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羊とめーぐるの冒険

1 :名乗って村上:2006/09/02(土) 05:11:42 ID:VVNqjMIs0
私が初めて村上愛に会った時、彼女は「 ダンサーズ」のテラス
の前のロールス・ロイス「シルヴァ・レイス」の中で眠っていた。

2 :ねぇ、名乗って:2006/09/02(土) 05:24:46 ID:VVNqjMIs0
解説

運転席にいたのはマネージャーのシルヴィアで、
めーぐるを置去りにして走去ります。仕方がなく、
私はめーぐるを自分のアパートに連れ帰ります。
そして、目覚めると彼女の自宅まで送ってやるのです。
その帰りの描写はこうなっています。

3 :名乗って村上:2006/09/02(土) 05:28:09 ID:VVNqjMIs0
私は唇をかみながら車を家へ走らせた。私はめったに心を動かされな
い性質だが、彼女は私の心を捉えるものを持っていた。それがなんである
かはわからなかった。

4 :ねぇ、名乗って:2006/09/02(土) 10:18:42 ID:3MhF6mpl0
http://hellogirls.myphotos.cc/files/data/hellogirls15930.jpg

5 :名乗って村上:2006/09/02(土) 15:27:53 ID:ua0gb5S10
その年、私はローレル・キャニヨン地区のユッカ街に住んでいた。
行き止まりの通りにある丘の中腹の小さな家で、正面のドアまで
アメリカ杉の長い階段があり、通りをへだててユーカリの木立ちが
繁っていた。
私はめーぐるをお姫様風に抱きかかえソファに寝かせた。
彼女はいるかのようないびきをかいていたが一時間ほどすると
急に目を覚まして身体を起こした。

6 :名乗って村上:2006/09/02(土) 17:49:46 ID:t0XshsJM0
「あたし・・・、どうしてここにいるの?」
「ダンサーズの前で伸びてたのさ。マネージャーがおきざりにしてったのさ」
「そうですか。おきざりにされても仕方ないな・・・」
「君はアイドルなんだね?」
「そのつもりだったけど・・・。タクシーを呼んで帰りたいんですが・・・」
「下で一台待ってるよ」
彼女は私の手を借りないで階段を下りた。マンションへ向かうあいだ、
私の親切を感謝し、迷惑をかけたことを詫びただけで、あまりものを
いわなかった。
マンションの前で降りためーぐるは、エレベーターのドアが開いているのに
私が姿を消すまでそこに立って待っていた。なにか欠点がある少女にせよ
礼儀はわきまえていた。

7 :ねぇ、名乗って:2006/09/02(土) 20:43:48 ID:oC9v9q0O0
良い感じだ。
続けろ。

8 :ねぇ、名乗って:2006/09/03(日) 07:15:41 ID:GSX8lovs0
保全

9 :名乗って村上:2006/09/03(日) 14:50:27 ID:4f8JRo7S0
私が彼女にふたたび会ったのは、感謝祭のすぐあとだった。
街の商店はすでに高い値につけかえたクリスマスのがらくた
をならべていたし、毎日の新聞はクリスマスの買い物を早く
済ませないと混雑すると叫びつづけていた。
私のオフィス近くの公園だった。数人の浮浪者がベンチに
寝ている何かを見つめていた。その、何か、がめーぐるだった。


10 :ねぇ、名乗って:2006/09/03(日) 20:42:40 ID:IHCLgB3n0


11 :ねぇ、名乗って:2006/09/03(日) 21:37:04 ID:7JIkJa9S0
つづき書け

12 :ねぇ、名乗って:2006/09/03(日) 22:39:54 ID:XSEsZBYL0
狼じゃねえんだからそんな頻繁に保全はいらねえよ。
大人しく待ってろ。

13 :名乗って村上:2006/09/04(月) 00:47:05 ID:Pm3LMn/u0
彼女はジャージ姿だった。その日は彼女の所属するグループの
イベントが近くであった。そんなスケジュールをチェックするほど
私は彼女のことが気にかかっていたのかも知れない。
浮浪者たちの目に危険な色が浮かんでいるのを見て、私はすぐ
そばに行き、めーぐるの腕をとらえた。
「しっかりするんだ。こんなところに寝ていてはダメだ」
彼女はぼんやりした目つきで私を見て、かすかに笑った。
「またあなたですね。今日も置き去りにされちゃった・・・」
「立てるか?」
「はい・・・」
「よし。だが、しっかり歩け。奴らに乱暴されるところだった」

14 :名乗って村上:2006/09/04(月) 01:00:23 ID:Pm3LMn/u0
若い浮浪者が怒鳴るようにいった。
「ちょっと待てよ。そいつを独り占めにする気か?
だいたいおまえは本当にその子の知り合いなのかよ?」
「友だちさ」
男はしつこく絡んできた。彼女の顔を覗き込むと
「おまえの友だちは何というんだ?」
「羊」
と、めーぐるはゆっくりいった。
「ローレル・キャニヨンのユッカ街に住んでいます」
浮浪者は私の方をふりむき手を広げて見せた。
「羊?おまえは羊なのか?」

15 :名乗って村上:2006/09/04(月) 14:08:07 ID:rO4IgMFE0
「そのとおり。俺は羊だ」
私の顔を見ると男は急に萎えたような顔つきになった。
「こいつらキチガイだな。行けよ糞野郎」
男はつばを吐き、めーぐるの足元に飛んだ。私は暴力的な
衝動に駆られたが我慢した。
公園が見えなくなる位置まで私はうしろを振り返らず
彼女に肩を貸して歩いた。めーぐるは悲しそうに俯いて
いるだけだった。
私のアパートに戻る途中でハンバーガーと飲み物を買った。
この間は寝ていたソファに腰を掛け、空腹を満たすとやっと
人間らしい赤みが頬に点した。
「ぼくの住所を覚えていてよかったな」
「頭に染みこんでたの。二度と会えないとは思っていなかった・・・」
「それはそうとなぜ、ぼくの名前が羊なんだい?」

16 :名乗って村上:2006/09/04(月) 14:25:56 ID:rO4IgMFE0
「なんとなく・・・。ただあなたの顔を見たら羊って言葉が浮かんだの」
「ぼくが羊に似ているということかね?」
「違うの」
めーぐるは初めて笑ってみせた。
「そうじゃなくて、羊って掲示板があってね」
「掲示板?ネットの?」
「うん。このあいだそこの書き込みを読んでいて、ふとあなたの顔が
浮かんだのよ。なんとなくね。それだけなの」
「よくわからないが、まあいいだろう。それより二回も置き去りにされる
のは問題だね。いったいなにがあったというんだ?」
めーぐるはまた悲しげに俯いた。
「あたし・・・、アイドルに向いてないと思うの・・・」

17 :名乗って村上:2006/09/05(火) 09:55:12 ID:hc7EdCij0
「なんともいえんね」
「もう辞めたいって話をしたらマネージャーに怒られて・・・」
「それで置き去りにされたというわけか」
私は冷蔵庫からチョコレートを取り出し、彼女に渡した。
「アイドルをやめてどうするつもりなんだ?」
「お金はあるの。200万円ぐらい。いつでも出せるように
キャッシュカードもあるからしばらく地方の親戚の家に
行こうかなって」
「そんなに簡単に辞めることができるのか?でもそのお金
は非常用に渡されているものなんだろう?汽車代ぐらい
ならぼくが出してやれるが・・・。余計なおせっかいになる
かな」
「ありがとう。でもいいの。今が非常事態だから・・・」
「でも手をつけない方がいいような気もする。お金はぼく
が用意しよう。君はただ黙って受け取ればいい。なんとなく
君が気になるんだ」
「ほんとう?」
めーぐるはくりっとした大きな目を私に向けた。

18 :名乗って村上:2006/09/06(水) 09:29:00 ID:iBmea/hn0
「まだ二度しか会ってないのよ。二度とも他人とは思えないほど
親切にしてもらいました。どんなふうに気になるの?」
「こんど会ったらぼくではどうにもならないような羽目に陥ってる
気がする。なぜかはわからないがとにかく気になるんだ」
彼女は黙って立ちあがった。
「それじゃあ、あたし行くね」
私は財布から十万円を取り、手渡した。
「ありがとう・・。また今度会えたときに返します」
素直に答える彼女は、どこにでもいる可愛い少女だった。
私は車で彼女を東京駅まで送った。駅の構内に入る直前、
彼女はこちらを振り返り頭をさげていた。

19 :ねぇ、名乗って:2006/09/13(水) 11:12:06 ID:Ep+ra+iG0
いまさらだけど元ネタは村上春樹の『羊をめぐる冒険』だね。
読んでない人は読むといい。

20 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 17:09:17 ID:bKFQQcKr0
なるほど

21 :ねぇ、名乗って:2006/09/18(月) 23:46:26 ID:oiI4ESZQ0
静かな夜だった。家の中がいつもより空虚に感じられた。
九時半に電話が鳴った。聞いたことのある女性の声だった。
「羊さん?」
「そうです。羊です」
「めーぐるのマネージャーです。先月の晩に『ダンサーズ』の前で
ちょっとお目にかかりましたね。あなたが親切に彼女を送ってくだ
さったことを後で聞きました」
「たしかに送りましたよ」
「彼女がもうこの仕事を辞めるといいだして・・・。とても気になって
いるんです」
「あの晩は気にならなかったようですね」
「羊さん、私は彼女に大きな期待を寄せていたんですよ。でもわが
ままはいけません。何とか彼女を探したいのですが」
「彼女は地方の親戚の家に向かう新幹線に乗っていますよ」
彼女は急に明るい声を出した。
「昔を思い出したんだわ。それなら大丈夫です。彼女はまだやる気
があるようです」
「どうでしょうかね。彼女は金もなく、浮浪者がうろつく公園で寝ていた。
あなたが探そうと思えば探せたはずです。もっとも彼女はあなたの
世話になろうとしなかったでしょうし、おそらくいまでもそうでしょう」
「あなたは何も知らないのです」と、彼女は冷ややかにいった。
「おやすみなさい」電話が切れた。
もちろん彼女のいうとおりで私がまちがっていた。だが私にはまちがっ
ていると思えなかった。

22 :ねぇ、名乗って:2006/10/10(火) 00:15:31 ID:J4idIEmR0
クリスマスの三日前、私は十万円の入った現金書留と手紙を受け取った。
差出人はめーぐるである。クリスマスのお祝いを兼ねて私に礼を述べ、
「あなたのおかげでやり直せそうです。またお会いしたいと思います」
と締めくくっていた。
彼女とはしばらく会っていなかったが、顔は以前にも増して見るように
なっていた。彼女たちのグループがメジャーデビューを果たし、雑誌や
テレビにも露出するようになったからだ。
これほど有名になった彼女は、もはや私には縁のない世界にいる。
手紙には、また会いたいと書いてあったが、その機会は二度とないだろ
う。やがて年が明け、冬が終わろうとしていた。
彼女が私のオフィスに入ってきたのは三月のある雨の日の夕方の五時だった。

23 :ねぇ、名乗って:2006/12/14(木) 22:20:26 ID:ftJ4Tpon0
リ|*‘ヮ‘)|<ばいばい

24 :ねぇ、名乗って:2007/01/07(日) 12:52:45 ID:VwkpukU70


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