃん…心配かけてゴメン」
「今さらな〜に言ってんだか、今に始まったことじゃないし」
再会を喜び合う三人に、厳しい顔をした裕子が近づいた。
「…美貴、あんたのおかげでウチらが追ってた恐喝グループも捕まえられたし、小春ちゃんも無事だったし、これで一件落着…と言いたいところやけど」
裕子はいったん言葉を切って美貴の顔を見た。
美貴にも十分わかっていることだった。
「…あんたにも色々話を聞かなあかん。一緒に来てもらうで」
美貴は頷いた。
「ちょ…ちょっと待ってください!せっかく会えたのに、何でお姉ちゃんを連れてっちゃうんですか!」
叫んだのは小春だった。
「お姉ちゃんは全然悪くないんです!こうなったのは全部小春のせいなんです。だから…連れてくなら小春を連れてってください」
どんな難事件でも怯んだことのない裕子も、さすがにこの時ばかりは困った顔をした。

501 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)